愛犬や愛猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しないので病院に連れて行ったけど、
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
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その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
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これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、尿量の異常には様々な要因が存在し、頻尿、多尿、乏尿、無尿に分かれます。
尿が膀胱内に充満しているにもかかわらず排尿ができない状態は尿閉と呼び、頻尿や乏尿とは病態が異なります。
結石をはじめとする下部尿路の通過障害により尿が膀胱内に充満しているにもかかわらず排尿ができない状態は尿閉と呼び、
頻尿や乏尿とは病態が異なるので注意が必要です。
この記事では、愛犬や愛猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない理由ついて、その理由をアカデミックな面からまとめました。
この記事を読めば、愛犬や愛猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない原因、症状、治療法がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない理由を知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない?〜尿量異常の原因、症状、治療方法〜
この記事の目次
犬や猫の尿量異常の定義
尿の色の異常と並んで尿量異常は飼い主が気づきやすい臨床徴候です。
獣医師解説!犬や猫のおしっこが赤い、出血、血尿、茶色い〜原因、症状、治療方法〜
尿の色の異常のうち最も多く認められるのは血尿で、尿中に赤血球が存在する状態を示します。赤血球が破壊されたり、異なる色素により尿が赤い場合は赤色尿といいます。すなわち赤色の尿が赤色尿で、赤血球が認められれば血尿です。この記事を読めば、愛犬や愛猫のおしっこが赤い、出血、血尿、茶色いの原因、症状、治療法がわかります。
尿量異常には様々な要因が存在し、
- 1日当たりの排尿の回数が増えた状態を頻尿
- 1回の排尿における尿量が増えた状態を多尿
- 排尿の尿量が低下した場合を乏尿
- 尿が全く産生されない状態を無尿
と呼びます。
結石をはじめとする下部尿路の通過障害により尿が膀胱内に充満しているにもかかわらず排尿ができない状態は尿閉と呼び、
頻尿や乏尿とは病態が異なるので注意が必要です。
おしっこや排尿が漏れる、失禁する場合は違う病態が考えられます。
獣医師解説!犬や猫の排尿障害:おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁〜原因、症状、治療方法〜
犬や猫の排尿障害:おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁尿の排泄障害は、いかなる場合でも体内の毒素が排泄されないことを意味します。つまり、体内の臓器や組織内に貯留して障害を与える可能性が高いです。よくある病気としては、膀胱炎、結石、下部尿路疾患、膀胱腫瘍などがあります。この記事を読めば、愛犬や愛猫の排尿障害:おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁の原因、症状、治療法がわかります。
犬や猫のおしっこ・尿の測定方法
まずは、自宅のワンちゃん、猫ちゃんのおしっこの量を知る必要があります。
量を測定しないと、正常か異常かわかりませんよね。
犬の場合
ペットシーツに尿をする犬の場合は、ペットシーツの重さを測ることでおおよその尿量の計測ができます。
屋外でしかおしっこをしない犬の場合は、見た目の量をよく観察して、尿量が多くなったと感じたら動物病院に相談しましょう。
また、多いなと思った時には、1日だけおむつをはかせる方法もあります。
猫の場合
猫の場合は上記のようにペットシーツでなく、砂におしっこをするのでわかりづらく、またおむつも非現実的です。
また、猫は犬よりも圧倒的に泌尿器の病気が多いので、犬よりも頻繁に排尿状態、排尿量をチェックすることは、病気の早期発見につながります。
シャープから発売されているペットケアモニターなら、いまのトイレと置き換えるだけで、気になる健康データを簡単に計測できます。
内蔵のセンサーで体重、排尿時間、排尿量、尿の回数を測定可能で、アプリをインストールすることで外出先からもチェック可能です。
また、最大10匹までの多頭飼いに対応しており、それぞれの愛猫の健康状態がチェックできます。
撥水性の高いペットケアモニター専用チップなら、オシッコがチップに吸収されることなくトレーに落ちるため、より精度の高いデータがとれます。
専用シートは白色なので、オシッコの状態を目でも確認できます。
ペットケアモニターでの愛猫の健康データの計測は、簡単に始められます。
愛猫がトイレに行った際に計測されたデータはクラウド上で解析され、お手持ちのスマートフォンに届きます。
- 閲覧できるデータ
体重 / 尿量 / 尿回数 / 滞在時間 / 設置場所周辺の温度 - データはグラフで表示 計測データはグラフで表示されます。
長期的な変化も一目で分かります。 - アラート通知でお知らせ
計測データに変化が見られる場合は、アラート通知機能でお知らせが届きます。
犬や猫の飲水量の測定方法
計測方法
- 500mlのペットボトルから犬のフードボウルに水を入れます。
- 犬が水を飲み干して、フードボウルが空になったら、再度500mlのペットボトルの続きから水を足します。
- 1日(24時間)経ったあと、残ったペットボトルの水の量を測ると、犬がどれだけ水を飲んだか計測できます。
ただし、この計測方法は飼い主さんが一日中、自宅にいる場合にのみ実践しましょう。
留守の間に愛犬が水を飲みほしてしまった場合、水をすぐ足せない状況になってしまうと脱水を引き起こす可能性があります。
長時間留守にする場合
- 水を計量カップで測り、フードボウルなどの容器に入れましょう。
- 容器に入れた水の量をメモします。
- 帰宅後、残っている水の量を測ることで、留守中の飲水量がわかります。
- 犬はもちろん、猫も飲みやすいお皿型です。
固定タイプなので倒されてこぼれる心配がありません。
飲んだ量がわかるボトル付きです。 - ケージやサークルに取り付け簡単。飲んだ量がわかるボトル付き!
飲み口が1カ所のシングルタイプ。
・ワンタッチ操作で付け外しができ、水の交換が簡単です。
・飲んだ量が分かるので、ペットの健康管理に活躍します。
犬の場合
猫の場合
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の分類と問題点
尿量異常は体液の血漿成分および細胞の浸透圧濃度を損なう水分の恒常性の障害を示唆するものです。
正常な体液量と重量モル浸透圧濃度は水分摂取と排出の平衡に依存しており、飲水量と排尿は体液調節における最も重要な機能です。
飲水量が増加しているにもかかわらず、排泄量が増加しなければ体液量は増加して細胞の水分過剰を起こすし、排泄量が飲水量よりも多くなれば体液量は減少して細胞の脱水が起こります。
体液の重量モル浸透圧濃度および体液量は内分泌器官および腎臓の機能によって調節されています。
体重10.5kgの犬では毎日6.800mLもの水分が糸球体でろ過されていますが、尿として排泄されるのは平均500mL程度です。
このような尿量の調節は浸透圧受容体によって調節される抗利尿ホルモン(ADH)であるバソプレッシンと尿細管周囲の毛細血管の血流とヘンレのループにおける対向流によって行われています。
尿量は年齢、性別、発情、気温、食物など様々な要因で変化するため、情報を詳細に検討する必要があります。
尿量異常であると判断するためには飲水と排尿の記録を少なくとも3日間は記入するか、症状が重度の場合には入院させ、24時間測定を確実に行います。
尿量は尿比重から推測することも可能であり、糖尿病以外の尿検体において犬で尿比重が1.030以上、猫で1.035以上である場合は多尿ではないと推定できます。
また、子犬や子猫は水分要求量が高く、不感蒸泄は多いうえに尿の最大濃縮能が小さいので脱水が起こりやすいです。
多尿は生理的多尿、薬理学的多尿および病的多尿に分類されます。
単なる飲水量の増加による多尿なのか臨床的脱水と同時に多尿が存在するのかを評価することが大切です。
また通常の排尿がみられないのは、腫瘍、結石および狭窄による尿路の完全閉塞や下部尿路の外傷によって起こる場合が多いが、この分類ではこれらが尿閉として別に扱われます。
尿量が減少している場合にはまず無尿、乏尿であるのか尿閉であるのかを鑑別します。
尿閉でないことを確認した後、これらを誘起している腎不全の診断を進めます。
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の病理発生
尿量異常となる多くの疾患は腎臓の濃縮機能に障害が認められるものです。
多尿の病態は尿中の水分量が主に増加している状態の水利尿と、尿中の溶質が増加し、それに伴い水分も増加している状態の浸透圧利尿とに分けられます。
水利尿の代表的疾患は尿崩症であり、浸透圧利尿の代表が糖尿病です。
水利尿はさらに視床下部から下垂体後葉の異常によりADHが分泌されない中枢性尿崩症とADHが腎臓の尿細管受容体に不応答なために起こる腎性尿崩症があります。
心因性多飲は器質的疾患を伴わず水分過剰状態である場合をいいます。
一方、無尿および乏尿を起こす腎不全には急性腎不全と慢性腎不全ですが、尿量減少を示すのは症状が急激に進行する急性腎不全を呈する場合がほとんどです。
急性腎不全をその病理発生により分類すると、以下のように分類されます。
- 腎血流量の減少が原因である腎前性急性腎不全
- 腎実質が障害を受けることにより起こる腎性急性腎不全
- 上部尿路通過障害による腎後性急性腎不全
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の対症療法
多飲多尿の症状が認められる疾患は多種多様に存在するため、症状そのものに対する対症療法には限界があります。
無尿および乏尿の症状を示した急性腎不全の犬猫に対しては直ちに治療を開始する必要があります。
すなわち腎毒性のあるすべての薬物の投与を中止し、催吐や活性炭の投与を行い生体への毒性物質の吸収を最小限にします。
毒性物質が明らかで解毒物質や解毒方法がある場合には速やかにそれらを実施および投与します。
その後、腎前性、腎性および腎後性の異常を特定し、静脈内輸液療法、利尿薬や血管拡張薬による尿産生の補助、食物療法などの適切な治療を行います。
高カリウム血症は急性腎不全において心臓の伝達異常の原因となり、心房停止、心室性頻脈、細動および収縮不全など致命的な障害となります。
高カリウム血症が認められた場合には速やかに重炭酸ナトリウムの静脈内投与などを行います。
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の診断の進め方
どのような尿量異常においてもまず下記の7点が重要です。
- 性別
- 避妊去勢の有無と時期
- 外傷の有無
- 服用薬剤
- 過去に泌尿器系疾患を起こしたことがあるかどうか
- 臨床症状(食欲不振、嘔吐、沈うつなど)
問診結果から疑い得る疾患を考慮して次に下記の検査を行います。
特に「飲水および排尿量の測定」は実際の検査例の50%において飼い主の評価に誤りがあるといわれているため、必要であれば動物を入院させて測定・評価します。
- 徹底した尿検査
▶尿肉眼的所見/尿比重/尿㏗/尿蛋白/尿糖/ウロビリノゲン/尿中ケトン体/尿中ビリルビン/尿中アミラーゼ/尿沈査鏡 - 血液検査および血液化学検査
- 飲水および排尿量の測定
- X線検査、超音波検査による画像診断
以上の検査により尿量異常を起こす疾患、すなわち糖尿病や子宮蓄膿症、肝・腎疾患などを確定します。
一部の内分泌異常や尿崩症、非窒素血症性腎不全および心因性多飲の場合はこれらの異常が認められない場合があります。
その場合には胸部X線検査や内分泌疾患を除外するための評価を行うと同時に血漿・尿浸透圧試験、改良水制限試験およびバソプレッシン(ADH)反応試験を実施します。
- 血漿・尿浸透圧試験
▶血漿浸透圧を測定して多飲と多尿のどちらが原発かを判別。
正常な犬猫の血漿浸透圧は280~310mOsm/kgであるが、多飲が原発の場合は通常よりも低く275~285 mOsm/kg、多尿が原発の場合には尿濃縮できず脱水していることが多いため305~315 mOsm/kgと高い。
しかし、これらの数値は僅差のためわかりにくい場合には、尿浸透圧を測定して尿浸透圧/血漿浸透圧比を算定することで尿比重よりも正確に尿濃縮能をみることができる。
- 改良水制限試験
▶水を制限することにより尿崩症と原発性多飲症を鑑別するために行われていましたが、水制限方法は危険を伴うので現在行われていません。
試験は高窒素血症、脱水状態、高カルシウム血症においては禁忌であり、入院させて十分な監視下で水分を徐々に減らして実施します。
改良水制限試験は被験動物の体重が5%減少した場合、高窒素血症になった場合、血漿が高浸透圧(320 mOsm/kg以上)、尿比重が犬で1.030以上猫が1.035以上になったときに終了します。
小型犬や猫は数時間以内に脱水しますが、大型犬では約2日間かかることもあります。
改良水制限試験に反応して濃縮(高張)尿を排泄できない場合は、下垂体性あるいは腎性尿崩症のいずれかと診断します。
- バソプレッシン(ADH)反応試験
▶ADHの欠如によって起こる下垂体性尿崩症とADHが放出されても反応しない腎性尿崩症の鑑別のために行う試験で、改良水制限試験の際に尿濃縮不全が認められた動物、あるいは改良水制限試験が禁忌の動物に対して実施します。
改良水制限試験後あるいは排尿直後に開始し、薬用量の水溶性ADHを3~5U皮下注射します。
下垂体性尿崩症の場合は投与後1~2時間以内に尿比重の高い尿を排尿しますが、腎性の場合は比重は増加しません。
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の特徴
尿量異常を示す疾患は内分泌異常、腎疾患および感染症や腫瘍など多岐にわたるため、特定の種や性差などは一概に述べることはできないです。
先天性の原因がない限り加齢により多くなる傾向があり、特に慢性腎不全や腫瘍などは中年齢から老齢の犬猫に多く認められます。
例えば糖尿病の発症年齢のピークは8歳であり、プードル、ダックスフンド、サモエド、小型テリア犬種に多いです。
避妊手術を実施していない雌はホルモンの影響で発症率が高く、この原因にはプロゲステロンが関与するとされているが、猫では雌よりも雄に多いです。
犬の副腎皮質機能亢進症においてはプードル、ダックスフンド、ヨークシャー・テリアおよびジャック・ラッセル・テリアなどの小型犬種は下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)を発症する危険性が高く、副腎皮質腫瘍(AT)は大型犬に発生が多いです。
PDHの発生に明らかな性差は認められないが、ATの場合は雌犬の方が雄犬よりも3倍高い発症率となります。
PDHの発症年齢は7~9歳が多いですが、ATはさらに高齢の10~11歳です。
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の高頻度の疾患
◎糖尿病
糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンの欠乏により起こります。
犬においては中高齢の未避妊雌で発生頻度が高く、猫は高齢の去勢雄に多いです
ヒトの糖尿病は1型インスリン依存性糖尿病(IDDM)と2型インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)に分類されますが、犬猫ではほとんどすべてがインスリン投与を必要とする例が多い。
なぜなら非特異的な症状により糖尿病と認知されず、慢性となり顕著な臨床症状がみられるようになってから受診するためと思われます。
犬の糖尿病はランゲルハンス島の空胞変性のため、インスリン分泌が不足することで突発性に起こります。
その他、膵炎やクッシング症候群および未避妊雌犬の発情に伴う高プロゲステロン血症に起因するものが多いですが、ステロイドや黄体ホルモン製剤の投与による医原性も多いです。
臨床徴候は初期症状として多飲多尿、食欲増進、体重減少が認められます。
数週間で進行して沈うつ、食欲不振、嘔吐、脱水の原因となる代謝性ケトアシドーシスが起こり、重度の循環障害による血液量の低下と循環虚脱により昏睡または死に至ります。
糖尿病は細胞内の飢餓状態を起こすため様々な合併症も併発します。
主な疾患としては尿路感染症、白内障、肝リピドーシス、糖尿病性腎症、膵炎などがあります。
糖尿病の治療には輸液療法、インスリン療法、食物管理が必要であり、ほかにも合併症を併発している場合にはそれぞれの治療を行います。
経口血糖降下薬はNIDDMで使用されるものであり、グルコース中毒やインスリン産生不全では効果は認められません。
獣医師解説!犬の糖尿病〜症状、原因、治療方法〜
獣医師が解説!犬の糖尿病は、その原因や程度によって無症状からケトアシドーシスにいたる幅広い病態を示します。糖尿病の原因によって治療方針が異なるため、糖尿病の犬では、適切な診断や治療ができれば長期予後は良いです。この記事を読めば、犬の糖尿病の症状、原因、治療法がわかります。
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獣医師解説!猫の糖尿病性ケトアシドーシス〜症状、原因、治療法〜
糖尿病性ケトアシドーシスは、緊急疾患で糖尿病の重篤な合併症で、猫のほうが典型的で重篤な状態に陥りやすいです。適切に治療する限り2~3日で離脱できますが、治療しないと命に関わります。この記事を読めば、猫の糖尿病性ケトアシドーシスの症状、原因、治療法がわかります。
◎副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎皮質機能亢進症はグルココルチコイドの過剰な産生または投与により発症し、犬に多く猫では稀な疾患です。
本症は下垂体性(PDH)および副腎性(AT)に分類され、ほかにグルココルチコイドの過剰または長期投与による医原性があります。
PDHは犬において約80%を占め中高齢の小型犬に多く、下垂体腫瘍により副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の過剰分泌により両側性副腎皮質過形成が起こり、コルチゾール分泌が増加します。
コルチゾールのACTHに対する負のフィードバック機構にも異常が認められます。
一方、副腎性副腎腫瘍(AT)は片側あるいは両側の副腎腫瘍によるものであり、腺腫と腺癌が存在し、ほぼ同じ割合で発生します。
本症で多く認められる多飲多尿はグルココルチコイドが過剰である場合と併発して起こる糖尿病に起因する場合の二つの機序があります。
ほかの症状として食欲増進、腹部膨満、パンティング、皮膚の脱毛や石灰沈着、嗜眠および筋肉量減少による運動不耐性などが認められます。
診断は血液検査、血液化学的検査、尿検査を実施し、疑いがあれば内分泌スクリーニング検査としてACTH刺激試験、低用量デキサメタゾン抑制試験を実施します。
下垂体あるいは副腎の画像診断は副腎の場合は腹部超音波画像検査において確認可能ですが、最近ではCTおよびMRI画像検査で副腎腫瘍、副腎過形成および下垂体腫瘍の診断が可能です。
治療は、本症の大半がPDHであるため主に内科的治療が行われており、抗副腎皮質細胞効果のあるミトタン(o.p´-DDD)内服による治療のほか、有害作用が少なく比較的安全な副腎ステロイド合成阻害薬であるトリロスタンが使用されます。
ATの場合は外科的に切除可能ですが、PDHと同じく内科的療法も有効です。
獣医師解説!犬の副腎皮質機能亢進症:クッシング症候群〜症状、原因、治療、費用〜
コルチゾールをはじめとするグルココルチコイドは生体を維持するために不可欠なホルモンです。ホルモン過剰が持続すると代謝異常、異化亢進や易感染性など、さまざまな負の側面が現れるようになります。これがクッシング症候群(= 副腎皮質機能亢進症)です。犬では、ヒトや猫と比較して圧倒的に発生率が高く、重要な内分泌疾患のひとつになっています。
獣医師解説!猫の副腎皮質機能亢進症:クッシング症候群〜症状、原因、治療、費用〜
コルチゾールをはじめとするグルココルチコイドは生体を維持するために不可欠なホルモンです。ホルモン過剰が持続すると代謝異常、異化亢進や易感染性など、さまざまな負の側面が現れるようになります。これがクッシング症候群(= 副腎皮質機能亢進症)です。犬では、ヒトや猫と比較して圧倒的に発生率が高く、重要な内分泌疾患のひとつになっています。
◎子宮蓄膿症
子宮蓄膿症は臨床現場において高齢の雌犬においてよく遭遇し、外陰部から排膿しないことも多いため発見が遅れ、腎不全や敗血症性ショックを誘発して死亡することもある疾患です。
子宮蓄膿症は発情期の約1ヵ月後に発症することが多く、黄体期の持続によるプロゲステロン刺激が子宮内膜を増殖させ、そこに細菌感染が起こると誘発されます。
臨床症状は多飲多尿、食欲不振、沈うつ、嘔吐、下痢および外陰部からの排膿とされていますが、子宮頸管が開かず、全く排膿しない場合もかなりの頻度で認められます。
多飲多尿はヘンレ係蹄における水再吸収の阻害、子宮内に増殖した細菌からのエンドトキシンが尿細管におけるADH受容体を障害することにより起こる尿濃縮障害などにより起こります。
診断は血液学的検査による白血球数の増加、赤血球およびヘマトクリット値の低下、血漿総蛋白の上昇、血液化学検査における尿素窒素、アルカリフォスファターゼの上昇および尿検査における尿比重の低下を確認します。
併せて腹部X線検査あるいは超音波検査により膨大した子宮を確認します。
子宮蓄膿症は発情後に起こる場合も多いため妊娠との鑑別が必要であり、この場合は超音波検査が最も有用です。
治療は外科的な卵巣子宮全摘出術が一般的ですが、飼い主が繁殖を希望する場合や病状および基礎疾患から外科的治療に耐えられないと判断された場合にはPGF2α製剤や抗プロゲステロン製剤と抗生物質を用いた内科的治療が実施されます。
◎猫伝染性腹膜炎
猫伝染性腹膜炎(FIP)は猫における致死性の進行性ウイルス感染症であり、ネココロナウイルス(FCoV)が猫の体内で変異した猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)の増殖により起こります。
はじめの原因はウイルス感染で、その進行には免疫が介在している、FIPVが体内で増殖することによって過剰に産生される抗体がウイルスと抗原抗体複合体を形成して、各組織に沈着し、アレルギー反応によって組織が損傷を受け様々な病変が発現します。
FIPは初期症状として発熱、食欲不振、下痢、嘔吐、体重減少、元気喪失などがあります。
ウエットタイプ(滲出型)は、初期症状に加えて腹水または胸水の貯留が特徴です。
FIPVによる線維素性腹膜炎、胸膜炎に由来する水分貯留により体重が増加する場合もあるため、BCSの総合的な検査が必要です。
ドライタイプ(非滲出型)は腎臓、肝臓、中枢神経系および眼などに多発性化膿性肉芽腫を形成し、病変が認められます。
腎臓ではウエットタイプ、ドライタイプのいずれかにおいても高頻度に糸球体腎炎が起こり、乏尿および腎性窒素血症が起こります。
診断は臨床徴候、血液化学、血液化学検査、尿検査、腹水検査およびFIPVの抗体価を測定することにより確定します。
治療にはインターフェロン、ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制薬、塩酸オザグレルなど様々な薬剤が報告されています。
しかし、一般に予後不良であり、数日から数ヵ月の経過を経てほぼ全例が死亡します。
獣医師解説!猫伝染性腹膜炎〜原因、症状、治療法(MUTIAN:ムチアン)〜
猫伝染性腹膜炎(FIP)は、猫コロナウイルス(FCOV)が突然変異によって「猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」となり、脈管炎、腹膜炎、髄膜脳炎などを起こして死の転帰をとります。長年、効果的な治療法はなく、死の宣告といわれてきた猫の病気です。この記事では、猫伝染性腹膜炎の原因、症状、診断方法、治療法:GS-441524・MUTIAN:ムチアンを使ったFIP治療方法、費用、治療例までをまとめました。
犬や猫のおしっこ・尿が多い、少ない、しない場合の要点
◎頻尿は必ずしも多尿ではない
頻尿とは排尿回数が多いことです。
頻尿は大きく分けて、尿量が増加する異常(多尿)と、尿量は増加しないが排尿が頻繁に起こる異常。
◎乏尿・無尿=尿閉ではない
乏尿・無尿とは膀胱より上部で尿が産生されない状態を表し、その原因のほとんどは急性腎不全によります。
下部尿路に通過障害が存在し、膀胱内に尿が溜まっているにもかかわらず排尿できない状態を尿閉と呼びます。