獣医師解説!猫伝染性腹膜炎(FIP)〜原因、症状、治療法(MUTIAN:ムチアン)〜

    動物病院で、自分の猫が猫伝染性腹膜炎と診断された...

    愛猫が猫伝染性腹膜炎と診断されたけど、

    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!

    という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

    情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

    その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
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    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、猫伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis)は猫コロナウイルス感染が引き金となって起こる免疫介在性疾患です。

    猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスは、診断法の確立やワクチンなどによってある程度管理できるようになった今、唯一、医学的手立てのない致死性の疾患として残されています。

    ほとんどの猫は誕生後すぐに猫コロナウイルスに暴露し、多くの猫が、猫コロナウイルス(FCOV)を持っています。

    しかしこの感染は問題となることはほとんどないです。

    FCOVは容易に感染するものの弱毒性のウイルス(猫腸管コロナウイルス:FECV)であり、無症状~下痢嘔吐など腸炎に似た軽い症状をもつに過ぎません。

    しかし、猫伝染性腹膜炎(FELINE INFECTIOUS PERITONITIS:FIP)は、猫コロナウイルス(FCOV)が突然変異によって「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」となり、

    それに依って引き起こされる致命的な免疫性ウイルス疾患とされています。

    その後、ほかの猫と接触しない場合には危険性は最小限ですが、接触する場合には猫コロナウイルスに再暴露や腸管持続感染をしていくうちに、体内持続感染している弱毒猫コロナウイルスから強毒の猫伝染性腹膜炎ウイルスが派生します。

    その際に健常であれば発病しないが、細胞性免疫の応答力が落ちていれば全身移行を許容し、脈管炎、腹膜炎、髄膜脳炎などを病徴とする猫伝染性腹膜炎を起こして死の転帰をとります。

    生存率は極めて低く、発症すると平均生存期間が僅か9日間とされてきました。

    長年、効果的な治療法はなく、死の宣告といわれてきた猫の病気です。

    FIPは、多頭飼育世帯、シェルター施設、およびブリーダー飼育所において、通常よりも遥かに多く発生すると推定されています。

    この記事では、猫伝染性腹膜炎についてその原因、症状、診断方法、治療法までをまとめました。

    さらに、最近話題になっている、MUTIAN・GS-441524について、MUTIAN:ムチアンを使ったFIP治療方法、費用、治療例までを解説しました。

    限りなく網羅的にまとめましたので、猫伝染性腹膜炎と診断された飼い主、猫を飼い始めた飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    猫伝染性腹膜炎〜原因、症状、治療法〜

    この記事の目次

    猫伝染性腹膜炎の病原体

    猫伝染性腹膜炎の病原体

    ニドウイルス目

    コロナウイルス科

    コロナウイルス亜科

    アルファコロナウイルス属に分類される、アルファコロナウイルス1種

    の猫コロナウイルスFeline coronavirus(FCoV)によります。

    アルフアコロナウイルス1は既存種のFCoV、犬コロナウイルスCanine coronavirus(CCoV) および豚伝染性胃腸炎ウイルスTransmissible gastroenteritis virus of swine (TGEV)の3種をまとめてつくられた統合的なウイルス種名です。

    病原型分類:猫腸内コロナウイルス(FECV)と猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)

    猫コロナウイルス性腸炎の病原体

    猫コロナウイルスはCCoVやTGEVと同じく「胃腸炎」を起こす猫腸内コロナウイルスFeline enteric coronavirus(FECV)として知られています。

    加えて、この猫腸内コロナウイルスから病原性変異株として出現する猫伝染性腹膜炎ウイルスFeline infectious peritonitis virus(FIPV)は脈管炎、腹膜炎、髄膜脳炎などを起こすことから、臨床的に重要な致死性病原体となっています。

    猫コロナウイルスはその病原性の特徴から猫腸内コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスの2種類の病原型(pathotype)に分類できます。

    猫腸内コロナウイルスから猫伝染性腹膜炎ウイルスへの体内転換説

    猫腸内コロナウイルスから猫伝染性腹膜炎ウイルスへの体内転換説

    猫伝染性腹膜炎ウイルスが猫の腸とその付属リンパ節に感染している過程で、猫腸内コロナウイルス遺伝子に変異が起きて、猫伝染性腹膜炎ウイルスが生じると考えられています。

    変異の主体はマクロファージ内での複製能獲得です。

    腸細胞からマクロファージの間、特に血液中の単核球やマクロファージ内での複製能が高まった猫コロナウイルスが選択され、優勢になるものと考えられています。

    この「体内転換説」のもとになったのは、次のような報告です。

    各地で分離されたFIPV株の遺伝子を調べたところ、株間相互の類似性が低いことが判明した。そこで、それぞれのFIPV株が分離された地域で流行しているFECV株の遺伝子と比較した結果、近くのFECV株の方が、遠くのFIPV株よりも遺伝学的により近似していた。そのため、地域や猫群内で、流行しているFECV株の遺伝子に変異が加わることでFIP起病性に変化したと考える方が合理的でした。

    また、免疫力の低下している猫にFECVを接種した感染実験において、少数の猫がFIPを発現したことなどの事実にもよる。

    猫腸内コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスの境界線

    猫腸内コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスの境界線

    猫腸内コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎ウイルスを明瞭に区別できる基準はありません。

    唯一これまで採用されていたのは、「猫伝染性腹膜炎症例からウイルスを回収し、猫の感染実験で病気が再現されれば猫伝染性腹膜炎ウイルスであるとする」という方法です。

    これはコッホの原則にほかならない。

    高病原性烏インフルエンザの場合と同じです。

    遺伝子解析の方が簡便であることから、猫伝染性腹膜炎ウイルスでも代替法がしきりに模索されているが、検出された猫コロナウイルスが猫伝染性腹膜炎起病性であるかどうかを遺伝子レベルで100%確定することは難しいです。

    猫伝染性腹膜炎の疫学

    猫伝染性腹膜炎の疫学

    猫伝染性腹膜炎ウイルス体内転換説によれば猫伝染性腹膜炎ウイルスは糞便中に排出されることもなく、猫伝染性腹膜炎は猫から猫へ経口・経鼻による水平伝播は起きないことになります。

    したがって猫群内で猫伝染性腹膜炎は流行しません。

    猫腸内コロナウイルスに持続感染した猫の中から、最大10%ほどの割合で散発的に猫伝染性腹膜炎が発生するという疫学所見とも合致しています。

    水平伝播の1つの可能性として、猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスのようなレトロウイルス感染のように血液が媒介する伝播様式が考えられています。

    猫伝染性腹膜炎の発病因子

    猫伝染性腹膜炎の発病因子

    集団飼育している飼い猫群で猫伝染性腹膜炎が発生しやすく、単飼いや外部からの猫の導入のない猫群ではほとんど発生しません。

    ストレスは猫伝染性腹膜炎の発病因子で、ストレスを受けてから3~6週間後に発症し始めることが多いです。

    猫伝染性腹膜炎発症には性差はないが、80%以上が2歳齢以下に起きています。

    純血種の飼い猫(例えばパーマン種)やチーターなど、一部の猫種が遺伝学的にコロナウイルス感染に感受性を示し猫伝染性腹膜炎になりやすい傾向があります。

    猫伝染性腹膜炎の宿主

    飼い猫

    野生ネコ科動物(ツシマヤマネコなどの小型、およびチーターなどの大型ネコ科動物)。

    猫伝染性腹膜炎の感染経路

    猫伝染性腹膜炎の感染経路

    猫伝染性腹膜炎ウイルスは猫から猫への水平伝播はしにくいです。

    猫腸内コロナウイルスは糞便に排出され主に糞便経路で感染します。

    猫腸内コロナウイルスに感染しないようにすることで、猫伝染性腹膜炎に罹患することを回避できます。

    胎盤感染は起きにくいと考えられています。

    移行抗体は5~6週間有効です。

    猫伝染性腹膜炎の感染の特徴

    猫伝染性腹膜炎の感染の特徴

    1 )生後しばらくの間は移行抗体で守られていた子猫が、移行抗体の消失により母猫や同居猫から猫腸内コロナウイルスに感染します。

    この感染はほとんど無害です。

    2) 猫腸内コロナウイルスが持続感染している猫の腸内で毒力変異した猫伝染性腹膜炎ウイルスが、マクロファージ内で増殖を繰り返しながらマクロファージ向性ウイルスとなって全身感染を起こします。

    3)その際、何らかの理由で猫の細胞性免疫力が低下している場合

    免疫介在性の脈管炎が起きて体腔の滲出液貯留を特徴とする滲出型猫伝染性腹膜炎

    抵抗力が多少でもある場合

    その程度に応じた非滲出型猫伝染性腹膜炎

    4)細胞性免疫力を正常に戻す、ウイルスの複製を直接阻止するなど、体内における猫コロナウイルスの増殖を抑止し排除しない限り、完全回復は望めません。

    猫伝染性腹膜炎の発症機序

    猫伝染性腹膜炎の発症機序

    ウイルス側の要因「猫伝染性腹膜炎ウイルス体内転換説」と宿主側要因「免疫力」を組合わせた猫伝染性腹膜炎発症機序を説明します。

    N.C. Pedersen (カリフォルニア大学)が1980年代に提案した猫伝染性腹膜炎の発症機序に、「猫伝染性腹膜炎ウイルス体内転換説」を加味しました。

    ①多くの猫は若齢期に感染した猫腸内コロナウイルスが腸管組織に持続感染(あるいは再感染)し、何らかの機序により猫伝染性腹膜炎ウイルスに病原性変異します。

    ②持続感染時に何らかの原因(例えば猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスに感染)で免疫抑制状態(リンパ球の枯渇)に陥ると、変異ウイルスのマクロファージでの増殖が増長され、体内播種しやすくなります。

    ③体内播種の移動手段になるのがマクロファージなどの単核食細胞です。

    猫伝染性腹膜炎起病毒力の強いウイルスはin vitroでもマクロファージでの増殖性が高いことが知られています。

    ④ 体内へ感染を拡大すると、中和活性の低い抗体(IgG)を大量かつ持続的に産生するようになります。

    ⑤ この中和活性の低いIgG抗体は、猫伝染性腹膜炎ウイルスと結合してもウイルスを中和できず、逆にマクロファージのFc受容体を介して感染が促進されます。

    この現象は「抗体依存性増強(antibody-dependentenhance ADE)」と呼ばれます。

    この段階になると、猫伝染性腹膜炎ウイルスはこのような特異性の低いメカニズムで細胞感染を拡大しています。

    ⑥この強い抗体産生免疫反応(強液性免疫反応)は、さらにウイルスと抗体結合物を増加させ、脈管内皮細胞や腎組織などへの沈着を促進して、補体が結合、免疫複合体病(Ⅲ型アレルギ一反応)を起こしていきます。

    ⑦感染猫の免疫力が正常、特に細胞性免疫が強く応答する場合は、猫伝染性腹膜炎を発症する危険性を回避できるが、そうではない場合は発症します。

    インターフェロンy産生と強い細胞性免疫応答が発症回避のキーファクターです。

    ⑧免疫介在性脈管炎が広範に発生し腹水や胸水が貯留する「滲出型(wet type) 」猫伝染性腹膜炎は、細胞性免疫応答がほとんどみられない場合の病態です。

    脈管炎の発生が限局的で細胞性免疫応答が強くなく慢性に進行すると、滲出型と無症候の中間型として全身に化膿性肉芽種を形成する非滲出型(dry type)」猫伝染性腹膜炎という病態が出現します。

    ⑨ コロナウイルスは持続感染しやすいことから、最初の猫伝染性腹膜炎ウイルス攻撃をしのいだ場合でも、その後の体調の悪化によってはウイルスの再活性化による発病の可能性は残ります。

    ⑩猫伝染性腹膜炎は免疫介在性の疾患であるが、ある時期からウイルス感染の影響が消えて免疫病になるのではありません。

    猫伝染性腹膜炎病態の原因である免疫介在性炎症反応は、猫伝染性腹膜炎ウイルスの持続的増殖があることで起こります。

    ウイルスを完全に体外排除しない限り再発病の可能性は残ります。

    猫伝染性腹膜炎の臨床症状

    猫伝染性腹膜炎の臨床症状

    猫腸内コロナウイルス感染からの一連の経過として猫伝染性腹膜炎発症に至るとすれば、潜伏期は特定できず不定です。

    初期には慢性無反応性の発熱、食欲・元気消失、体重減少、繁殖障害、新生猫の高致死率などの非特異的症状が現れます。

    病気が進行するにつれ、臨床的に特徴的なFIPとなっていくが、腹水や胸水が貯留する滲出型猫伝染性腹膜炎:ウェットタイプと非滲出型猫伝染性腹膜炎:ドライタイプの2病型に大別されます(混在型もみられる)。

    ウェットタイプは60%~70%程度、ドライタイプは30%~40%と、全体としてはウェットタイプが多い傾向にあります。
    共通する症状の徴候として、「抗生物質に反応しない」「食欲の減退」「元気の消失」および「嗜眠(寝てばかりいる)」「4日以上の高熱が続く」などがあります。

    滲出型猫伝染性腹膜炎

    滲出型症状として、腹腔内液体貯留、胸腔内液体貯留による呼吸困難、陰嚢の液体貯留などが現れます。

    食欲は正常のままであったり、消失したりする。

    微熱、体重減少、腸間膜リンパ節や肝臓の腫大、他の腹腔内臓器の機能障害、眼や中枢神経系の異常などが挙げられます。

    ウェットタイプの顕著な臨床的徴候は、腹部または胸部内に水分が溜まること(腹水・胸水)で、これらが時に呼吸困難を引き起こすことがあります。

    血管内からタンパク質が流出し、主に臓器周辺に浸出液が溜まることから、腹水・胸水・心嚢水が起こりやすくなります。

    他の症状としては、食欲不振、発熱、体重減少、黄疸、および下痢嘔吐が含まれます。

    診断後、急速に症状が悪化することが知られており、迅速な対応が求められるFIPタイプです。

    非滲出型猫伝染性腹膜炎

    非滲出型症状は、体重減少や食欲不振が共通して認められるのみで検出が難しいです。

    ドライタイプは、食欲不振、発熱、黄疸、下痢、および体重減少を示しますが、水分の蓄積はありません。

    典型的なドライタイプの特徴としては、眼症状または神経症状を示すことがあります。

    臓器に特異的な異常を起こすが、例として腎臓の腫大、硬化や表面の凹凸、肝臓の腫大や黄疸、進行性の中枢神経症状、ブドウ膜炎、脾腫、腸間膜リンパ節症などです。

    いずれの場合も臨床経過は進行性で致死性です。

    滲出型猫伝染性腹膜炎と非滲出型猫伝染性腹膜炎の予後

    滲出型猫伝染性腹膜炎の予後は不良です。

    診断後数日~数週間で死亡することが多いです。

    非滲出型猫伝染性腹膜炎の場合、神経症状などが発現する前に診断加療されれば1年間ほど延命します。

    猫伝染性腹膜炎の症状の段階

    FIPに特有の症状はありません。 しかしながら、いずれの形態のFIPにおいても、FIPに罹患した猫は一般に食欲不振、体重減少、嗜眠、抗生物質に反応しない変動性の熱などの、普遍的な症状を示します。

    初期段階の症状

    感染の初期段階では、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少などの非特異的な症状が見られます。

    中期段階の症状

    食欲不振、著しい体重減少、倦怠感、胸部または腹部の腫れ、栄養失調、貧血、黄疸、変動的な発熱が見られます。

    後期段階の症状

    食欲不振、非常な痩身、嗜眠、胸部・腹部の腫れ、息切れ、栄養失調、貧血、黄疸、変動性発熱、慢性的な体調不良、眼の炎症などが見られます。

    猫伝染性腹膜炎の診断

    猫伝染性腹膜炎の診断

    基本的なチェック項目

    一般身体検査

    腹水や胸水の貯留、触診で腎臓の腫大などを検知したとき、FIPを疑うことが多いです。

    滲出型 FIPと鑑別診断が必要なものには、胸水や腹水の貯留を認める様な疾患、

    例として肝疾患(リンパ球性胆管炎、肝硬変など)、肝臓腫瘍、心筋症、リンパ腫、漿膜の炎症などです。

    非滲出型FIPでは、発熱、食欲不振、体重減少、黄疸、神経症状、眼疾患がみられるかなどを評価します。

    白血病病ウイルス、猫免疫不全ウイルス、トキソプラズマ、ヘモプラズマなどの感染症、腫瘍、胆管閉塞、自己免疫介在性溶血性貧血などと鑑別します。

    臨床病理学的検査

    以下は臨床病理学的検査を進めていく過程で、よりFIPの疑いが強くなっていく所見です。

    ①白血球数検査で、非再生性貧血、好中球性の白血球増多あるいは減少症、リンパ球減少症を示します。

    ②血漿蛋白検査で、高グロブリン血症(>10g/dL)、高フィブリノーゲン血症(>400mg/dL)を示します。

    ③血液化学検査で、肝酵素活性の上昇や高窒素血症を示します。

    ④尿検査で、蛋白尿やビリルビン尿を示します。

    ⑤腹水や胸水の所見として、黄色、透明、フィブリンを多く含み粘稠性を示し、泡立ちやすいです。

    蛋白濃度>35g/dL、A /G比<0.81、白血球数1,000-20,000/μL

    細胞診では炎症細胞や非敗血症性所見を示します。

    ⑥胸水と腹水の滲出性検査にリバルタ反応(rivalta reaction)が用いられています(滲出液=陽性、漏出液=陰性)。

    陽性の場合のFIP的中率は80%以上といわれており、陰性の場合は 100%否定されます。

    ⑦脳脊髄液検査では、蛋白量が50-350 mgldL、白血球数は90-9,250/μLで、好中球数の方が単核球数より多い傾向があります。

    ⑧血清の電気泳動像はyグロブリンの増量を示します。

    以上の臨床所見はいずれもFIPに特異的なものではないが、血清や滲出液の高蛋白性とA/G比の低下 は、よりFIPの疑いが濃くなります。

    そこでより病原学的な検査を進めることになるが、ほとんどの場合、外部検査機関への検査依頼となります。

    さらに詳細なチェック項目

    さらに詳細なチェック項目

    α1酸性踏蛋白(αl-acidglycoprotein、AGP)の測定

    急性期蛋白の1つです。

    血清、血漿、滲出液中のAGPが1.5g/L以上でFIPのの可能性が高いです。

    A/G比よりも診断基準として有用といわれます。

    抗コロナウイルス抗体検査

    通常はELISA法あるいはIFA法で高い抗コロナウイルス抗体価(500倍前後以上)を得るが、これは FCoVに感染していた、あるいは感染していることを証明するだけで、それがFIPVであるとは示していません。

    病終末期には抗体価が下がることもあります。

    病状の進行に伴って抗体価が上昇していくことを確認できれば有意です。

    抗体陰性(FIPは否定的)と抗体価1,600倍以上(抗FCoV抗体の有意な高値)の場合は診断価値があります。

    ウイルス学的検査

    ① ウイルス分離やウイルス遺伝子検出(RT-PCR、Realtime RT-PCR)を実施します。

    ウイルス分離は実際的ではありません。

    仮にこれらの検査で陽性とされても、FCoVの存在を示すが、FIPVであるとは証明できません。

    猫への感染実験で、分離ウイルスの病原性を確認する必要があります。

    ②そこでFIP発症機序理論から、気道や消化管からではなく、体内(末梢血単核細胞や生検組織)からウイルス抗原や遺伝子を検出する方法がしばらく利用されたが、健康正常な例外個体の存在が指摘され、絶対的ではないことになりました。

    ③FECVには検出されないFIPV特異的と称される遺伝子変異検出の試みがなされています。

    特に遺伝子に認められる2箇所のアミノ酸変異を示す遺伝子変異の検出は、かなりの確率でFIP起病性FCoVであることを示唆します。

    病理組織学的検査

    生検材料中に脈管炎(Ⅲ型アレルギー)や化膿性肉芽腫性炎症(Ⅳ型アレルギー?)結節を検出します。

    結節は壊死巣の周囲を好中球、リンパ球、形質細胞、組織球が取り囲んでいます。

    この結節中心部に特異的なFCoV抗原を免疫染色で検出できれば確定できます。

    実際の臨床現場では、臨床症状、臨床病理学的所見、特にA/G比、AGP濃度、滲出液の細胞診、500 倍前後以上の抗コロナウイルス抗体価これらすべての証明で「FIP」と診断します。

    その後に必要があるならば生検や遺伝子診断を実施します。

    猫伝染性腹膜炎の治療

    猫伝染性腹膜炎の治療
    FIPに有効な可能性のある治療

    ・GS−441524

    ・GC−376

    ・ポリプレニル免疫賦活化薬

    ・イトラコナゾール

    ・シクロスポリン

    ・クロロキン

    ・抗TNF-α

    ・カモスタットメシル酸塩

    ・ネルフィナビル

    ・MUTIAN

    抗ウイルス薬

    ①GC-376:3C様プロテアーゼ阻害剤:FIPウイルスの侵入・増殖過程を阻害する

    FIP20頭:平均10.4ヶ月齢、wet or wet−dry 14頭・dry 6頭

    20頭中7頭で改善が認められた(休薬後平均11.2ヶ月再発なし)

    副作用として注射部位疼痛、若齢では永久歯萌出不良

    *現在治療薬として市場には出ていない

    ②GS-441524:ヌクレオシド類似体:FIPウイルスの複製を阻害

    FIP 31頭:平均13.6ヶ月、wet or wet−dry 26頭・dry 5頭

    31頭中26頭で改善が認められた

    副作用として注射部位疼痛

    *現在治療薬として市場には出ていない

    現在の推奨使用用量は文献発表の時と異なっています。

    ③イトラコナゾール

    従来コレステロール細胞内輸送阻害薬がFIPウイルス(Ⅰ型)の増殖を抑制することが知られていた

    イトラコナゾールに同様の作用があることが認められている(in vitroでの増殖抑制作用も)

    後述の抗TNF-α抗体との同時投与でのデータ

    FIP 3頭:9〜10カ月齢

    3頭中2頭で臨床症状の改善が認められ30日以上は生存

    副作用として肝障害に注意

    *市場薬として一般的にもネコに用いられる薬

    ④クロロキン

    抗マラリア薬として知られており、FIPウイルスの増殖抑制と抗炎症作用が認められている(in vitro)

    臨床症例でのまとまった報告は認められない

    *市場薬として入手可能(ヒドロキシクロロキン)

    有効量では肝障害が認められている(ヒドロキシクロロキンの方が副作用は少ないとの報告も)。

    ⑤シクロスポリン

    シクロスポリンのシクロフィリン結合領域がFIPウイルスの複製阻害に重要であると考えられている

    FIP 13頭:平均7カ月、wet or wet−dry 10頭・dry 3頭

    9頭でシクロスポリンを投与、4頭で貯留液減少・消失、1頭のみ長期生存

    ステロイド群と比べて生存期間の延長は認められなかった。

    *市場薬として一般的にネコに用いられる

    高用量での使用が必要であり本来の免疫抑制作用によって致死的な問題が生じる場合も(誤嚥性肺炎など)

    ⑥ネルフィナビル

    プロテアーゼ阻害薬でHIV感染症の治療薬

    まとまった症例報告は認められない:ステロイド、インターフェロンとの併用で181、477日生存との報告

    *現在日本国内では入手できない

    抗炎症治療

    ⑦抗TNF-α抗体

    サイトカインであるTNF-αを選択的に阻害

    過剰なTNF−αは過剰な免疫性炎症、リンパ球減少、好中球アポトーシス阻害などに関与

    実験的に3頭中2頭でFIP発症予防、VEGFの減少、リンパ球の増加などが認められている。

    *市場薬は入手可能だが、ヒト用の製剤のみ

    ⑧ステロイド

    様々な抗炎症作用(サイトカインの抑制など)が認められており、従来よりよく使用されている

    有効性については様々だが、一時的な臨床症状の改善には有効な場合も多い

    *ネコではFIPに限らず一般的に広く用いられている

    免疫賦活化治療

    ⑨ポリプレニル免疫賦活化剤

    元々ヘルペスウイルスの治療薬として使用されており、Th−1型経路をアップグレードすることにより細胞性免疫を活性化させる

    FIP 60頭:Dry typeのみ

    生存期間 16頭 100日以上

    8頭 200日以上

    4頭 300日以上

    2頭 900日以上

    1頭 1829日

    *ステロイド併用例の方が生存期間が優位に短い:ステロイドとの併用不可?

    猫ちゃんでの承認薬だが海外のみ

    免疫抑制薬、抗菌薬

    特異的抗ウイルス製剤がないために臨床病理学的にFIPと診断された症例は、病態が進行して死亡します。

    治療の主眼はウイルスに対する過剰な免疫応答(I型アレルギー、播種性炎症反応)を抑制・改善することです。

    一例として、ステロイド(プレドニゾロン2-4 mg/kg、1日1回、経口投与)+シクロホスファミド(2mg/kg、1日1回、連続4日/週、経口投与)+広域抗菌薬(アンピシリン 20mg/kg、1日3回、経口投与)を投与します。

    インターフェロン製剤

    猫組換えインターフエロンωに反応する症例が報告されています。

    その他

    北里大学では、細胞内コレステロールの輸送阻害薬であるU18666Aが野外に多く存在するI型FIPVの増殖を強力に抑制することを発見した。
    また、U18666Aを投与した猫においてFIP発症が抑制または遅延する可能性を確認した。
    さらに、獣医臨床で抗真菌薬として一般的に使用されているイトラコナゾールがU18666Aと同様の抗ウイルス作用を示すことを発見した。
    しかし、U18666Aは動物薬として認可されておらず、実際に獣医臨床で応用するためには猫における薬物動態や安全性試験をそれぞれの国の基準に従って行う必要がある。
    即ち、U18666Aは将来的にFIP治療薬として応用できるが、現時点において直ちに獣医臨床に応用することは困難である。
    そこで我々は、1)の実験において比較的高い抗ウイルス効果を示したイトラコナゾールに着目した。
    イトラコナゾールは獣医臨床において抗真菌薬として一般的に用いられている。
    本研究で研究代表者らはイトラコナゾールがI型FIPVの増殖を抑制することを確認した。
    また、イトラコナゾールはウイルス感染後の細胞に対しても抗ウイルス作用が認められた。
    即ち、イトラコナゾールはFIPの治療薬として応用できる可能性が示唆された。

    その他

    各種薬剤がFIP症例の改善に試されているが、基本的に抗炎症薬、抗酸化剤、免疫賦活剤、インターフェロンα製剤、ビタミンB1とC製剤、アスピリン、アナボリックステロイドなどは患猫に有益です。

    今後、治療薬として期待されるもの

    試験管内でのコロナウイルス増殖抑制が確認された免疫抑制薬であるシクロスポリンAや、抗猫TNF(腫瘍壊死因子)αモノクローナル抗体などの治療への応用が研究されています。

    最近、人や動物のコロナウイルスに広く有効な、コロナウイルス蛋自分解酵素(3C-like protease)阻害薬の FIPの治療効果が報告されています。

    治療を開始しないと死亡する危険性が明らかな病期にあるFIP実験感染猫症例に用いたところ、治療開始20日未満で健常に回復したという報告があります。Rouier P. et al Acquisition of macrophage tropism during the pathogenesis of feline infectious peritonitis is determined by mutations in the feline corona virus spike protein.Journal of Virology 79. 2005.14122-14130

    ただしウイルスを体内から完全には排除できていないようで、投薬を中止すると元に戻る可能性は否定できません。

    猫伝染性腹膜炎の新しい治療薬:GS-441524とは

    上記の通り、猫伝染性腹膜炎(FIP)はFIPウイルスによる感染症で極めて致死性が高く、有効な治療が確立されていません。

    従来はステロイド剤など免疫抑制剤を中心に症状の緩和と進行の抑制を期待することが治療の要でした。

    2019年2月に獣医大学として有名なカルフォルニア大学デービス校のNiels Pedersen(ニールス・ペダーセン)教授の研究チームが、今まで治療法の見つかっていなかったFIPに対しての素晴らしい研究成果を発表しました。

    ※GS-441524はインフルエンザ治療で有名なタミフルの成分(オセルタミビル)などを開発したギリアド・サイエンシズ社(Gilead Sciences Inc.)が創薬したヌクレオシド類似体(ヌクレオシド系抗ウイルス薬)。人の新型コロナウイルスの治療薬として期待されている「レムデシビル」はGS-441524のプロドラッグ。

    ・最近ヒトのいくつかのRNAウイルス感染症の抗ウイルス療法がFIPに効果を示すことが報告されました。

    ・レムデシビルの前駆物質であるGS-441524(GS)がin vivo及びin vitro研究でFIPに有効だと報告されました。

    初期投与量は2.0 mg/kg SC SID、悪化もしくは再発の場合は4.0 mg/kg SC SIDに増量

    31頭(平均年齢13.6ヶ月齢、ドライ型:5頭, ウェット型及びドライウェット移行型:26頭)を組み入れ31頭中4頭は2~5日以内に死亡、1頭は治療に反応せず26日目に死亡

    • 26頭は寛解状態となり、うち8頭は再発を認めるも投薬量増量により寛解状態を維持されました。
    • 発熱改善、体重増加、白血球数増多及び貧血の改善、血清蛋白量の正常化が認められました。
    • ウイルスRNA量は8頭中7頭において減少を認めました。
    • 投薬治療中死亡した5頭中3頭では死後剖検においてウイルスRNAが検出されませんでした。
    • 副作用として26頭中16頭で注射部位における皮膚病変や痛み、注射痕などが認められました。
    • 過去に報告されたプロテアーゼ阻害薬「GC-376」とGSはそれぞれ異なる作用でウイルス増殖を抑制します。
    • 過去の報告ではin vivo及びin vitroにおけるそれぞれの治療成績に差はなかったです。
    • 自然発生FIPの治療におけるGSの有効性はGC-376よりも高いと考えられます。
    • 剖検でウイルスRNAが検出されなかった症例は投薬の効果を示したが治療開始が遅かったと考えられる
    • ウイルスRNA量が減少しなかった1頭は、薬に抵抗を示すノンレスポンダーが存在する可能性
    • GSを用いたFIP治療は安全かつ効果的で、4.0 mg/kg SC SID最低12週間投薬の実施が推奨されています。

    猫伝染性腹膜炎の新しい治療薬:GS-441524の問題点

    • プラセボ対照試験がない小規模研究なので薬の開発としてはまだ初期の段階と言わざるを得ない
    • これまでのFIP治療と比較して非常に効果の期待できる研究であり、更なる研究が期待される
    • この治療薬が日本で承認されるまでにはかなり時間を要すると考えられる
    • 個人輸入での入手が可能です。

    日本国内では未承認の動物用医薬品という扱いになります。

    法令ではこちらの製品を販売・譲渡・広告することは違法行為となり、これを獣医師が行えば獣医師免許の剥奪もあります。

    販売とは無診療でのネット販売や、個人間での薬の譲渡が該当します。

    また、クラウドファンディングやSNSで効能を広告することも違法行為となります。

    動物病院での治療のための処方は問題ないです。

    また、一般に処方される動物用のお薬と比べて非常に高額な為、MUTIAN(後述)の費用だけでもトータル60~150万円以上の費用が必要になります。

    概算で体重1kgにつき一日3,000~6,000円ほどの費用が治療期間分(通常84日間)必要になります。

    非常に残念なことにGS-441524を使った治療薬は製品化されていないため、製薬会社から購入することができません。

    また、今後製品化するかどうかもわかりません。

    Gilead Sciences社が開発

    • FIP治療薬として承認されるまでは時間を要する
    • エボラ出血熱治療薬としてFDA認可がおりるまでライセンスを他社に与えないと表明:正規ルートでの入手が困難
    • ブラックマーケットで主に中国製品(MUTIAN)が出回っている
    • 非正規品でも効果が認められる場合が多い

    →当然リスクがあり、しかも非常に高価である

    猫伝染性腹膜炎の新しい治療薬:MUTIAN(ムチアン)

    猫伝染性腹膜炎の新しい治療薬:MUTIAN(ムチアン)

    実は、MUTIAN(ムティアン)という中国の動物用医薬品会社がMUTIAN Xを有効成分とした製品を販売しています。

    中国ではペット事業が急速に伸びてきており、多頭飼育により、猫FIPが爆発的に増えたとの背景があります。

    また、MUTIAN IIはGS-441524と同じ成分です。

    お薬ではなくサプリメントとしての扱いですが、世界中の数千の治験報告によるとFIPに対してGS-441524と同じような効果があるのではないかと期待されています。

    有効な治療薬が長年発見されなかったFIPですが、近年ではカリフォルニア大学デービス校の獣医研究チームの発表した論文によるとFIPウイルスに対して非常に有望な抗ウイルス薬があると発表されています。

    このウイルス薬に類似の作用(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害)を持った薬がMUTIAN Xという製品名で中国内で流通していました。

    ※ヌクレオシド系逆転写酵素阻害を活用した研究では70%以上が、早期治療を開始すれば90%以上がFIPの治療に成功した報告がございます。

    そして現在はMUTIANと同等の効果を持った新薬であるChuanfuningが中国内で流通しております。Chuanfuningはまだ新薬ということもあり、現状ではほとんどの動物病院は取り扱っていません。

    MUTIAN (ムティアン)を取り扱っている動物病院は、千葉県に1件・東京2件・神奈川1件・大阪1件・広島1件・宮城1件・兵庫1件(2021年3月時点)があります。

    各動物病院の連絡先は協力動物病院のリストにあります。

    かかりつけの獣医師が定期検査や治療に協力して下されば、オーナー自身で販売元から個人輸入して治療することも可能です。

    MUTIAN製品は中国政府から認可された、正規の動物医薬品です。

    しかし、日本では未承認の薬となるため個人輸入になります。

    農林水産省のホームページをご確認・ご理解の上、ご注文ください。

    HTTPS://WWW.MAFF.GO.JP/J/SYOUAN/TIKUSUI/YAKUZI/Y_IMPORT/KAKUNIN.HTML

    HTTPS://WWW.MAFF.GO.JP/J/SYOUAN/TIKUSUI/YAKUZI/Y_IMPORT/ATTACH/PDF/KAKUNIN-13.PDF

    ※個人の方は、自身が所有する猫に投与する場合のみ輸入可能です。なお個人輸入は届くまで3営業日~5営業日かかります。※※お急ぎの場合は、最寄りのMUTIAN協力動物病院での処方が確実です。

    MUTIAN:ムチアンの種類、費用

    MUTIANII

    ※MUTIAN IIはGS-441524と同等

    MUTIANII

    379$/5ml

    FIP猫のための緊急的に使える液体式

    12週間の服用

    猫伝染性腹膜炎に関連する症状を緩和するサプリメント。

    投与量は体重とともに増加しますが、体重が減少しても投与量を減らすことはありません。

    0.3ml/kg =ドライ/ウェットFIP用量

    0.45ml/kg=眼の症状

    0.6ml/kg=神経学的

    MUTIAN:ムチアンカプセル

    MUTIAN

    • MUTIAN®は空腹時に最も効果的で、薬の後にたくさんの水を飲みます。
    • FIPは目と中枢神経系の両方を含むことがよく知られています。
    • 猫に神経症状がある場合に、より多くのMUTIAN®が血液/脳および血液/眼の関門に浸透できるようにするために、2回の服用が勧められます。
    • カプセルで合計84日。

    猫はこれらのサプリメントの摂取期間は?
    猫によって異なりますが、投与は12週間です。
    実験室の結果は、猫のAG比とともにFIPの決定を行うために考慮されます。
    2つの異なるラボ結果について、0.7を超えるAG比を確認する必要があります。

    猫にいくつのサプリメントを与えるべきですか?

    • 非神経性で眼症状のない猫への投与量は1日あたり100mg / kg
    • 眼症状の場合、1日あたり150mg / kg
    • 神経症状の場合、1日あたり200mg / kg

    猫にカプセルを与える前に猫に餌をやることはできますか?
    カプセルを与える1時間前からカプセルを与えてから30分後まで、猫からの餌を控えてください。

    どうすれば猫にこれらの薬を簡単に飲ませることができますか?
    カプセルをバターなどでコーティングし、カプセルを投与後、水を飲ませて食道に留まらないようにしてください。

    Mutian Capsules (50 mg x 10 capsules)

    Mutian Capsules (50 mg x 10 capsules)Mutian Capsules (50 mg x 10 capsules)成分

    110$/1シート=10カプセル

    本品は、50mgの経口カプセルで、1シートには10カプセルが含まれています。

    Mutian Capsules (100 mg x 10 capsules)

    Mutian Capsules (100 mg x 10 capsules)Mutian Capsules (100 mg x 10 capsules)成分

    220$/1シート=10カプセル

    本品は、100mgの経口カプセルで、1シートには10カプセルが含まれています。

    Mutian Capsules (200 mg x 10 capsules)

    Mutian Capsules (200 mg x 10 capsules)Mutian Capsules (200 mg x 10 capsules)成分

    440$/1シート=10カプセル

    本品は、200mgの経口カプセルで、1シートには10カプセルが含まれています。

    Xraphconn™ II

    $359

    Xraphconn™ Tablet (200 mg x 10 tablets)

    $440

    200MG の経口カプセルです。

    Xraphconn™ Tablet (100 mg x 10 tablets)

    $220

    100MG の経口カプセルです。

    Xraphconn™ Tablet (50 mg x 10 tablets)

    $110

    50MG の経口カプセルです。

     

     

    FIPのタイプ別MUTIAN:ムチアン投薬量

    ウェットタイプ

    ウェットタイプFIP 早期

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.3ml/kg
    • Mutian Capsules  100mg/kg/日

    主に2歳未満の猫において、持続的な発熱、沈鬱、食欲不振、体重減少、発育不良、毛並み/毛艶の劣化、抗生物質を投与しても効果がない場合は、FIP発症を疑う必要があります。

    また、FIP発症に起因し、白血球の増加、好中球の増加、リンパ球の減少、血清総タンパク質の増加、高グロブリン血症及び低アルブミン血症(A/G比<0.6以下等が起きます。

    ウェットタイプFIPでは通常、腹水または、胸水が確認されます。

    腹水の増加により腹部が徐々に変化し、手触りが柔らかくなります。
    腹部を軽く揉むと、中で水が揺れるのを感じます。胸水が増加すると呼吸の頻度は早くなります。
    胸水は抜去することができますが、呼吸に影響を与えない限り、胸水や腹水を抜去することは推奨されません。

    ウェットタイプFIP 中期

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.3ml/kg
    • Mutian Capsules  100mg/kg/日

    FIPが進行すると上記の症状は徐々に増加します。

    また、慢性的な非再生性貧血(HCT<24%)を引き起こします。
    高ビリルビン血症により尿は黄金色から濃い黄色に変化します。
    腹水、胸水の増加は呼吸困難を引き起こす可能性があり、腹式呼吸が発生した場合はただちに病院受診が必要です。(平常時の猫は胸腹式呼吸)
    食欲はさらに減少し、自発的に食べる量が少なくなります。

    ウェットタイプFIP 後期

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.3ml/kg
    • Mutian Capsules  100mg/kg/日

    FIPウイルスが免疫細胞の機能を損壊し、健康状態は急速に悪化します。
    この段階の猫は他との合併症が起こる可能性もあります。
    一例として、重度の貧血(HCT<16%)があるが、HCT<14%になった時点で、輸血などの応急処置をしなければなりません。
    食欲不振が悪化し食欲廃絶まで至ります。腹水がさらに増加し体の重心が不安定になる可能性や、重度の黄疸と溶血性貧血が発生する可能性もあります。

    ウェットタイプFIPの生存期間中央値はわずか8日間であるため、早期診断が非常に重要となります。
    ウェットタイプFIPの治療は比較的容易であり、早急に治療開始すると臨床症状を覆すことが可能であり、健康状態や生活行動力も完全に回復できます。
    ただしウェットタイプの後期段階では、多臓器不全などの不可逆的な損傷が発生する可能性があるため、この段階における猫の約50%は、治療開始後1〜7日以内に死亡します。

    ドライタイプ

    ドライタイプFIP 早期

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.3ml/kg
    • Mutian Capsules  100mg/kg/日

    主に2歳未満の猫において、持続的な発熱、沈鬱、食欲不振、体重減少、発育不良、毛並み/毛艶の劣化、抗生物質を投与しても効果がない場合は、FIP発症を疑う必要があります。

    また、FIP発症に起因し、白血球の増加、好中球の増加、リンパ球の減少、血清総タンパク質の増加、高グロブリン血症及び低アルブミン血症(A/G比<0.6以下等が起きます。

    ドライタイプでは通常、無症状期間(亜臨床期間)が長く、各臓器に肉芽腫が徐々に形成され、肝臓、腎臓、睾丸の腫脹、腸間膜リンパ節の腫大、腹腔の広範囲な腹膜炎症、及び腎髄質にリングが生じられることがあります。
    これらの症状はドライタイプFIPによく認められます。

    ドライタイプFIP 中期(眼病変)

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.45ml/kg
    • Mutian Capsules  150mg/kg/日

    FIPが進行すると上記の症状は徐々に増加します。

    また、慢性的な非再生性貧血(HCT<24%)を引き起こします。
    高ビリルビン血症により尿は黄金色から濃い黄色に変化します。

    一部のドライタイプFIPは、主にぶどう膜炎などの眼の病変を引き起こす可能性があります。
    眼球は、前房水の線維及び細胞成分の滲出により白濁し、虹彩紋理はもはや明確ではなく、ときには黄白色の小さな血餅が形成されます。
    また、血管に黄白色の肉芽腫性結節斑が現れることがあります。
    ウイルスが視神経系に侵入すると治療は困難になります。

    ドライタイプFIP 中期(中枢神経病変)

    推奨用量:

    • MUTIANII  0.6ml/kg
    • Mutian Capsules  200mg/kg/日

    FIPウイルスが免疫細胞の機能を損壊し、健康状態は急速に悪化します。
    この段階の猫は他との合併症が起こる可能性もあります。
    一例として、重度の貧血(HCT<16%)があるが、HCT<14%になった時点で、輸血などの応急処置をしなければなりません。
    食欲不振が悪化し食欲廃絶まで至ります。

    さらに、眼振、安静時の筋肉の震え、後肢の脱力、跳躍力の低下、身体の硬直、スローモーション、姿勢の不安定などの神経症状が生じます。
    また無菌性髄膜炎や脳炎を引き起こす可能性があります。
    FIPウイルスが血液脳関門を通過して中枢神経系に侵入すると、治療の難易度が高くなります。

    ドライタイプFIP 後期

    予後不良、高確率の再発

    跳躍力の低下、身体の硬直、運動障害、見当識障害、認知障害、麻痺、痙攣、てんかんが起こり、感覚が完全に失われる可能性があります。
    これらの臨床症状が現れると、通常、病気の末期段階にあり、中枢神経系が重篤な損傷を受け、治療実施しても悪化する可能性が高いです。

    一部の猫においては、この段階からの治療により状態を完全に逆転回復させ、健康状態に戻ることがありますが、投薬を中止すると薬物投与後の再発の可能性は他の段階より著しく高くなります。

    MUTIAN:ムチアン治療にかかる費用

    MUTIAN:ムチアン治療にかかる費用

    例 3キロの猫の場合

    MUTIAN:200mg/kg/日

    200×3=600mg

    200mgを3カプセル132$

    132×84=11,088$=1,330,560円

    100mg/kgだとその半額の665,280円になります。

    MUTIAN II  4mg/kg

    3×4=12mg

    12÷85×5=0.7ml

    0.7÷5×379$=53$=6367円/1日

    0.7×84日÷5=11.85=12本

    12本×379$=4548$

    4548×120=54,5760円

    2mg/kgだと27,2880円です。

    注意が必要なのはこれに、血液検査などの検査料がかかりますので、上記の費用は、あくまで原価で計算した時の薬だけの費用になります。

    また、治療が奏功すると徐々に体重も増えてくることが多いので、費用も高くなることが多いです。

    さらなる注意点として、投薬開始時期には症状が緩和している場合もあります。

    最も重い症状が出た時で、量は変わってきます。

    特に、眼症状や神経症状(よろけ、ふらつき、ジャンプができない、傾斜、痙攣等)があった場合は、投薬量は今までに起こった最も重い症状で見積る必要があります。

    もし、神経症状等が出ていたのに少ない投薬量で見積もってしまうと、症状が抑えきれず進行してしまい、結果として生存率が低くなります。

    MUTIAN:ムチアンの治療例

     

    猫伝染性腹膜炎の予防

    猫伝染性腹膜炎の予防

    ワクチン

    米国とEUの一部で温度感受性変異ウイルスを用いた鼻腔滴下型ワクチンが認可されています。

    FCoV初感染予防のために粘膜分泌型抗体を誘導します。

    有効性は50-75%です。

    有用性が高いという評価は得られていません。

    それ以外にはFCoV感染予防用ワクチンは存在しないことから、衛生管理や子猫がFCoVに感染しないようにする飼育管理などが実践されています。

    ワクチン開発における課題

    猫コロナウイルスは変異や遺伝子組換えを起こしやすいウイルスであること、特にFCoVが分類されるニドウイルス目ウイルスの感染症では抗体依存性増強(ADE)が起きやすいことなど、旧来のワクチン開発戦略(中和活性誘導抗原を非経口的に接種し、主に液性免疫を誘導する方法)では対応できないことが理由となってワクチン開発は遅れています。

    これまで豚伝染性胃腸炎(TGE)で成功した方法にならい、繁殖コロニーのような環境では母親を高度免疫して乳汁免疫を介した新生動物の保護、一般家庭飼育環境では新生動物のFECVワクチンによる能動免疫などの試みもなされたが、芳しい成績は得られていません。

    一方、FCoVの初感染は許容したとしても、持続感染中に起きる二次的なFIP発病を阻止できれば問題 は解決できます。

    そのためには、より強固な細胞性免疫の付与が可能なワクチン、例えば遺伝子ワクチンなどが考えられているが、経済性の問題も含めて開発されていません。

    したがってワクチンによるFCoV感染予防とFIP発症予防をワクチンで実施するのは現状では難しいです。

    「猫以外の動物における伝染性腹膜炎様病態について」

    「猫以外の動物における伝染性腹膜炎様病態について」

    ・猫以外のネコ科動物種にもコロナウイルス感染症があり、時に猫伝染性腹膜炎(FIP)様の病態を呈し死亡することがあります。

    1980年代前半にオレゴン州にあるウィンストンサファリパーク内のチーター(Acinonyxjubatus jubatus)にFIPが多発しました。

    進みすぎた近親交配により病原体に対する抵抗力が減じていることが一因と考えられたが、その後の研究で、チーターも飼い猫と同じようにFCoVを統御していることが判明し、前記の説は否定されました。

    最近ではピューマ(Pumaconcolor)の発生事例で詳しい報告があります。

    ・ネコ科以外の動物ではフェレット(Mustela ρutorius furo)に関する報告が米国、日本、ヨーロッパ諸国から増えています。

    フェレッ卜腸内コロナウイルスによる流行性カタル性腸炎と、フェレット全身性コロナウイルスによるフェレッ卜全身性コロナウイルス随伴疾患がみられ、後者はFIPの非滲出型(ドライ型)に相似しています。

    ・また、実験的にはγインターフェロンを欠損したマウスでは、マウス肝炎コロナウイルス感染が原因でFIP様の致死性腹膜炎が発現します。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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