病院が空いていない時に怪我をしちゃった?
夜中に呼吸が苦しそう。
爪を深く切りすぎちゃったけど病院があいていない!
顔が腫れていてアレルギーを起こしている
ワクチンを打ってから調子が悪い。
犬を飼っていると、当てはまることはあるのではないでしょうか。
そうです。これらはなぜか夜中に起きることが多く、多くの地域(東京、大阪以外)では動物病院はやっておりません。
日本の殆どの救急病院は、都心に集中しており、その都心でさえ24時間の所は少なく、朝5時で終わるところが多いです。
普通の病院は朝8時か9時ごろですので、その間が空白の時間になります。
また都心以外は、夜間病院は、遠方だったり、2時までと対応してない時間帯が多いことも事実です。
そんな時は病院があくまで、飼い主が愛犬を助けなければなりません。
犬用の常備薬を持っていない人が殆どだと思いますが、人用の常備薬(絆創膏、頭痛薬、胃薬、解熱剤など)を念の為用意していない人はいないと思います。
しかし、これらをそのまま犬に使うことはできません。
特に人用の解熱剤は、犬で中毒を起こします。
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そこで当記事では、そんな緊急の時に用意しておく薬、もしもの時のために持っておいた方がいい薬、更に安く手に入れる方法をまとめました。
限りなく網羅的にまとめましたので、万が一の時のために用意しておきたい、周りに夜間の病院がない飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
完全保存版!犬の常備薬:これを置いておけば万が一の時も安心。その準備と薬
この記事の目次
犬の吐き気止めの定番!セレニア
嘔吐すると、ぐったりしたり、逆流性食道炎、電解質喪失、脱水、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。
セレニア(Cerenia)は、犬用の制吐剤です。
嘔吐は、具体的に胃の内容物が食道を逆流し口から排出される症状ですが、この原因はある刺激が嘔吐中枢に伝達する事から起こります。
有効成分・マロピタント(Maropitant)は、嘔吐の原因となるニューロキニン1(NK1)受容体とサブスタンスPの結合を阻止する働きがあります。
その結果、嘔吐中枢に直接働きかけるため、嘔吐を抑制および予防をすることができます。
また、セレニア(Cerenia)は、投与後はおよそ1時間で効果が現れます。
●体重別に下記参照
1.0kg以上~1.1kg未満 8mg 7.6kg以上~10.1kg未満 80mg 1.1kg以上~1.6kg未満 12mg 10.1kg以上~15.1kg未満 120mg 1.6kg以上~2.1kg未満 16mg 15.1kg以上~20.1kg未満 160mg 2.1kg以上~3.1kg未満 24mg 20.1kg以上~30.1kg未満 240mg 3.1kg以上~4.1kg未満 32mg 30.1kg以上~40.1kg未満 320mg 4.1kg以上~6.1kg未満 48mg 40.1kg以上~60.1kg未満 480mg 6.1kg以上~7.6kg未満 60mg 60.1kg以上~80.1kg未満 640mg
犬が吐いた時の胃薬!ファモチジン
上記のセレニアに加えて、万が一吐いてしまった時のお薬です。
胃粘膜上の胃酸分泌に関係する特定部位を遮断することにより、
胃酸やペプシンの分泌を抑え、犬・猫の胃潰瘍や十二指腸潰瘍を治療します。
有効成分のファモチジンは、H2受容体拮抗剤です。
胃粘膜上の胃酸分泌に関係する特定部位(H2受容体)を遮断することにより、胃酸やペプシンの分泌を抑え、潰瘍や胃炎、出血などを改善します。
体重1kgあたりファモチジンとして、0.5~1.0mgを1日1~2回、経口投与します。
犬が怪我をした時に使える!ヒビクス軟膏
【2個セット】ヒビクス軟膏 犬猫用 7.5mL【動物用医薬品】
散歩に行ったり、他の犬に噛まれたり、外傷で傷が出来る事は非常に多いです。
その際に使えるのが、抗生剤の軟膏です。
もちろん病院があくまでの緊急処置となりますが、感染を予防するには最適です。
主成分はチオストレプトン、ナイスタチン、硫酸フラジオマイシン、トリアムシノロンアセニドです。
これ一本で効果は、急性・慢性湿疹、外耳炎、細菌性・真菌性皮膚炎にまで及びます。
いざという時のために、一本は持っておいた方がいい薬です。
犬の呼吸が荒い時!飼い主必須携帯酸素缶
犬に突然起こりやすい、急性腸炎、急性膵炎、誤嚥性肺炎、痛みなどで呼吸が荒くなることがあります。
犬の呼吸数は小型犬で1分間に20回前後、大型犬では15回くらいです。
30回を超えると異常のサイン、40回を超えた時は赤信号です。
すぐに病院の受診が必要ですが、この酸素缶を持っていると、自宅で落ち着かせることや、移動の間犬が楽になります。
これだけでも、是非、犬を飼っている飼い主に、一つは持っておいて欲しいものです。
犬の関節が痛い時の鎮痛薬!プレビコックス
プレビコックスは、骨関節炎や筋骨格障害に伴う痛み、炎症を緩和するほか、術後の疼痛緩和にも使用されています。
主に、変形性関節症に伴う慢性の疼痛及び炎症の緩和に使われるため、後肢の関節炎、高齢による関節症によく効きます。
また、整形外科及び軟部組織疾患の手術における術後の疼痛の緩和にも効きますので、早めに退院した時の痛み止めにも!
変形性関節症に伴う慢性の疼痛及び炎症の緩和
体重3.0kg以上の犬に対して、1日1回、体重1kg当たりフィロコキシブとして5mgを基準量として経口投与します。
整形外科及び軟部組織疾患の手術における術後の疼痛の緩和
体重3.0kg以上の犬に対して、体重1kg当たりフィロコキシブとして5mgを基準量として経口投与します。
犬のアレルギー、アナフィラキシーの時用に!ワクチンのアレルギーにも!パナフコルテロン
パナフコルテロンは、有効成分のプレドニゾロンを含有した合成副腎皮質ホルモン(ステロイド)剤です。
パナフコルテロンに含有されている副腎皮質ホルモンのプレドニゾロンは、炎症やアレルギー、免疫を抑えたりします。
プレドニゾロンは、抗炎症作用や持続時間が中程度であり、副腎皮質ホルモン剤の標準的な薬剤です。副腎皮質ホルモン剤として最も頻繁に使用されます。
▼アレルギー疾患、抗炎症、過敏性疾患
体重1kgあたりプレドニゾロンとして、0.5~1mgを12時間毎に経口投与します。
犬の目が赤い、白い、痛そう、涙が多いなど目の症状の時に
散歩の時に目を傷つけたり、犬が爪で自分で傷つける時もあります。
ふと見ると、目を閉じていたり、痛そうに腫れたり、涙が多かったり、目が赤くなったりする事は非常によくあります。
そんな時に自宅では、まず悪化しないように点眼をお勧めします。
クラビット点眼薬はニューキノロン系抗菌点眼薬とも呼ばれる目薬です。
犬や猫も人間と同じように角膜炎、結膜炎などの目の病気にかかります。
クラビット点眼薬の有効成分「レボフロキサシン」には細菌を殺菌する作用があり、細菌を撃退することで患部の炎症や充血、痛みを取り除きます。
通常、細菌感染による結膜炎や麦粒腫(ものもらい)、眼瞼炎、角膜炎などの治療に用いられます。
動物用体温計
犬の肛門よりプローブを差し込みます。およそ10秒で測定が完了します。
健常な犬の体温は、37.5〜39.2℃くらいの事が多いです。
犬はストレスや興奮時に体温が上がる事もあり、逆に体温が低い場合は、命に関わることもあるので要注意。
39度~39.5度:微熱/39.5度~40.5度:熱がある/40.5度以上:高熱
耳の外側の付け根や額、被毛の少ない腹部、肉球やシッポの先を触るって体温をチェックする方法もあります。
これは人間がおでこに手を当てるようなもので、日頃から注意して触っていると、およその変化がわかります。
眠い時や興奮している時以外は、猫の耳はひんやりとしています。
犬が普通に起きている時に、耳を触って熱いようだと、熱がある可能性があります。
●体温の測り方
- 体温計にカバーやラップを巻いて、オリーブオイルを塗る。
- シッポを持ち上げ、肛門に真っすぐよりも、少し背中側に向かうような角度で、体温計の先の銀色の部分が隠れるくらいまで入れる。
- 測り終えた体温計はエタノールで消毒。
静かに落ち着かせて測れば、ほとんど嫌がりません。
慣れないうちは、もう一人に動かないように抑えて(膝の上に抱いて)もうらいましょう。
※便の中に体温計が入ってしまうと低い温度になるので注意。 ※体温計に塗るオリーブオイルはベビーオイルやワセリン・潤滑ゼリーなどでもよい。 ※脇の下や膝下で測る場合は、人間より時間をかけて測定。直腸温より1~4度程低くなり誤差も生じやすい。 ※ストレスや興奮時には、5~6分ほど置いて測る。
犬の爪から出血した時、爪切りとセットで持ちたい止血剤
日本で取り扱いの止血用パウダー・クイックストップと同一商品
クイックストップは、犬、猫の爪きり時の出血を止める際に使用される止血剤です。
大切な、ペットが深爪になり出血した場合の止血にご利用ください。
爪のケガは小さなものでも、ペットにとってはとても痛く、時にはパニックになってしまう場合もあります。
まずは、ペットを落ち着かせてから、処置を行うようにするのが大切といえます。
止血方法
出血した際に、清潔なガーゼなどで出血部位をしばらく押さえ、しっかりと2~3分、圧迫止血を行うと、止血されやすいといわれています。
微量を綿に付し、出血患部を適度な力で5~10秒間圧してください。
愛犬が怪我をした時に!感染予防に必須の抗生剤!セファレキシン
セフェム系抗生物質のセファレキシンを有効成分とする薬です。
本来は人用医薬品ですが、動物医薬品としても使用される場合があります。
日本で取り扱われている、ビルバック社のリレキシペットと同成分の抗菌剤です。
セファレキシンは、ブドウ球菌に対する優れた殺菌力と高い安全性から、皮膚感染症(膿皮症)の治療で選択されています。
中毒性物質を吐かせる時に!オキシドール、炭酸ナトリウム
犬が薬物や危険なものを食べた時は、吐かせる:催吐処置が一番です。
病院で安全な催吐処置をしていただくことが最善です。
しかし、周りに病院がない場合、離島などで病院受診が困難な場合は自宅で吐かせるしかありません。
自宅でできる催吐処置は元々非常に危険です。
- 炭酸ナトリウム 小型犬:0.5g/頭 中型犬以上:0.5-1g/頭 口腔内投与
- 3%過酸化水素(オキシドール) 1-2ml/kg
上記はあくまでも参考です。
決して気軽に自己判断で行わないでください。
薬物を摂取し摂取後すぐ(できれば1時間以内)で、意識が清明であれば催吐を検討しても良いです。
摂取した薬物が液体であった場合には特に誤嚥性肺炎を生じることがあるので催吐しないほうが無難な場合もあります。
また催吐が禁忌である場合もありますので摂取したものがわからない場合には催吐の判断を慎重に行います。
酸・アルカリ性の薬物、石油系の薬剤、有機溶媒は催吐禁忌であり、また犬の意識障害があっても催吐は禁忌です。
おまけ 愛犬が急にご飯を食べなくなった時に!
これらのご飯は、もし夜急に食べなくなった時に、嗜好性が高いため、常備をお勧めします。
なぜなら、消化管にご飯が入らないと消化管が止まり、さらに食欲がなくなり、胃酸も分泌され嘔吐も起きてしまいます。
また絶食時間が続くと、肝臓に脂肪滴が溜まり、肝リピドーシスという病気を続発してしまう為、口から無理にでもごはんを入れる事は非常に重要です。
人はある程度絶食にも耐えれますし、ニュースでも水だけで生存したということも耳にした事はあると思います。
しかし、犬は人よりも肝リピドーシスになりやすいことが知られている為、食事が非常に有用です。
愛犬の常備薬を買うおすすめの他のサイト!
愛犬の常備薬のまとめ!
上記の薬は、獣医である私が、いざという時に使えるものばかりです。
もちろん使わないに越した事はないですが、もしもの時に慌てないためにも、そして夜間病院が空いていない、周りにないのであれば尚更、飼い主が大事なペットを守らないといけません。
気になる薬があった方は、画像をクリックしてみてください。
事前に準備をして、いざという時に対処できるようにしておきましょう。
愛犬のその症状!救急、夜間病院受診が必要?その判断方法
獣医師が解説!愛犬を抱えて救急外来に駆け込まなければいけない状況は、突然やってきます。動物病院の診療時間外に愛犬が体調を崩して、このままようすを見てもいいのか悩んだことのある人も多いのでは?愛犬の変調は突然やってきます。そのときに慌てなくていいように、動物の救急外来、夜間病院について知っておきましょう。