獣医師解説!犬と猫の心臓病にオススメのフード

    犬と猫の心臓病に一番いいフードはどれだろう...?

    病院で心臓病と診断された。

    心臓病の薬を飲んでいるけど、他にできる治療を知りたい!

    今食べている心臓病のフード以外に、効果の証明されたフードを知りたい!

    飼い主の中には、この様な経験をされたり、愛猫愛犬の悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

    情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

    その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • どのメーカーのものがいいの?
    • 栄養バランスは大丈夫?
    • 無添加?国産がいいの?
    • とりあえずどのフードをあげればいいの?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、動物病院に置いてあるフードが一番良いです。つまりロイヤルカナンやヒルズです。

    この記事では、犬と猫の心臓病にオススメのペットフードの選び方についてその理由をアカデミックな面からまとめました。

    限りなく網羅的にまとめましたので、犬と猫の心臓病のフードに迷われている飼い主、心臓病の治療にお困りの飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    犬と猫の心臓病にオススメのフード

    心臓病の症例は多い?

    心臓病の症例は多い?

    • すべての犬の10~15%(10歳以上の犬の30%以上)
    • 犬の死因の第二位
    • 95%が後天的心臓病

    現在犬も高齢化社会に突入し心臓病の症例も多くなっている。

    心臓病はどういう病気?

    心臓は全身に血液を送るポンプの働きをしており、全身に酸素と栄養を供給し一生働き続ける。

    慢性弁膜疾患(CVD):犬で最も多く認められる心疾患

    慢性弁膜疾患(CVD):犬で最も多く認められる心疾患

    僧帽弁閉鎖不全が一番多い(日本)。左心室から左心房への血液の逆流を防ぐ僧帽弁が機能しなくなったために逆流が起きる。

    原因…遺伝、高齢、フィラリア症、細菌感染など(歯肉炎から発展する可能性もある)

    好発犬種(主に小型犬)…キャバリア、マルチーズ、ミニチュア・ピンシャー、パピヨン、ミニチュア・シュナウザー、

    ポメラニアン、プードル(トイ、ミニチュア)、テリア種、ダックスフント、チワワ、

    コッカースパニエル、シー・ズーなど。日本では、65%が10㎏以下

    肥満である犬が多く、5歳以下で発症はまれ。(しかしキャバリアは除く)

    心臓が病気になるとポンプとしての機能が低下してしまう。

    様々な心臓病で類似した反応がある(代償反応・神経内分泌活性による)。

    • 共通した病歴所見…咳、むかつき、息切れor呼吸困難、眠れない、気絶or痙攣、体重減少、腹部膨満、虚弱
    • 共通した身体検査所見…心雑音、呼吸困難、不整脈、頚静脈怒張、チアノーゼ、腹水、CRT延長、腹部臓器腫大

    ISACHCの心機能分類

    Ⅰ期…心疾患の所見あるが臨床徴候を示さない(家ではわからない)

    a→心拡大がみられない

    b→心拡大がみられる

    Ⅱ期…臨床徴候が軽度の運動でみられる。運動不耐性、発咳、軽度の呼吸困難など。

    Ⅲ期…臨床徴候が明らかにみられる。安静時でも呼吸困難、浮腫や重度の胸水腹水貯留、重度の運動不耐性。

    a→自宅での治療が可能

    b→入院が推奨される

    ACVIM consensus recommendations on canine CHF

    ステージA…慢性弁膜疾患罹患リスクが高いが現状心疾患がない

    ステージB1…器質的心疾患は存在する。無症状で左心拡大などのリモデリングも認められない。

    ステージB2…器質的心疾患は存在する。無症状だが、左心拡大などのリモデリングが認められる。

    ステージC…うっ血性心不全の臨床症状を現在あるいは過去に呈している。

    治療により臨床症状が消失してもステージBに戻ることはない。

    ステージD…標準的治療に反応しない末期の心不全段階。

    悪化要因として肥満、妊娠、暑さ、呼吸器の感染、出血・貧血、過度の運動があげられる。

    昔の食事管理…

    〈進行したステージの対症療法〉※利尿剤との併用が前提

    ・厳しいナトリウムの制限:体液貯留の緩和

    ・タンパク質の制限:肝臓・腎臓への代謝負荷の軽減。見えている症状を抑えることが目的

    今の食事管理…

    早期の段階から対応。症状が出るまでの期間を延ばす目的。

    悪液質とは…

    悪液質とは…

    何らかの疾患を原因とする栄養失調により衰弱した状態。

    体重減少、筋肉組織の消耗および食欲不振からなる症候群。脂肪の下で筋肉がおちていくのでわかりにくい。

    • 食欲不振と体重減少・心臓病の犬では一般的にみられる。
    • 症状からくる疲労と呼吸困難
    • おいしくない食事

    …などの理由から

    食欲不振=カロリー不足

    筋肉が落ちて栄養不良となる=悪液質

    心悪液質

    心悪液質による体重減少が心臓病を進行させて生存期間を短くする

    →適切な食事管理で体重減少を避けることが重要。

    心悪液質に対する食事療法

    心悪液質に対する食事療法

    ①食欲不振に対する栄養サポート

    →高カロリー密度の食事、高い嗜好性の食事

    ②サイトカイン(TNF・IL-1)の生産を抑える

    →EPA・DHAの補給(n-3脂肪酸含有量の高い魚油の補給はうっ血性心不全の犬におけるサイトカイン産生を抑える)

    (IL-1減少はうっ血性心不全の犬の生存期間と相関している)

    ③循環不全の改善

    →アルギニンの補給

    アルギニンは一酸化窒素の前駆物質であり、血管平滑筋に対する弛緩因子として確認されている。

    摂取することで高血圧を間接的に緩和することができる。

    ナトリウムについて

    ナトリウムについて

    ステージに応じたナトリウム制限が必要

    ・心臓病初期(ACE阻害薬のみ)…軽度~中程度のナトリウム制限(過剰なナトリウム摂取を避ける)

    ・重度のうっ血性心不全(利尿剤も使用)…ナトリウム制限

    (*ナトリウム制限については様々な見解があり、獣医師と相談が必要。)

    例)ISACHCの心機能分類(食事性ナトリウム推奨量)(400㎉)

    • Ⅰ期…a <400mg
    • b 200~320mg
    • Ⅱ期…  200~320mg
    • Ⅲ期…a,b  <200mg

    食品中のナトリウム(400㎉)

    ロースハム2040mg(204gあたり)・プロセスチーズ1298mg(118g)・じゃこ5648mg(353g)・

    ビーフジャーキー2413mg(127g)・鶏肉(ささみ)140mg(350g)・まぐろ(赤身)156mg(320g)

    関節サポート210mg・心臓サポート1+関節サポート210mg・心臓サポート1缶220mg・

    心臓サポート2 100mg・心臓サポート2缶160mg

    タンパク質について

    タンパク質について

    成犬の維持要求量を満たす良質なタンパクを摂取すべき

    !食事管理のポイント

    • 高いエネルギー密度…食欲不振の改善、悪液質の回避
    • 高い嗜好性…食欲不振の改善、悪液質の回避
    • EPA・DHA…サイトカイン産生の抑制、食欲不振の防止
    • L-アルギニン…循環不良の改善
    • 抗酸化物質…酸化ストレスの除去
    • L-カルニチン…拡張性心筋症に有効
    • タウリン…拡張心筋症に有効
    • マグネシウム…欠乏の回避
    • タンパク質摂取…悪液質の回避、栄養失調の回避
    • ステージに応じたナトリウム制限…臨床症状の軽減、必要な薬剤の種類を最小限にする

    心臓病での食事管理

    心臓サポート1+関節サポート

    ・心臓をサポート(初期)

    EPA・DHAの増強:悪液質の回避

    Naの調節:初期の心臓病に対応

    アルギニン:循環不全を考慮

    ・関節をサポート

    緑イ貝を配合、コンドロイチン硫酸、グルコサミンを強化

    ・腎臓をサポート

    リンの制限:初期の慢性腎臓病に対応

    ・肝臓をサポート(高アンモニア血症は除く)、肝疾患で使用したい場合は初期から適応。

    亜鉛、抗酸化物質(タウリン、ビタミンE、ビタミンC)

    他にもシニア期の健康を栄養学的にサポートしています。中高齢犬の健康維持のための食事としても最適。

    心臓サポート2

    利尿剤を必要とするステージ(Ⅲ~Ⅳ期)の心臓病、初期の慢性腎臓病を併発した症例も使用可能。

    Naを制限しL-カルニチンを増強。

    ベッツプランエイジングケア

    老齢性変化にともなう機能低下のリスクを考慮。高齢犬の日々の健康管理の食事としても最適。歯石にも対応。

    ・活力と能の健康に配慮

    -複数の抗活性酸素物質を配合

    -ナトリウムやリンなどの含有量を調整

    -脳の健康維持に必要な栄養素を配合

    ・老化と共に減少する筋肉量を考慮

    -分岐鎖アミノ酸を増強

    ・健康な皮膚のバリア機能維持に配慮

    -パントデン酸、イノシトール、ナイアシン、コリン、ヒスチジンを配合

    -EPA・DHA、ɤリノレン酸を配合

    ・歯と歯茎の健康に配慮

    -粒の形状

    -ポリリン酸ナトリウム

    健康診断

    簡単な検査をこまめに行うことで病気の早期発見につながるケースも…

    ◎聴診→心雑音の有無→心臓病

    ◎尿検査→尿比重(低比重尿)・尿タンパク→LUTD、初期の腎臓病

    ビリルビン→肝疾患

    潜血・尿pH(亜硝酸塩:細菌感染)→LUTD、腎疾患

    尿糖→糖尿病、腎疾患

    犬と猫の心臓病にオススメのフード まとめ

    心臓病は多くの犬や猫が発症する病気です。

    そのため、心臓病対策に様々なフードが販売されています。

    今回はその特徴をまとめましたので、それぞれにあったフードはそれぞれ微妙にレシピや成分の変更も行われています。

    うちの子にはどのシリーズが良いのかな??と疑問が生じた方もたくさんいるかと思います。

    そこで、様々な商品をご紹介させていただきました。

    関連記事一覧

    Life with dogs & cats のロゴ

    vet1013


    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

    このブログについて お問い合せ プライバシーポリシー

    sponser

    現役獣医師作成!健康管理アプリ!

    PAGE TOP