猫にユリは絶対にダメ!ユリ、オニユリ中毒の怖さとは?!獣医師が解説!

ユリ中毒は、飼い主様の中でもかなり有名で、ご存知の方も多いかもしれません。

猫がユリを食べると、場合によっては中毒を起こし、様々な症状が出ることがあります。

本記事では、猫のユリ中毒の病態、症状、中毒量、治療法に至るまでを獣医師が徹底解説します。

この記事を読めば、猫にユリを与えていけない理由と対処法が分かります。

猫にとって危険な物を知りたい飼い主必見です。

限りなく網羅的にまとめましたので、ユリが猫に与える影響をご存知でない飼い主は是非ご覧ください。

✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

✔︎本記事の内容

猫にユリは絶対にダメ!ユリ、オニユリ中毒の怖さとは?!

猫にとって危険なユリ

猫がユリを食べてしまった時に起こる病態

ユリ科の植物には多くの「属」がありますが、猫が中毒を起こし特に危険と言われているのは「ユリ科ユリ属の植物」が主です。

毒性の高さは「種」によって異なり、どれが有害ということも十分には明らかになっていません。

有毒な「種」では葉や花びら、花粉も有害と言われています。特に猛毒と言われているのはテッポウユリ、オニユリ、コオニユリ、カノコユリ、キスゲで、カサブランカ、イースターリリーなども中毒性があると言われてます。

これらは一般家庭などで飾られたり、栽培されたりしているものなので犬や猫が興味を持って食べてしまわないように気をつけましょう。

ユリの花粉を舐めたり、花びら、茎、葉、球根などを噛んだりして中毒を引き起こします。

ユリの花が入った花瓶のお水なども有毒成分が溶け出しているので飲んだりしてしまうと同じく中毒を引き起こします。

ユリ根を含む「ユリ科の植物(スズラン、バイケイソウ、スイセン、グロリオサなど)」が犬や猫にとって危険な理由は、よく分かっていないというのが現状です。

また、犬に比べると猫に対する中毒性は高いと言われています。

猫がユリを食べてしまった時に起こる病態

猫がユリを食べてしまった時に起こる病態

誤食から1~6時間以内よだれが増え、悪心・嘔吐 、食欲不振、元気消失が起きます。

その後、消化器系の症状はおよそ6時間で消えるため、飼い主が安心して病院の受診をスキップしてしまうことがあります。

しかし体内では有害成分が着々と腎臓を障害し、次の急性腎不全が引き起こされます。

1時間以内であれば吐かせることができますので、近くの病院ですぐに吐かせて頂いた方がいいです。

一度毒を吸収してしまうと、ユリ中毒に効く特効薬が存在しないからです。

ユリ中毒の恐ろしいところは、ユリを致死量口にすると腎臓が壊死し機能しなくなることです。

しかもユリを口にしてから機能しなくなるのはわずか1日です。

少しでも早い治療を行うことが大切です。

腎臓が機能しなくなると尿毒症に陥り1週間程で死に至ります。

死を免れたとしても、一生腎臓の病気を抱え生きなければなりません。

ユリ中毒は毒の成分が不明のため解毒剤が存在せず、対処療法しかありません。

ユリ中毒になってしまった猫は治療してもなかなか反応せず、結果的に1週間前後で死亡することが多いです。

猫がユリを食べてしまった時の中毒の症状

猫がユリを食べてしまった時の中毒の症状

ユリ中毒の症状・時系列は誤食から

1~6時間以内 よだれが増える | 悪心・嘔吐 | 食欲不振 | 元気消失

※消化器系の症状はおよそ6時間で消えますが、体内では有害成分が着々と腎臓を障害し、次の急性腎不全が引き起こされます。

12~30時間後 多飲多尿 | 口内潰瘍 | 尿毒症息 | 痛みを伴う肥大した腎臓

18~30時間後 乏尿~無尿 | 脱水症状 | ひきつけ

30~72時間後 無尿による有害成分の蓄積と嘔吐の再発

3~7日死亡  (※治療を行わなかった場合)

誤食から18~24時間後、急性腎不全による変化として、血液検査では尿素、クレアチニン、リン、カリウム濃度の上昇が認められます。

2009年にイギリスで行われた調査では、猫が誤食してしまったユリの来歴について以下のように報告されています

他人から贈呈された=45.8%

自分で購入した=39.6%

他人への贈り物として購入=6.3%

同居人が購入した=2.1%

屋外観賞用=2.1%

不明=4.2%

以上より、消化器症状が消えることや観賞用でも中毒が出る可能性は報告されていますので、血液検査だけでもして頂いた方がいいと思われます。

もしくは食欲不振、悪心に注意していただくかです。

(症状が出ていた場合はかなり腎臓が障害された後ですので、症状が出た後では手遅れかもしれません)

猫がユリ中毒を起こす中毒量

猫がユリ中毒を起こす中毒量

個体にもより致死量は様々ですが、ユリを生けていた花瓶の水を舐めただけでも症状がでるので、少量でも死に至る可能性はあります。

中にはユリの歯を好奇心で一噛みしただけで重篤な症状に陥った猫もいます。

目安としてはティースプーン1杯と言われています

特に猫は急性肝不全の危険が高く、猫はユリの花粉を舐めたり、一口でも食べてしまうと命に関わることになる場合もあるので気をつけなければいけません。

猫がユリを食べた時の対処

猫がユリを食べた時の対処

対処法は3つに大別されます。

動物病院では、まず胃の内容物を吐かせて外に出し、その後、胃の洗浄をして、活性炭や下剤を投与するといった治療がおこなわれます。

中毒の症状や原因となるものを、体外に排出することが最優先されます。

  1. そのまま様子を見る(勝手に吐く、あるいは、便で出るのを待つ or 毒物なら点滴して希釈する)
  2. 吐かせる
  3. 点滴などの対症療法

摂取後2時-4時間以内であれば、催吐薬の投与を行い吸着剤の投与を併用します。

催吐の効果が認められられない場合には、胃洗浄を行うこともあります。

通常1時間以内であれば胃の中にまだありますので、吐かせることができますが、3時間となるとはかせることは難しいため、症状が出た場合は点滴となります。

しかし、お近くに病院がない場合、また3時間以上経過すると胃袋になく、吐かせることができませんので、中毒が出ないように祈る以外、ご自宅でできる事はありません。

これは3時間経過していれば、病院でも同じです。

しかし摂取後時間が経過している場合は催吐薬の投与、洗浄は行わずに吸着剤の投与を行います。

時間が経過している場合は催吐、並びに胃洗浄は体への負担が生じるだけで効果が認められません。

多くの中毒と同様に嘔吐による脱水、電解質の補正のための輸液などの対処量を行います。

点滴治療で、症状を緩和することが目的となります。

猫がユリ中毒を起こした時の治療

猫がユリ中毒を起こした時の治療

解毒薬となる特効薬はありません。

もし猫がユリを摂取したのを目撃したら、直ちに催吐処置あるいは胃洗浄を行い、続いて活性炭と下剤を投与する必要があります。

輸液の必要もあり、尿生成には猫で少なくとも2ml/kg/時間の輸液を行わなければなりません。

猫がユリを食べてしまった時の応急処置と対処法

猫がユリを食べてしまった時の応急処置と対処法

原則は病院の受診です。

病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。

しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。

自宅でできる催吐処置は元々非常に危険で、それが原因で命を落とすこともあり、うかつに行うと危険です。

  • 炭酸ナトリウム 猫:0.5g/頭   口腔内投与
  • 3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg

上記はあくまでも参考です。

決して気軽に自己判断で行わないでください。

また猫においては上記の処置で催吐作用が認められますが、悪心が長引くことが多く、処置後は制吐薬などが必要になります。

猫がユリを食べてしまった時の予後

猫がユリを食べてしまった時の予後

早期に積極的治療するならば、十分な腎臓血流を維持すれば納得できる回復率です。

しかし腎不全症状の発現があれば、死亡率は高いです。

透析は明らかな腎不全の時でさえ、中毒動物に好結果をもたらすと報告されています。

猫がユリ中毒の予防

猫がユリ中毒の予防

ユリ中毒は多くの飼い主が認識していますが 、中毒を生じたケースのほとんどは動物の盗食によるものです。

無防備な状態で動物が届く範囲にユリをおかないよう注意が必要です。

猫は新しい物への好奇心が旺盛で、部屋の中に新しく飾ったり置いたりした物に興味を示して噛んだり舐めたりして確認します。

特にユリの花粉は粘着力が強くベタベタしていて少し触れただけでも付着しやすいので、猫が近づかないように細心の注意を払いましょう。

猫にとって危険な植物は数多く存在します。

どうしても「ユリ科の植物」を置く場合、猫が近づけない場所や届かない位置に置くなどの工夫をしましょう。

猫が中毒を起こした時に、準備しておく必要な物

以下の常備薬を持っておくと、安心です。

 

 

 

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no life no dogs & catsをモットーに、いつも犬と猫に癒されています。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。
現役獣医師が海外で勉強しながら得た、犬と猫の病気に対する知識とスキルを発信していきます。

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