獣医師解説!犬や猫が足を引きずる!しびれ、感覚がない?急に足が動かない麻痺とは~原因、症状、対症療法、よくある病気~

    愛犬、愛猫の足の感覚がなさそう、足が痺れている・・・

    体が麻痺している、後ろ足が急に動かなくなった・・・

    本記事では後ろ足の麻痺や足の痺れ、感覚の消失、足を引きずる症状についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、麻痺は4本ともの足、左右どちらかの前後肢、足一本によって大きく病気が分類できます。

    この記事は、愛犬や愛猫が足を引きずる、しびれて、感覚がない、急に足が動かなくなった、麻痺が起きている飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の足を引きずる、しびれて、感覚がない、急に足が動かなくなった、麻痺の理由、原因、症状、病名がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の足を引きずる、しびれて、感覚がない、急に足が動かなくなった、麻痺について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の定義

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の定義

    脳幹、脊髄、末梢神経、または神経筋接合部や筋肉の障害によって起こる随意運動障害です。
     

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の分類と問題点

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の分類と問題点

    ・四肢麻痺
    ▶四肢すべての麻痺
    ▶病変は一般的に脳、頸髄、全身性下位運動ニューロンに存在します

    ・片側麻痺
    ▶同側の前後肢の麻痺
    ▶病変は、片則性の脳疾患、脊髄出血、梗塞、腫瘍、片側性椎間板外ヘルニア

    ・対麻痺
    ▶両後肢の麻痺
    ▶病変部位はT3-L3脊髄分節(上位運動ニューロン徴候を示す)およびL4-S3脊髄分節(下位運動ニューロン徴候を示す)に存在する。

    ・単麻痺
    ▶単一肢の麻痺
    ▶ほとんどの場合、患肢を支配する下位運動ニューロンの障害で起こります。

    この病変部位はC6-T2神経根、腕神経叢および橈骨神経であり、主な原因はこれらの部位における外傷、炎症、腫瘍です。

    C1-T2脊髄分節の障害でも単肢だけに症状がみられることがありますが、通常は他肢にも神経障害が起こります。

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の対症療法

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の対症療法

    徴候そのものに対する治療はないですが、褥瘡の回避、排尿、排便の管理によるQOLの維持が重要です。

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の高頻度の病気

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の高頻度の病気

    ◎椎間板ヘルニア

    ・Ⅰ型椎間板ヘルニア:突然の椎間板突出が特徴です。

    脊髄圧迫の徴候が急性発症し、数時間から数日間かけて進行する場合もあります。

    ・Ⅱ型椎間板ヘルニア:徐々に変性した椎間板の緩徐な突出が特徴です。

    徴候は徐々に発症し、進行します。

    ◎ウォブラー症候群

    ・この症候群の同義語には頸部脊椎すべり症、頸部脊椎不安定症、頸部脊椎形成異常-関節異常、尾方頸部脊椎脊髄症などがあります。

    ・大型犬の頸部の形成異常/関節異常に関連して頸部脊髄圧迫が起こります。

    近年では小型犬においても発症の報告があります。

    ・頸髄の障害であるにもかかわらず、後肢のみに障害がみられるのが特徴です。

    ・諸説はあるが、後肢を支配する神経経路が前肢を支配する神経経路よりも脊髄の外側を走行しているため障害を受けやすいからであるといわれています。

    ◎血栓症

    心筋症に関連する血栓症でも麻痺が起こります。

    狭くなった心臓の空間のせいで、血液の乱流」が発生し、血栓(血のかたまり)ができてしまうことがあります。

    この血栓が心臓を飛び出し、大動脈の血流に流れ、後ろ足にいくための動脈の分岐に差し掛かると、血栓はどちらにも行けず、ここで詰まってしまうことがあります。

    これを「動脈血栓塞栓症」といい、後ろ足に血液が一瞬にしてストップしてしまう状態になります。

    肥大型心筋症の猫の約16%で動脈血栓塞栓症を併発したとの報告もあります。

    後ろ足の根元の血管(大動脈の両足への分岐部)に詰まることが多く、血栓が詰まることで後ろ足への血液が遮断されて、後ろ足の麻痺や壊死を起こします。

    突如、激しい痛みを訴え、後ろ足に力が入らなくなり、立てなくなります。

    血流が遮断された足の肉球(片方、または両方)は青白く冷たくなり、全身の体温も下がります。

    また、後ろ足の麻痺が起こると移動の際は前足だけで体を引きずり、興奮して瞳孔が開いている、呼吸が荒くなる、など明らかに普段とは異なる様子が見られます。

    その他、後ろ足の血管以外にも腎動脈や脳動脈、また複数の部位で詰まってしまうこともあり、急性腎不全やけいれんを起こすことがあります。

    犬と猫の体のしびれ、感覚がない?麻痺の要点

    まとめ
    • 上位運動ニューロン:脳の運動中枢からはじまって脊髄を下降し、介在ニューロンを介して下位運動ニューロンとシナプスする。
    • 下位運動ニューロン:脊髄灰白質の中に細胞体があり、軸索は脊髄神経腹根、末梢神経中を走って筋肉に達する。

     

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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