【飼い主向け】これを読めばわかる!犬のフィラリアの生活環とは?【わかりやすく獣医が徹底解説】

    犬のフィラリア症は非常に有名で、耳にした事はあるけど、詳しくは知らない飼い主は多いんではないでしょうか?

    当記事では、フィラリアという寄生虫の実態、生活環、予防の必要性をまとめました。

    犬にとって必要な予防、健康に暮らしていく方法を知りたい飼い主必見です。

    限りなく網羅的にまとめましたので、予防について詳しく知りたい、犬との生活を始められる飼い主、フィラリアの事がよくわからない飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    犬のフィラリアの生活環とは?

    フィラリアとは?

    フィラリアとは?

    フィラリアの成虫

    肺動脈、右心室に寄生します。

    虫体は、乳白色でソーメン状雌成虫:25-30cm雄成虫:12-20cmです。

    異所寄生も知られており、腹腔、前眼房、脳、腹部大動脈系に幼若虫が認められる事があります。

    犬科動物以外にも、猫をはじめとする40種以上の食肉目動物に寄生します。

    海獣類や人への寄生も知られています。

    フィラリアの幼虫

    末梢血中のミクロフィラリア

    雌成虫の子宮から生み出されたミクロフィラリアは0.3mm程度

    ミクロフィラリアは末梢血管内で、1-2年間生存します。

    末梢血液中への出現は、昼間よりも夜間(夜間10時頃が最多)の方が多いという特性(夜間定期出現性)があります。

    フィラリアの生活環

    蚊の吸血時に、傷口からL3が犬の体内に入る
    ※ミクロフィラリアは感染幼虫(L3)まで成長しないと犬の体内には侵入できません。

    組織間移行(180日)
    侵入したL3は約10日で脱皮してL4となり、皮下織、筋膜下、脂肪組織などを移動しながら、約2ヶ月するとL5まで発育します。

    フィラリアの予防はここで行います。
    予防というので、体に入る前に入れない様にするというイメージをしてしまいますが、実際は、体内に入ってきたフィラリアの幼虫(L3)(L4)を駆虫しています。
    お薬は皮下~筋肉にいるフィラリアの幼虫(L3)(L4)を殺すお薬です。



    L5は静脈に侵入

    右心室に寄生(約4ヶ月後)

    肺動脈に寄生(約6ヶ月で未成熟虫から成虫に、一部は右心室)

    更に約7ヶ月でミクロフィラリア産出。(雄雌寄生の場合)

    蚊がミクロフィラリアを吸引

    蚊の体内でL1→ L2→ L3へと成長します。
    (25℃の外気温で2週間、16℃以下、34℃以上では発育不可)
    ※(この時気温が15.6℃以下だと蚊の体内でミクロフィラリアは成長できないと言われています。)

    フィラリアの検査法

    • 末梢血液中のミクロフィラリア
      アセトン集中法、ヘマトクリット毛細管法、フィルター法などの集中法血液厚層ギムザ染色塗抹法、生鮮標本法
    • その他の検査法
      血中抗原検出キット血管造影、超音波検査、CT検査

    フィラリアの駆虫薬

    各発育期虫体に適した対応が必要です。

    1. 成虫:外科的な摘出、抗成虫剤メラルソミン
    2. ミクロフィラリア:抗線虫剤 塩酸レバミゾール 11mg/kg 7-10日
      ヨウ化ジチアザニン 5mg/kg  1-2回/日 3-10日
    3. 経皮的に侵入したL3(3期幼虫)、L4(4期幼虫)に対しては、イベルメクチン、ミルべマイシン、モキシデクチン、セラメクチンなどで予防的に駆虫します。

    フィラリアが人間にも移る!?

    感染成虫を保持しているかが吸血すると、人にも感染する可能性があります。

    日本でも100例以上の靭帯感染例が報告されていますが、自体は解明されていません。

    人の体の中で成虫になる事はないですが、肺で未成熟虫までに発育した虫体の周囲を細胞が取り込んで結節を作り、その部位をX線で検査するとコイン状の陰影が認められる事があります。

    人では無症状の症例が多く、肺動脈の塞栓や皮下、腹腔に腫瘤を形成する事があります。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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