獣医師解説!犬や猫でよく行われる薬物濃度測定の血液検査〜フェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシン〜

    体調が悪く、動物病院で薬の濃度の検査をしましょうと言われた・・・

    発作止めのお薬や心臓の薬、免疫抑制剤の薬を飲んでいるけど、血液検査って必要なの?

    本記事では飲んでいる薬の血液中の濃度を測定する血液検査についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、フェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシンを飲んでいる場合は、飲む薬の量が適切かどうか、定期的に血液検査で測定する必要があります。

    この記事は、フェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシンを飲んでいるワンちゃん、猫ちゃんがいる飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫のフェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシンの血液検査の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫のフェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシンの濃度検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    藥物濃度 (drug level)

    この文章は消さないでください。
    フェノバルビタール、臭化カリウム、ジアゼパム、シクロスポリン、ジゴキシン、ジギトキシン

    治療に用いられるさまざまな薬物について、投与量の過不足、コンプライアンス、中毒の発現などを調べる目的で血中濃度が測定されます。

    特に濃度の測定がよく行われている薬剤について以下に示しました。

    フェノバルビタール

    抗てんかん薬として用いられます。

    薬物が適切に投与されているか、また投与量が適切か確認するために血中濃度が測定されます。

    半減期

    2日程度、ピーク濃度:犬で経口投与4時間後。

    治 療 域

    犬 :20 ~ 40 μg/mL、猫:10~30 μg/mL

    採血時期

    通常投与直前:最低値を検査する。

    臭化カリウム

    抗てんかん薬としてフェノバールなどと併用されます。

    半 減 期

    犬:25 日、猫:12 日程度。

    治療域

    単独1~3mg/mL、フェノバルビタール併用時、1~2mg/mL。

    採血時期

    半減期が長いため投与開始後30日以降に測定。

    採血時間は濃度にあまり関係ないです。

    ジアゼパム

    抗てんかん薬として利用されます。

    体内では抗てんかん薬として活性のあるデスメチルジアゼパム等に代謝されます。

    犬では抗てんかん薬の維持薬として用いられることは少ないが、猫ではデスメチルジアゼパムの半減期が長く維持療法に用いられることがあります。

    半減期

    犬:2~3時間、猫:5.5時間程度。

    治療域

    報告が少なく不明であるが 200 ~ 500 ng/mL 程度とされています。

    採血時期

    投与開始後1週間以降、投薬直前測定。

    シクロスポリン

    免疫抑制剤として臓器移植や免疫介在性疾患の治療に用いられます。

    アトピー性皮膚炎の治療薬としても用いられることがあります。

    生物学的な利用率は低く、経口で 20 ~ 30%であり、個体差が大きいため血中濃度の測定が行われることがあります。

    半減期

    犬:5時間程度、猫:8~10時間。

    治療域

    犬 :100 ~ 500 ng/mL、猫:250~1000 ng/mL。

    採血時期

    通常は投与直前。最低値を調べる。

    ジゴキシン

    心疾患の治療に用いられます。

    治療域が比較的狭いため血中濃度が測定されます。

    半減期

    犬:14.4 ~ 56 時間、猫:30~173 時間。

    治療域

    犬・猫ともに 0.5 ~2ng/mL 程度。

    採血時期

    半減期が比較的長いため、血中濃度が安定するまで時間がかかります。

    維持量

    投与開始後1週間以降に測定します。

    投与直前濃度を調べます。

    ジギトキシン

    心疾患の治療に用いられます。

    猫では半減期が長く投与は推奨されない。

    半減期

    犬:8~49時間、猫:100時間以上。

    治療域

    大15 ~ 35 ng/mL 程度、中毒 40 ng/mL以上。

    採血時期

    維持量を開始後3日目以降に測定します。

    投与直前濃度を調べます。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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