【飼い主向け】犬にカフェインは危険!カフェイン:ココア、チョコレート中毒の症状、治療法とは?!獣医師が解説!

    犬がチョコレートを食べてはダメと言うのは有名で、知ってる飼い主も多いんではないでしょうか。

    チョコレートの中には中毒で有名なテオブロミンが含まれています。

    それと同時にチョコレートには、カフェインも含まれています。

    他にカフェインを含むコーラ、緑茶、コーヒー、紅茶などがあります。

    犬がチョコレートを食べたり、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を舐めてしまった。

    カフェイン中毒を起こした時の症状、対処法、治療法、致死量を知りたい飼い主へ。

    当記事では、犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を口にしてしまった時に起こる症状、病態、対処法に至るまでをまとめました。

    限りなく網羅的にまとめましたので、チョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶が犬に与える影響をご存知でない飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    犬にカフェインは危険!カフェイン中毒の症状、治療法とは?!

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時に起こる病態

    犬がチョコレートコーラ緑茶コーヒー紅茶を食べた時に起こる病態

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を口にすると、その成分であるテオブロミンにより、直接心筋と中枢神経系を刺激します。

    カフェインはテオブロミンやテオフィリンと構造的に関連があるメチルキサンチン類です。

    中枢神経と筋肉(心筋)に興奮作用を引き起こします。

    機序はわかっておりませんが、カルシウム流入の増加と筋小胞体のカルシウム取り込み抑制が起き、筋収縮力の増大が引き起こされます。

    また、細胞のアデノシン受容体に競合拮抗し、大脳皮質の興奮、心筋の収縮、平滑筋の収縮、利尿が生じます。

    脳のベンゾジアゼピン受容体も競合拮抗します。

    更に、カフェインはカテコラミン類、特にノルアドレナリンの合成、放出を促進します。

    高用量では、大脳髄質、呼吸中枢、血管運動中枢、迷走神経中枢を刺激します。

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の症状

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の症状

    発症:摂取後1~3時間

    代表的な症状:嘔吐、下痢、散瞳、頻脈、呼吸促迫、過興奮、振戦、痙攣、心室性期外収縮、運動失調、利尿、多飲、落ち着きのなさ。

    血管拡張(肺動脈、全身の血管)により、鬱血や出血を引き起こします。

    犬のカフェイン中毒の中毒量、致死量

    犬のカフェイン中毒の中毒量、致死量

    中毒症状は体重1㎏あたり15〜20㎎で発症すると言われています。

    たとえば、体重5㎏の犬であれば、75〜100mg。

    それだけのカフェインを一度に摂るには、コーヒーカップ1杯くらいを飲む計算になります。

    ただし、子犬、成犬、シニア犬と成長具合によっても代謝能力は異なり、犬の体調や体質によっても個体差はあります。

    致死量は、体重1kgあたり150mgと言われています。

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の対処

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の対処

    対処法は3つに大別されます。

    1. そのまま様子を見る(勝手に吐く、あるいは、便で出るのを待つ or 毒物なら点滴して希釈する)
    2. 吐かせる
    3. 麻酔をかけて摘出する(開腹手術 or 内視鏡)

    実は、カフェイン中毒には特効薬という物がありません。

    カフェイン中毒に対しては催吐や吸着剤、抗痙攣薬、抗不整脈薬、輸液を用いて対症療法を行います。

    摂取後2時-4時間以内で、痙攣発作が起こっていない状態であれば、催吐薬の投与を行い吸着剤の投与を併用します。

    催吐の効果が認められられない場合には、胃洗浄を行うこともあります。

    しかし摂取後時間が経過している場合は催吐薬の投与、洗浄は行わずに吸着剤の投与を行います。

    時間が経過している場合は催吐、並びに胃洗浄は体への負担が生じるだけで効果が認められません。

    多くの中毒と同様に嘔吐による脱水、電解質の補正のための輸液などの対処量を行います。

    カフェイン中毒を引き起こしてしまった際に動物病院で行なわれる治療は、点滴やビタミン剤の投与・強心剤・利尿剤などを投与し、カフェインの中毒性を緩和させるという事だけです。

    特効薬がないため、一刻も早い治療が必要となります。

    通常1時間以内であれば胃の中にまだありますので、吐かせることができますが、2時間となるとはかせることは難しいため、症状が出た場合は点滴となります。

    しかし、お近くに病院がない場合、また3時間以上経過すると胃袋になく、吐かせることができませんので、中毒が出ないように祈る以外、ご自宅でできる事はありません。

    これは3時間経過していれば、病院でも同じです。点滴治療で、症状を緩和することが目的となります。

    犬がカフェイン中毒を起こした時の治療

    犬がカフェイン中毒を起こした時の治療

    前提として、殆どが重篤な症状には進行しません。

    しかし、解毒剤はなく、治療は指示療法がメインとなります。

    死の報告はされていますので、注意は必要です。

    輸液は、利尿による排泄や、血圧維持、水和状態の為に必須です。

    催吐は、通常摂食後1時間以内が原則ですが、数時間(4-6時間)経過しても効果的です。

    これはチョコレートの場合は、溶けるとその粘着性の成分の為、容易に除去できないからです。

    催吐が十分効果的でない場合は、胃洗浄も有効です。

    胃洗浄は、溶けたチョコレートを胃から除去するのに有効ですが、冷水や氷水を用いると逆効果です。

    また、以下が投与可能です。

    • 振戦、痙攣、不安:ジアゼパム
      ジアゼパムが第1選択として使われますが、ベンゾジアゼピン受容体が拮抗されている為、効果が弱い可能性があります。
      ジアゼパムが効果がない場合は、フェノバルビタールやペンとバルビタールを用います。
    • 徐脈:アトロピン
    • 頻脈:リドカイン、メトプロロール、プロプラノロール
    • 吐き気止め:セレニア
    • 活性炭:テオブロミンの半減期を著明に短くします
    • 膀胱カテーテル:膀胱粘膜からのテオブロミン再吸収阻止

    禁忌

    抗生剤のエリスロマイシンとコルチコステロイドはメチルキサンチン類の排泄に干渉することが知られている為、禁忌です。

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の応急処置と対処法

    犬がチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を食べた時の応急処置と対処法

    原則は病院の受診です。

    病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。

    しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。

    自宅でできる催吐処置は元々非常に危険で、それが原因で命を落とすこともあり、うかつに行うと危険です。

    • 炭酸ナトリウム 小型犬:0.5g/頭  中型犬以上:0.5-1g/頭  口腔内投与
    • 3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg

    上記はあくまでも参考です。

    決して気軽に自己判断で行わないでください。

    犬がカフェイン中毒を起こした時の予後

    犬がカフェイン中毒を起こした時の予後

    誤って少しだけ口にしてしまった程度なら、体調の変化がないか、下痢や軟便にならないか経過を見てください。

    アレルギーの持っていない犬が少し食べても、問題はありません。

    しかし犬がアレルギーが無いか分からない場合や、摂取量が多い場合は病院で点滴をして頂いた方がいいです。

    また、興奮作用が弱い犬では良好ですが、興奮作用また心臓への効果が重大な犬では予後は注意が必要です。

    犬のカフェイン中毒の予防

    犬のカフェイン中毒の予防

    犬を飼っている場合には、とにかく、これらチョコレート、コーラ、緑茶、コーヒー、紅茶を与えない、置かない事が重要です。

    カフェイン中毒は多くの飼い主が認識していますが 、中毒を生じたケースのほとんどは動物の盗食による物です。

    無防備な状態で動物が届く範囲にチョコレートをおかないよう注意が必要です。

    また、自宅でカフェインを使用する際には、飼い主が危機意識を持ち、犬が誤食する可能性を十分に考え、絶対に犬が立ち入らない場所に設置します。

    犬が中毒を起こした時の為に、準備しておく必要な物

    以下の常備薬を持っておくと、安心です。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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