【獣医師解説】無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害

最近、犬の歯石・口の匂いが気になる・・・

犬の歯石除去、スケーリングは全身麻酔?無麻酔?・・・

本記事では、無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害についてお話しします。

  • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
  • 検査してくれなかった...
  • 病院ではよくわからなかった...
  • 病院では質問しづらかった...
  • 混乱してうまく理解できなかった...
  • もっと詳しく知りたい!
  • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
  • 治療しているけど治らない
  • 予防できるの?
  • 麻酔をかけなくて治療できるの?
  • 高齢だから治療ができないと言われた

もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

例えば...

  • 人に移るの?
  • 治る病気なの?
  • 危ない状態なのか?
  • 治療してしっかり治る?

これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

現在、人とともに暮らす犬や猫の約80%以上が歯周病に罹患していることが明らかになっています。

動物損害保険会社の最近のデータでは、

犬の手術理由および入院理由のなかで最も多い疾患は歯周病であり、

他の皮膚疾患や消化管内異物、乳腺腫瘍、膝蓋骨脱臼、子宮蓄膿症、腫瘍外傷よりも多く、
犬の入院理由においても膵炎、消化器疾患、慢性腎臓病、弁膜症よりも多いという結果でした。

 

しかし、これほど多い疾患にもかかわらず、日々の診察のなかで歯周病に対して適切な治療やデンタルケアが行われていないことが少なくないです。

たとえば、日々の診療のなかで、

  • 歯面に付着した歯垢・歯石を無麻酔下で市販されているハンドスケーラーを使用して治療し、
  • 歯や歯肉、あるいは他の部位に外傷や機能障害などを引き起こしたり、
  • 市販されているデンタルケア製品に起因した歯の破折や咬耗

などに遭遇することがあります。

今回、これらに起因して引き起こされた併発症をまとめました。

この文章は消さないでください。
日本小動物歯科研究会では、無麻酔での歯垢・歯石除去をすすめていません。

今回の記事が多くの飼い主にとって明日からの歯科診療とデンタルケアの一助となれば幸いです。

タイトル
  • 無麻酔による歯科処置の弊害
  • 無麻酔での歯垢・歯石除去とデンタルケアを目的とした製品による歯の併発症に関するアンケート結果
  • 無麻酔での歯垢・歯石除去による併発症を考える
  • おやつやデンタルケアを目的に与えた製品による歯の併発症を考える
  • 適切な歯周病治療とデンタルケアの概要

この記事は、無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害が気になる飼い主向けです。

この記事を読めば、無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害がわかります。

限りなく網羅的にまとめましたので、無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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✔︎本記事の信憑性

この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

✔︎本記事の内容

無麻酔の犬のスケーリング・歯石除去のデメリット・問題点・危険性・弊害

はじめに

ここ数10年、動物病院やその他の関連施設で、動物に対する無麻酔での歯科衛生処置がごく普通に行われています。

なぜこのようなことが行われているのか、理由ははっきりしています。

それは、一部の獣医師において、

麻酔による死亡例を鑑みたときに、責任の重さから慎重にならざるを得なくなり

無麻酔による歯科処置を選択し、飼い主にすすめてしまうことがあるためです。

飼い主はまた、避妊および去勢手術、歯石除去において、全身麻酔によって死亡した症例の話を耳にしています。

加えて、ペットショップやペットホテル、トリミングショップなどでも全身麻酔の怖さが強調されます。

このように恐怖感を煽られれば、当然、飼い主も無麻酔による歯科処置を選択してしまいます。

 

理由はここにあります。

こうしたことは、関係者が、口腔内疾患の恐ろしさを深く熟知できていないために起こります

無麻酔による歯科処置に対する飼い主の意識

動物は、多少の歯周病があったとしても容易に食事をとることができます

そのため飼い主は、近い将来、その歯周病が急激に悪化することが想像もつかないです。

 

そして、

  • 歯性病巣感染
  • 頭蓋の骨吸収
  • 下顎骨の骨折
  • 悪性腫瘍の発症

など、寿命を縮めてしまうような重篤な疾患に結びつくとも考えないです。

歯周病は当初、急激に病態が悪くなることはなく、何日も何ヶ月も何年もかけて、徐々に進行していきます。

飼い主は、獣医師から歯科処置の必要性を時間をかけて説明され、多少理解することができたとしても、

歯周病の初期段階では危険性を伴う疾患であることを感じ取れないことが多いです。

そのため、一部の飼い主は、全身麻酔を獣医師にすすめられても同意せず、
無麻酔でも安易に歯科処置を受けられると誤解し、無麻酔による歯科処置に走ります。

 

無麻酔による歯科処置はいうまでもなく、健康な歯肉に傷をつけます。

この文章は消さないでください。
歯肉に感染を伴う場合は疼痛や出血を伴い、本来必要とされる歯肉縁下まで適切な処置を行うことはできません。

無麻酔で目に見える歯石を除去すれば、肉眼的には一見、大変きれいになったようにみえますが、歯肉縁下への丁寧な処置は施すことができていない状態です。

長期間、無麻酔での歯科処置を続けると、歯周病はすすみ、歯茎部より歯根膜、歯槽骨に向かって感染はすすみます。

一部の飼い主は、以前から多少は口臭を感じていたが、最近、気になるほどの悪臭を放つようになったと獣医師に話をしますが、

まだその時点でも獣医師にすすめられないかぎり麻酔下での治療の必要性を考えず、
なんとなくその動物の悪臭とともに毎日を過ごしてしまいます。

 

そのうち、歯が動揺してきます。

この時点では、動物はまだ食事をとることができるため、ここでもまだ飼い主は事の重大さを把握せず、無麻酔による歯科処置を受けています。

ここの点が大きな問題です。

さらに数ヵ月、数年経つと、誰でもが気がつく病状がおきてきます。

  • 悪臭のある流涎による口角や口唇の汚れ
  • 皮膚炎
  • くしゃみ
  • 膿のような鼻汁の排泄
  • 前頭洞ならびに、眼下から膿汁の漏出
  • 目脂の分泌
  • 球後膿瘍のため、眼球が多少突出

してきます。

あたかも眼科疾患を思わせる病態を引き起こします。

そうしている間に、動物によっては口腔内に腫瘍が発生します。

長期にわたり炎症を放置した結果が悪性腫瘍まで導いてしまいます。

  • また、上顎では、歯槽骨の吸収が原因で口腔と鼻腔がつながりフィステル(瘻孔)をつくります。
  • 下顎骨では、無麻酔による歯科処置中に顎骨の骨折を引き起こしていることもあります。

無麻酔による歯科処置の弊害

無麻酔で歯科処置を行っている獣医師の一部は、この状態になってはじめて、事の重大さを悟ります。

重度の歯周病に罹ってからでは遅すぎます。

何年にもわたって口腔内の細菌感染に罹患しているため、症例によっては、歯性病巣感染をおこしている可能性があります。

無麻酔の歯科処置による大きな弊害は、何といっても歯性病巣感染です。

歯肉縁下を十分に処置されていない歯周組織で増殖した細菌は、体循環により全身にまわって菌血症をおこします。

その結果、

  • 心内膜炎
  • 腎炎
  • 細菌性肝炎
  • 血栓症

などを引き起こすといわれています。

ここで忘れてはならないことは、不整脈と血栓症の予防処置です。

全身麻酔の安全性について

この文章は消さないでください。
動物に歯科処置を行う際、全身麻酔と歯科衛生処置の必要性について理解を深めなければなりません。

なぜならば、獣医師が飼い主に対して理解を促そうとすればするほど、恐怖感を与えてしまいやすいためです。

全身麻酔について過去を思い起こせば、静脈から投与する長時間性のバルビタールを使用していた時期がありました。

また、吸入麻酔についていえば、1970年頃は日本国内ではまだ動物に対して使用することが一般的ではなかったです。

その理由は、今では考えられないことですが、吸入麻酔器と酸素、フローセン、笑気ガスが高価なため、麻酔の経費がかかり過ぎるからというものでした。

当時のことを鑑みると、ここ50年で、フローセンとその気化器の精度の問題から、麻酔薬のガス濃度が安定しないフローティックタイプ2から、精度の高いフローティックのタイプ3が開発され、吸入麻酔のフローセンによる安全性が急激に向上したため画期的に使用しやすくなりました。

前麻酔を施した後、ただちに気管挿管を行い、吸入麻酔に切り替えることができます。

そして、手術に必要な時間、麻酔をかけていられます。

現在ではまた、高齢動物にふさわしいイソフルラン、セボフルランを使用することで容易に吸入麻酔が使用できるようになりました。

人医療ではデスフルランが主流ですが、近い将来、獣医療でも身近に使用できるようになるだろうと考えられます。

長時間性のバルビタールを主に使用していた頃を考えると、現在の吸入麻酔は夢のように安全な麻酔と考えられます。
吸入麻酔をかけるとき、気管チューブの挿管は数秒で行うことができます。
またそののち、動物の健康状態にあわせて麻酔の深度をその都度、調整します。

 

こうした処置ができるようになりました。

吸入麻酔が発達してから、覚醒までの数十分、数時間の間、動物を危険な状態にさらさなくてよくなりました。

そして現在では、多くの吸入麻酔使用時の救命処置が、なお一層できるようになってきています。

もちろん全身麻酔をかける前の検査は必要で、その動物の健康状態を深く検査しなければなりません。

ここから得る情報は、全身麻酔を無事に終わらせるために不可欠です。

飼い主には、動物の健康的状態について時間をかけて説明しなければなりません。

いっぽう一部の飼い主は獣医師に、全身麻酔によって死亡するようなことは絶対ないでしょうかと詰め寄り、
安心しようとしますが、獣医師は、命の保証はできません。

 

もし飼い主の決断が難しいと判断したときは、無理に押しすすめることはできません。

多くの飼い主はその後、麻酔について理解してもらえます。

無麻酔による歯科処置の際の保定の危険性

無麻酔で歯科処置が行われるときの大きな問題点の1として、動かないようにと力づくで行われる保定があります。

その際、動物は恐怖感に襲われ、全身で抵抗します。

その結果、外傷やトラウマを受けることになります。

 

無麻酔で歯科処置を行うことについて、こうした事実をもう一度考えてください。

おわりに

ここで紹介したのすべての症例は、飼い主が長期間にわたって全身麻酔を受けることを躊躇したために、適正な歯科処置を受けられなかった症例です。

加えて、獣医師や関係者が全身麻酔下による歯科処置を推奨しなかった症例です。

しっかりと自覚しなければならないことは、動物が重度の歯周病をおこす前に、適切な処置を行えるよう努力しなければならないということです。

努力を怠ることで、動物は口腔内の炎症のため、何年もの間、

  • 三叉神経痛や頭重感
  • 頭痛に耐え
  • 悪臭を我慢し
  • そのことにより体力は消耗し
  • 免疫力は低下し
  • 菌血症になり
  • 挙げ句の果てに口腔以外の部位に病巣をつくり

敗血症となる可能性が高いです。

吸入麻酔のリスクと無麻酔によるリスクを考えると、無麻酔では、動物に対し精神的に大きなトラウマを与えてしまいます。

また、よりよい治療効果を得るためには、全身麻酔下で歯科処置を行うことを推奨されます。

日本の動物は、生活環境の向上により、長寿です。

高齢化している現状をみると、エイジングに伴う疾患が増えてきています。

口腔内疾患のその1つです。

長寿になったことで、以前よりも長く愛する動物と過ごすことができるようになりました。

これは、我々にとって、とても幸せなことです。

わたしが考えることの1つとして、高齢化した動物が、人とともにいかに快適に時間を過ごすことができるかということがあります。

しかし、動物にも寿命があります。

その辛さは、何とも言葉では説明できません。

それほど大事にしている動物が亡くなるのですから、後に後悔のないよう、飼い主とともによりよい方法を考えていく責務が獣医師にはあると考えます。

 

正しい知識以外に病院の選び方も非常に重要です!

ネットで検索すると、いろんな情報が出てきて混乱して、
逆に不安になったことってありませんか?

ネット記事を読むときは、内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

とっても大事なこと

愛猫や愛犬のわずかな変化に気付き、守ることができるのは飼い主様だけです!

病気になった時も、獣医師がしっかり説明をして、飼い主様が正しい知識を理解をして、ペットを含め、3者がともに協力しないといい結果は得られません。

本ブログでは、1匹でも正しい予防や治療を受けてペットと楽しい時間をできるだけ長くできるように、報告に基づいてわかりやすく解説しています。

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no life no dogs & catsをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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