獣医師解説!犬と猫の抗癌剤の効果と基礎、様々な抗癌剤〜作用機序、投与量、副作用、注意点〜

    抗癌剤をはじめましょうと言われた・・・

    抗癌剤って怖い、どんな副作用があるの・・・?

    本記事では、抗癌剤の効果、作用機序、投与量、副作用、注意点についてまとめました。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    この記事は、愛犬や愛猫の抗癌剤の効果、作用機序、投与量、副作用、注意点が気になる飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の抗癌剤の効果、作用機序、投与量、副作用、注意点がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の抗癌剤の効果、作用機序、投与量、副作用、注意点について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    犬猫の抗癌剤の効果、作用機序、投与量、副作用、注意点

    1:薬の基礎知識

    ICIntracardiac心腔内投与
    IDIntradermal皮内投与
    IMIntramuscular筋肉内投与
    IPIntraperitoneal腹腔内投与
    IVIntravenous静脈内投与
    P.O., poBy mouth経口
    SC, SQSubcutaneous皮下投与

     

    qdEvery day毎日
    qhEvery hour毎時間
    q2hEvery 2 hours2時間ごと
    q4h, qqhEvery 4 hours4時間ごと
    q6hEvery 6 hours6時間ごと
    q8hEvery 8 hours8時間ごと
    S.i.d.Single daily1日1回
    B.i.d.Twice daily1日2回
    T.i.d.Three times daily1日3回
    Q.i.d.Four times daily1日4回
    Qod, EODEvery other day1日おき

    投薬量と薬用量

    投薬量 (Dose):実際に投薬する薬剤の量 (mg,IU)
    薬用量 (Dosage):投薬量を決定する計算の仕方 (mg/kg,mg/m2,IU/kgなど)
    ※化学療法では体重による投薬量の計算が必要 (→ 参照)

    2:化学療法に関する用語

    ☐寛解:臨床上、腫瘍が認められない状態。 (下記参照)

    ☐導入:寛解を目指して化学療法を行っている時期。

    通常、薬剤強度が強い。(投与期間が短く、薬剤併用を行う)
    *薬剤強度:一定期間内に投与される薬剤量

    ☐地固め:完全寛解に残っている細胞を減らし、臨床反応を改善するために行う治療期間

    ☐維持:寛解を維持するために実施

    ☐レスキュー:以前の治療で再燃した動物に対して再寛解を目指して行う治療

    ☐補助的化学療法:外科療法や放射線療法(RT)の後に実施する化学療法

    再発や遠隔転移を遅らせる目的

    ☐Neoadjuvant:外科療法や放射線療法を行う前に実施する化学療法

    原発腫瘍の縮小目的

    ☐放射線増感剤:RTに化学療法を併用→RT単独より反応を改善させる

    ex)シスプラチン、パクリタキセルなど

    寛解の種類

    治癒:増殖しうる全ての腫瘍細胞が根絶されていること

    完全寛解 (CR)… 理学的検査ないし臨床検査で病変が認められないこと

    測定可能な腫瘍の限界1g(=109コ細胞数)

    部分寛解 (PR)… 測定可能な病変が50%以上縮小した場合

    維持病変 (SD)… 部分寛解まで至らない腫瘍の縮小(<49%)

    or進行病変まで至らない病変の進行(<24%)

    進行性病変 (PD)…病変が25%以上進行した場合

    ※反応率:完全寛解と部分寛解を加えたもの。維持病変は反応率には加えられない。

    単剤と多剤

    利点欠点
    単剤投与治療コストの減少

    毒性の危険性減少

    入院時間の減少

    効果の減弱

    腫瘍コントロールに欠ける

    多剤併用プロトコール効果が大きい

    薬剤抵抗性の発現が遅い

    コストの増大

    毒性の危険性の増大

    費やす時間の増加

    薬剤耐性って?

    • 薬物の細胞内への取り込みの減少
    • 細胞からの汲みだしの増加 (P糖タンパク質)
    • 薬物の活性化の減少
    • 薬剤の代謝の増加
    • 標的酵素量の増加や減少
    • 標的酵素の変化
    • SH基への結合による不活性化
    • DNA修復の増加
    • アポトーシスの抑制

    P糖タンパク質って?

    細胞内→細胞外:薬剤を汲みだす細胞膜上のポンプ

    MDR-1遺伝子によってコードされる

    多く存在する細胞

    • 正常細胞…腎・肝・肺・副腎・大腸など
    • 未治療の肉腫
    • 化学療法後再発した腫瘍
    P糖タンパクを引き起こす・介する薬剤
    • ドキソルビシン
    • ビンクリスチン
    • ミトキサントロン
    • アクチノマイシンD
    • タキソール
    • エトポシド
    • ダウノルビシン
    • ビンブラスチン
    • マイトマイシンC
    • プレドニゾン

    ※アルキル化剤は無関係 (リンパ腫のレスキューにも用いることが可能)

    犬と猫の体表面積換算表

    犬
    kgm2kgm2kgm2
    2.00.16019.00.71936.01.101
    3.00.21020.00.74437.01.121
    4.00.25521.00.76938.01.142
    5.00.29522.00.78539.01.162
    6.00.33323.00.81740.01.181
    7.00.37024.00.84041.01.201
    8.00.40425.00.86442.01.220
    9.00.43726.00.88643.01.240
    10.00.46927.00.90944.01.259
    11.00.50028.00.93145.01.278
    12.00.52929.00.95346.01.297
    13.00.55330.00.97547.01.302
    14.00.58131.00.99748.01.334
    15.00.60832.01.01849.01.352
    16.00.64133.01.02950.01.371
    17.00.66834.01.060
    18.00.69435.01.081
    猫
    kgm2kgm2kgm2
    1.40.1254.40.2697.40.380
    1.60.1374.60.2777.60.387
    1.80.1484.80.2857.80.393
    2.00.1595.00.2928.00.400
    2.20.1695.20.3008.20.407
    2.40.1795.40.3078.40.413
    2.60.1895.60.3158.60.420
    2.80.1995.80.3238.80.426
    3.00.2086.00.3309.00.433
    3.20.2176.20.3379.20.439
    3.40.2266.40.3459.40.445
    3.60.2356.60.3529.60.452
    3.80.2446.80.3609.80.458
    4.00.2527.00.36610.00.464
    4.20.2607.20.373

    例) 24.7kg 犬にドキソルビシン30mg/m2投与するには?

    24.0kg=0.840 m2    25.0kg=0.886 m2

    0.886-0.840=0.046

    0.046÷1000×700=0.0322

    0.840+0.0322=0.8722

    30mg×0.8722 m2=26.166mg

    →ダブルチェック

    →その後に生理食塩水に希釈したりして、抗癌剤治療の開始です。

    3:細胞周期との関係

    • 腫瘍内の細胞は分裂しているもの(G1~M期)、分裂していないもの(G0期)に分けられる。
      (通常、腫瘍細胞は指数関数的に増殖し、G0期であることはほとんどない)
    • 腫瘍は正常組織と比べて、分裂が速い
    • 大部分の化学療法剤は、細胞毒性薬として、細胞分裂に作用する。
      →増殖分画が多く、倍加時間が短い腫瘍に対してより効果的。(ex初期の転移性病変)

    ☐細胞周期特異性…何期に作用するか??

    ☐細胞周期非特異性:Go期にも作用する

    多くはDNAに結合・細胞増殖の阻止

    殺細胞効果:投与量に従う

    例)アルキル化剤・白金製剤・ドキソルビシン

    1:化学療法剤の種類

    アルキル化剤

    ◎DNAのアルキル化:DNAに結合・アルキル基挿入・DNAを架橋

    →DNAの構造変化・転写、複製、修復阻害

    →DNA、RNA、蛋白合成阻害

    ◎細胞周期非特異性 (高頻度に分裂を繰り返す細胞に最も高い毒性)

    アイホスファマイド、カルムスチン、クロラムブシル、サイクロフォスファマイド、ダカルバジン、ブスルファン、メルファラン、ロムスチン

    植物アルカロイド

    ◎Anti-tubulin Agent:微小管に結合

    →有糸分裂の編成・機能阻害 (M期)

    →細胞分裂阻害

    ◎細胞周期特異性:M 期

    ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル

    代謝拮抗剤

    ◎核酸の構成成分の前駆体(プリン・ピリミジン)に拮抗 [成りかわる]

    →正常な酵素反応の阻害

    →核酸の合成阻害

    ◎細胞周期特異性:S期 (DNA合成期)

    5-フルオロウラシル、シタラビン、ヒドロキシカルバミド、メソトレキセート

    抗生物質

    ◎トポイソメラーゼⅡの阻害

    →DNAの切断・フリーラジカルによる細胞障害

    ◎複合体形成・DNAに挿入

    →DNA・RNA合成阻害

    ◎細胞周期非特異性 

    アクチノマイシン、エピルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン

    その他

    ◎白金化合物・ホルモン類など

    L-アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ハイドロキシカルバマイド、ピロキシカム、プレドニン

    2:化学療法の副作用・毒性

    1)BAG

    Bone Marrow Suppression 骨髄抑制

    Alopecia 脱毛

    Gastro Inst Toxicity 胃腸障害

    詳しくは後述

    2) 血管外漏出

    発泡剤→局所組織炎症・疼痛・紅斑・壊死    ※重症度:薬剤・量に依存

    !!!漏出したら!!! 投薬中止・カテーテルに残っている薬剤を吸引

    ステロイド剤局注・冷湿布・温湿布圧迫

    • ビンクリスチン・ビンブラスチン…投与1~7日後
    • ドキソルビシン…投与7~10日後
    3)アレルギー反応

    投与中:ドキソルビシン

    IgEを介さず、直接肥満細胞の脱顆粒を誘導

    投与直後:L-asp

    アナフィラキシーショック ( >反復投与・筋肉内投与)

    4)心毒性

    ドキソルビシン:急性…投与中・直後の不整脈 (一過性)

    慢性…拡張型心筋症・うっ血性心不全 (不可逆性)

    5)腎毒性

    事前に確認:Cre・BUN・尿検査

    ・シスプラチン:尿細管への障害と・糸球体濾過率の低下

    高Cl 環境=毒性[低] ⇒生理食塩水による利尿と併用

    ・ドキソルビシン:(特に猫)高窒素血症・尿比重低下

    ・メソトレキセート

    ブログ記事紹介

    6)神経毒性:小動物ではまれ

    ・ビンクリスチン:末梢・中枢・自律神経/一時的な蠕動失調・便秘

    ・シスプラチン:まれ (ヒトで報告)

    ・5-FU:猫では禁忌←小脳性運動失調・異常興奮・死

    犬ではそれほど重篤ではありません

    7)急性腫瘍溶解症候群(ATLS)

    ・化学療法に反応し、悪性細胞が急速溶解することによります。

    ・細胞内生成物・イオンが循環中へ放出→腎排泄機能を上回る→電解質異常・代謝障害

    ・LSA・進行性疾患・大型腫瘍・脱水・内在する腎臓病・治療への迅速反応したもの

    ・高K血症・高P血症・低Ca血症・代謝性アシドーシス・高尿酸血症・急性腎不全

    ・急性虚脱・徐脈・嘔吐・下痢・循環虚脱・ショック

    8)肺毒性

    ・ブレオマイシン:重度な肺線維症

    ・シスプラチン:猫では禁忌←重度な肺水腫

    骨髄抑制:BONE MARROW SUPPRESSION

    ・好中球減少症→血小板減少症

    ・化学療法誘発性貧血:稀

    半減期の違い⇒ 好中球・血小板の順に顕著な症状

     

    循環半減期
    顆粒球4~8時間
    血小板4~6日
    赤血球120日
    骨髄毒性の強弱

    投与制限

    ⅰ) 好中球:2000個/μl以下 → 敗血症

    投与後5~7日発症 (好中球数最低値) ⇒ 36~72時間以内に回復

    • ✔抗がん剤投与中止
    • ✔予防的抗生物質の投与:ペニシリンorセファロスポリン・アミノグリコシド併用)
    • ✔セファランチン投与 (1mg/kg SID)
    • ✔G-CSF投与  (5μg/kg SID  SC)

    ✔セファランチン

    植物アルカロイド

    抗アレルギー作用・血流促進作用・免疫機能増強作用・造血機能の改善作用

    円形脱毛症・放射線治療後の白血球減少症に用いられる (ヒト) 

    ✔G-CSF(granulocyte-colony stimulating factor)顆粒球コロニー刺激因子

    サイトカインの一種・顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用

    ☐グラン G-CSF製薬フィルグラスチム(遺伝子組換え)

    適応:骨髄機能の低下による白血球減少

    (がんに対する化学療法・骨髄移植の直後・再生不良性貧血など)

    造血幹細胞、白血球表面のG-CSF受容体に結合

    ⅱ) 血小板:5000個/μl以下 → 突発性出血 (3000個/μl)

    ドキソルビシン+ダカルバジン

    • ✔運動制限
    • ✔低用量VCR投与
    • ✔血小板血漿輸液

     

    脱毛:ALOPECIA

    ・脱毛・発毛遅延…必発ではありません

    ・プードル・オールドイングリッシュシープドッグ・テリア犬種

    ・猫:ヒゲ

    消化器障害:GASTRO INST  TOXICITY

    ◎混合型 (食欲・嘔吐)

    投薬後1~2日

    ※シスプラチン:投与後6h以内

    ◎胃腸炎型 (下痢)

    投薬後3~7日 (出血性下痢)

    ※メトトレキセート:投薬後2weeks後

    ☆ADM投与後:軟便・水溶性下痢・出血性膀胱炎

    予防と治療

    悪心・嘔吐

    抗癌剤をゆっくり投与する

    メトクラプラミド投与 (0.2~0.4mg/kg PO TID)

    オンダンセトロン投与

    シプロヘプタジン投与

    下痢

    サリチル酸硝酸ビスマス投与

    スルファサラジン投与

    制吐薬

    ✔メトロクロプラミド

    ドパミンンD2受容体遮断薬

    平滑筋収縮抑制の解除→運動機能・消化管機能の改善

    嘔吐中枢(CTZ)に対する抑制作用→制嘔吐

    ✔オンダンセトロン

    5-HT3受容体遮断薬

    • CTZ・求心性迷走神経に作用→制嘔吐
    • 強力な作用→抗癌剤による嘔吐の抑制に

    ✔シプロヘプタジン

    5-HT受容体拮抗薬・H1受容体拮抗薬

    抗セロトニン作用・抗ヒスタミン作用・抗ムスカリン作用

    止瀉薬

    ✔サリチル酸硝酸ビスマス

    次硝酸ビスマス

    • 収斂作用:腸粘膜蛋白と結合・被膜形成:腸の蠕動運動抑制
    • エンドトキシン・エンテロトキシン吸収

    サリチル酸:抗炎症作用

    ✔スルファサラジン

    サルファ剤

    腸内で分解・サリチル酸成分→抗炎症作用

    非ステロイド系抗炎症薬

    様々な抗癌剤

    サイクロ・シクロフォスファマイド (エンドキサン)

    Cyclophosphamide (Endoxan) (CPA,CPM)

    製剤

    注射薬 / 錠剤 50mg

    作用機序

    アルキル化剤 

    DNAのアルキル化 → DNA合成阻害 (架橋・切断)

    細胞周期非特異性 

    薬物動態

    代謝:肝臓→活性型

    排泄:腎→尿中排出

    投薬量・投与法
     投薬量( mg/m2)投与法頻度
    犬・猫50mgPO全量を3~4日で分割投与
    200~300IV3週毎

    ※朝の投薬が好ましい (←尿排泄促進・膀胱炎防止)

    錠剤の分割不可

    低容量頻回、コツコツ効く、経口投与可能

    禁忌

    骨髄抑制 

    毒性

    無菌性出血性膀胱炎:犬で多い

    骨髄抑制 (最下点7日)

    脱毛

    消火器障害(嘔吐・下痢)

    適応

    リンパ腫 (多剤併用)

    肉腫・腺癌

    副作用

    無菌性出血性膀胱炎

    • 機序: CPAの代謝産物(=アクロレイン)の膀胱粘膜上での毒性作用による
    • 発症: 継続投与により、急性的に発症(可逆性)
    • 症状:血尿・排尿障害・頻尿
    • 治療:CPA投薬中止
      膀胱洗浄
      抗生物質・抗炎症薬 (感染予防)
      朝一番の投薬…日中排尿→膀胱を空にする
      利尿促進:プレトニゾンなど
      クロラムブシルへの代用
      (※クロラムブシル:他のアルキル化剤と交差過敏症を起こす)

    *膀胱の移行上皮癌:持続的なCPAの投与の関連性あり

    保存・使用期限

    注射用:滅菌水にて溶解

    室温…24h以内   冷蔵保存…6日以内

    錠剤:分割せずに使用する

    ←錠剤中の薬剤分布の不均一性

    ←化学療法安全取扱ガイドラインに基づく

    ダカルバジン

    Dacarbazine (DTI,DTIC)

    製剤

    注射薬 100mgバイアル

    発泡剤

    IV:留置したカテーテルで投与

    冷蔵保存

    作用機序

    アルキル化剤 (正確な機序は不明)

    DNAからRNAへの転写を阻害

    細胞周期非特異性 (細胞周期全体・静止期(G0)も含む)

    薬物動態

    尿中排出

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬200IV5日間毎3週
    10002~8時間
    猫不明
    禁忌

    重度の骨髄抑制・肝障害、腎障害

    毒性

    血管外漏出・組織壊死

    脱毛

    消火器障害(嘔吐、下痢、食欲不振)

    骨髄抑制 (軽度~中等度)

    ☐副作用の増強

    肝・腎障害があると副作用が強く発現

    ☐静脈内投与

    静脈炎、血管痛を起こすことも

    適応

    犬リンパ腫の再発(ドキソルビシンと併用)

    肉腫 (稀)

    メルファラン (アルケラン)

    Melphalan (Alkeran) (L-PAM)

     製剤

    注射薬:50mgバイアル

    錠剤:2mg・5mg(水に不溶)

    作用機序

    アルキル化剤 (ナイトロジェンマスタード誘導体)

    アルキル化作用によるDNAの合成を阻害・腫瘍細胞の増殖を抑制

    細胞周期非特異性

     薬物動態

    血漿中で急速に加水分解・活性化 → 尿・糞便中に排泄

    投薬量・投与法

    preと併用し、多発性骨髄腫に

     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬0.1mg/kg PO SID 10日間  →→→ 0.05mg/kg PO EOD  (維持療法として減量)
    7POSID 5日間を3週毎
    禁忌

    骨髄抑制

     毒性

    骨髄毒性・血小板減少症(持続投与)

    脱毛

    適応

    多発性骨髄腫のような形質細胞腫でプレドニゾロンと共に使用される。

    ☐他のアルキル化剤の代わり

    犬のリンパ腫の長期維持療法での出血性膀胱炎の副作用を避けるため、

    サイクロフォファマイドの代わりのアルキル化剤として用いられることもある。

    ☐2相性の作用を持つアルキル化剤

    メルファランには、アルキル化の作用を持つクロルエチル基が存在

    →DNAをアルキル化して腫瘍細胞の増殖を抑制する。

    ナイトロジェンマスタード*のアルキル基をL-フェニルアラニンに置換

    →このアルキル化作用により腫瘍細胞に対する親和性が高くなる。

    *ナイトロジェンマスタード:抗がん剤として最初に使用された薬剤・白血病や悪性リンパ腫の治療薬

    ☐血液検査は

    初期毎週・その後4-8週毎にCBC検査が必要

    パルス治療時は毎回

    ロムスチン(CCNU)

    Lomustine    cyclohexyl-chloroethyl-nitrosourea (CCNU)

    製剤

    カプセル (10mg・40mg・100mg)

    作用機序

    アルキル化剤(細胞周期非特異性)

    DNA鎖に架橋して細胞分裂を阻害

    血液脳関門を通過(親油性が強い)

    薬物動態

    肝代謝・尿排泄

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬60-90PO3週毎
    猫10/50-60PO3週毎/5-6週毎
    毒性

    骨髄抑制:重度・長期化する可能性 (最下点:犬7~10日)

    蓄積性の慢性血小板減少

    肝毒性:蓄積性で投与量に依存→肝酵素活性(ALT)モニター重要

    消化器毒性:嘔吐、下痢、食欲不振

    腎毒性(稀) 

    適応

    LSA(皮膚型含む)、LSAレスキュー

    MCT・組織球疾患、

    脳腫瘍 (←血液脳関門通過)

    ビンクリスチン (オンコビン)

    Vincristine (Oncovin)  (VCR,LCR)

    製剤

    注射薬 1mg/ml 1mlバイアル

    発泡剤

    比較的、値段が安い(1mgV ¥4600)

    薬剤耐性が出やすい

    作用機序

    植物アルカロイド

    微小管に結合(Antitublin Agent)

    細胞周期特異性:M期(細胞分裂時の紡錐糸形成阻害)

    薬物動態

    肝臓、胆汁排出・糞便中(ALP・肝酵素に注意・黄疸なし)

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度最大累積用量
    犬0.5~0.75IV1~2週おき
    猫0.025IV
    禁忌

    肝不全

    ☐副作用の増強

    フェニトイン(抗てんかん剤)

    L-アスパラギナーゼ(抗腫瘍酵素製剤)

    アゾール系抗真菌薬

    ☐呼吸困難や気管支痙攣を発症しやすい

    マイトマイシンC

    毒性

    血管外漏出・組織壊死

    脱毛

    消化器障害(特に猫:便秘)

    末梢神経障害(稀)長期投与による

    骨髄抑制は比較的軽度(多剤併用で重度化する可能性あり)

    適応

    多剤:リンパ腫・白血病・肉腫・肥満細胞腫

    単剤:可移植性性器腫瘍TVT(平均3.3回の投薬で90%治癒)

    ほかに、血小板減少症(巨核球から血小板の早期放出促進)

    独立細胞がんに効果あり

    ビンブラスチン

    Vinblastine  (VLB)

    製剤

    注射薬 1mg/ml 10mlバイアル

    発泡剤

    作用機序

    植物アルカロイド

    微小管に結合(Antitublin Agent)

    細胞周期特異性:M期(細胞分裂時の紡錐糸形成阻害)

    薬物動態

    代謝:肝臓 (肝チトクロームP450が関与)

    排泄:胆汁・尿中・糞便

    投与量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度最大累積用量
    犬2.0IV1~2週おき
    猫2.0IV1~2週おき
    禁忌

    骨髄抑制(白血球減少症・顆粒球減少症)

    ドキソルビシン、へパリン、フロセマイド溶液との配合

    ☐ビンクリスチンとの副作用比較

    骨髄抑制… ビンブラスチン>ビンクリスチン

    末梢神経障害… ビンブラスチン<ビンクリスチン

    ☐副作用の増強

    フェニトイン(抗てんかん剤)

    エリスロマイシン(マクロライド系抗生物質)

    アゾール系抗真菌薬

    ☐呼吸困難や気管支痙攣を発症しやすい

    マイトマイシンC

    毒性

    骨髄抑制(白血球減少症)

    血管外漏出

    悪心・嘔吐・便秘・胃炎

    脱毛

    肺機能不全

    適応

    肥満細胞腫

    リンパ腫 (VCRの代替)

    白血病・可移植性性器肉腫

    パクリタキセル(タキソール)

    Paclitaxel, Taxol(TXL,PTX,PAC,TAX)

    製剤

    注射薬(30、100mgバイアル)

    作用機序

    微小管脱重合を阻害(有糸分裂の完成を抑制)

    細胞周期特定性

    薬物動態

    肝臓、腎臓で代謝

    投与量・投薬量
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬132IV3週おき
    猫(検討中)5mg/kgIV3週おき

    ・投与30min前:コルチコステロイド、ジフェンヒドラミン、H2受容体拮抗薬などの投与

    ・生食で0.6~0.7mg/mLに希釈

    毒性

    骨髄抑制 (最下点:3~5日)

    アナフィラキシー反応(希釈に用いるcremophorELが原因)

    嗜眠        (希釈に用いるアルコールが原因)

    ☐副作用の予防

    cremophorELで溶解している→犬に過敏反応を引き起こす

    予防対策:

    投与30min前:ジフェンヒドラミン4mg/kg i.m

    シメチジン4mg/kg i.v.

    デキサメタゾンSP 2mg/kg i.v.

    適応

    乳腺癌、組織球症、骨肉腫

    ☐使用時の注意

    生食で0.6~0.7mg/mLに希釈

    ガラス容器に入れ、インラインフィルター*(0.22ミクロン以下)を通して投与

    チューブは塩化ビニル製でないものを使用

    *インラインフィルターを用いる理由

    • 過飽和状態にある希釈液は、パクリタキセルが結晶として析出する可能性があり、
    • 濾過網がつまることがある。
    • 本来は細菌をトラップして感染予防に使う

    ☐人では単独で乳癌にアドリアマイシンと並んで最も効果がある

    5-フルオロウラシル

    5-Fluorouracil (5-FU)

    製剤

    注射薬:50mg_1錠・250mg_1錠・500mg_1錠  ……遮光・室温

    クリーム:1%・2%・5%

    軟膏:5%_5g・5%_20g

    作用機序

    代謝拮抗剤

    RNAに取り込まれる→DNA合成阻害

    細胞周期特異性(細胞周期のS期に作用)

    薬物動態

    細胞内で代謝・肺と腎から排出

    体循環への吸収が少ない

    →局所治療薬として適応

    中枢神経に浸透

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬100~150IV1週間1回
    クリーム(局所)2回/日・2~4週継続
    禁忌

    猫→致命的な神経毒性 PO 20mg/kg:中毒  43mg/kg:致命的

    犬:重度の骨髄抑制

    毒性

    消化器毒性(食欲不振・嘔吐・下痢・胃炎)

    神経毒性(小脳症候群・興奮性の亢進・運動性発作・呼吸不全)

    骨髄抑制

    脱毛・過剰色素沈着・皮膚炎

    適応

    多剤:肉腫・腺癌

    鼻腺癌・消化器癌・乳腺癌

    ☐局所治療薬

       5% 5-FUを含む局所製剤

    ←体循環への吸収が少ない(表在性の腫瘍に使用)

    ☐他の抗がん剤との相性

    • メトトレキセート:物理的に不適合(拮抗する)。
    • ビンクリスチン:細胞毒性を増大させる。
    • アクチノマイシンーD:5-FUの治癒効果を低下させ、神経毒性が増大

    ☐小脳症候群

    失調性起立・歩行障害・運動失調・運動測定障害・筋緊張低下・眼振などによる症候群小脳の病変が原因→炎症・血管障害・新たな腫瘍など種々に及ぶ。

    シタラビン キロサイド

    (Cytarabine Ara-C)

    製剤

    注射薬

    作用機序

    代謝拮抗薬 (ピリミジン類似化合物)

    DNAポリメラーゼ阻害→核酸の生合成の阻害

    細胞周期依存性:S期 (G1→S期への移行を阻害)

    薬物動態  

    代謝:肝臓で素早く

    排泄:大部分が尿中

    投薬量・投与法

     投与量( mg/m2)投与法頻度
    静脈定速度注入100IV (静脈定速度注入)3~4日間
    高容量パルス投与150SC2回/日×2日間
    600IV SC週1回
    禁忌

    重度の骨髄抑制   過敏症

    毒性
    • 骨髄毒性 白血球減少症・血小板減少症 (犬の最下点:7~14日間)
    • 消化器毒性 嘔吐・下痢・食欲不振
    • 発熱、脱毛
    適応

    骨髄増殖性疾患(中枢神経系LSA・猫の腎LSA・白血病)

    • 室温、溶解から48時間安定・わずかでも混濁したら破棄
    • 血液脳関門を通過 (IV,SCで脳脊髄液において治療可能濃度)
    • 犬における半減期は非常に短い
    • 中枢神経系のリンパ腫などには髄腔内投与も(有効性不明)

    メトトレキセート (メトトレキサート)

    Methotrexate (MTX)

    製剤

    錠剤:2.5mg・10mg

    注射薬:2mg/ml・25mg/ml        溶解用粉末:50mg・500mg

    作用機序

    代謝拮抗薬 DNA合成・修復・細胞複製を阻害

    抗葉酸剤  酵素ジヒドロ葉酸還元酵素に結合・テトラヒドロ葉酸への変換を抑制

    =チミジン・プリン合成の抑制

    細胞周期特異性:S期(DNA複製に重要なチミジン・プリン合成を抑制)

    薬物動態

    PO:消化管内微生物により、一部代謝

    吸収後:肝臓代謝・腎→尿中排出

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬0.5~0.8mg/kgIV3週おき
    2.5PO/IV/IM1週おき
    猫2.5PO1週に2・3回
    0.3-0.8IV1週おき
    禁忌

    骨髄抑制

    肝・腎不全

    毒性

    消化器毒性(吐き気・嘔吐・食欲不振・下痢)

    骨髄抑制(最下点6-9日)

    脱毛・発熱・皮膚の発疹や変色

    高容量で腎・肝毒性

    適応

    多剤併用プロトコールの一部としてLSAに

    可移植性性器肉腫

    骨肉腫

    セルトリ細胞腫

    骨髄増殖性疾患

    • NSAIDsを同時投与すべきではない。
    • 副作用の予防:葉酸・ロイコボリン(還元型葉酸)
    • 高容量投与:急性尿細管壊死の原因(高容量での使用は推奨されない)
    • 毒性増加:
    • サリチル酸・経口抗凝血剤・サルファ剤・テトラサイクリン・クロラムフェニコール
    • メトトレキセートと同義語:アメトプテリン(Amethopterin)
    • 特殊なプロトコール:1~3mg/m2 PO

    アクチノマイシン D (コスメゲン・ダクチノマイシン)

    Actinomycin D(Cosmegen・Dactinomycin:ACT-D)

    製剤

    注射薬:0.5mg バイアル (粉末)

    発泡剤

    作用機序

    抗腫瘍抗生物質

    DNAの置換により、DNA複製や転写・蛋白質合成を阻害

    (DNA鎖のグアニン塩基に結合する水素に結合・安定した不可逆的な化合物を形成)

    細胞周期非特異性

    薬物動態

    骨髄・有核細胞に蓄積

    尿・糞便中に排泄

    投薬量・投与法
     投与量(mg/m2)投与法頻度 
    犬0.5~0.9IVボーラス2~3週おき20ml 生食/DWに希釈 5~10分

    25~150ml 生食で希釈 20~30分

    猫知見が少ないため推奨されていない
    禁忌

    過敏症

    注意する病態:骨髄抑制・肝障害

    毒性

    骨髄抑制(最下点7-10日)

    脱毛

    血管外漏出による局所の組織反応

    まれ:消化器毒性(吐き気・嘔吐・下痢)

    適応

    LSAのレスキュー

    LSAに対する多剤併用プロトコールにおけるドキソルビシンの代替薬として

    犬:腎芽細胞腫

    (腺癌・肛門嚢アポクリン腺癌・肛門周囲腺癌・扁平上皮癌・移行上皮癌・甲状腺癌)

    • 放線菌(Streptomyces parvullus)が産生するポリペプチド系の抗生物質
    • 血液脳関門を突破しない。
    • 胎盤は通過する。
    • CPMとの併用で5-FUの神経毒性を増加。
    • アルキル化剤・ビンカアルカロイドに耐性を示す犬リンパ腫への使用も。
    • ドキソルビシンの代替薬として(累積180-240mg/m2) 効果は劣る

    ドキソルビシン (アドリアマイシン)

     Doxorubicin   (Adriamycin:CXR,ADM)

    製剤

    注射薬(10㎎バイアル)

    水・0.9%生理食塩水・ブドウ糖に溶解

    へパリン中で沈殿 (混合禁忌)

    強力な発泡剤

    作用機序

    アントラサイクリン系抗腫瘍性抗生物質(土壌中真菌産生化合物)

    • 核酸合成・修復抑制
    • 殺細胞効果   細胞膜機能変化

    フリーラジカル産生

    細胞周期非特異性

    薬物動態

    血液から急速に消失・組織に広範囲に分布

    肝臓代謝(50%:胆汁排泄)

    血液脳関門は通過しない

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度最大累積用量
    犬30IV3~4週おき180mg/m2
    猫20~30IV3~4週おき

    ※10kg以下の犬・猫:1 mg/m2 (体表面積基準の投与量のため)

    ※急性・慢性心毒性防止→at least 15min以上

    禁忌

    重度の骨髄抑制

    心疾患(心不全の危険性の高い動物)

    毒性

    ・ヒスタミン介在性アレルギー反応 (抗ヒスタミン剤の前投与 ex;ポララミン)

    ・掻痒、膨疹、嘔吐、情緒不安、呼吸困難

    ・心毒性~不可逆的・累積的・容量依存性(心筋細胞は再生しない)

    致死的(心臓放射線療法・サイクロフォスファマイドの同時投与により増悪)

    ・心臓疾患を持つ動物

    • ADM累積投与量180~240mg/m2 超過適用の患者に対して
    • *心筋保護のためDexrazoxane(Zinecard)併用(酵素ラジカル形成防止)
    • ADM投与30分前にIVボーラスでゆっくり
    • 推奨比率 ADM:Dexrazoxane=1:10

    ・腎毒性(とくに猫)

    ・血管外漏出(組織局所壊死)[←強力な発泡剤]

    適応

    広い抗腫瘍活性を持つ( 固形がん全般・血液がん全般 )

    リンパ腫、白血病、骨肉腫、血管肉腫、軟部組織肉腫、乳腺腫瘍

    ☐副作用として

    ✔消化器毒性:出血性膀胱炎

    • タイロシン 10mg/kg BID 1~2週
    • 補助薬…犬:プリンペラン
    • 猫:べリアクチン (便秘になることも)

    ✔血管外漏出(組織局所壊死)

    漏出後:Dexrazoxane投与(3時間以内+24h、48h後にもう一度)

    治療:ホルムサン

    ✔急性膵炎

    risky:肥満・中高齢・既往歴有

    ☐投与は良くない!

    ✔コリー

    ✔腎臓が悪い症例

    ミトキサントロン (ノバントロン)

    Mitoxantrone (Novantron:MIT、MXT)

    製剤

    注射薬 2mg/ml溶液の5ml・10ml・12.5mlおよび15mlバイアル (暗青色)

    使用前に希釈:ヘパリンとの混合は禁忌 (生食or 5%ブドウ糖液で希釈)

    作用機序

    抗腫瘍性抗生物質

    DNA鎖と架橋形成・トポイソメラーゼⅡ酵素の抑制

    細胞周期非特異性 

    薬物動態

    肝臓代謝

    胆汁・尿中排泄

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬5.0IV3週に1回
    猫5.0~6.5IV3~4週に1回

    強膜・尿が青~緑色になることがある【informed】

    使用期限:未使用・室温…7日後・冷蔵…14日後  (防腐剤含まないため)

    皮下、筋肉内、髄腔内、動脈内投与はしない

    投与は20分以上かける

    禁忌

    骨髄抑制・心不全 

    毒性

    骨髄抑制 (最下点7-10日)

    消化器毒性 (嘔吐・下痢:通常軽度)

    脱毛

    血管外漏出・組織反応は穏やか

    心毒性・アレルギー反応ほとんどなし

    適応

    LSAのレスキュー

    ドキソルビシンの代替薬

    LSA、TCC、SCC、猫口腔SCCのRT増感剤

    ☐副作用の増強

    シタラビンとの併用→毒性は相乗的

    肝障害・腎障害

    高齢の動物で起きやすい

    ☐ドキソルビシンとの関連

    ドキソルビシンと異なり、フリーラジカルを形成しない

    有効性・臨床上の価値は劣る(毒性は低いが、根治は望めない)

    • 毒性:ドキソルビシン>ノバントロン
    • 寛解率:ドキソルビシン>ノバントロン

    L-アスパラギナーゼ

    L-asparaginase:L-asp

    製剤

    注射薬(5000K.U.・10000K.U.バイアル)

    作用機序

    ・E.coli由来の酵素(L-asp) ※異種タンパク

    →アスパラギン産生酵素 (アスパラギン・シンセターゼ)合成阻害

    正常細胞:アスパラギン合成能あり→影響なし

    腫瘍細胞:アスパラギン合成能なし→死滅

     

    →アスパラギン(細胞外のアミノ酸)を分解

    →腫瘍細胞のアスパラギンが枯渇

    ※抗体が産生→耐性を生じる〈アナフィラキシーの可能性〉

    薬物動態

    尿・糞便排泄

    投薬量・投与法
     投与量( mg/m2)投与法頻度
    犬10,000~20,000UIM,SC週1以下
     400IU/kg
    毒性

    ・アナフィラキシー反応(60min以内にでるので、投与後60min要観察)

    嘔吐、下痢、掻痒、浮腫、呼吸困難、情動、不安、低血圧、虚脱

    以下の三つは稀

    • 骨髄抑制(ビンクリスチンとの併用など)
    • 膵炎
    • DIC

    ・KU (Kyowa Unit)

    L-aspが L-アスパラギンを基質として37℃で作用させたときに、

    1分間に1μmoleのNH₃を発生させる酵素量

    適応

    LSAの多剤併用プロトコールの一部(LSAに単独で用いても持続的な寛解なし)

    □副作用

    ✔アナフィラキシー反応

    • 60min以内にでるので、投与後60min要観察
    • 反復投与で起こる
    • IM < IV・IP(報告あり)
    • 予防:投与15‐30min前に抗ヒスタミン剤
    • ジフェンヒドラミン 2mg/kg IM
    • デキサメタゾン   0.5-1mg/kg  IV輸液
    □ビンクリスチンとの併用は1日ずらす

    l-aspによる肝機能抑制

    □その他CHECK
    • 独立細胞ガンに効果あり
    • レスキュー治療が得意
    • 副作用がかなり少ない
    • 皮下注射できる
    • アレルギーが起こる
    • 投与量制限あり

    カルボプラチン

    Carboplatin:CBDCA

    製剤

    注射薬(450㎎/45mlバイアル)

    作用機序

    白金製剤 DNA鎖内・鎖間に架橋⇒タンパク合成阻害

    細胞周期非特異性 (S期に最も影響)

    薬物動態

    腎臓、肝臓で代謝 (半減期<シスプラチン)

    投与量・投薬量
     投与量( mg/m2 )投与法頻度
    犬300IV (>15min)3週おき
    猫200~250IV (>15min)3週おき

    点滴投与が好ましい 5%ブトウ糖液で希釈

    毒性

    骨髄抑制 [一般的]  血小板減少症 (最下点:犬11~14日・猫14~21日)

    消化器毒性 (急性嘔吐は稀)

    腎毒性:低(<シスプラチン)

    適応

    固形がん全般

    骨肉腫 (シスプラチンと同様の活性域を持つと推定)

    シスプラチン カルボプラチン
    強腎毒性弱
    猫禁忌特になし
    (重度の骨髄抑制のある動物)
    • 肺に高濃度に分布 (肺転移への効果に期待)
    • SCCの肺転移→カルボでなくなっちゃう!
    • 薬剤耐性がんに効果あり
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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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