獣医師解説!犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹〜原因、症状、病気、治療〜

    最近、犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビがある・・・

    犬や猫の皮膚に湿疹、できもの:皮疹・発疹がある・・・

    本記事では、皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、皮疹はその肉眼的特徴により分類されます。

    皮疹は皮膚という臓器そのものの形態的変化であり、皮膚疾患を診断するうえで重要な臨床徴候です。

    皮疹は原発疹と続発疹に分かれます。

    皮膚状態を表す言葉として、

    • 斑:紅斑、紫斑、色素斑、白斑
    • 隆起などの形状変化:丘疹、結節、腫瘤、膨疹、水疱(:血疱、膿疱)、嚢腫
    • 鱗屑、落屑、痂皮、血痂、毛包円柱、面皰(:黒色面皰、白色面皰)、表皮小環、苔癬化
    • 皮膚の欠損病変:びらん、潰瘍、表皮剥離、瘢痕

    があります。

    この記事は、愛犬や愛猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹が気になる飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹の原因、治療法がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの:皮疹・発疹〜原因、症状、病気、治療〜

    犬や猫の皮膚の異常:皮疹・発疹とは?

    犬や猫の皮膚の異常:皮疹・発疹とは?

    皮膚に生じる病変であり、一つひとつの皮疹を個疹と呼びます。

    皮疹の一つである脱毛については、下記の記事を参考にしてください!

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの分類と問題点

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの分類と問題点

    皮疹はその肉眼的特徴により分類されます。

    皮疹は皮膚という臓器そのものの形態的変化であり、皮膚疾患を診断するうえで重要な臨床徴候です。

    皮疹は原発疹続発疹に分かれます。

    ◎原発疹


    原発疹は、皮疹を誘発する病因による直接的変化で、皮膚の色調隆起などの形状変化を呈します。

    皮膚の色調

    皮膚の隆起を伴わない限局的な皮膚の色調変化であり、その色により紅斑紫斑色素斑白斑に分類されます。

    紅斑は血管拡張、紫斑は皮下出血で、出血直後は鮮紅色を呈し時間とともに暗紫色、褐色に変化します。

    新鮮な紫斑紅斑と類似しますが、後述する硝子圧法で判別することができます。

    色素斑は物質の沈着による色調変化で、多くはメラニンの沈着であり、黒色、褐色、黄色などを呈します。

    逆に、皮膚のメラニンが消失すると白斑となります。

    隆起性皮疹

    隆起性皮疹には充実性液体貯留による病変があります。

    充実性の隆起病変は大きさにより分類されます。

    • 直径1cm以下の限局的な隆起を丘疹、
    • 丘疹より大きい隆起を結節、
    • さらに大型で増殖傾向の強いものを腫瘤

    といいます。

    膨疹は限局的な浮腫で、境界明瞭で扁平に隆起し、数分から数時間で消退します。

    水疱は皮膚に包まれた透明な液体を貯留する隆起病変であり、表皮内、表皮下に血漿や細胞成分が貯留した状態です。

    この病変は内容物によりさらに細分され、

    • 血液が貯留し赤色を呈するものを血疱
    • 膿が貯留したものを膿疱

    と呼びます。

    嚢腫は上皮組織や結合織の壁で囲まれた閉鎖的な袋状病変で、内腔には角化物や液体が貯留します

    ◎続発疹

    この文章は消さないでください。
    続発疹は原発疹に続発して二次的に生じる皮膚病変です。

    皮疹の時間経過や慢性疾患による皮膚の変化を示し、原発疹同様に皮膚疾患の診断上重要な所見です。

    鱗屑角質が異常に厚くなった状態で、白色ないし黄白色を呈します。

    鱗屑が剥がれ落ちる状態を落屑と呼びます。

    鱗屑に血液、滲出液、膿、壊死組織が混じって固まった状態痂皮といいます。

    血液の混じる痂皮血痂と呼びます。

    毛包円柱角化物や毛包からの滲出物が毛の周囲に固着したもので、固着物で周囲の数本の毛が束ねられます

    面皰毛孔に角質や皮脂などが充満し拡張した状態です。

    • 毛孔が開口し黒ないし黒褐色を呈するものを黒色面皰、
    • 毛孔が閉鎖し白色を呈するものを白色面皰

    表皮小環環状の鱗屑であり、この鱗屑は水疱や膿疱が破れ残存した天蓋です。

    苔癬化皮膚が肥厚し表皮の溝が明瞭になった状態を示し、慢性的な皮膚炎や外的刺激により生じます。

    皮膚の欠損病変は、深度により分類されています。

    深度別症状名
    • びらん表皮基底層までの欠損であり、出血はみられません
    • 真皮ないし皮下脂肪織に及ぶ欠損潰瘍といいます。
    • 外傷などによる表皮の小さな欠損表皮剥離といい、動物自身の掻爬によって生じることが多いです。
    • びらん浅い潰瘍は治癒後に健常な皮膚組織に回復しますが、深い潰瘍は欠損した皮膚組織が結合織に入れ替わり、瘢痕を形成する。
    • 瘢痕皮膚付属器が形成されないため無毛で、表皮は薄い表皮で覆われ健常な皮膚と異なる光沢を示します。

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの特徴

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの特徴

    皮疹の形状は皮膚の病理組織学的変化を反映しています。

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの対症療法

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの対症療法

    皮膚疾患の診断過程では、予想される病因の治療による治療的評価による診断が必要な疾患があります。

    また類似した皮疹でも病因が全く異なることがあり、安易な対症療法は診断や治療をより困難にすることもあります。

    よって対症療法はそれぞれの原疾患により検討すべきです。

    外用療法においては基剤の選択に配慮が必要です。

    シャンプーについては、こちらをどうぞ!!

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの診断の進め方

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもの診断の進め方

    皮疹は主に病変の観察により判断しますが、

    その原因の評価や観察のみでは判断しにくい皮疹を評価するために検査が有用なことがあります。

    ◎皮膚一般検査

    この文章は消さないでください。
    皮膚一般検査は、院内で評価できる簡便な検査です。
    丘疹、結節、膿疱、表皮小環、鱗屑、脱毛などの皮疹で寄生体や浸潤細胞の評価に用います。

     

    くし検査

    目の細かいステンレスのノミ取りくしで体表全域の毛を梳き、体表の寄生虫を調べます。

    ノミ、ハジラミは肉眼で観察可能ですが、

    ツメダニの評価は集めた毛と鱗屑をミネラルオイルを滴下したスライドグラス上に乗せ、

    カバーグラスをかけて検鏡します。

    毛検査

    モスキート鉗子で病変部の毛を抜き、ミネラルオイルを滴下したスライドグラス上に乗せ、カバーグラスをかけて検鏡します。

    この検査では皮膚糸状菌ニキビダニの検出に有用です。

    また、毛の観察により毛の構造異常、トリコグラム(毛根の形状による毛周期の評価)を評価します。

    皮膚掻爬物検査

    円刃のメス刃や鋭匙などで表皮を掻爬し、ミネラルオイルを滴下したスライドグラス上に材料を乗せ、

    カバーグラスをかけて検鏡します。

    角質層の掻爬ではヒゼンダニ皮膚糸状菌が検出できます。

    ニキビダニの検出には真皮までの掻爬(出血が確認できるまで深く掻爬)が必要です。

    細胞診
    この文章は消さないでください。
    採材した細胞や微生物をライト・ギムザ染色やディフクイック染色で染色後、顕微鏡で観察します。

    表皮の細胞診は、スライドグラスやセロハンテープを表皮に圧着して採取します。

    水疱や膿疱の内容物は皮膜を細い注射針などで破り、スライドグラスを当てて細胞成分を付着させて採材します。

    表皮の細胞診では、

    • ブドウ球菌
    • マラセチアなどの寄生体や細胞成分
    • 膿疱細胞診ではブドウ球菌
    • ニキビダニなどの寄生体
    • 炎症性細胞
    • 棘融解細胞

    などが観察されます。

    結節や腫瘤では針吸引生検(FNA)により細胞を採取します。

    ◎その他の検査

    硝子圧法
    この文章は消さないでください。
    紅斑と紫斑を区別するための検査です。

    皮疹上にスライドグラスなどの透明なガラス板を押し当て、色調の変化を観察します。

    血管拡張による病変である紅斑は硝子圧法により発赤が消退しますが、
    紫斑は皮下出血であるため圧迫しても退色しません。
    皮膚生検

    肉眼的に判別困難な皮疹や診断に組織学的評価が必要な皮疹では、皮膚生検による病理組織学的検査を実施します。

    • 一般的な皮膚の病理組織学的検査では、6mmのパンチ生検あるいはスピンドル生検で皮膚を採材し、
    • 10%中性緩衝ホルマリンで固定します。
    • 皮膚はホルマリン浸漬時に変型しやすいため、
    • 採材した組織は真皮を下にして小さく切った薄い紙などの上に乗せて数分放置し固着させた後、
    • 紙ごとホルマリンに浸漬します。
    • 免疫染色には、組織の凍結固定が必要です。

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの特徴

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものの

    皮疹は必ずしも疾患に特異的ではありません。

    個疹の形態とともに、皮疹の分布、個疹の大きさ、数、配列などの特徴

    また、発症年齢、性別、症状の季節性、治療反応などが疾患の鑑別に有用です。

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できものでよく見られる病気

    皮疹から考えられる、主な病気を表にまとめました。

    犬や猫の皮膚が赤い、黒い、かさぶた、ニキビ、湿疹、できもののまとめ

    まとめ
    • 皮疹は皮膚という臓器そのものの病変であり、皮疹の形状は組織学的変化を反映しています。
    • 皮疹から予想される疾患は、病歴の聴取、臨床検査、治療的評価により鑑別します。

     

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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