獣医師解説!犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音がする?〜原因、病気、対処法、治療方法〜

    最近、犬や猫の口から歯ぎしりの様な、口から変な音がする・・・

    健康診断をしたら、歯や顎に異常があると言われた・・・

    本記事では高齢で、頻繁に認められる歯ぎしり、口からの異音についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、犬や猫の歯ぎしりや異音は、口腔疾患のみならずその他の消化器疾患などにより発現します。

    この記事は、愛犬や愛猫の歯ぎしりや口の異音、違和感に悩まれている飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の歯ぎしりや口の異音、違和感の以上の原因、対処法、治療方法がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の歯ぎしりや口の異音、違和感について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の定義

    歯ぎしりの定義

    咀嚼筋群が、様々な理由により異常に緊張し、咀嚼や嚥下などの機能的な運動とは関係なく

    非機能的に上下の歯を擦り合わせたり、くいしばったり、連続的にカチカチと咬み合わせることをいいます。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の分類と問題点

    歯ぎしり分類と問題点

    ヒトでは、歯ぎしりは下記の様に分類されています。

    一方、獣医領域では、これらの区分については明らかにされていません。

    猫では、歯を「ガチガチ」いわせたり、顎を「ガクガク」させたりするタッピングの症状を示すことが多いと考えられます。

    歯ぎしりの原因や発生機序の詳細は十分に明らかにされていません。

    • グラインディング:口腔内に異物のない状態で、下顎を側方や前後に動かし、上下の歯を強く擦り合わせる習癖で、主に睡眠時に発生し、咬耗の原因となる。
    • クレンチング:下顎をほとんど動かさず、上下の歯を強く咬みしめる習癖で「くいしばり」と呼ばれます。音を出さないことと咬耗を生じさせないことが多いです。
    • タッピング:上下の歯を早い速さで連続的にカチカチと咬み合わせる習癖

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音が出る仕組み、原因

    歯ぎしりの病理発生

    この文章は消さないでください。
    犬も猫も正常な咬合では上顎が下顎の外側で咬み合います。

    犬では上顎切歯歯帯に下顎切歯切縁が咬合し、猫では上顎切歯と下顎切歯は切端で咬合して、犬も猫も上顎第三切歯と犬歯の間に下顎切歯が咬合します。

    では、上顎第一前臼歯から第三前臼歯まで、下顎第一前臼歯から第四前臼歯までは上下顎歯の咬頭と歯間が互い違いに咬合し、上顎第四前臼歯と下顎第一後臼歯は鋏状咬合して裂肉歯として機能します。
    一方、では、上顎第三および第四前臼歯と下顎第三および第四前臼歯と下顎第三および第四前臼歯と下顎後臼歯は頬下方向に擦れ違い、すべての歯が鋏状咬合します。

     

    食肉動物の顎運動は咀嚼筋群の中でも主に側頭筋による顎運動を中心に下顎を振り子のように上下させる一軸性運動です。

    一方、草食動物や雑食動物は上下方向、側方向、前後方向などの多軸性運動です。

    口を軽く閉じているときは

    では、上下顎切歯がわずかに接触し、第一前臼歯から第四前臼歯は接触せず、
    裂肉歯は鋏状咬合し、後臼歯は接触せず、
    では上下顎切歯はわずかに接触するか接触しない状態で、上下の前臼歯は軽度に鋏状咬合をしており、
    このときの咀嚼筋は軽度の強直性収縮状態です。

     

    ヒトでは、歯の異常接触を歯根膜中に存在する感覚受容器が感知して中枢に伝達するが、この際、精神的ストレスが存在すると筋群に異常な活動指令が出され、筋肉の異常緊張が生じ、歯ぎしりが発生すると考えられています。

    ヒトでは、このときに咀嚼筋のみならず、顔面、頭部、頸部、肩などの筋群も緊張して、頭痛や肩こりなどを併発する場合がある。

    しかし、上下の歯の間に柔らかい食物がない状態で無意識に歯と歯が擦り合って歯ぎしりとして認められ、強い咬合力が歯に加わるために歯周組織、咀嚼筋、顎関節に咬合性外傷を引き起こしやすいと考えられている。

    正常な咬合以外を不正咬合といい、

    上下顎の長さや左右の対称性が正常でない「骨格性不正咬合」と

    歯並びや傾き、萌出の位置の異常である「歯性不正咬合」があります。

    不正咬合があると本来であれば擦れ違うはずの上下顎歯同士が当たることで音を生じることもあり、あるいは歯が軟組織に当たることで外傷を生じることもあります。

    犬や猫の歯ぎしりは、口腔疾患のみならずその他の消化器疾患などにより発現します。

    口腔疾患では、歯周病、歯の破折、歯の挺出、不正咬合、顎関節障害、変形歯、歯肉口内炎などに起因した疼痛や不快感に対する症状として歯ぎしりが発現すると考えられています。

    口腔以外の原因では、

    では逆流性食道炎、食物アレルギー、慢性腸炎などにより、

    ではこれらのほかに胆管肝炎、慢性腎臓病、膵炎、便秘、末梢神経障害により

    嘔吐や悪心を認める個体にみられることもあります。

    重度の歯周病で歯の動揺を認めた場合、その罹患歯に対合歯がぶつからないような咬合をしようとするため、

    あるいは、口腔内腫瘍の存在によりその部位を避ける咬合をしようとするために多軸性運動の顎運動を行うことで

    歯と歯が擦り合う音を生じることがあると考えられています。

    その他にも、口腔内に疼痛や違和感を示す疾患の場合、その部位に歯が当たらないような咬合をするために歯ぎしりとして確認されることがあります。

    歯ぎしりの結果、歯が磨滅するために象牙質が露出すると知覚過敏になり、
    歯髄まで露出すると歯髄炎から歯髄壊死を生じ、
    さらに放置すると根尖周囲病巣から外歯瘻や内歯瘻を認めることもあります。
    歯が当たる部位により歯肉が後退して歯根が露出したり、歯周組織が破壊され、動揺を認め、
    歯周病が進行することもあり、また、歯肉が腫脹したり、歯が破折したりすることもあります。

     

    これらの症状により口腔内の疼痛や不快感を認めます。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の対症療法

    歯ぎしりの対症療法

    以上のように歯が擦れる原因は多岐にわたるためにそれぞれの治療法は異なりますが、

    治療の基本は、歯同士が接触する原因を発見して治療することです。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の診断の進め方

    歯ぎしりの診断の進め方

    歯ぎしりの原因は大別して口腔疾患とその他の疾患になります。

    口腔疾患による場合、外貌検査、触診、口腔内検査(麻酔下での口腔内X線検査を含む)を行うことで、

    上下顎の咬合状態の異常、歯の形態異常や色の変化、歯列の異常、口腔粘膜の異常

    を確認します。

    口腔内に異常がみられない場合は、個体の身体検査、血液検査、血液化学検査、必要に応じて尿検査、超音波検査、X線検査、CT検査、MRI検査などを行って

    消化器疾患や腎疾患、脳神経疾患などの有無やその程度を診断します。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の症状の特徴

    歯ぎしりの特徴

    歯ぎしりは、犬や猫、特に猫では比較的多くみられる症状であり、ヒトと同様にストレスが加わると発現することもあると考えられています。

    歯ぎしりは、犬猫のすべての年齢、種類にかかわらず覚醒時や睡眠時に発現します。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音の高頻度の疾患

    歯ぎしりの高頻度の疾患

    ◎歯周病

    歯垢中の歯周病原性細菌が原因で歯周組織が破壊される疾患です。

    重度になると歯根膜や歯槽骨が吸収され、歯が動揺するようになります。

    そのために、正常な咬合が困難となることもあります。

    ◎歯の吸収病巣

    原因は不明ですが、歯周組織に存在する破歯細胞により歯質が崩壊して、次第に硬組織に置換されていく疾患です。

    猫の約60%で本症がみられ、疼痛を示す進行性の疾患です。

    吸収病巣を避けようとして咬合するために歯ぎしりを示すことがあると考えられます。

    ◎乳歯遺残

    歯の交換期を過ぎても乳歯が遺残するために、永久歯が萌出すべき位置でない位置に萌出することがあり、

    咬合の際に、歯と歯が当たることがあります。

    ◎歯の挺出(ていしゅつ)

    挺出とは歯の過剰萌出のことでセメント質過形成、歯根周囲の歯槽骨の骨芽細胞活性の増加によるものと推測されています。

    本症の原因は明らかにされていないが、猫の犬歯に比較的よくみられます。

    同時に生じる歯槽骨の拡張は

    • 炎症を生じた対側の骨膜が炎症反応により骨増生を引き起こした可能性
    • 咬合による外傷に関連した生体が喪失した骨を補おうとした結果

    であるとも考えられています。

    犬歯が挺出すると上下の犬歯同士が当たるようになることもあり、歯ぎしりを認めることがあります。

    犬と猫の口から歯ぎしりの様な音?口から変な音のまとめ

    まとめ
    • 歯ぎしりの原因は、口腔疾患とは限らず、消化器疾患などに起因することもあります。
    • 歯ぎしりを放置することで歯が磨滅したり、露髄(歯髄の露出)したり、歯周病を進行させたりすることもあるので歯ぎしりの原因を追究して適切に診断することが大切です。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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