獣医師解説!胸に水が溜まる?!犬と猫の胸水の検査を徹底解説!〜乳び胸、膿胸、滲出液、漏出液〜

    体調が悪く、動物病院で検査をしたら、胸水が溜まっていると言われた・・・

    健康診断をしたら、胸水が溜まっていたが、原因不明と言われた・・・

    本記事では胸水の種類・検査、原因、それにより疑われる病気についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた

    という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

    情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

    その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、胸水が溜まるだけで、物理的な問題で体調は非常に悪く、苦しくなります。

    そのため、胸水を抜くだけでも、状態は改善しますが、原因特定に向け抜いた胸水を検査することは非常に重要です。

    胸水が溜まる場合は必ず原因がある、非常に強い症状です。

    原因不明なことはあり得ません。

    この記事は、胸水が溜まっていると病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の胸水貯留の意味や検査結果の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の胸水について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    獣医師解説!犬と猫の胸水の検査を徹底解説!〜乳び胸、膿胸、滲出液、漏出液〜

    犬と猫の胸水 (pleural effusion)

    この文章は消さないでください。
    乳び胸、膿胸、FIP

    胸水は、比重やTPなどにより漏出液、変性漏出液、滲出液などに分類されます。

    この分類は胸水の原因となっている疾患を推定するための目安となります。

    胸水穿刺を行った場合には必ず性状を解析し、細胞診により原因疾患を推定します。

    検査のときに気をつけること

    胸水の貯留の有無は、レントゲン検査や超音波検査により容易に知ることができます。

    胸水の穿刺は、呼吸状態の緩和を目的として行われるが、原疾患の診断についても有用な情報が得られることが多いです。

    胸水の分類

    漏出液

    透明で細胞成分が少なく、蛋白濃度や比重が低い(TP < 2.5 g/dL、比重< 1.015)。

    低蛋白血症に起因する胸水は最も低比重です。

    変性漏出液

    やや血様のことがあり、右心不全やフィラリア症などでみられます。

    漏出液よりも蛋白濃度や比重がやや高い(TP 2.5 g/dL 程度、比重1.010 ~ 1.031)。

    横隔膜ヘルニア、 腫瘍などでもみられることがあります。

    横隔膜ヘルニアの術前と術後

    化膿性胸水 (膿胸)

    膿瘍であり、細胞診では好中球が多数認められ、細菌貪食などがみられることもあります。

    蛋白濃度や比重はやや高い(TP > 2.5 g/dL、比重 1.020 ~ 1.031)。

    培養検査を行い、胸腔洗浄のためのチューブを設置することが多いです。

    乳び様胸水

    乳白色で血液が混じることもあります。

    蛋白濃度は通常2.5 g/dL以上で細胞診では小型のリンパ球や好中球、マクロファージなどを含みます。

    乳び胸が疑われる場合、胸水と血漿中のトリグリセライドを測定します。

    乳び胸では胸水中のトリグリセライドが血漿中よりも高くなります。

     

    滲出液

    FIPや胸腔の腫瘍で多くみられます。

    検出される細胞は、原因疾患により異なります。

    FIPでは蛋白濃度が高く、通常TPは3.5g/dL以上で、主に好中球やマクロファージなどの炎症細胞が観察されます。

    腫瘍では、細胞診で腫瘍細胞が検出されることもあります。

    細胞診で腫瘍細胞が検出されない場合にも、腫瘍を否定できません。

     

    漏出液とは,うっ血,変性,水血症,浮腫など,炎症以外の基礎疾患が原因で漏れ出た液体である.

    滲出液とは,炎症や悪性腫瘍から滲み出して貯留した液体であり,その原因検索と,病態の確定診断のために精査が必要となる.

    穿刺液検査についても,今後の精査および治療要否の判定を方向づけることを目的として,両者の鑑別を行う必要がある.

    • 細胞学的検査、細菌学的検査は病気の確定診断のために行う。
    • 一般的性状、生化学的検査は、穿刺液が滲出液か濾出液かを区別するために行う。
    • 滲出液:炎症の際にその滲出機転により貯留した液体をいい、比較的濃厚で細胞成分、蛋白質、線維成分が多く含まれている。
    • 濾出液:炎症以外の原因、例えばうっ血、変性、水血症、浮腫などにより濾出した液体をいい、すべての成分が少ない。

    漿液性の胸・腹水は,その成因から漏出液と滲出液に大別される.

    漏出液は低蛋白血症による血漿膠質浸透圧の低下や静脈圧の亢進,血管壁透過性の亢進など非炎症性の成因によって貯留する

    滲出液は漿膜腔の感染症や悪性腫瘍浸潤など局所の炎症に起因するものである.

    両者は蛋白量,細胞数・分画,Rivalta反応などの所見に基づき鑑別を行う.

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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