【飼い主向け】愛犬、愛猫がヘビに噛まれた!?ヘビ中毒とは!?【分かりやすく獣医師が解説!】

    夏に散歩した時、愛犬、愛猫が草むらに入ることは多いのではないでしょうか?

    その後に、足を痛がったり、何処かを痒がったり、赤くなっていたり、腫れたり、いろんな症状が出ることがあります。

    そんな時は、ヘビに噛まれた可能性があります。

    犬、猫の散歩中の行動が気になる、犬、猫が散歩後に痛そうにしたり、痒がった経験がある飼い主様は実は多いのではないのでしょうか?

    当記事では、ヘビに噛まれた時の作用機序や症状、対処法にいたるまでをまとめました。

    限りなく網羅的にまとめましたので、愛犬、愛猫に上記の様な経験がある飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    愛犬、愛猫がヘビに噛まれた!?ヘビ中毒とは!?

    犬、猫がヘビに噛まれてしまった時に起こる病態

    犬、猫がヘビに噛まれてしまった時に起こる病態

    マムシは自ら攻撃することはほとんどないと考えられています。

    犬が草むらなどで臭い嗅ぎや、排泄をしているときに傍にいるマムシを刺激して咬まれることが多いです。

    咬まれる場所は決まって鼻先をはじめとした顔面と、足先です。

    ヘビ毒は複数のタンパク質の混合物であり、薬理学的に活性がある物質(ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニン、プロスタグランジン類)を放出させます。

    心臓及び血管にも直接作用し、細胞溶解性ないし溶血性物質を放出させます。

    多くの毒性は抗凝血特性があり、毒液の性質は、春は蛋白分解、秋は酵素分解が多いとされています。

    一般的には、ヘビ毒はヒアルロニダーゼ(これにより毒は組織に広がり浸透する)及びホスホリパーゼ(細胞膜を破壊し、リン酸化を遊離し、血管作用性アミンを放出する)を含んでいます。

    酵素性や非酵素性ポリペプチドは、心毒性及び神経毒性があり組織ペプチダーゼの放出や活性化を起こします。

    犬がマムシ毒に強い理由は、これらの酵素活性が体温の影響を強く受けることから、体温が人より2~3度高い犬の場合、酵素の活性が低くなり、症状が人よりも軽いということのようです。

    犬、猫がヘビに噛まれた時の中毒の症状

    犬、猫がヘビに噛まれた時の中毒の症状

    発症は急速で2時間以内に起こります。

    刺創が観察されることがあります。

    局所の疼痛を伴う腫脹が広がっていき、次第に出血も見られるようになります。

    斑状出血は30~60分以内に咬傷箇所に見られます。

    咬傷の25%は毒液が含まれていませんので、もし毒液注入が生じなかった場合は、斑状出血はなく、小さい浮腫だけです。

    痛みは毒液注入後、重度になります。

    有棘赤血球は毒液注入された犬の多くに認められ、後24時間以内に末梢血液塗抹に見られ、48~72時間で血中から消失します。

    鼻口部の咬傷は、犬の飲食及び体温調節機能に影響及ぼす可能性があります。

    また、意識状態の変化(無気力から沈鬱、昏睡まで)、頻脈、発熱、歩行困難、あざ、可視粘膜蒼白、唾液分泌過多、嘔吐、パンティングなども見られます。

    その他の症状としてはショック状態虚脱、腎臓・肝臓・心臓への影響、及び血液凝固障害です。

    犬、猫がヘビに噛まれた時の治療

    犬、猫がヘビに噛まれた時の治療

    迅速な対応が必要不可欠です。

    毒液拡散を遅延するため中毒動物の動きを制限し、犬を安静に保つ必要があります。

    患肢は固定し、止血帯の使用や、毒吸引のための傷切開といった局所的処置は推奨されませんので、咬傷部位はそっとしておくことです。

    凝結異常や腎不全をチェックするための血液検査や尿検査、浮腫の進行をモニタリングする必要があります。

    対処療法としては、抗ヒスタミンは被害を緩和し、中毒動物が抗蛇毒素のアレルギー反応を防ぐために使われます。

    つまり、抗生剤や消炎剤、止血剤、静脈点滴や、抗ショックの目的でステロイド剤を投与します。

    抗菌薬は感染の証拠がある場合に二次感染の防止に使われます。

    出血が見られる症例や、鼻口部や顔に咬傷がある症例では、全頭で必ず血液凝固障害を確認する必要があります。

    ステロイドは毒液注入後に使用された時は、罹患率や死亡率の増加が報告されていますので、使用は禁忌です。

    また非ステロイド性の抗炎症薬も、毒素の化合物に抗凝血効果をもたらすため、最初の24時間急性期には禁忌です。

    犬、猫がヘビに噛まれた時の抗ヘビ毒素治療

    犬、猫がヘビに噛まれた時の抗ヘビ毒素治療

    抗蛇毒素は毒液を中和するため、中等度から重度の毒液注入や中毒動物に全身症状が見られる場合には勧められます。

    最も効果的なのは 抗蛇毒素は咬傷の4時間以内に与えるべきです。

    8時間後では効果はほとんどなく、12時間後には無効です。

    しかし重度の毒液注入では、抗蛇毒素は咬傷から24時間経過しても効き目があります。

    犬、猫がヘビに噛まれた時の予後

    犬、猫がヘビに噛まれた時の予後

    顔、頭、首では予後が悪いと言われています

    以前噛まれて以来存在する毒の量、蛇の攻撃性、動物の体格、咬傷の位置、数、咬傷後の活動性の量によります。

    毒はリンパを通って吸収され、過度の筋肉の動きは毒が早く広がる原因となります。

    また毒の量は蛇の大きさには関係しません。

    毒液注入が少ないあるいはないときは、局所症状や、全身症状も無く、検査結果も正常となります。

    軽度の毒液注入では、全身症状は進行するのに24~72時間かかります。

    中等度から激しい毒液注入は、大抵明白な局所症状、浮腫、疼痛、及び斑状出血があり、腎不全、肝不全、凝血異常を示します。

    一度マムシに咬まれるとマムシ毒に対する抗体が作られるので、2度目には症状が軽くなることが多いです。

    早期に治療を行えば、予後は比較的良好です。

    十分な点滴で水和状態を改善すれば、多くは問題が起きることはありません。

    犬、猫のヘビに噛まれないための予防

    犬、猫のヘビに噛まれないための予防

    特にお散歩の時に草むらなどに、顔を突っ込ませない様に、行動はある程度制限する必要があります。

    野外には、他にも、犬にとって危険な、ハチ、カエル、クモがいるからです。

    クモ中毒

    カエル中毒

    ハチ中毒

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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