お腹が痛そう、吐き続ける、便が白いので、動物病院で膵臓に異常があると言われた・・・
健康診断をしたら、膵臓の値に異常があったので点滴や膵臓用の食事、薬を勧められた・・・
膵臓は膵炎を含め、腫瘍なども起こりやすい臓器です。本記事ではそんな時に行われる膵臓の血液検査についてお話します。
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
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例えば...
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これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
病院で膵臓の値が高いのに、安易に薬と点滴だけされたのに、自宅でぐったりしている場合は注意が必要です!
結論から言うと、犬と猫の膵炎や膵外分泌不全は非常に多く、状態が悪い時や、健康診断で膵臓の数値が悪い時は非常に多いです。
膵臓の病気は早期治療をしないと命に関わることもあるので、早期発見が重要です。
この記事は、愛犬や愛猫の膵臓の数値(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン:TLI、膵リパーゼ:PLI)が高いと病院で言われた飼い主向けです。
この記事を読めば、愛犬や愛猫の膵臓の数値(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン:TLI、膵リパーゼ:PLI)の意味や検査結果の重要性がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の膵臓の数値(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン:TLI、膵リパーゼ:PLI)について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
病気について直接聞きたい!自分の家の子について相談したい方は下記よりご相談ください!
通話:現役獣医による犬・猫の病気・治療相談のります 日本獣医麻酔外科学会で受賞した獣医による相談受付:画像に証拠
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✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
獣医師解説!膵臓の値が悪い?犬や猫の血液検査を徹底解説!〜膵臓の値編〜(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン:TLI、膵リパーゼ:PLI)
この記事の目次
アミラーゼ活性 (amylase)
膵炎、膵外分泌不全
血中アミラーゼは、犬や猫では主に膵臓に由来します。
ヒトでは唾液腺疾患が疑われる場合に検査されることがあるが、犬では唾液腺中にアミラーゼはほとんど含まれず、唾液腺の評価には用いられません。
主に膵炎のスクリーニング検査として用いられます。
膵炎の診断に利用される検査として、リパーゼ、PLI(リパーゼ 免疫測定)、TLI(トリプシン免疫測定)があります。
アミラーゼとリパーゼは測定が容易であることから広く用いられるが、感度、特異性ともに問題があります。
検査のときに気をつけること
獣医療域で用いられる検査機関・機器でのアミラーゼの参照値を下記に示しました。
アミラーゼ活性の参照値(単位:IU/L)
異常値がみられたときに疑う疾患
膵炎が疑われる場合に検査します。
犬では血中のアミラーゼやリパーゼ活性の評価は、特異性、感度ともに高くないですが、膵炎の診断に対して一定の価値があります。
膵炎の診断は TLIやPLIなど免疫学的測定法を用いても完全ではないため、アミラーゼ の検査はその容易さから現在でも利用されることがあります。
一方、膵外分泌不全の診断においては、感度や特異性が低く臨床的に有用ではないです。
膵外分泌不全の診断には TLI がよく用いられています。
異常値がみられたときどうするか
高値の場合
アミラーゼは膵臓以外にも一部消化管に由来するものもあります。
そのため重篤な胃腸炎でも上昇することがあります。
アミラーゼは腎臓で代謝されるため腎不全のときにも上昇し、臨床的に膵炎との鑑別が問題となります。
一般に腎不全の場合、アミラーゼの上昇は参照値の2~3倍程度までにとどまることが多いので、アミラーゼ活性が著しく高値の場合には膵炎を強く疑うことになります。
実験研究では、犬の膵炎に対するアミラーゼの感度と特異性は両者とも50~60%程度と見積もられています。
臨床の現場では感度はそれよりも低いです。
アミラーゼ測定から膵炎を診断できない場合、リパーゼ活性の測定が行われることがありますが、犬では感度と特異性はアミラーゼとさほど変わりません。
現状では、膵炎の診断にはリパーゼの免疫測定 (PLI)の臨床的有用性が最も高いと考えられています。
猫では膵炎の診断に関してアミラーゼ測定の臨床的な意義はないです。
低値~正常範囲の場合
アミラーゼが低値~正常範囲の場合にも、膵炎である可能性は十分にあるので、膵炎を除外できません。
アミラーゼが低値の場合、診断的な意義はありません。
また、ステロイドの投与によりアミラーゼの低下がみられることが報告されています。
- アミラーゼが著しく高い場合には膵炎を疑う。
- アミラーゼが中程度に高くても膵炎とはかぎらない。
- アミラーゼが低値、正常範囲でも膵炎を否定しない。
リパーゼ活性 (lipase)
血中リパーゼは主に膵臓と消化管粘膜に由来し、膵炎の診断のために用いられます。
測定が比較的容易で院内で測定できる機器もあるため、アミラーゼと並んで 膵炎のスクリーニング検査として利用されます。
しかし、感度・特異性ともに問題があり、臨床的な解釈は慎重に行われなければなりません。
検査のときに気をつけること
獣医臨床で用いられる検査機器での参照値を下記に示しました。
リパーゼを測定できる 院内機器として、アイデックス社の Vet Test、富士フイルムメディカルの Fuji DriChem があります。
検査機関も利用できます。
リパーゼは腎臓から代謝されるため、腎不全または高窒素血症の犬では2~3倍程度に増加することがあります。
リパーゼ活性の参照値(単位:IU/L)
検査によってわかること
膵炎が疑われるときに検査します。
リパーゼは、犬の膵炎診断のスクリーニング検査として有効です。
アミラーゼと同時に検査されることも多いです。
実験研究では膵炎の診断のリパーゼの感度と特異性は 50~70%程度と推測されていますが、実際の臨床の現場では慢性膵炎などの症例も多く、感度はもっと低いと推定されます。
そのため、 リパーゼが低値であった場合にも膵炎を否定することはできないです。
リパーゼが著しく高値の場合には膵炎の可能性が高いが、2~3倍程度までの上昇は腎不全に起因することがあります。
膵炎の動物で、腹水中のリパーゼ血清の増加が報告されています。
異常値がみられたときに疑う疾患
犬では膵炎で高値となります。
そのほかにリパーゼが増加する病態として腎不全、ステロイド投与、重度腸炎、外科手術が知られています。
一方、リパーゼが低値の場合には臨床的な意味はありません。
猫でのリパーゼ測定の意義
猫でも、実験的に誘発された膵炎でリパーゼが増加することが知られています。
著しい高値では膵炎を疑うべきです。
猫では慢性膵炎も多く、臨床の現場でのリパーゼ測定の感度と特異性についてはわかっていません。
猫では自然発症の膵炎を対象にした研究で、リパーゼの免疫測定(PLI)が感度、特異性ともに優れていたことが報告されています。
- リパーゼは検査方法により参照値が大きく異なる。
- リパーゼが著しく高い場合には膵炎を疑う。
- リパーゼが中程度に高くても膵炎とは限らず、低値や正常範囲値でも膵炎を否定しない。
膵臓癌に関しての記事はこちらをどうぞ!
獣医師解説!犬の膵臓癌:インスリノーマ〜原因、症状、治療〜
犬のインスリノーマのほとんどは癌です。犬のインスリノーマはリンパ節や肝臓に転移しやすく、診断時にはほとんどの症例で転移がおきています。臨床症状のほとんど全ては低血糖によります。治療は血糖値を保ち、低血糖症状を予防することに向けられます。腫瘍の外科的切除も有効であり、低血糖を緩和できれば生存期間を延長できます。
トリプシン (TLI : trypsin like immunoreactivity)、膵リパーゼ (PLI: pancreatic lipase immunoreactivity)
トリプシンは、血中では多くが不活化されているため酵素活性による測定は困難であり、免疫学的方法で測定が行われます。
トリプシン免疫測定(TLI)、リパーゼ免疫測定(PLI)ともに膵炎と膵外分泌不全の診断に用いられます。
検査のときに気をつけること
犬・猫の参照値を下記に示しました。
犬と猫における TLI と PLI の参照値
異常値がみられたときに疑う疾患
膵外分泌不全
犬では膵外分泌不全が疑われる場合には TLIが調べられます。
PLI も膵外分泌不全 の診断に有効ですが、現時点では TLI を用いた報告が多いです。
膵外分泌不全についてTLI検査は診断的で、多くの罹患犬で TLI は 5ng/mL 未満、さらにそのほとんどは2ng/mL以下です。
膵液の流出路の障害による膵外分泌不全などでは TLI が低下しない膵外分泌不全もあるかもしれないですが、そのような病態はまれです。
猫では膵外分泌不全は犬よりも少ないです。
TLI の測定が診断に有効な可能性が指摘されています。
カットオフ値は不明ですが、報告では8ug/L未満の症例で膵外分泌不全と一致する所見がみられます。
膵炎
犬
膵炎の診断では血液検査としてアミラーゼやリパーゼの測定が行われることがあります。
これらの検査は一定の診断的価値があるものの、感度と特異性には問題があります。
TLI は膵炎の初期に増加するとされています。
実験的に作出された膵炎では、TLI の増加は発症後2~3日程度であり、その後低下します。
TLIは特異性の高い検査ですが、TLIが低値の場合にも膵炎を否定することはできません。
犬の膵炎について PLI の感度と特異性の論文は少ないですが、組織的に膵炎が診断された22頭についての研究では、感度が63.6%と、他の検査(ア ミラーゼ 40.9%、リパーゼ 31.8%、TLI 36.4%)に比べ、優れた成績が報告されています。
猫
膵炎の診断ではアミラーゼは意味をもちません。
リパーゼ(活性)の検査も感度や特異性が不十分です。
PLI が診断に有効であることが報告されており、感度は 67%、特異性は 91%で、特に重症例では感度・特異性ともに100%とされます。
TLI の測定も猫の膵炎の診断にある程度有効ですが、感度は PLIよりも劣り、また、健常で膵臓に病変がない猫でも上昇がみられている。
膵疾患の診断
膵臓の疾患としては、膵外分泌不全、膵炎、膵臓の腫瘍などが挙げられます。
このうち膵外分泌不全と膵炎は臨床的に発生頻度が高く特に重要です。
類似した症状を示す疾患も多いので鑑別が必要です。
膵外分泌不全の診断
- TLI(トリプシン免疫測定)検査が主に用いられるようになっており、標準的な検査法になっています。
- PLI(リパーゼ免疫測定)の検査も同様に有用です。
膵炎の診断
- アミラーゼやリパーゼなどは院内の検査機器で測定可能ですが、検出感度や特異性に問題があるため、診断は困難です。
- 膵炎特異性が高い検査として、TLI、PLI などが 利用されますが、PLIの方が優れています。
これらの検査に加え、 炎症マーカー(犬ではC反応性蛋白[CRP]、猫では血清アミロイドA蛋白 [SAA] や 酸性糖蛋白 [AGP]) も病態の重篤さの評価や経時的変化を観察する目的で使用できます。
獣医師解説!炎症マーカーの値が高い!?犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA)とは?血液検査を徹底解説!〜炎症性蛋白編〜
犬や猫において、炎症を引き起こす病気は非常に多く、その原因や症状、対象方法、治療方法も様々です。血液検査だけで炎症の場所を特定することは困難ですが、炎症マーカーの検査により、炎症の有無がわかります。この記事を読めば、愛犬や愛猫の炎症マーカーであるCRPとSAAのを測定する必要性、重要性、疑われる病気がわかります。
膵臓に浮腫、出血など形態的な変化がみられる場合には、超音波検査やCT 検査で検出できることもあります。
特に近年、超音波装置は、膵炎の診断に広く用いられます。
- 膵外分泌不全 TLI、PLI(どちらも低値になる)
- 感度、特異性ともに高くない
- アミラーゼ、リパーゼ 著しく高値の場合は膵炎を疑う。
- 特異性が高く、感度も高い
- PLI(猫) 高値の場合には膵炎を診断。
- PLI(犬) 有望な検査と思われるが、感度・特異性に関する情報が少ない。
膵臓炎、膵外分泌不全の食事療法
消化器サポート低脂肪(ドライ1kg,3kg,8kg・缶詰)
ドライ
犬用 消化器サポート 低脂肪は、消化吸収不良による下痢や高脂血症の犬に給与することを目的として、特別に調製された食事療法食です。この食事は、脂肪や食物繊維の含有量を調整し、消化性の高い原材料を使用しています。
- 【高消化性】消化管の健康維持に配慮して高消化性に設計。プレバイオティクスを含む複数の食物繊維をバランスよく配合。
- 【低脂肪*】脂肪制限が必要な犬のために、脂肪含有量を調整。 *「犬用 消化器サポート」と比較し、約65%減。
- 【食物繊維バランス】低脂肪でも必要なエネルギーを摂取できるように、食物繊維の含有量を調整。
缶詰
- 缶詰のため、水分含量が多く、水分を多く摂取可能
- ドライだと食べない犬でも、美味しく食べることが可能
- 温めることでさらに食いつきUP
消化ケアi/d(犬用)
高消化性の組成は、消化器病の犬に対応しています。
また、高消化性で中等量の脂肪は、高脂血症を併発していない膵炎の犬に適しています。
高消化性で中等量の脂肪を含むフードを必要とする犬に長期間給与できます。
膵酵素活性の低下した犬や、消化・吸収不良の状態にある犬でも容易に吸収されます。
急性消化器病の最適な管理のためには、少なくとも7日間以上給与する事が勧められています。 (急性の症例の場合は1-2週間、消化不良の場合は3-12週間、必要に応じて長期給与をお勧めします。)
成長期の幼犬と成犬の栄養要求を満たします。
・消化器外科の回復期
・子犬の消化器疾患
・成長期の子犬
・糖尿病(低体重)
・クッシング症候群
・腫瘍(高消化性)
ドライ
1kg
3kg
7.5kg
缶詰
缶詰シチュー
ヒルズ 犬用 i/d 消化ケア チキン&野菜入りシチュー缶 156g×24
消化ケアi/dローファット
高脂血症の犬において、空腹時血清トリグリセリドを減少させることが科学的に証明された栄養です。
膵炎のリスクがある犬、犬種に適した組成です。
慢性消化器病の管理および再発のリスクを抑えるためには、〈犬用〉i/dローファットの長期給与が必要です。
・高脂血症
・糖尿病(高脂血症や膵炎を併発)
・クッシング症候群
ドライ
1kg
3kg
7.5kg
缶詰
ヒルズ 犬用 i/d Low Fat 消化ケア 缶 360g×12
缶詰シチュー
消化ケアi/d<猫用>
高消化性の組成は、消化器病の猫に対応しています。
また、高消化性で中等量の脂肪は、膵炎の猫に適しています。 備考:高消化性で、中等量の脂肪を含むフードを必要とする猫に長期間給与できます。
炎症性腸疾患(IBD)や慢性的な下痢の猫でも容易に吸収できます。
電解質とビタミンB群が増量され、下痢や嘔吐によって失われた栄養素の補給に役立ちます。
増量したエネルギーレベルが、少量の食事でも十分な栄養素の摂取を確保します。
成長期の幼猫と成猫の栄養要求を満たします。
・消化器外科の回復期
・子猫の消化器疾患
・成長期の子猫
・腫瘍
ドライ
500g
2kg
缶詰
缶詰シチュー
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