愛犬や愛猫を痩せさせたい、太らせたいなど、犬や猫の体型にお悩みの方は多いのではないでしょうか?
実は体型によっては病気になりやすかったり、病気が原因で痩せ細っている子もいます。
体型が太かったり、細かったりするのは病気のサインかも...
食事についての相談で病院に連れて行ったけど、
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病気の心配はないの?
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 正しい体重は?
- 標準的なフードやご飯の量は?
- 1日に必要なカロリー数は?
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 病気の可能性はあるの?
- 治る病気なの?
- 太らせるには?
- 痩せさせるには?
これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、食事管理、飲水量は、病気の初期症状として現れることが多い一方で、多くの飼い主がその症状に気付きません。
明らかに異常が見られたときは、症状が進行してしまっている場合が多いので、普段から食事量、飲水量をチェックすることは、病気の早期発見につながります。
また、適正体重を維持することは病気の予防にもつながりますので、正常な食事量や体重、飲水量を知ることは非常に重要です。
この記事では、愛犬や愛猫の体重管理、フード、食事の量、飲水量:必要なカロリー計算方法をアカデミックな面からまとめました。
この記事を読めば、愛犬や愛猫の体重管理、フード、食事の量、飲水量:必要なカロリー計算方法がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の体重管理、フード、食事の量、飲水量:必要なカロリー計算方法を知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
獣医師解説!犬や猫の食欲異常(食欲不振・廃絶・多食/増進/旺盛)〜原因、症状、治療法〜
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✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
正しい犬と猫の体重管理、フード、食事の量、飲水量:必要なカロリー計算方法
この記事の目次
なぜ肥るのか?
食事の与えすぎと運動不足が原因に挙げられます。
飼い主さんが不必要にあげすぎてしまうことが原因の一つです。
おやつは特にフードより嗜好性が高いため味を覚えるとフードを食べなくなってしまうこともあります。
一日のカロリー必要量(あくまで参考値です)
- 成人男性:2500㎉
- 成人女性:2000㎉
- 30㎏の犬:1400㎉
- 10㎏の犬:600㎉
- 5㎏の犬:350㎉
- 2㎏の犬:180㎉
例)コップ一杯の牛乳:約141㎉、ジャーキー一本:約10~20kcal
ちなみに…ポテトチップス100gは554㎉あり消費するにはクロール30分または縄跳び40分、
アーモンドチョコ6個は146㎉あり消費するには階段上り下りを25分~30分必要となります!
!おやつは一日の必要なエネルギーの20%以内が限度。おやつを上げた分フードを減らすようにする。
肥満の定義
- 様々な身体機能に変化をもたらす過剰な脂肪沈着を特徴とする病的な状態
- 健康に有害な結果をもたらす過剰な脂肪
- 最適な体重よりも15%過剰な犬、20%過剰な猫
例)適正体重が4kgの犬が4.6kgになると肥満です。適正体重が4kgの猫が4.8kgになると肥満です。
最適な体重の目安は避妊・去勢手術前の1歳くらいがベスト。
肥満のリスクとして寿命への影響や循環器の障害、間接・運動器官の障害が挙げられます。
猫では、糖尿病や関節疾患が多く目立ち運動しないことにより水分の摂取が減り尿量が少なくなるため尿石症のリスクも高くなります。
・QOL(生活の質)の低下、寿命の短縮、様々な疾患の素因につながります。
犬・猫の肥満自体が病気であると考え、日々気を付けて食事管理や運動を行うようにしましょう。
成長期の体重管理
- 子犬の時に太る →脂肪細胞の数が増加する。
- 成犬になってから太る→脂肪細胞のサイズが拡大する。
※生後3歳まで自由採食にして育てた子と、幼児期からカロリー調整を行った子に関しては、後者の方が2年長生きしたというデータがあります。
ボディコンディションスコア(1~9段階で体型を判定する)
1~3は痩せすぎ~痩せ気味・4~5は標準・6は太り気味・7~9は太っている~太りすぎ
1→遠距離からでも肋骨、腰椎、骨盤および全ての骨ばった隆起がはっきりと見える。
体脂肪が全く認められない。明らかな筋肉量低下。
2→肋骨、腰椎および骨盤を容易に見ることができる。体脂肪が触知できない。
その他に骨ばった隆起が見える。筋肉量の低下はごくわずか。
3→肋骨は容易に触知でき、体脂肪が触知できず肋骨が見える場合もある。
腰椎の上部が見える。骨盤が骨ばって見える。腰がくっきりとくびれて見える。
4→わずかな体脂肪が肋骨を覆っており、肋骨亜容易に触知できる。
上から見たときにくびれが容易に認められる。腹部ひだがはっきりと見える。
5→肋骨を覆う余計な体脂肪はなく、肋骨に容易に触知できる。
上から見たときに肋骨の後ろに腰のくびれが見える。横から見たときに腹部が引き締まっている。
6→肋骨はわずかな過剰脂肪に覆われ触知できる。上から見ると腰のくびれが見えるがあまりはっきりしていない。
腹部ひだがはっきりとしている。
7→肋骨の触知は困難だが可能、かなりの脂肪に覆われている。腰椎部及び尾の付け根にはっきりと脂肪沈着がある。
腰のくびれはほとんどまたは全くない。腹部ひだが存在することもある。
8→過剰な脂肪に覆われ肋骨は触知できないか、または触知にかなりの力を要する。
腰椎部及び尾の付け根にかなりの脂肪沈着がある。腰のくびれがない。腹部ひだがない。腹部がかなり膨張している場合がある。
9→胸部、脊椎及び尾の付け根に大量の脂肪沈着がある。腰のくびれより腹部ひだはない。
首と四肢に脂肪沈着がある。腹部の膨張が明らかである。
犬と猫の肥満がもたらす病気
肥満になると、循環器障害の発生率が自然発生率に対しておよそ3.3倍、関節・運動器官の障害がおよそ1.7倍に上昇する。
その他皮膚疾患、繁殖障害、がん、糖尿病、免疫機能の低下や外科手術の危険性の増大などがあります。
犬と猫の飲水量がもたらす病気
多くはドライフードを食べている子が多く、食事からの水分摂取量が少なくなっています。
こういった原因により長期的な脱水に陥りやすく、尿石症や特発性膀胱炎の発症原因や増悪因子になるのです。
水を飲まないと尿は濃くなります。
尿が濃くなると、尿中のミネラル成分が結晶化しやすくなってしまい、尿結石ができやすい状態になってしまいます
また水分摂取の不足は近年増加している特発性膀胱炎のリスクを増加させる可能性が指摘されています。
実際にドライフードとウェットフードでは、ドライフードを与ていた猫の方が特発性膀胱炎の再発率が高かったという研究結果もあります。
これらの下部尿路疾患のリスクを下げるためには、十分な量の水分を摂取させて、尿を薄くしてあげる必要があります。
一般的に太りやすい犬種・猫種と性別
肥満遺伝子ではないですが、これらは遺伝によるものだと考えられています。
例えばコーギーの場合。
元々牧羊犬ですので、運動量を要求されていた犬種なのです。
なので、普通の散歩をして、他の犬種と一緒の表でkgあたりのフードをあげていては太ります。
ラベルを鵜呑みにせず、太りやすい犬種を飼ってらっしゃる方はその子自身をしっかり見て、体重を量って、フードを調整した方が良いです。
メスの方が太りやすいです。
太りやすい犬種
- ダックスフンド
- チワワ
- ラブラドール・レトリーバー
- キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
- ビーグル
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- シェットランド・シープドッグ
- バセット・ハウンド
- ウェルシュ・コーギーなど
猫は全体的に太りやすいです。
犬と猫の正常の飲水量
では、実際にどのくらいの水分を与えれば良いのでしょうか?
1日の運動量や食べている商事にもよって多少の変動はありますが、目安は体重ごとに下記の様に目安量の測定が可能です。
1日の水分必要量
- 犬:1.6×(30×〈体重㎏〉+70)
- 猫:1.2×(30×〈体重㎏〉+50)
猫は犬ほど体重差、体型差がないため、上記の表も参考にしてみてください。
1つ注意していただきたいことは、この必要量は飲水と食事をあわせた値であるということ。
つまり、1日に必要な飲水量 = 必要な水分量 – 食事に含まれる水分量*となります。
食事から摂取できる水分量は以下の値を参考にしてください。
- ドライフード(水分約10%):給餌量(g)×0.1
- ウェットフード(水分約75%):給餌量(g)×0.75
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犬と猫の正常の胃の容量:ご飯の量
胃の量
犬:90ml/kg
猫: 0.5~1.0kg 100ml/kg
1.0~1.5kg 70ml/kg
1.5~4.0kg 60ml/kg
4.0~6.0kg 45ml/kg
犬と猫の理想体重の計算方法
まず上記やネットから理想体高と理想体重を調べます。
- 1.おうちの子の体高×理想体重=答え1
- 2.答え1÷理想体高=平均(理想)体重
※体高:背中の1番高いところから床までを測ります
犬と猫の1日に必要なフード・カロリー計算
★RER=安静時エネルギー要求量
Resting Energy Requirementの略で、眠っているときのような安静時における1日あたりのエネルギー要求量。
1日に必要なエネルギー量を計算する上でのベースとなる数値です。
★DER=1日あたりのエネルギー要求量
Daily Energy Requirementの略で、以下に記載したさまざまな条件下でのエネルギー要求量になります。
『DER』の計算は、以上の条件から愛犬に該当するもの選んで『RER』の数値と掛けていただくだけです。
選べる条件は一つだけです。
「公式」
★RER=30×体重(kg)+70・・・体重が2~45kgのわんちゃん・ねこちゃんに対応
☆RER=70×体重(kg) ・・・または、全てのわんちゃん・ねこちゃんの場合
基本的には★の方を使います。
もしくはRER=70×(体重(kg))0.75
「計算方法」
(RER)
1・・・30×体重(kg)+70=安静時エネルギー要求量
もしくは、
- 理想の体重を3回かける・・・体重×体重×体重=❶
- ❶の数値の平方根を求める・・・√❶=❷
- ❷の数値の平方根を求める・・・√❷=❸
- ❸の数値に70をかける・・・❸×70=❹
- ❹の数値があなたの愛犬の『RER』です。
(DER)
※DERの計算は上図の条件によって変わってきます。
2・・・係数(上図参照)×RER=DER(kcal/日)
(1日に与えるグラム計算)
- フードのカロリー(100gあたり❶kcal)を調べる。
- 上記の計算式で算出した【RERの数値❷】に、上記のYesNoチャートで導きだされた条件の値をかけて【DER】を求める。
- 【RERの数値❷】×条件の値=【DERの数値❸】
- 【DERの数値❸】÷❶kcal×100=❹g
- ❹の数値があなたの愛犬の適切な1日のフードの量(g)です。
もしくは、
※おうちで食べているフードの裏に100gあたりのカロリー数が書いてありますのでそちらを見てください。
3・・・DER÷100gあたりのカロリー数×100=1日に必要な与える量(グラム)
4・・・答え3÷2=1回に与える量(グラム)
(カップ計算)
※1cupの表示もおうちで食べているフードの裏を見てください。
5・・・1日に与える量(グラム:答え3)÷1cupあたりのg(フード裏)=1日に与える量(cup)
以上が理想体重の出し方とフード計算の方法になります。
犬と猫の肥満対策やダイエット、減量したい時は
室内外が増えてきた近年、犬猫でも肥満が重要な健康問題となっています。
肥満は人と同様に様々な病気のリスクが上がるため、病気の予防には非常に有用であり重要です。
肥満対策やダイエット、減量対策に様々なフードが販売されています。
今回はその特徴をまとめましたので、それぞれにあったフードはそれぞれ微妙にレシピや成分の変更も行われています。
うちの子にはどのシリーズが良いのかな??と疑問が生じた方もたくさんいるかと思います。
下記の記事も参考にどうぞ!!
獣医師解説!犬と猫の肥満対策やダイエット、減量にオススメのフード
室内飼いが増えてきた近年、犬猫でも肥満が重要な健康問題となっています。肥満対策やダイエット、減量のフードの選択に悩まれている飼い主は多いと思います。一番オススメのフードを獣医師が解説します。犬と猫の肥満対策やダイエット、減量のフードの選び方についてその理由をアカデミックな面からまとめました。