
最近、愛犬や愛猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?

ご飯の食べ方がおかしい?変に感じる・・・

本記事では犬や猫の食べ方に異常が出る病気ついてお話しします。
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- 病院では質問しづらかった...
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結論から言うと、咀嚼障害は、器質的障害と機能的障害に区別され、器質的障害は口の病気により、
機能的障害は主に脳神経障害に起因します。
この記事は、愛犬や愛猫にご飯が食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしい様子がある、飼い主向けです。
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✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしい~原因、症状、治療方法~
この記事の目次
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の定義
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の分類と問題点
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害、なぜ起こる?起こる理由とは?
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の対症療法
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の診断の進め方
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の特徴
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の高頻度の疾患
- 犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害のまとめ
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の定義
食物をある程度剪断・粉砕して食塊を形成して嚥下しやすくし、味覚を刺激して唾液や消化液の分泌を促進して消化管における食物の消化・吸収を助けることです。
咀嚼障害は、その原因から器質的障害と機能的障害に区別されます。
- 器質的障害は、食物の通路の構造に問題があり、咀嚼困難に至っている場合をいいます。
- 一方、機能的障害は、咀嚼に必要な口腔器官の運動が困難な場合です。
▶下顎や舌、口唇、頬、軟口蓋など咀嚼器官の運動障害、
▶さらに、脳機能異常により咀嚼運動の制御が困難な場合によって起こる咀嚼障害であり、
▶加齢や脳血管疾患や神経筋疾患などによって生じます。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の分類と問題点
咀嚼障害は口腔内疾患に起因するのみではないので、注意深く個体の臨床症状を観察することが大切です。
咀嚼障害は、その原因から器質的障害と機能的障害に区別されます。
◎器質的障害
食物が口腔内を通過する際に通路の構造に異常があって咀嚼が困難な状態の時です。
これらの疾患では、疼痛によって咀嚼困難に至っている場合と機械的な障害によって咀嚼が困難な場合が考えられます。
すなわち、歯周病、猫の歯肉口内炎、根尖周囲病巣、歯の破折、口腔内腫瘍、顎骨骨折、不正咬合、潰瘍性歯周口内炎などです。
◎機能的障害
咀嚼する機能が問題で、咀嚼に関する脳神経機構の動きや顎関節が正常に機能しないため咀嚼が困難になると考えられます。
すなわち、脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、加齢に伴う変化、咀嚼筋炎、外傷性末梢神経障害、三叉神経障害、下顎麻痺、頭蓋下顎骨症、顎関節炎、顎関節の骨性癒合などです。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害、なぜ起こる?起こる理由とは?
動物は空腹によって食欲が起こり、食物を求め、食物をみつけると、その食物を口腔内に取り込みます。
その後、咀嚼運動が開始されます。
咀嚼器官の運動
咀嚼には咀嚼筋や歯のみならず、顎関節、舌、顔面筋、口腔粘膜、口腔周囲の皮膚、筋肉、歯根膜などに存在する感覚受容器などの口腔組織が関与しています。
食物の大きさ、性質、食物の口腔内の位置、食物に加わる力の情報、下顎や舌の位置、運動の方向などの感覚情報をもとにして脳内の神経系によって咀嚼が調節されています。
口唇、頬、舌、口蓋による食物の上下歯間への移動と保持のもとで、食物の大きさによる顎の開口度や食物の硬さによって咀嚼力が調節されています。
咀嚼により唾液と混和されて一定量の食塊が形成され、これらの情報が中枢に伝達されると咀嚼を一時休止して嚥下に移行します。
脳機能
咀嚼に関する脳部位は、不明な点も多いですが、
律動的な顎運動の誘発部位として大脳皮質の咀嚼野、扁桃体、視床下部、海馬、大脳基底などが知られており、
咀嚼のリズムはこれらの誘発部位から持続性の刺激によって駆動されたり、
口腔内の食物の刺激による末梢感覚入力によっても顎運動が誘発されます。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の対症療法
咀嚼障害に対する治療の基本は、咀嚼困難な状態の原因を探り、咀嚼できる状態にすることです。
器質的障害がある場合、疾患により治療法は様々ですが、口腔疾患に起因することが多いためにその原因となるものをなくすことです。
機能的障害の場合、脳疾患や神経筋障害などが原因となることがあるために、これらに対する治療を行うが、治癒が困難なことが少なくないです。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の診断の進め方
最初に咀嚼障害であることを確認し、器質的障害か機能的障害かを判別します。
機能的障害
通常は、脳血管障害や神経筋障害の場合は、臨床症状から器質的障害との判別が可能です。
機能的検査として、神経学的障害の有無、病変部位の特定、疾患の程度などを把握します。
神経学的検査として
- 発作の有無や程度
- 頭部の押しつけ行動
- 頭部の失調・振戦
- 意識レベル
- 頭部の屈曲・捻転斜頸
- 嗅覚、散瞳
- 直接対光反射
- 斜視・偏位方向
- 眼瞼下垂
- 眼球後引反射
- 側頭筋・咀嚼筋の萎縮
- 下顎の可動域
- 正常眼振
- 頭位性眼振
- 嚥下
- 鳴き声の変化
- 僧帽筋の萎縮
- 威嚇瞬目反射
- 瞳孔径の異常
- 縮瞳
- 共感性対光反射
- 頭位性斜視
- 眼球陥没
- 鼻腔内感覚
- 下顎の緊張度
- 眼瞼・耳の反射
- 自発性眼振
- 聴力
- 吐出
- 喘鳴
- 舌の萎縮
などを検査して原因を探ります。
この中で、側頭筋および咬筋の萎縮は、視診と触診で容易に評価でき、これらの病変を認めた場合、
三叉神経、その神経核が存在する橋の病変、あるいは原発性筋疾患から引き起こされていることが多いです。
- 下顎の緊張度がなくなったことによる閉口不能は両側性の三叉神経の病変から生じます。
- 下顎の可動域が制限されている場合は原発性筋疾患が原因である場合が多いです。
脳神経学的検査では、CT検査やMRI検査が有効であることが少なくないです。
また、顎関節の障害では、頭蓋下顎骨症、顎関節炎、顎関節の骨性癒着などがありますが、
頭蓋下顎骨症では、X線検査で頭蓋骨、下顎骨、顎関節周囲の新生骨の増生像を確認できます。
顎関節の骨性癒合もX線検査で診断可能です。
器質的障害
各口腔内疾患に起因して咀嚼困難がみられることが多く、口腔内を肉眼的によく観察して、さらに全身麻酔下により口腔内X線検査や歯周プローブを用いた検査を行い、歯周組織や根尖周囲の状態を確認します。
また、口腔内腫瘍が疑われる場合、切除生検が勧められます。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の特徴
生命を維持していくには、口腔から食物を摂取してそれを円滑に嚥下できることが必須です。
したがって、咀嚼は生命を維持していくために大切な生理的過程といえます。
咀嚼障害を認めた個体は、採食や咀嚼が困難となり、病態によっては生命の危機に至る場合もあります。
頭蓋下顎骨症はウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどのテリア系に、
咀嚼筋炎はジャーマン・シェパード・ドッグによくみられます。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害の高頻度の疾患
◎頭蓋下顎骨症
常染色体劣性遺伝といわれていますが、原因は明らかではありません。
頭蓋骨、下顎骨に局限して骨組織が異常に増生する疾患です。
顎関節の障害が及ぶと顎運動に支障をきたし、顎関節の癒合によって咀嚼は採食が困難になります。
成長期を過ぎると本症の進行は停止します。
3~6ヵ月齢で発症して、10ヵ月齢から1歳で骨増生が認められますが、そのときまで顎関節の癒合を認めると咀嚼障害が生じます。
◎口腔内腫瘍
口腔内腫瘍は、
歯を形成する組織(エナメル芽細胞、エナメル上皮、マラッセ上皮遺残、象牙芽細胞、線維芽細胞など)に由来する細胞が腫瘍化した歯原性腫瘍と、
それ以外の部位から生じる非歯原性腫瘍からなります。
特に歯列に近い部位の腫瘍により咬合する際に咬合できなくなる部位に発生することで咀嚼障害が生じます。
◎不正咬合(下顎犬歯の舌側転位)
通常、下顎永久犬歯は上顎第三切歯と上顎犬歯の間の外側に向かって萌出します。
しかし、下顎永久犬歯が舌側に転位あるいは異常傾斜して上顎に当たったり、穿刺することがあるために十分な咬合ができなくなります。
不正咬合の中でも、特に狭い下顎の小型犬において下顎乳犬歯が残存しているために下顎永久犬歯が舌側に直立・転位して生じることが少なくないです。
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◎猫の歯肉口内炎
原因不明の口腔粘膜の炎症性疾患で、特に歯肉、および口峡部に炎症、潰瘍、肉芽組織の増生を認め、疼痛の激しい疾患です。
重度の歯肉口内炎の場合、口腔を動かすたびに疼痛を示すようになるため咀嚼困難になることもあります。
◎顎骨骨折
高齢の小型犬で重度の歯周病に起因した下顎骨の重度の垂直骨吸収により、下顎骨骨折を認めることが少なくないです。
◎咀嚼筋炎
犬の免疫介在性疾患です。
- 急性期には開口時の疼痛と咀嚼筋の腫脹
- 慢性期には側頭筋と咬筋の萎縮と、線維化による開口障害
免疫反応では咀嚼筋の2M抗体が確認されます。
年齢、性別、犬種問わず発生しますが、ジャーマン・シェパード・ドッグでは好発します。
犬や猫がご飯を食べにくそう?食べづらい?食べ方がおかしいとき:咀嚼障害のまとめ
- 生命を維持していくには咀嚼と嚥下は、極めて大切な生理機能です。
- 咀嚼障害は、器質的障害と機能的障害に区別され、器質的障害は各口腔疾患により、機能的障害は主に脳神経障害に起因します。
- それぞれの原因を探り、適切に治療することが重要です。
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