夏祭りの露店やイベント会場などでよく見かける化学発光に基づいた照明器具で、ケミカルライト(化学発光製品)と言います。
ケミカルライトにはブレスレット型や棒状などの製品があり、軽く折り曲げることで発光します。
このケミカルライトは暗闇で光るがゆえに猫の性質として、舐めることがよく起こり、中の液体を口にしてしまうことがあります。
猫がかじって漏れ出た液をなめたり、飛び散った液が目に入ったりするなどの事故が多いです。
では、猫がケミカルライトの液体を食べてしまうとどのようなことが起こるのでしょうか?
そこで本記事で、限りなく網羅的にまとめましたので、猫ちゃんが夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトを舐めてしまった時は、是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
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✔︎本記事の内容
猫が夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトを舐めたら危険?!その症状と対応まで
この記事の目次
夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトとは?
ケミカルライトに含まれる溶剤の約90%がフタル酸エステルと呼ばれる化学物質になります。
フタル酸エステルは刺激性が低いですが、目に入ると、かゆみが出て涙が止まらなくなり、角膜炎を引き起こします。
そして、フタル酸エステルの中でもフタル酸ジブチルという化学物質が主成分になっていることが多いです。
このフタル酸ジブチルはラットやマウス、ハムスター、モルモットなどの多くの哺乳類でその毒性が示されています。
夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトの成分:フタル酸エステルとは?
フタル酸エステルの安全性は確認されています。
1.急性毒性や皮膚刺激性など極めて低いレベルです。
皮膚刺激性は、無刺激ないし微刺激の範囲で、少なくとも人を含む動物の皮膚になんらかの作用を及ぼすレベルではありません。
皮膚吸収による毒性も極めて低いことがわかっています。
2.げっ歯類では精巣毒性(生殖毒性)が確認されていますが、霊長類では起こらないことが確認されています。
猫が夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトを舐めても安全?
フタル酸エステルの毒性については比較的弱く、ラットにおいては経口投与がされた際の半数致死量が8g〜9g/kgとなっています。
とはいえ、多量に摂取してしまうと細胞内にあるミトコンドリアの呼吸(ATPと呼ばれるエネルギーの合成)を妨げると考えられています。
猫においては多量摂取が起こることは稀です。
なぜなら、フタル酸ジブチルなどはとてつもなく苦いため、猫が口にしても自主的に摂取を行わなくなるからです。
猫がケミカルライトの溶剤を食べた時の症状
流涎(よだれ) 嘔吐、悪心 神経症状 落ち着きの消失、攻撃的な行動
上記の症状が出現するのはかなり短時間であり、治療の有無にかかわらず数分後には元に戻ります。
猫が夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトを舐めた時の対処は?
口の中にある苦いものを取り除き、味覚に誘発されている嘔吐やむかつきなどを取り除いてあげる必要があります。
その際には、猫が大好きなキャットフードやおやつなどを与えてください。
猫の皮膚にケミカルライトの溶剤が付着した時
猫を暗い部屋に連れて行き、蛍光成分が猫の体のどこに付着しているのかを把握する必要があります。
そして、付着部位を入念に水や石鹸などで洗い、体に付着した溶剤を綺麗に洗い流してください。
これにより、猫がグルーミングをした際に再び有毒成分が猫の体内に入らないようにします。
もし、目に入った場合には大量の流水で目を洗うようにしてください。
猫の皮膚にケミカルライトの溶剤を舐めた時の予後
猫が大量に溶剤を摂取し、症状が続く場合には、すぐに動物病院に猫を連れて行き、適切な治療を行ってもらいましょう。
解毒剤はありませんが、通常の薬物除去や対症療法などが行われることになります。
猫が夏祭りの光るブレスレット、ケミカルライトを舐めないように!
猫は新しい物への好奇心が旺盛で、部屋の中に新しく飾ったり置いたりした物に興味を示して噛んだり舐めたりして確認します。
特にケミカルライトは光っているため、猫の興味を引くことがあり、猫が近づかないように細心の注意を払いましょう。
猫にとって危険な物は数多く存在します。
特に夏のシーズンは気をつけましょう。
猫が中毒を起こした時の為に、準備しておく必要な物
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