動物病院で、自分の猫が皮膚糸状菌症と診断された...
愛猫が猫の皮膚糸状菌症と診断されたけど、
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
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結論から言うと、猫の皮膚糸状菌症における原因菌は主にMicrosρorum canisで、症例の約98%です。
M.canisは猫間ではもとより、他の動物種をはじめ人にも容易に感染します。
本症の主な症状は頭部、顔面、四肢、背部などに脱毛、紅斑、鱗屑、丘疹、水疱、膿疱、痂皮などを形成し、多様な皮疹を呈します。
脱落被毛や落屑などには多数の分節分生子や菌糸が長期間生残し環境を汚染するため、物理的・化学的に清浄化する必要があります。
確定診断は直接鏡検で病変部に存在する菌を確認することです。
治療は限局性病巣なら局所療法でもよいが、多くはイトラコナゾールと塩酸テルビナフィンを数週間、内服投与します。
保菌動物にならないように、短期間で完治に導くことが重要です。
この記事を読めば、猫の皮膚糸状菌症の症状、原因、治療法までがわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、猫の皮膚糸状菌症と診断された飼い主、猫を飼い始めた飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
猫の皮膚糸状菌症〜症状、原因、治療法〜
この記事の目次
猫の皮膚糸状菌症の病原体
猫の皮膚糸状菌症を惹起する菌極は主にMicrosporum canis (犬小胞子菌)、Trichoρhyton mentαgroρhytes(毛療白癬菌)およびMicrosporum gyρseum(石膏状小胞子菌)です。
その割合は部屋の内外、都会か郊外かなどの飼育環境によっても異なるが、およそ98%、1 %、1 %と推測されています。
猫の皮膚糸状菌症の疫学
日本で最初の症例報告は、1964年に東京で確認されたM.canisによる症例です。
その後、年々発生が認められ、10年後には日本中に発生が拡大し全国的に常在化しています。
本菌は1960年以前にも北海道に限局して存在し、小学生の頭部白癬が知られており、猫の症例も報告されていました。
しかし1960年代に東京から拡大したM.canisは、犬・猫を米国などから日本国内の各地に導入したことに伴って蔓延していったものです。
T.menlagrothytesの症例は1966年に報告され、以後散見されています。
またM.gypseumは土壌生息性菌であり、人や動物と関連のあるところには高率かつ大量に存在し犬に付着しているため、感染していなくても分離される場合があります。
したがって、直接鏡検を行って感染を確認する必要があります。
犬で特殊な臨床所見を示す病例が確認され、その後も何例か認められています。
その所見は菌甲(菌糸、滲出物、落屑などが厚い痂皮となって付着)を形成し、特異な悪臭を放つのが特徴です。
猫の皮膚糸状菌症の宿主
M.canis、T.mentagroρhytes、M.gypseumの3菌種は各哺乳類や鳥類などに感染するものと考えられています。
人での感染も多数報告されています。
猫の皮膚糸状菌症の感染経路
感染動物や保菌動物から直接接触または間接的に伝播します。
また汚染環境から感染します。
特に土壌生息性菌であるM.gytseumは、通常、動物の被毛などがある場所ではそのケラチンを利用して増殖しています。
そのためそのような場所では、猫が感染する機会が多いです。
皮膚糸状菌の分節分生子などが体表に付着し、一両日に、微小な傷口(掻傷など)があれば、なお容易に侵入します。
菌は表皮や毛孔に侵入して増殖し、炎症を誘起すると考えられています。
発症は、若齢の動物や多頭飼育の場合に多いが、基礎疾患や薬剤によって免疫抑制状態になった動物での発生も散見されるため注意が必要です。
猫の皮膚糸状菌症の感染の特徴
菌と接触し付着すると、菌は一両日~数日体表に留まります。
そこで発育して角層に侵入します。
微小な創傷が存在すれば、菌は容易に感染します。
感染には各種プロテアーゼなどの関与が考えられて研究されていますが、未だ確証はありません。
皮膚糸状菌はいずれも頼粒層以下の生きた細胞層には侵入しません。
毛包や毛幹についても同様です。
自然治癒も認められますが、長期間にわたり保菌動物となります。
猫の皮膚糸状菌症の発症機序
体表に付着した菌はその場に留まり、一両日のうちに菌糸を伸長し、表皮の非特異的な異物排除機能に拮抗してケラチン組織に侵入して感染が成立します。
そして各種酵素や代謝産物によって痒みや炎症が惹起されると考えられています。
また、免疫学的反応も誘起されるとの報告もあるが、いずれも確証に至っていません。
猫の皮膚糸状菌症の臨床症状
猫でも脱毛、鱗屑、紅斑が認められます。
皮膚糸状菌症に罹患しやすい品種として幼齢猫、長毛種、免疫力の低下した猫も感染しやすいとされています。
本症の主な症状は皮膚の脱毛、鱗屑、紅斑、丘疹、水疱、膿疱、びらん、痂皮形成と多様です。
病変は限局性~び漫性まであり、単発性のものから多発性のものまであります。
また、多発した病巣が互いに融合する場合も少なくないです。
散発する各病変が均一の場合もありますが、多くはその病変の程度に差異を認めます。
病変は体表各部位にみられます。
初期には、顔、耳介、四肢の一部などにほぼ円形の脱毛部がみられ、多くは鱗屑が付着しています。
悪化すると、紅斑、丘疹が生じ分厚い痂皮を形成します。
重度の場合にはびらん状態を呈します。
強い炎症反応により毛包が破壊されるような場合があります。
まれに菌腫が生じることがあります。
猫の皮膚糸状菌症の検査
皮膚糸状菌症に関する診療の流れ
- 病歴、臨床所見の確認
- 皮膚糸状菌症を鑑別
1)除外他の疾患を検索
2)疑診 - a)ウッド灯検査
陰性M. canis以外の菌の感染(M.canis感染も除外できない)
陽性M. canis感染 - b)直接鏡検
陰性直接鏡検の再検査、または皮膚糸状菌症の否定他の疾患を検索
陽性皮膚糸状菌症 - c)培養同定-薬剤感受性試験
i)皮膚糸状菌を分離同定確定診断,治療法を検討
i)皮膚糸状菌以外の菌種を分離同定診断名を検討
i)菌分離失敗再度分離を試みる。または他の手段を考える
ウッド灯検査
暗室でウッド灯(360nmの波長の光を発する)を照射すると緑色を帯びた黄色の蛍光が認められます。
しかし、この現象がみられるのはM.canis感染の場合のみです。
薬浴やシャンプーにより蛍光物質は溶出し、蛍光は消退します。
また種々の物質が紛らわしい蛍光を発するので注意が必要です。
直接鏡検
病変の周辺から被毛または鱗屑を採取し、10%苛性カリ (水酸化カリウム、KOH)などを滴下し、透明化を待って顕微鏡で観察します。
コンデンサを下げ、視野を絞り、まずは低倍率で観察します。
その後、高倍率にして精査します。
脱落被毛や落屑などには、菌糸が侵入するとともに多数の分節分生子が被毛に付着している所見が認められます。
培養検査
抗生物質とシクロホスフアミドを添加したサブローデキストロース寒天培地またはDTM培地(皮膚糸状菌証明培地)に病変部から採取した材料を接種します。
25℃で1~2週間培養し、発育した真菌を鏡検して皮膚糸状菌か否かを決定します。
病理組織学的検査
角化組織に菌糸の存在が認められます。
パス(PAS)染色やグロコット(Grocott)染色を施した襟本の方が菌の発見が容易です。
遺伝子検査
研究機関および検査機関で行われています
その他
血清検査がありますが、精度に問題があります。
薬剤の感受性試験、遺伝子変異も検討します。
猫の皮膚糸状菌症の診断
臨床所見から疑診し、直接鏡検によって確定診断を下します。
臨床の現場では、症例猫の特質、病歴、治療歴の聞き取りが肝心です。
感染する機会があったか否か、また症例猫と接触のある動物や人に皮膚糸状菌症の症状がみられるか否かを知ることが重要です。
- 臨床症状、特に皮膚病変の観察から疑診可能か否かが重要
- 検査結果を検討して真菌感染の有無を判断
- 治療に対する反応を見極め
抗真菌薬に反応して治療効果があるか否かを確かめます。
また、ステロイドに対して一時的に炎症反応が軽減しても増悪傾向を呈します。
健康な動物では、皮膚糸状菌症は大部分が無治療でも最終的には白然治癒するとされているが、発症期間中に環境を汚染することになります。
基礎疾患がある場合や免疫抑制状態にある場合は、完治困難です。
完治する前に治療を中止した場合など、保菌動物となって長期にわたって感染源となるので注意が必要です。
完治したと判断した動物の被毛の先端にウッド灯陽性(M.canisの感染)所見が確認される例があります。
猫の皮膚糸状菌症の治療
耳介先端や指端、体幹の一部などの表在性・限局性の病巣なら、毛を刈って抗真菌薬剤を含有するクリームないしローションを病巣局所を中心にその周辺にも塗布します。
1日1~2回塗布しますが、使用時には外用薬によるかぶれや薬疹などの有害反応に注意します。
また塗布後に動物が舐めないように配慮します。
シャンプーによる洗浄を行えば、感染性の菌体の拡散を防ぐことになります。
マラセブシャンプー
マラセブシャンプーは、犬や猫の皮膚に常在しているマラセチアと呼ばれる真菌を駆除する、犬猫兼用の皮膚疾患治療用のシャンプーです。
マラセブシャンプーは、ミコナゾール硝酸塩やクロルヘキシジングルコン酸塩を配合しています。これらの成分の働きにより、マラセチア菌とスタフィロコッカス菌を殺菌、余分な皮脂や汚れを洗い流し、大切なペットの皮膚を清潔かつ健康に保つことができます。
犬や猫の抵抗力が落ちると、マラセチア真菌が異常繁殖し、強い痒みや皮膚の赤化、皮膚の黒ずみ、コケ状のものが生じるなどの症状が出てきます。
▼投与方法
犬や猫の被毛を、水またはお湯でしっかりと濡らしてください。痒みが強い場合は、我慢できる程度で、低い温度がおすすめです。被毛が密であったり、毛の長い犬や猫には、特にしっかりと時間をかけて濡らしてください。
マラセブシャンプーを手にとり、症状の重い部分から順にやさしく泡立てながら馴染ませます。
(※全身の洗浄が難しい場合は、マラセチアが繁殖しやすいわきの下や内股、指の間、おなか、下あご、肛門の周りなどの患部を部分的に洗うだけでも効果的です。)
その後、シャンプーの泡を皮膚に残したまま10分間待ちます。
この間、犬や猫が泡を舐めたり吸い込まないように注意してください。
10分経過したら、水またはお湯で泡がなくなるまで丁寧に洗い流し(約5~10分間)、タオルで優しくしっかりと水分を拭き取り、乾燥させてください。
投与回数
週に2回、投与してください。
1回使用した後は、3日以上の間隔をあけてください。
yahooストアで購入する場合はこちら 250ml 2,400円
ペルシーミコナケアシャンプー
ミコナケア(MICONACARE)は、動物用医薬品マラセブシャンプーと同一の有効成分を配合している犬猫用シャンプーです。週2回の投与で、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療します。また独自の特徴として、蚊よけや保湿作用といった“プラスα”成分を配合。レモングラスの爽やかな香りもまた特徴の一つです。
ミコナケアは、有効成分ミコナゾール硝酸塩の働きによって、マラセチア皮膚炎の原因となるマラセチア真菌の細胞膜に障害を起こし、その増殖を抑制することで治療するシャンプーです。また、同じく有効成分のクロルヘキシジングルコン酸塩が、マラセチア皮膚炎を悪化させる要因の1つであるスタフィロコッカス(ブドウ球菌)を殺菌します。
このほか、ミコナケアには、オリジナルの設計として、様々な成分が多彩に配合されており、“プラスα”した作用が期待できます。
ミコナケア7つの特徴
▼マラセチア皮膚炎を治療
有効成分のミコナゾール硝酸塩の働きによって、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療します。
▼スタフィロコッカスを殺菌
有効成分のクロルヘキシジングルコン酸塩の働きによって、マラセチア皮膚炎を悪化させるスタフィロコッカス(ブドウ球菌)を殺菌します。
▼蚊よけ作用
蚊よけ成分のレモングラス精油を配合。蚊によって媒介されるフィラリア症(糸状虫症)が気になる方に嬉しい成分です。
▼爽やかなフレーバー
同じくレモングラス精油が爽やかな香りを演出。既存の動物用医薬品シャンプーにありがちな不快な臭いがありません
▼皮膚サポート作用
初乳(コロストラム)を配合。免疫機能を整えて、マラセチア菌に負けない皮膚をサポートします。
▼保湿作用
配合のローヤルゼリーエキスによる保湿作用によって、洗いあがりの皮膚に潤いを与えます。
▼毛並み保護作用
たんぱく質の構成成分である15のアミノ酸を配合。洗い上がりの繊細な毛並みを、やさしく保護します。
~15種のアミノ酸~
リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン
ミコナケアは、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療するとともに、多彩な配合成分の働きによって、様々な皮膚および被毛のサポート作用が期待できるシャンプーです。蚊よけの作用や爽やかな香りも特徴です。
▼投与方法
1. 被毛を、お湯または水で十分に湿らせてください。
2. 全身に擦り込むように本剤を投与し、泡立ててください。
3. 10分間放置した後、薬液を残さないよう全身をお湯または水で十分にすすいでください。
(ワンちゃん・ネコちゃんにとって、10分間大人しくしてもらうのは難しいことですが、適切な効果を発揮させるため、きっちりと時間を守りましょう。症状がひどい箇所から洗うことをおすすめいたします。)
▼投与回数
週に2回、投与してください。
1回使用した後は、3日以上の間隔をあけてください。
被毛の長さなどを考慮し、十分な泡立ちが得られ、薬液が流れ落ちない量を投与してください。
1本765ml
価格:2,480円
ミコナケア | マラセブ | |
---|---|---|
成分 | ・ミコナゾール硝酸塩 2% ・クロルヘキシジングルコン酸塩 | ・ミコナゾール硝酸塩 2% ・クロルヘキシジングルコン酸塩 2% |
特徴 | ・マラセチア真菌症などの皮膚疾患治療 ・蚊よけ作用 ・保湿作用 | ・マラセチア真菌症などの皮膚疾患治療 |
1本あたり ※複数購入なら更にお得 | 1本(765ml) 2,480円 | 1本(250ml) 2,534円 1本(500ml) 3,447円 1本(1000ml) 5,121円 |
100mlあたり | 約320円 | 約920円(250ml) 約630円(500ml) 約500円(1000ml) |
ミコベットメディケートシャンプー
有効成分のミコナゾール硝酸塩とクロルヘキシジングルコン酸塩を含有した動物(犬・猫・馬)用のシャンプーです。マラセチア皮膚炎を治療します。
1本250ml
価格:2,189円
クロルヘキシジンシャンプー
酢酸クロルヘキシジンを主成分とする犬猫用殺菌シャンプーです。
本剤は殺菌力と洗浄力を併せ持ち、洗い上がりもよく静電気防止効果も期待できます。
●グラム陽性菌を中心とした広い抗菌スペクトルを持つ酢酸クロルヘキシジンを0.5%配合
●汚れの洗浄、ふけの除去、一般細菌、2次感染菌の除菌、細菌性皮膚炎、膿皮症、乾性脂漏症の予備洗浄等
あらかじめ犬・猫の被毛を十分に水又はぬるま湯でぬらし本剤の適量 (標準量は猫・軽量犬 (10 kg 未満) で 10 ~ 20 g、中型犬 (10 kg 以上 20 kg 以下)で 20 ~ 40 g、大型犬 (20 kg 以上) で 40 ~ 80 g) を用い 3 分間良く泡立てながら洗浄する。
約 5 分間そのまま放置して水又はぬるま湯で洗い流す。使用量は犬猫の毛の多少、汚れの程度により加減して使用し必要な場合には 2 度洗いする。
1本200ml 1,500円程度
しかし、局所療法に反応しない場合や病巣が広範に広がっている場合には、イトラコナゾール(5-10 mg/kg、経口投与、1日1回)や塩酸テルビナフィン(30-40mg/kg、経口投与、1日1回)を数週間投与し、完治を確認することが重要です。
有害作用 (副作用)として、前者には嘔吐、下痢、肝毒性が、また後者に嘔吐、下痢、疼痛、血球減少症、肝毒性が報告されています。
要はできる限り短期間で治癒させることが重要です。
なおこれら薬剤は日本では動物用医薬品としては発売されていません。
イトラコナゾール(5~10 mg/kg、経口投与、1日1回、7日間)や塩酸テルビナフィン(30mg/kg、経口投与、1日1回、2~4週間)で治療します。
ニナゾル(Ninazol)200mg
1箱100錠 2,771円
効果:猫:真菌性感染症
体重1kgあたり5mgを1日2回、28日間
Ninazol(ニナゾル)は、抗真菌薬です。有効成分としてケトコナゾールを含有しています。皮膚糸状菌やマラセチアなど、真菌(カビ)の感染症治療薬として使用されます。
Ninazol(ニナゾル)の有効成分であるケトコナゾールは、主に真菌(カビ)の細胞膜合成を阻害することで、増殖を抑えます。
菌を完全に死滅させるためには、一定期間の投与が必要となります。
ニゾラルクリーム(NizoralCream)2%
ニゾラルクリームは、有効成分のケトコナゾールを含有する外用抗真菌剤です。犬・猫におけるマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)や皮膚糸状菌症(水虫)などの真菌感染症に用います。
ニゾラルクリームに含有されている有効成分のケトコナゾールは、皮膚に寄生した真菌(カビ)の細胞膜をこわして殺菌的に働くことで、真菌感染症を治療します。
ケトコナゾールは、アゾール系の抗真菌剤です。
真菌感染症(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症)、外耳炎
1本30g 1,994円
ファンギノックスソリューション(FunginoxSolution)2%
1本25ml 2,242円
3本 4,268円
適応症
犬・猫:真菌感染症(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症)、外耳炎
ケトコナゾールソルーション(FunginoxSolution)は、有効成分ケトコナゾールを配合した外用抗真菌剤です。犬・猫におけるマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)や皮膚糸状菌症(水虫)などの真菌感染症に用います。
ケトコナゾールソルーション(FunginoxSolution)は、ケトコナゾールを主成分としたイミダゾール系抗真菌剤です。
スプレータイプで手軽に塗布できる上、液体なので被毛の生え際(患部)への塗布も可能です。
また、クリームのようにべたつかず、すぐに乾燥することも特徴の1つです。
有効成分のケトコナゾールは、皮膚に寄生した真菌(カビ)の細胞膜をこわして殺菌的に働くことで、真菌感染症を治療します。
ケトコナゾールは、イミダゾール系薬剤に分類される抗真菌薬です。
Dermiheal-Plus(ダーミヒールプラス)
1本30ml 1,410円
Dermiheal-Plus(ダーミヒールプラス)は、細菌性または真菌性の湿疹性皮膚炎に用いる外用薬です。
クロベタゾールプロピオン酸エステル
副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。炎症を抑えて、かゆみを緩和します。
シプロフロキサシン
ニューキノロン系の抗生物質です。細菌の核酸(DNA)が増えるのを抑えることにより細菌を殺します。
ミコナゾール硝酸塩
抗真菌薬です。真菌の細胞膜の生合成を阻害して、真菌の増殖を抑えます。
猫の皮膚糸状菌症の予防
多頭飼育の場合やペットショップ、ペットホテルなどの預かり所、飼い主が不在がちな集同生活の猫では集団発生の報告が多いです。
その予防効果は乏しく苦慮する場合が多いです。
蔓延する前に予め対策を講じる必要があります。
集団の中に1例でも発見したら、一度蔓延すると、隔離し、 早期に完治に導きます。
同時に健常と思われる猫に対してもブラッシングで得た被毛や鱗屑をウッド灯検査と培養検査を行い、陽性例に対して加療します。
当然汚染した環境の浄化を徹底的に行う必要があります。
M.cαnis(動物寄生性菌)対策
動物から動物へ直接接触または間接的に伝播します。
動物が無症状でも被毛や鱗屑に存在する菌が感染源となります。
動物を新たに導入する場合は、予めウッド灯検査や歯ブラシなどで顔面部などの好発部位をすいて採取したサンプルにより培養検査を行います。
検査陽性の場合には、導入を避けるか、治療後に導入します。
人への感染を予防する
罹患動物や不顕性感染動物、または疑わしい動物との接触を避けます。
接触した場合には、すぐに手指や腕、首や胸部などの露出部を流水で洗浄します。
M.canis感染では、人の頭部白癬やケルスス禿瘡の発生があり、特に子供は要注意です。
「人における皮膚糸状菌症について」
白癬と称する由来
古来難治性の皮膚疾患を癬と称していました。
疥癬をはじめ白癬、黄癬、渦状癬、頑癬、輪癬、乾癬、黒癬、紅色陰癬などがあります。
皮膚糸状菌が確認されるようになって、白癬、黄癬、渦状癬、頑癬、輪癬を誘起することが判明しました。
その後、整理され白癬(水虫、たむし・頑癬、しらくも)、黄癬(菌甲形成)、渦状癬(渦状を呈する皮疹)の3種とされました。
渦状癬はもともと日本にはなく、黄癬は昨今では症例がほとんどないことから、皮膚糸状菌症といえば白癬を意味するようにされています。
白癬の部位別分類
[表(浅)在性白癬]
頭部(浅在性)白癬、体部白癬、手白癬、足白癬、〔小水庖型、趾間型(湿潤、乾燥)、角質増殖型)、陰部白癬、爪白癬、その他:異型白癬
[深在性白癬]
ケルスス禿瘡、白疥性毛瘡、その他:硬毛部深在性白癬、生毛部深在性白癬、白癬菌性肉芽腫(狭義)、下腿結節性肉芽腫性毛包周囲炎(狭義)
人における白癬の起因菌種
皮膚糸状菌の分類には性世代を重視する分類、最近では遺伝子分類がなされています。
主な菌種
- Trichoρhyton rubrum
- Trichoρhyton mentagrophytes
- Trichoρhyton tonsurans
- Trichophyton verrucosum
- Microsρorum canis
- Microsρorum gypseum
その他、日本では
- Eρidermoρhyton floccosum,
- Trichoρhyton violaceum
- Microsporum ferrugineum
などがあります。
「市販の人体用水虫治療薬を犬に使用する可否」
犬は体表が被毛に被われているので、人の頭部白癬に類似し、またケルスス禿瘡の病態を呈します。
人用の水虫治療薬は、足白癬を対象にした外用薬であるので、抗真菌性とともに浸透性を重視しているため、皮膚の薄い部位に対しては刺激的です。
毛包局所で菌を死滅させると、アレルギ一反応を惹起するなどして増悪を招く危険があります。
また、人体薬や外国製品など日本で認可されていない薬物の使用は、注意が必要です。
「家庭での洗浄・消毒に用いる薬物」
屋内および屋外の環境を清浄化することが重要です。
まず、物理的に飛散している被毛や落屑を掃除機などで徹底的に除去します。
場合によっては徹底的に洗い流したり、拭き取ります。
蒸気洗浄機が利用できれば有益です。
また、十分乾燥させることも必要です。
熱湯消毒が可能なら有効です。
消毒薬については、手指、家具、衣類、器具機材などの対象によって最適なものを選択する必要があります。
市販の消毒薬としては、工二ルコナゾール、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素が一般に使用されています。
その他99%アルコール(脱水が目的)などがあります。
1)エニルコナゾール
イミダソール系防カビ剤の一種で、脱メチル化を抑制します。
すなわち、ステロール産生に関与するC14-デメチラーゼを阻害することで、膜機能を阻害します。
2)次亜塩素酸ナトリウム
塩素の作用で抗真菌効果を示します。
水溶液はアルカリ性を呈し、特異な臭気(漂白剤の臭い)があり、殺菌作用以外にも酸化作用、漂白作用があります。
塩素ガスが発生し危険を伴うことに注意が必要です。
高温や紫外線などで分解が加速するため、常温保存では濃度維持が難しいです。
3)過酸化水素
不安定で酸素を放出しやすく、酸化力が非常に強力なヒドロキシラジカルを容易に生成します。
水溶液として主に使用され、対象物によって酸化剤または還元剤として効果を示します。
殺菌剤以外にも漂白剤としても利用されています。