獣医師解説!犬と猫の感染症の血液検査〜ウイルス、真菌、寄生虫・細菌〜

体調が悪く、動物病院で感染症の検査をしましょうと言われた・・・

健康診断をしたら、感染症の可能性があると言われた・・・

本記事では遭遇頻度の多く、頻繁に認められる感染症の検査についてお話しします。

  • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
  • 検査してくれなかった...
  • 病院ではよくわからなかった...
  • 病院では質問しづらかった...
  • 混乱してうまく理解できなかった...
  • もっと詳しく知りたい!
  • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
  • 治療しているけど治らない
  • 予防できるの?
  • 麻酔をかけなくて治療できるの?
  • 高齢だから治療ができないと言われた

もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

例えば...

  • 人に移るの?
  • 治る病気なの?
  • 危ない状態なのか?
  • 治療してしっかり治る?

これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

結論から言うと、免疫力が低い子犬・子猫や免疫力が低い状態(病気、高齢、内服:ステロイド)の犬・猫においてしばしば認められるのが感染症です。

数多くの感染症のうち、ワクチンで予防できるものはわずかですが、それでもワクチンを打つことで大幅にリスクを下げることができます。

感染症は、多くはウイルス性で、病院での検査で診断できない場合が多く、検査センターに依頼することが多いです。

そのため、結果が出るまでに時間がかかることも多く、早期に疑って、検査することが重要です。

この記事は、愛犬や愛猫が感染症ん可能性があると病院で言われた飼い主向けです。

この記事を読めば、愛犬や愛猫の感染症の検査の重要性がわかります。

限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の感染症の検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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✔︎本記事の信憑性

この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

✔︎本記事の内容

この記事の目次

パルボウイルス感染症(汎白血球減少症) (parvovirus infection)

下痢、パルボウイルス

パルボウイルスは、犬や猫で重篤な消化器症状を起こします。

また感染時期により、ときに心筋、小脳障害を引き起こすこともあります。

幼齢動物において致死率の高い重要な感染症であり、治療、感染対策のために迅速な診断が求められます。

 

検査機関で糞便を材料にした抗原検査が行われているほか、院内において抗原検査キットも利用可能です。

検査のときに気をつけること

実験感染では抗原は曝露後3日目程度から出現し、1週間目くらいまでにピークを迎えます。

回復に向かう症例ではその後、抗原が急速に減少していきます。

そのため、抗原検査は主に急性期下痢を呈している時期に陽性となり、回復時には陰性となることが多いです。

検査は以下の方法で行われています。

血液凝集試験

古くから行われている試験ですが、特異性の問題などにより現在では抗体を用いた抗原検出検査などが行われます。

抗原検査
この文章は消さないでください。
急性期糞便に排泄されるウイルス抗原を検出します。

院内キットも利用できます。

特異性が高い検査ですが、感染のタイミングによっては検出されないこともあります。

生ワクチン接種後2週間までの期間では抗原が検出されることもあり、解釈に注意が必要です。

IPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法

糞便などを材料にしたPCR法が、いくつかの商業的な検査機関で実施されています。

一般的に、感度、特異性は高いです。

PCR 陽性であった症例の43%程度のサンプル で HA 陰性であったことが報告されています。

抗原検査と同じく生ワクチン接種症例では陽性になると思われるが、遺伝子検査によりワクチン株と野外流行株を区別する検査も依頼することができます。

新しいワクチンのなかには、近年、流行しているウイルス株を使用している製剤もあり、その場合、ワクチン株と野外株の区別がつかないことがあります(デュラミューン MX シリーズ)。

抗体検査

ワクチン接種症例では抗体価が上昇していることが期待されます。

そのため、ワクチン接種ずみの症例では診断に用いることが困難です。

ワクチン接種の効果をみたり、不要なワクチン接種を避けたりするために接種前に抗体価を測定するなどの利用法が考えられます。

パルボウイルス感染の防御には、抗体が特に重要と考えられています。

 


 

猫汎白血球減少症

この文章は消さないでください。
パルボウイルス感染により起こる猫の感染症です。

猫と犬のパルボウイルスは遺伝的に近く抗原性も類似しています。

いくつかの報告で、犬用に開発された抗原検出キットの多くが猫のパルボウイルス感染を検出できることが示されています。

また、犬と同様に生ワクチン接種後2週間まではワクチン由来の抗原が検出される可能性があります。

PCR 検査も実施されています。

ポイント
  • パルボウイルスの検査には抗原検査とPCR 検査が利用できる。


 

犬ジステンパーウイルス感染症 (Canine distemper virus infection)

この文章は消さないでください。
神経症状、犬ジステンパーウイルス

典型的な犬のジステンパーウイルス感染では、急性期には呼吸器症状や消化器症状を呈した後、神経症状を呈します。

しかし、てんかん様発作などの神経症状のみを呈する症例もいるとされ、その場合には臨床的な診断が難しいです。

また、ワクチン接種率が高く、ジステンパーウイルスのワクチンはコアワクチンであるため、ワクチンを接種済みの個体では抗体価が高くなり感染の診断が難しいです。

感染評価の方法

細胞診

急性期には結膜や末梢血(赤血球、白血球)細胞の細胞質内に紫から灰色の封入体が観察されることがあります。

材料としては、眼結膜スメアは検出感度がよいようですが、感染症の検査としての感度は低いです。

抗体検査

ワクチン接種歴のない症例では感染歴の有無を評価できます。

逆に、ワクチン接種歴のある症例では、抗体価の検査1回だけでは野外感染の有無を評価することはできません。

そのためペア血清を用いた評価が行われますが、最近では IgMや抗原検査も行われるようになっています。

IgM

IgM は感染初期に産生される免疫グロブリンで、その上昇はおよそ1ヵ月以内に感染が起きた(またはワクチン接種した)ことを示唆します

ワクチン歴のない症例ではIgMの上昇は最近感染が起こったことを示唆するが、感染のごく初期ではIgMの上昇がみられない可能性もあります。

抗原検査

糞便、結膜スワブ、鼻汁などを材料に行われます。

感染初期の検査として有用です。

 

いくつかの検査機関で実施されているほか、院内のキットも利用することができます(アドテック)。

生ワクチン接種後にはワクチン由来の抗原が検出される可能性があります。

アドテックでは、急性期感染に対して糞便からの検出率が高いとしています。

PCR法

ジステンパーウイルスは RNA ウイルスであり、検出には RT-PCR法が用いられます。

報告されているPCR法による検出率は抗原検出に比べて高く、塩基配列を解析することで、ワクチン株と野外株を鑑別することができます(アドテック)。

いくつかの報告では神経症状を呈する症例からもウイルス遺伝子が検出されており、急性期以降の診断にも有用だと思われます。

それらの研究では、末梢血や脳脊髄液に比べ尿からの検出率が高いことが報告されています。

ポイント
  • ジステンパー感染の診断には抗原検査や PCR 検査が利用できる。


 

フィラリア症 (filariasis)

キーワード 犬糸状虫、糸状虫、ミクロフィラリア

犬・猫でみられるいわゆるフィラリア症は dirofilaria immitis が病原体であり、現在でもペットの犬にとって大きな脅威です。

 

検査として、全血の顕微鏡検査、ノット法による集虫法、抗原検査、抗体検査、超音波検査などが行われます。

検査によってわかること

循環器、呼吸器症状、腹水貯留などフィラリア寄生が疑われる場合に検査します。

また、毛包虫症や疥癬症の治療目的で高用量イベルメクチンなどを使用する場合、フィラリア感染動物に薬剤を投与すると重篤な副作用を起こす危険があるため投与前に検査を行うこともあります。

検査のときに気をつけること

さまざまな検査法が行われており、それぞれの検査法の特徴を説明します。

犬のフィラリア症
抗原検査

各社から院内検査用のキットが販売されています。

抗原検査キットは主にフィラリアの雌に分布する抗原を標的にしており、少数寄生や、雄の単性寄生の場合には陰性と なる場合があります。

しかし、集虫法や厚層塗抹による顕微鏡観察と比較して感度がよいです。

実際の感度はキットによってことなるが、雌の寄生数が0隻で40%程度、1~ 2隻で70~80%、それ以上の寄生数では90%以上です。

 

国内で販売されているフィラリア検査キット

  • スナップ
  • ハートワーム RT(アイデックス)
  • ソロステップ CH(ノバルティス アニマルヘルス)
  • ベットアシスト DIRO(アリスタライフサイエンス)
血液の鏡検

通常は 50μl程度の全血をスライドグラスに載せ、その上にカバーガラスを載せて鏡検します。

最も簡単な方法ですが、臨床例では抗原陽性の症例の半数程度の症例しか陽性になりません。

バフィーコートを観察すると検出率が向上します。

検出率はミクロフィラリアの数に関係しており、ミクロフィラリアの数が多い場合には検出率は高いが、少ない場合には検出が難しいです。

ノット(Knott)法とよばれる全血を用いた集虫法も行われることがあります。

この場合には抗原陽性の60%程度の検出率とされます。

超音波検査

肺動脈や右心室、右心房内の虫体を描出します。

寄生数が少なく抗原検査で陰性の場合でも超音波検査で検出できることがあります。

感度は装置の性能、動物の協力、及び検査担当者の技量に依存します。

 


 

猫のフィラリア症

猫のフィラリア症の発生頻度は犬ほど多くないが、少数寄生でも重篤な症状を発現しやすいです。

症状も食欲不振など非特異的なことが多く、診断が難しいです。診断は以下のように行います。

抗原検査

犬用の抗原検査キットを用いて行われます。

猫では、個体あたりの寄生数が少なく、 自然感染の状況では感度は70~90%程度です。

陰性の場合も少数寄生が原因で症状を呈している可能性があります。

症状から感染が疑われる場合には、超音波検査も実施すべきです。

抗原検査で陽性の結果は信頼性が高いです。

抗体検査

2009年8月現在、日本国内での猫用検査キットの販売はないが、海外では抗原検査の感度が不十分のため併用されています。

抗原陽性例の20%で抗体陰性となることも報告されているが、抗原検査と合わせることで診断確率を上げることができます。

超音波検査

猫では少数寄生でも重篤な症状を呈することがあります。

抗原陰性の場合でも肺動脈や右心系の超音波検査により虫体を描出できる場合があります。

ある研究ではフィラリア症 で抗原陰性の猫 10頭のうち超音波検査で5頭に虫体を検出できています。

抗原陰性でもフィラリア症が疑われる場合には超音波検査を実施すべきです。

 

ポイント
  • フィラリアの検出:一番簡便なのは顕微鏡検査であるが、抗原検査キットの方が感度がよい。
  • 抗原陰性の場合でも、必要に応じて超音波検査で確認する。

バベシア症 (babesiosis)

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貧血、溶血性貧血

バベシアは犬に溶血性貧血を引き起こします。

本症による貧血は免疫介在性溶血性貧血と病態が類似するため、治療を行ううえで鑑別が重要です。

主に西日本で発生がみられるが、東日本でも感染例がみられます。

闘犬は特に陽性率 が高い。沖縄を除く国内では、主に Babesia gibsoni が原因となっています。

 

検査のときに気をつけること

従来は血液塗抹で赤血球内の原虫を検出していたが、PCR法により客観的に高感度の検査が可能になっています。

一般に、貧血がバベシアにより起きている場合には PCR で陽性となります。

 

PCR法は感度が高く、治療などにより顕微鏡的な寄生率が検出限界以下に低下した場合でも、PCR法では陽性になることがあります。

そのため、治療を継続するかどうかを判定するためにも PCR 法を利用することができます。

沖縄では Babesia canis の感染もみられるため、それらの地区では B. canis の診断も実施できる かどうか検査機関に確認する必要があります。

異常値がみられたときにどうするか

遺伝子検査陽性は疾患の発生と密接な関係があるので、常に治療の対象と考えた方がよいです。

従来はジミナゼンが使用されることが多かったが、最近ではアドバコンやクリンダマイシンの併用、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、メトロニダゾールの 3剤併用療法などが行われています。

バベシア症の遺伝子検査を受託している主な検査機関

  • アドテック    B. gibsoni、B. canis
  • ケーナインラボ  B. gibsoni
  • カホテクノ    B. gibsoni

レプトスピラ症

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肝不全、腎不全、人獣共通感染症

レプトスピラ症は細菌性の人獣共通感染症であり、動物の健康被害だけでなく飼い主、動物病院スタッフにも感染するおそれがあるため、迅速な診断が必要です。

これまでレプトスピラの検査は、細菌培養や生菌凝集法などによる抗体価の測定などにより行われてきました。

しかし、細菌培養は感度が低く、抗体価の評価もワクチンの影響を考慮する必要があります。

そのためペア血清での測定が必要なことも多く、現実的な問題として確定診断は容易ではないです。

現在は血液または尿を材料としてPCR法が実施されるようになっています。

PCR検査は感度および特異性ともに従来の検査に比べ優れていると考えられます。

ある研究では臨床症状のない多くの犬からもレプトスピラが検出されており、流行地域ではこれまで考えられたよりも多くの動物が本症に感染している可能性があります。

PCR法による検査は迅速で正確であることから、本症の診断の第一選択として推奨されます。

 

本症は届出伝染病であり、PCR法により診断された場合には届出が必要です。

レプトスピラ感染の検査を受託している主な検査機関

  • 抗体検査  アドテック (50 倍以下陰性、100倍以上陽性)、モノリス(基準値:200倍未満)
  • PCR検査  アドテック

ブルセラ症

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ブルセラ、Brucella canis、流産、 ブリーディング、人獣共通感染症

犬のブルセラ症は主としてBrucella canisの感染によって引き起こされます。

感染犬に臨床症状を引き起こすことが少ないですが、流産(雌)や精巣炎など(雄)を引き起こすため、不妊や産子数の減少につながり問題となります。

臨床症状がほとんどみられないため、交尾などにより感染が広がりやすいです。

国内での感染もみられ社会的な関心も高くなっています。

犬の椎間板椎体炎の原因菌になることもあります。

病原性は強くないがヒトへの感染も報告されています。

検査のときに気をつけること

血液培養や膣のスワブなどを用いた培養検査は、ブルセラの存在を証明する直接的な検査であるが、感度は高くないです。

培養で陰性の場合にも感染を否定することはできない。

血液、膣スワ ブ、精液などを材料にしたPCR 検査も報告されているが、凝集反応など抗体検査に 較べて一般に感度が低く、国内では商業的に利用できないです。

検査の目的として不妊 や繁殖に関連して測定されることが多いため、スクリーニングとしては抗体検査を用 いるべきであろう。

抗体検査では擬陽性と判定されることがあるのでその場合、結果 の解釈が難しい。

陽性のときどうするか

人獣共通感染症であるが犬の感染症として届出義務はありません。

抗生剤が効きにくい疾患ですが、治療する場合にはドキシサイクリンやエンロフロキサシンが有効であったことが報告されています。

Brucella canisの検査を受託している主な検査機関

  • アドテック
  • マルピー
  • ライフテック
  • 北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー

猫免疫不全ウイルス感染症 (FIV : feline immunodeficiency virus infection)

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猫免疫不全ウイルス、猫エイズ、エイズ

FIVはヒト免疫不全ウイルス(HIV)と類縁のウイルスであり、感染猫に口内炎や免疫不全症を引き起こします。

感染診断としては、通常は血液をサンプルとして用いた抗体検査が行われます。

院内キットはウエスタンブロッティングと比較して不一致率1%程度であり、比較的正確に判定を行うことができます。

しかし、 国内でワクチンが販売されたことにより、今後ワクチン接種猫では従来の検査法が困難になることが予想されます。

検査のときに気をつけること

FIV の検査は比較的正確ですが、検査結果の解釈を行う際には以下のことに注意する必要があります。

  1. 感染から1ヵ月程度は抗体が産生されていない可能性があり、感染にもかかわらず抗体陰性(検査で陰性)の場合があります。感染が疑われる場合、1~2ヵ月後に再度検査を行います。
  2. FIV 陽性の母猫から生まれた子猫では、母猫からの移行抗体の影響で FIV 陽性となることがありまうs。実際に感染しているかどうか判定するためには6ヵ月齢以降で検査するか、PCR法により判定します。
  3. 新しく市販されたFIV ワクチンは不活化ワクチンです。このワクチン接種により抗体は陽性となります。接種症例での診断には PCR法による遺伝子検査が簡便と思われます。

陽性のときどうするか

現時点でFIV 感染症に有効な治療法は報告されていないので、対症療法を行うことになります。

無症状の感染猫も多いです。

HIVに比べ病原性が弱いと思われ、感染猫すべてがエイズを発症するわけではないことを理解します。

 

そのうえで多頭飼育の場合には同居猫への感染を防ぐような手段や、ほかの猫へのワクチン接種などを相談検討します。

FIVの院内検査キットと検査を受託している主な検査機関

・チェックマン FIV(アドテック) 検査キット

・スナップ FeLV/FIV コンボ(アイデックス)

  • 抗体検査:アドテック、アイデックス、北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー、マルピー・ライフテック
  • PCR 検査:アドテック、北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー
ポイント
  • FIV 検査では感染初期や、移行抗体をもつ子猫の時期を除き正確に診断できる。
  • FIV ワクチン接種猫では、遺伝子検査が有効である。

 

猫白血病ウイルス感染症 (FeLV : feline leukemia virus infection)

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猫白血病ウイルス、白血病ウイルス、 リンパ腫

FeLV 感染は感染猫に白血病やリンパ腫を起こすことがありますが、すべての感染猫が白血病になるわけではありません。

感染症の診断は通常血液を材料にして行われます。

ウイルス抗原を検出する検査で、通常ワクチン接種とは関係なく評価可能です。

 

持続感染しているウイルス陽性猫の10%程度はその後ウイルス抗原陰性となります。

しかし、抗原検査で陰性になった場合でも、PCR法を用いた高感度な遺伝子検査により、骨髄細胞、血液細胞からウイルス遺伝子が検出されることも多いです。

検査のときに気をつけること

FeLV の検査結果を解釈する際には以下の点に注意します。

  1. ウイルス抗原検査は血中抗原の検査であり、陰性の場合でも体内には低レベルにウイルスが存在することがあります(過去に感染があった場合)。
  2. 感染のごく初期にはウイルス抗原が検出されないことがあり、しばらく経過した後に再度測定します。

検査によってわかること

病歴などから FeLV 感染が疑われる場合に検査します。

野外に行く猫では感染率が高くなります。

ほかの疾患のために強力な免疫抑制治療(例えば皮膚病に対するプレドニゾロンやシクロスポリンの投与)を考えている場合には、ウイルス感染症が悪化する可能性があるので投薬前に検査を実施します。

陽性のときどうするか

現時点で逆転写酵素阻害剤を含め FeLV 感染に有効な治療法はありません。

FeLV 感染では白血病やリンパ腫のほか、骨髄異形成症候群(MDS)、再生不良性貧血などの造血器疾患がよくみられ、これらの疾患に対する治療を実施することになります。

明らかな症状がみられない場合でも、FeLV 持続感染猫はいずれなんらかの疾患を発症するようになることが多いです。

FIVに比べ予後が厳しいことが多いです。

FeLV の院内検査キットと検査を受託している主な検査機関

チェックマン FeLV(アドテック)

スナップ FeLV/FIV コンボ(アイデックス)

  • 検査機関
  • 抗原検査:アドテック、アイデックス、マルピー・ライフテッック

コラム

FeLV 感染の検査は FIVの検査とは異なる抗原検査です。

陽性=感染ですが、 陰性=非感染ではありません。

陰性例のなかにも抗原レベルが低いため検出できていないことが多いです。

過去の実験感染の報告では、感染歴があり、その後抗原が陰転した症例の多くで骨髄からウイルス遺伝子が検出されています。

 

猫伝染性腹膜炎 (FIP : feline infectious peritonitis)

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腹水、胸水

FIPはRNAウイルスであるコロナウイルス感染が原因です。

しかし、猫ではコロナウイルス感染が蔓延しているため、抗体価の検査だけでは FIP の診断は難しいです。

ウイルスの遺伝子の塩基配列の解析では、FIP を引き起こす病原性のウイルスと病原性のないコロナウイルスを区別することはできません。

現在のところ、生前診断は症状と臨床病理所見を組み合わせた確率的な診断で行うことになります。

 

FIP の検査を受託している検査機関

  • 抗体価| アドテック、アイデックス、マルピー・ライフテック
  • PCR法 マルピー・ライフテック(RT-PCR)、アイデックス(RT-PCR)、
  • ケーナインラボ(リアルタイム RT-PCR:定量的 PCR)

FIP の抗体価

FIP の検査を受託している検査機関を上記に示しました。

一般に、FIP 発症例では抗体価が高くなることが多いです。

しかし、一部の症例や末期には低くなることもあります。

FIPの診断

FIP を確定診断できる方法はまだありません。

剖検時の病理組織診断やマクロファージ内のコロナウイルス抗原陽性がゴールドスタンダートとして用いられます。

しかし、実際の症例に対して実施することが困難であるため、臨床症状、シグナルメントおよび以下の臨床検査所見を組み合わせて臨床的に診断することになります。

TP(総蛋白)

通常、ソーグロブリンの増加に関連した TP の増加がみられます。

TP 8.0以上で特異性、感度ともに 60%程度。

 

ソーグロブリン(TPと血清蛋白泳動から計算する)2.5g/ dL 以上で感度 86%、特異性 70%。

腹水

いわゆるウェットタイプの FIP で貯留します。

腹水が貯留するほかの疾患との鑑別が重要です。

FIP の腹水の特徴は FIP 感染猫の血清と同様、高蛋白、高y-グロブリンです。

 

腹水の総蛋白8.0 以上で感度 90%、特異性 55%、

ソーグロブリン(蛋白 泳動から計算する) 2.5 g/dL 以上で感度 83%、特異性82%。

抗体価

ある報告では 1600倍で感度 67%、特異性 98%。

ただし抗体価については検査機関 によって基準が異なります。

脳脊髄液の抗体価測定は、血清の抗体価測定と同じ意味です。

PCR法

末梢血白血球などを材料にしたウイルス RNAの RT-PCR 法が行われています。

FIP を発症している猫では高頻度にウイルス RNA が検出されますが、一方で健常な症例でも RNA がみられることがあります。

ポイント
  • FIP の臨床的な診断には TP、ソーグロブリン測定、および抗体価の測定が有用。

 

猫ウイルス性鼻気管炎 (ヘルペスウイルス、カリシウイルス)

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猫のカゼ、上部鼻気管炎、FVR
猫の代表的なウイルス性感染症であり、広く蔓延しています。

 

カリシウイルス、ヘルペスウイルスともに類似した上部気管炎や角結膜炎を引き起こします。

ワクチン接種が広く行われているため、抗体価の測定による感染症の診断は難しいです。

ワクチン接種前に、抗体価を評価してワクチンを接種するか否かを決定するために用いられることがあります。

 

ヘルペスウイルスは DNA ウイルスであり、PCR検査により高感度にウイルスを検出することができます。

しかし、ウイルスが広く蔓延しているために臨床症状のない健常猫でも陽性となることがあります。

また生ワクチンを接種している場合、ワクチンウイルスを検出する可能性があることが報告されています。

2002年の日本での報告ではヘルペスウイルスの陽性率は 59%でした。

カリシウイルスは RNA ウイルスであり、従来はウイルス分離による診断が主流でした。

2000年度以降に強毒のカリシウイルス感染例が報告されており、今後迅速な診断が必要になるかもしれません

カリシウイルスも広く蔓延しており日本では 21%の猫からウイルスが検出されています。

ヘルペスウイルス、カリシウイルスの評価を実施している主な検査機関

猫ウイルス性鼻気管炎ウイルス(ヘルペスウイルス)

  • アドテック(中和抗体価)
  • マルピー・ライフテック(中和抗体、ウイルス分離)
  • ケーナインラボ(PCR 検査)
  • アイデックス(PCR検査)

猫カリシウイルス

  • アドテック(中和抗体価)
  • マルピー・ライフテック(中和抗体、ウイルス分離)
  • ケーナインラボ(PCR 検査)
  • カホテクノ(PCR 検査)
  • アイデックス(PCR検査)
ポイント
  • ヘルペスウイルス、カリシウイルス感染症は広く蔓延している。
  • PCR法による感染診断が可能になっている。

 


トキソプラズマ感染症 (toxoplasmosis)

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トキソプラズマ症、人獣共通感染症

トキソプラズマは猫を終宿主にする原虫で、ヒトにも感染するため獣医領域だけで なく公衆衛生的にも重要です。

国内の飼い猫での抗体陽性率はおよそ10%程度と考えられています。

検査は抗体検出により行われます。

猫ではトキソプラズマ症は神経症状や虹彩炎などの原因となるため、診断は重要です。

しかし、トキソプラズマ感染の血清学的な陽性率は日本国内で10%程度と広く蔓延しているため、IgG抗体陽性は過去に感染があったことの証拠でしかありません。

現在の臨床症状がトキソプラズマ感染に起因するかどうか決定することは困難です。

トキソプラズマ抗体の検査を受託している主な検査機関

  • アドテック
  • 北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー ・モリノス
  • マルピー・ライフテック ・アイデックス(抗体、糞便:PCR 検査)
ポイント
  • トキソプラズマ抗体陽性とトキソプラズマ感染症は別である。

 

ヘモバルトネラ症(マイコプラズマ・ヘモフィリス感染)(Mycoplasma haemofelis infection)

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マイコプラズマ、貧血、ヘモプラズマ
赤血球に寄生するマイコプラズマによる感染症であり、Mycoplasma haemofelis、 Candidatus Mycoplasma haemominutum, Candidatus Mycoplasma turicensis が報告されています。

 

以前、病原微生物はヘモバルトネラという名称であったため、ヘモバルトネラ症と呼ばれています。

感染猫は貧血を呈することがあります。

猫で貧血がみられる場合には、ヘモバルトネラ症を疑い検査を行います。

検査のときに気をつけること

病原微生物にはいくつかの種が報告されています。

ヘモバルトネラ感染は健常な動物でもみられることがあります。

M, hemominutum 感染では特に貧血を示さないことも多いです。

最も病原性に関連しているのは Mycoplasma haemofelis です。

検査には全血サンプルを送付します。

ヘモバルトネラの遺伝子診断を行っている検査機関

  • ケーナインラボ M. Haemofelis(オハイオ型) M.haemominutum(カリフォルニア型)を区別
  • カホテクノ M. Haemofelisの区別なし
  • マルピー・ライフテック | M. Haemofelis と M.haemominutum を区別

検査よってわかること

従来は、血液塗抹上の微生物を判定していましたが、病原微生物は小さく主観的な評価になりがちでした。

検出感度も低く、形態からでは病原微生物の種を同定することは困難でした。

PCR法による判定は客観的である一方で、猫のマイコプラズマの感染率は数% から20%程度にまで及び、陽性結果は必ずしも貧血の原因と結びつくものではないです。

Mycoplasma haemofelis は比較的病原性が高いため、感染が判明した動物で貧血がある場合にはドキシサイクリン系薬剤による治療の対象となります。

 

検査するのはどういうときか

一般に、貧血がみられる動物で実施します。

猫の自己免疫性溶血性貧血との鑑別診断 として本症の検査は重要です。

FeLV 感染動物ではウイルスとマイコプラズマ感染リスクが共通なので、FeLV 感染猫で貧血がある場合には本症も疑います。

そのほかに輸血を行う際の供血動物(無症状)の感染の評価にも用いることができます。

ポイント
  • ヘモバルトネラ感染の診断には遺伝子検査が有用である。
  • 感染動物すべてが発症するわけではない。
  • 供血猫の検査に利用することができる。

 

深在性真菌感染症

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真菌、クリプトコッカス、カンジダ、アスペルギルス

皮膚や表在の真菌感染の診断は培養同定検査で行われます。

しかし深在性の真菌症ではサンプル採取が侵襲的になる場合があり、この場合には抗原検査が行われます。

クリプトコッカス症

猫ではとくに重要な疾患です。

 

診断に用いるだけでなく、治療後経時的に抗原価を測定し、治療効果を判定する場合にも用いることができます。

アスペルギルス症

アスペルギルスは犬の呼吸器感染症や鼻腔疾患の原因菌として重要です。

 

特に腫瘍や炎症性疾患の病因との鑑別疾患として考慮する必要があります。

検査としては鼻腔内視鏡による観察や培養などが行われますが、その他に血清学的検査が行われています。

培養検査は感染症例の70%程度で陽性です。

ポイント
  • クリプトコッカス感染では抗原検出が有用である。
  • アスペルギルスでは抗原検査は利用できない。
  • 抗体検査が有用な可能性ある。

その他の感染症の検査

  • Q熱(コクシエラ症)  北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー (抗体、PCR)
  • クラミジア 北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー (PCR)
  • 猫ひっかき病(Bartonella henselae) 北里研究所コンパニオンアニマルラボラトリー (抗体)
  • フェレットアリューシャン病(パルボウイルス)  カホテクノ(PCR)

 

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no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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