犬にぶどうは危険!ぶどう中毒の怖さとは?!獣医師が解説!

「犬にぶどうをあげてはいけない」と広まったのは、2001年にアメリカの研究者らによって犬のぶどう中毒が報告されたことが始まりです。

犬43頭が、ぶどうや干しぶどうのどちらか、またはその両方を摂取した後に腎機能障害を発症し半数の犬が急性腎不全で死亡したというものでした。

日本でも、ぶどうや、ぶどうの皮、レーズンなどを摂取して死亡した症例が報告されています。

ぶどう中毒の原因物質として農薬、カビ毒、ぶどう由来の未知の成分など考えられていますが、未だ特定はされておらず、メカニズムの詳細もわかっていません。

では、ぶどう中毒になるとどのような症状が生じるのでしょうか?

本記事では、犬のぶどう中毒の病態、症状、中毒量、治療法に至るまでを獣医師が徹底解説します。

この記事を読めば、犬にぶどうを与えていけない理由と対処法が分かります。

犬にとって危険な物を知りたい飼い主必見です。

限りなく網羅的にまとめましたので、ぶどうが犬に与える影響をご存知でない飼い主は是非ご覧ください。

✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

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✔︎本記事の内容

犬にぶどうは危険!ぶどう中毒の怖さとは?!

犬がぶどうを食べてしまった時に起こる病態

犬がぶどうを食べてしまった時に起こる病態
ここ数年、ぶどうによる中毒症例が報告されており、ぶどうの種類等には関係なくその危険性が知られています。

ぶどうレーズンによる中毒の原因物質として、付着したカビ毒、農薬、vitamin D類似物質、重金属ぶどう由来の3つの成分などが考えられていますが、詳細は不明で、未だ原因物質は特定されておりません。

ぶどう中毒の症状や程度は、個体差が非常に大きい上に、死亡するケースもあることから仮に1粒でも危険だと認識している方が良いと思います。

予後も様々で、急速に症状を発症し、治療に一切反応せず数日以内に死亡する症例もあれば、後遺症が残る症例、元気に回復する症例など個体差があります。

ですので、もし目の前で愛犬がぶどうを食べたのを確認した場合には、すぐに病院に連れて行き、催吐処置や胃洗浄を行うのがベストだと考えられます。

また、できるだけ積極的に腎臓をケアーするような治療を行い、血液検査とともに犬の状態をモニタリングすることをお勧めします。

また、急性腎不全にまで病状が悪化した場合、点滴治療が必要となったり、腎機能障害を解消できないままになることもありますので、愛犬がぶどう中毒をおこした際は、速やかに動物病院に連れていきましょう。

犬がぶどうを食べてしまった時の中毒の症状

犬がぶどうを食べてしまった時の中毒の症状

ぶどう中毒に共通してみられる症状は摂取後6-12時間での嘔吐で、その他には下痢や腹部痛、食欲不振や衰弱などの症状を呈します。

共通している症状としては摂取後数時間以内の嘔吐です。

報告では、ぶどう及びレーズン摂取後の臨床所見として、ほぼ全ての症例に6-12時間以内に嘔吐が認められております。

その他、下痢や食欲低下、震え、呼吸速拍などを起こす子もいます。

また、病院での血液検査では、腎機能の指標となるBUN(尿素窒素)・CRE(クレアチニン)の急激な上昇、Ca(カルシウム)やP(リン)の上昇が認められます。

このCa(カルシウム)やP(リン)の値が高いほど予後不良となっています。

これらの症状の原因の一つと考えられるのが急性腎不全です。

犬がぶどうを食べた時の対処

犬がぶどうを食べた時の対処

対処法は3つに大別されます。

  1. そのまま様子を見る(勝手に吐く、あるいは、便で出るのを待つ or 毒物なら点滴して希釈する)
  2. 吐かせる
  3. 麻酔をかけて摘出する(開腹手術 or 内視鏡)

ぶどう中毒における有効な解毒薬は存在しないです。

ぶどう中毒に対しては催吐や吸着剤、輸液を用いて対症療法を行います。

摂取後2時-4時間以内で、催吐薬の投与を行い吸着剤の投与を併用します。

催吐の効果が認められられない場合には、胃洗浄を行うこともあります。

しかし摂取後時間が経過している場合は催吐薬の投与、洗浄は行わずに吸着剤の投与を行います。

時間が経過している場合は催吐、並びに胃洗浄は体への負担が生じるだけで効果が認められません。

多くの中毒と同様に嘔吐による脱水、電解質の補正のための輸液などの対処量を行います。

ぶどう中毒を引き起こしてしまった際に動物病院で行なわれる治療は、点滴やビタミン剤の投与・強心剤・利尿剤、輸血などを投与し、ぶどうの中毒性を緩和させるという事だけです。

特効薬がないため、一刻も早い治療が必要となります。

通常1時間以内であれば胃の中にまだありますので、吐かせることができますが、2時間となるとはかせることは難しいため、症状が出た場合は点滴となります。

しかし、お近くに病院がない場合、また3時間以上経過すると胃袋になく、吐かせることができませんので、中毒が出ないように祈る以外、ご自宅でできる事はありません。

これは3時間経過していれば、病院でも同じです。

点滴治療で、症状を緩和することが目的となります。

犬がぶどう中毒を起こした時の治療

犬がぶどう中毒を起こした時の治療

ぶどう中毒に特異的な治療法はなく、ぶどう摂取から数時間以内であれば催吐処置や胃洗浄が推奨されます。

腎不全を発症している場合には、急性腎不全に準じた治療を行います。

静脈内輸液を行い利尿促進しますが、十分な輸液を行った後も、乏尿もしくは無尿の場合には、血液透析や腹膜透析も行うことがあります。

乏尿、無尿であっても透析による治療が有効であった症例も報告されています。

犬がぶどう中毒を起こす中毒量

犬がぶどう中毒を起こす中毒量

中毒量はぶどうで32g/kg、レーズンで10-30mg/kgとされております。

しかしピオーネの皮のみの摂取でも発症は確認されております。

研究者らの報告によればぶどうで3-32g/kg、レーズンで11-30g/kgと言われており、体重3kgの犬に換算すると、ぶどう2〜3粒、レーズン50粒という計算になります。

犬がぶどう中毒になる目安ですが、感受性の高い犬の場合、体重が3㎏の犬が「58.8g以上のぶどう」もしくは「8.4g以上のレーズン」を食べてしまうと中毒を引きおこす可能性があると言われています。

巨峰は一房500gが基本となっていますので、2割ほどの量を食べた場合にぶどう中毒になる可能性があります。

ぶどう成分が凝縮されているレーズンにいたっては、もっと少量で中毒症状が出る可能性がありますので、飼い主がちょっと目を放した隙に、大量に食べてしまうことがないように細心の注意が必要です。

犬がぶどうを食べてしまった時の応急処置と対処法

犬がぶどうを食べてしまった時の応急処置と対処法
原則は病院の受診です。

病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。

しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。

自宅でできる催吐処置は元々非常に危険で、それが原因で命を落とすこともあり、うかつに行うと危険です。

  • 炭酸ナトリウム 小型犬:0.5g/頭  中型犬以上:0.5-1g/頭  口腔内投与
  • 3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg

上記はあくまでも参考です。

決して気軽に自己判断で行わないでください。

犬がぶどう中毒を起こした時の予後

犬がぶどう中毒を起こした時の予後

予後も様々で、急速に症状を発症し、治療に一切反応せず数日以内に死亡する症例もあれば、後遺症が残る症例、元気に回復する症例など個体差があります。

ぶどうを摂取した140例中50例で何らかの症状を呈し、7例が死亡したとの報告があります。

また、カルシウム、リンの値が多くのぶどう中毒症例で上昇し、この値が非常に高い場合には予後不良因子となります。

また高カリウム結血漿、乏尿や無尿に至った症例の予後も悪く、生存例は乏尿例では24%、無尿例では12%と報告されています。

生存した場合にも高窒素血漿がしばらくの間、継続する場合もあり、またぶどう中毒症例40例中38例に軟部組織への石灰化が生じると報告されています。

八仙会動物医療研究部などの研究チームがぶどうを摂取し、急性腎不全を発症して死亡した犬の事例を報告しています。

その症例によると、乏尿(ぼうにょう)や無尿まで症状が悪化した犬の場合の生存率は乏尿では24%、無尿の場合は12%とかなり低くなっています。

現在では乏尿、無尿の症状があり急性腎不全が疑われる場合は積極的に透析(腎臓の機能を人工的に行うこと )などの治療が推奨されています。

犬のぶどう中毒の予防

犬のぶどう中毒の予防

ぶどう中毒は多くの飼い主が認識していますが、中毒を生じたケースのほとんどは動物の盗食によるものです。

無防備な状態で動物が届く範囲にぶどうをおかないよう注意が必要です。

犬が中毒を起こした時に、準備しておく必要な物

以下の常備薬を持っておくと、安心です。

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no life no dogs & catsをモットーに、いつも犬と猫に癒されています。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。
現役獣医師が海外で勉強しながら得た、犬と猫の病気に対する知識とスキルを発信していきます。

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