犬や猫の眼が赤い!充血している!・・・
眼が赤いけど、病院に行った方がいいの?
本記事では犬と猫の、目の異常のうち、眼が赤くなる充血、結膜の異常についてお話しします。
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
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例えば...
- 人に移るの?
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これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、結膜炎は、非感染性結膜炎と感染性結膜炎に大別され、前者は犬で好発し、後者は猫で多いです。結膜炎の原因は多岐にわたるので、検査および鑑別診断が重要です。
この記事は、愛犬や愛猫の目が赤い!目が充血している!結膜の病気と病院で言われた飼い主向けです。
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この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
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» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!
✔︎本記事の内容
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常~原因、症状、対処療法、病気~
この記事の目次
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の定義
血管は表層に分布し、鮮紅色で血管が明瞭です。
結膜の円蓋部で強く、角膜輪部に近づくにつれ弱くみられることが特徴です。
結膜の充血は眼科的に特に重要な所見ですが、その他にも結膜は貧血、黄疸、チアノーゼをはじめ浮腫、眼脂など多くの徴候と関連があります。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の分類と問題点
結膜の充血は結膜炎(感染性と非感染性に分かれる)によってもたらされます。
- 感染性結膜炎の原因は、細菌、ウイルス、真菌、リケッチア、寄生虫です。
- 非感染性結膜炎の原因は、アレルギー性、濾胞性、接触性、涙液減少、木質性(結膜の偽膜形成、眼瞼が木のように硬化)となります。
犬は非感染性結膜炎が多く、猫では感染性結膜炎が多いです。
結膜炎の問題点は、炎症により結膜の浮腫や眼脂分泌、羞明などの不快感を与えることです。
また、多量もしくは持続性の眼脂の分泌により、眼瞼表面皮膚の炎症を続発します。
◎犬の感染性結膜炎の主な原因
・グラム陽性好気性菌
▶Staphylococcus spp.
▶Bacillus spp.
▶Corynebacterium spp.
▶Streptococcus spp.
・ジステンパー
・涙液減少による細菌の二次感染
◎猫の感染性結膜炎の主な原因
- マイコプラズマ(Mycoplasma felis)
- クラミドフィーラ(Chlamydophilia felis)
- ネコヘルペスウイルス
◎結膜炎の分類
・急性結膜炎
結膜浮腫、結膜充血、白血球などの細胞浸潤がみられます。
原因は、外傷、アレルギー、細菌およびウイルス感染によります。
・慢性結膜炎
結膜上皮細胞の角質化、杯細胞の増殖がみられます。
原因は、眼瞼外反、兎眼、乾性角結膜炎などがあります。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の病理発生
急性結膜炎では、結膜浮腫、充血、炎症細胞の浸潤がみられます。
外傷、アレルゲンおよび毒素の暴露によって発現します。
慢性結膜炎では、結膜上皮細胞の角質化がみられ、持続することにより眼瞼外反を起こしたり、眼瞼の機能障害を起こし、閉瞼不全による兎眼を呈します。
また、乾性角結膜炎などの慢性疾患では、結膜の杯細胞の増殖も報告されています。
結膜表面の微生物叢も変化し、細菌やマラセチアなどの酵母が増殖します。
微生物叢の変化により、眼表面の防御機能は低下します。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の対症療法
結膜炎の治療は原因療法が主です。
細菌性結膜炎では、培養検査結果に基づいた局所点眼の抗生物質が主体となりますが、
処方例として、広域スペクトラムのフルオロキノロン系が使用されます。
- グラム陽性菌の感染ではクロラムフェニコール、エリスロマイシンなど、
- グラム陰性菌の感染ではトブラマイシン、ゲンタマイシンなどが選択されます。
アレルギー性結膜炎では、コルチコステロイド点眼もしくは全身投与を行います。
犬の涙液減少症である乾性角結膜炎では、その原因が自己免疫疾患によるものであれば、
免疫抑制薬および涙液分泌薬であるシクロスポリンが選択されます。
また、涙液減少によって続発する感染症や炎症では、続発した症状がみられる期間、
抗生物質や抗炎症薬を投与し、涙液の減少が持続する場合は、人口涙液を使用します。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の診断の進め方
結膜は、眼瞼結膜、結膜円蓋、眼球結膜と連続するため、強膜上のみでなく、眼瞼の裏側も観察します。
細菌および真菌感染が疑われる場合は、眼脂や結膜表面の培養検査を行います。
涙液減少は結膜炎の原因として多く(特に犬)、治療が対症療法のみでは改善しないため、涙液の定量検査としてシルマー涙液検査を行います。
シルマー涙液検査は、シルマー第Ⅰ試験とシルマー第Ⅱ試験があります。
犬および猫では通常、シルマー第Ⅰ試験を行います。
シルマー第Ⅰ試験の評価は、
- 15mm/分以上:正常
- 10mm/分未満:乾性角結膜炎
- 10~14mm/分:グレーゾーンとなり、この場合、再評価が必要
結膜炎や眼脂の分泌がみられるときは、結膜および眼脂の細胞診を行います。
- 点眼麻酔薬を投与後、マイクロブラシなどで結膜を擦過して細胞を採取します。
- 正常結膜の細胞診では、核が球形で大型の結膜上皮細胞が検出され、稀に細菌がみられます。
- 化膿性炎症では、好中球が多数検出され、細菌性化膿性炎症では、多数の好中球と細菌が検出されます。
- 好中球が細菌を貪食している所見があれば、細菌感染と診断すします。
- 好酸球の出現は、アレルギー性結膜炎、猫では、増殖性結膜炎の診断の補助となります。
- また、猫のクラミジアによる結膜炎では、感染後7~14日で結膜上皮細胞質内に円形の封入体が観察されることがあります。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)の特徴
結膜の充血は、日常の診察でよく遭遇する臨床徴候であり、犬および猫ともに年齢を問わずみられます。
しかし、結膜充血を示す結膜炎の原因は多くあり、それぞれ治療が異なることから、系統立った検査による鑑別診断が必要です。
また、結膜が発赤していても、それがすべて結膜の充血ではなく、
- ブドウ膜炎でみられる毛様充血
- 眼圧上昇時の上強膜血管の怒張
- 角膜疾患時の充血など
視診のみでの鑑別は困難なことがあります。
そのため、角膜表面の染色検査(角膜上皮障害、潰瘍性角膜炎の有無)、細隙灯顕微鏡検査、
眼圧測定、眼底検査などを行ってほかの眼疾患を除外する必要があります。
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)のよくある病気
・犬
非感染性結膜炎である乾性角結膜炎による結膜炎、角膜炎
・猫
ネコヘルペスウイルス、クラミジア、マイコプラズマによる感染性結膜炎
犬や猫の目が赤い!目が充血している!結膜の異常(充血)のまとめ
- 結膜の充血は、炎症により結膜表層の血管が拡張することで発現します。
- 結膜炎は、非感染性結膜炎と感染性結膜炎に大別され、前者は犬で好発し、後者は猫で多いです。
- 結膜炎の原因は多岐にわたるので、検査および鑑別診断が重要です。
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