猫にぶどうは危険!ぶどう中毒の怖さとは?!獣医師が解説!

猫にぶどうを食べさせてはいけないというのをご存じの方も多いと思います。

しかし、実はぶどうの何の成分が猫の体に悪影響をおよぼしているのか、詳しいことはまだ研究中のため判明していません。

レーズンなどの加工品を含め、ぶどうを摂取すると中毒症状を引き起こし、急性腎不全まで発症してしまう危険性があるのです。

すべての猫が発症するわけではありませんが、危険性を考慮すると基本的に与えるべきではありません。

日本でも、ぶどうや、ぶどうの皮、レーズンなどを摂取して死亡した症例が報告されています。

ぶどう中毒の原因物質として農薬、カビ毒、ぶどう由来の未知の成分など考えられていますが、未だ特定はされておらず、メカニズムの詳細もわかっていません。

では、ぶどう中毒になるとどのような症状が生じるのでしょうか?

本記事では、猫のぶどう中毒の病態、症状、中毒量、治療法に至るまでを獣医師が徹底解説します。

この記事を読めば、猫にぶどうを与えていけない理由と対処法が分かります。

猫にとって危険な物を知りたい飼い主必見です。

限りなく網羅的にまとめましたので、ぶどうが猫に与える影響をご存知でない飼い主は是非ご覧ください。

✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

✔︎本記事の内容

猫にぶどうは危険!ぶどう中毒の怖さとは?!

猫がぶどうを食べてしまった時に起こる病態

実はぶどうのどのような成分が中毒につながるのかは現在も研究が進められている途中で、詳しいことは分かっていません。

現在分かっていることは、「猫によっては重度の中毒になること」「ぶどうの皮は果肉よりも中毒の原因になること」です。

ここ数年、ぶどうによる中毒症例が報告されており、ぶどうの種類等には関係なくその危険性が知られています。

ぶどう中毒の症状や程度は、個体差が非常に大きい上に、死亡するケースもあることから仮に1粒でも危険だと認識している方が良いと思います。

予後も様々で、急速に症状を発症し、治療に一切反応せず数日以内に死亡する症例もあれば、後遺症が残る症例、元気に回復する症例など個体差があります。

ですので、もし目の前で愛猫がぶどうを食べたのを確認した場合には、すぐに病院に連れて行き、催吐処置や胃洗浄を行うのがベストだと考えられます。

また、できるだけ積極的に腎臓をケアーするような治療を行い、血液検査とともに猫の状態をモニタリングすることをお勧めします。

また、急性腎不全にまで病状が悪化した場合、点滴治療が必要となったり、腎機能障害を解消できないままになることもありますので、愛猫がぶどう中毒をおこした際は、速やかに動物病院に連れていきましょう 。

猫がぶどうを食べてしまった時の中毒の症状

猫がぶどうを食べてしまった時の中毒の症状

ぶどう中毒に共通してみられる症状は摂取後6-12時間での嘔吐で、その他には下痢や腹部痛、食欲不振や衰弱などの症状を呈します。

共通している症状としては摂取後数時間以内の嘔吐です。

報告では、ぶどう及びレーズン摂取後の臨床所見として、ほぼ全ての症例に6-12時間以内に嘔吐が認められております。

その他、下痢や食欲低下、震え、呼吸速拍などを起こす子もいます。

また、病院での血液検査では、腎機能の指標となるBUN(尿素窒素)・CRE(クレアチニン)の急激な上昇、Ca(カルシウム)やP(リン)の上昇が認められます。

このCa(カルシウム)やP(リン)の値が高いほど予後不良となっています。

これらの症状の原因の一つと考えられるのが急性腎不全です。

猫がぶどうを食べた時の対処

猫がぶどうを食べた時の対処

対処法は3つに大別されます。

  1. そのまま様子を見る(勝手に吐く、あるいは、便で出るのを待つ or 毒物なら点滴して希釈する)
  2. 吐かせる
  3. 麻酔をかけて摘出する(開腹手術 or 内視鏡)

ぶどう中毒における有効な解毒薬は存在しないです。

ぶどう中毒に対しては催吐や吸着剤、輸液を用いて対症療法を行います。

摂取後2時-4時間以内で、催吐薬の投与を行い吸着剤の投与を併用します。

催吐の効果が認められられない場合には、胃洗浄を行うこともあります。

しかし摂取後時間が経過している場合は催吐薬の投与、洗浄は行わずに吸着剤の投与を行います。

時間が経過している場合は催吐、並びに胃洗浄は体への負担が生じるだけで効果が認められません。

多くの中毒と同様に嘔吐による脱水、電解質の補正のための輸液などの対処量を行います。

ぶどう中毒を引き起こしてしまった際に動物病院で行なわれる治療は、点滴やビタミン剤の投与・強心剤・利尿剤、輸血などを投与し、ぶどうの中毒性を緩和させるという事だけです。

特効薬がないため、一刻も早い治療が必要となります。

通常1時間以内であれば胃の中にまだありますので、吐かせることができますが、2時間となるとはかせることは難しいため、症状が出た場合は点滴となります。

しかし、お近くに病院がない場合、また3時間以上経過すると胃袋になく、吐かせることができませんので、中毒が出ないように祈る以外、ご自宅でできる事はありません。

これは3時間経過していれば、病院でも同じです。

点滴治療で、症状を緩和することが目的となります。

猫がぶどう中毒を起こした時の治療

猫がぶどう中毒を起こした時の治療

ぶどう中毒に特異的な治療法はなく、ぶどう摂取から数時間以内であれば催吐処置や胃洗浄が推奨されます。

腎不全を発症している場合には、急性腎不全に準じた治療を行います。

静脈内輸液を行い利尿促進しますが、十分な輸液を行った後も、乏尿もしくは無尿の場合には、血液透析や腹膜透析も行うことがあります。

乏尿、無尿であっても透析による治療が有効であった症例も報告されています。

猫がぶどう中毒を起こす中毒量は

猫がぶどう中毒を起こす中毒量

中毒症状を引き起こす摂取量の目安は体重1kgに対し10〜32gと言われています。

しかしぶどうの中毒を起こす原因は詳しく解明されていないので、少量であっても食べさせるべきではありません。

日本獣医師会のぶどうによる中毒の犬の症例レポートには「発症は必ずしも摂取量だけに依存するわけではなく,発症例の摂取量を超えるブドウを食べても発症しない犬がいることも報告されている」と表記されています。

このレポートは犬の症例ですが、猫にも当てはまる可能性は十分考えられます。

中毒症状はぶどうの摂取量にだけに左右されるわけではなく、ぶどうの種類や生産環境、健康状態が影響するのでしょう。

中毒量はぶどうで32g/kg、レーズンで10-30mg/kgとされております。しかしピオーネの皮のみの摂取でも発症は確認されております。

巨峰は一房500gが基本となっていますので、2割ほどの量を食べた場合にぶどう中毒になる可能性があります。

ぶどう成分が凝縮されているレーズンにいたっては、もっと少量で中毒症状が出る可能性がありますので、飼い主がちょっと目を放した隙に、大量に食べてしまうことがないように細心の注意が必要です。

猫がぶどうを食べてしまった時の応急処置と対処法

猫がぶどうを食べてしまった時の応急処置と対処法

原則は病院の受診です。

病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。

しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。

自宅でできる催吐処置は元々非常に危険で、それが原因で命を落とすこともあり、うかつに行うと危険です。

  • 炭酸ナトリウム 猫:0.5g/頭  口腔内投与
  • 3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg

上記はあくまでも参考です。

決して気軽に自己判断で行わないでください。

猫では悪心が長時間持続する場合があるため、催吐処置後には制吐薬などを使用する必要があります。

猫がぶどう中毒を起こした時の予後

猫がぶどう中毒を起こした時の予後

予後も様々で、急速に症状を発症し、治療に一切反応せず数日以内に死亡する症例もあれば、後遺症が残る症例、元気に回復する症例など個体差があります。

ぶどうを摂取した140例中50例で何らかの症状を呈し、7例が死亡したとの報告があります。

また、カルシウム、リンの値が多くのぶどう中毒症例で上昇し、この値が非常に高い場合には予後不良因子となります。

また高カリウム結血漿、乏尿や無尿に至った症例の予後も悪く、生存例は乏尿例では24%、無尿例では12%と報告されています。

生存した場合にも高窒素血漿がしばらくの間、継続する場合もあり、またぶどう中毒症例40例中38例に軟部組織への石灰化が生じると報告されています。

猫の臨床報告はあまりあがっていないため、犬とどのような差があるのかは判明していません。

しかし有害であるという事実があることをしっかりと認識しておくことが大切です。

ぶどうやレーズンなどを食べてしまったことが分かったら、すぐに動物病院に連絡をしましょう。

ぶどうを摂取後1時間ほどはぶどうの毒性が吸収されていない場合があるので、嘔吐を促す治療で様子を見ることができるかもしれません。

猫のぶどう中毒の予防

猫のぶどう中毒の予防

ぶどう中毒は多くの飼い主が認識していますが 、中毒を生じたケースのほとんどは動物の盗食によるものです。

無防備な状態で動物が届く範囲にユリをおかないよう注意が必要です。

猫が中毒を起こした時に、準備しておく必要な物

以下の常備薬を持っておくと、安心です。

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no life no dogs & catsをモットーに、いつも犬と猫に癒されています。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。
現役獣医師が海外で勉強しながら得た、犬と猫の病気に対する知識とスキルを発信していきます。

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