愛猫のその症状!救急、夜間病院受診が必要?その判断方法

愛猫を抱えて救急外来に駆け込まなければいけない状況は、突然やってきます。

動物病院の診療時間外に愛猫が体調を崩して、このまま様子を見てもいいのか悩んだことのある人も多いのでは?

愛猫の変調は突然やってきます。

その時に慌てなくていいように、動物の救急外来、夜間病院について知っておきましょう。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

✔︎本記事の内容

愛猫のその症状!救急、夜間病院受診が必要?その判断方法

猫の夜間病院、救急外来の役割とは?

猫の夜間病院、救急外来の役割とは?

動物の場合、救急外来=夜間病院、つまり一般の病院が営業していない時間帯に体調を崩した動物を見るところです。

その為、基本的には急性・突発性の事故や病気によって生死の境をさまよう動物たちを救命する病院です。

普通、何かの症状でラインした猫に対して、病気を疑い、それに対して検査して、原因を特定して、対処療法していくというのが、一般診療の進め方です。

それに対して救急診療は、命に関わる問題があるかどうか確認して、診断の前にとりあえず安定化させます。

まずは緊急疾患のグレード、必要性を瞬時に判断し、酸素を吸わせる、輸液の準備、抗けいれん剤投与、体温管理などの処置をしながら、同時進行で病気の診断をするのが、救急外来のアプローチです。

救急病院に行くべき症状

救急病院に行くべき症状

まず大原則は、異常があれば受診です。

猫は症状を隠す為、普通の病院の時もそうですが症状が出た時には既に手遅れです。

この手遅れは、もう救うことができないという意味ではなく、病気のステージとしては進んでいるという意味です。

飼い主が自宅で見て、普段と違うのであればそれはもう緊急状態です。

電話で受診の必要性を聞くよりかは、電話で連絡をして受診していただいた方がいいです。

来院理由で多いのは、血便や血尿、嘔吐、下痢、てんかん発作、脚を引きずるなどが多いです。

嘔吐・下痢・血便などの消化器疾患、異物・中毒、てんかんの発作など神経疾患、脳卒中や心臓病などの循環器疾患です。

特に異物・中毒は多く、ほとんどが飼い主の不注意であることが多く、防げる病気です。

上記以外に、見つけづらいものとして呼吸が速い、発熱、粘膜が白い、不整脈、尿が出てないといった時も危険です。

一言に「元気がない」というのは、腹痛や貧血、神経の問題や中毒と様々です。

救急病院に行く判断

救急病院に行く判断

心配であれば受診しましょう。

これが鉄則です。

病院は飼い主の不安を取り除く場所です。

電話で症状を説明していただいて、「これってなぜですか?」と聞かれても、「それは診ていないからわかりません」としか言えません。

飼い主の話だけで、大丈夫とは獣医師は絶対に言いません。

来院するかどうかの結論も、飼い主さんに出していただくしかありません。

下記に受診した方がいいサインを参考までに解説します。

人のトリアージ:START法

人のトリアージ:START法
トリアージとは、「傷病者など治療を受ける必要のある人々の、診療や看護を受ける順番などを決定する診療前の1つの過程」です。

「トリアージ」と聞くと、災害や多数傷病者発生事案での使用を想像してしまいがちですが、日常の救急外来や初診受付、あるいは救急現場、電話相談などで幅広く使用されています。

START Triage(以下、START法)について説明します。

START法で何がわかる?

「災害時」や「多数傷病者発生事案」で用いられているSTART法を使うことで、傷病者の緊急度、重症度をある程度知ることができます。

災害時や多数傷病者発生事案では、「最大多数の傷病者に、最良の医療を提供」しなければなりません。

そのためには、「平時であっても、救命の可能性が極めて低い傷病者」と、「すぐには治療する必要がない傷病者」を識別して、これらの傷病者に対する治療を諦める、あるいは後回しにすることが大切です。

そこでSTART法が一般的に用いられています。

このとき何を見ているかというと、まずは「歩けるかどうか」。

歩けない原因は、呼吸が苦しい、中枢神経障害がある、低血糖、お腹の中が血まみれで血圧が下がっているなどです。

歩けるようなら、とりあえず緊急性は低いと判断できます。

そして、歩けないようなら、次に見ていくのはABCDです。

【A=Airway 気道】
呼吸をしているかどうか
【B=Breath 呼吸】
呼吸数はいつもと同じか
【C=Circulation 循環】
心拍数、舌など粘膜の色はいつもと同じか(真っ白、充血して真っ赤)
足先が冷たくなっていないか
【Dysfunction of the central nervous system 中枢神経】
名前を呼んで、呼びかけに応えるか

これらのどれかに問題があるようなら、緊急性の高い状態と判断できます。

もちろんこの判断をするには、愛犬の正常な状態を知っておくことも大切です。

普段見ておくべき愛猫のポイント

普段見ておくべき愛猫のポイント

いざというとき「いつもと違う」かどうかを判断する基準になります。

呼吸数

  • 愛猫がリラックスしているときに、お腹の上下動を目で見て、15秒に何回呼吸しているかを数える。
  • それを4倍すれば、1分あたりの呼吸数を出せる
  • 心臓の状態が悪くなってくると、呼吸数が上がります。
  • 熱が高い時や激しい遊びをした直後には呼吸数が上がります。静かに横になっている時の呼吸数を計ります。
  • 1分間に20~30回くらいなら正常とされています。
  • 健康な猫は、静かでリズミカルな胸腹部の動きが見られますが口は開いていません。
  • 胸部、腹部だけが異常に大きく動いていたり、吸う時の動きが大きかったり、犬とは異なり口を開けて呼吸しているのは病気の可能性ありです。
  • 早く荒い呼吸(高熱、貧血など)、努力呼吸(肺・呼吸器のトラブルなど)、腹部が苦しそうな呼吸(腹水・脱水など)
  • 30回を超えると異常のサイン、40回を超えた時は赤信号です。
  • 肺水腫など呼吸状態がよくない場合、入院となることが多いですが、自宅で療養する場合は、酸素ゲージなどを使用して安静にする必要があります。
  • 獣医師から酸素室をレンタルするように指示されることがあります。
  • もし、酸素室の用意がない場所で呼吸困難を起こした時は、応急処置として登山用の携帯酸素缶を吸わせるといいでしょう。

心拍数

  • 猫の脈拍数は1分間に130~160なら正常、心拍数は1分間に100~130拍なら正常とされています。
  • 安静時には120くらいが普通で、熱が高い時や興奮時には上昇し、体力の消耗や脱水、ショック症状の時には下降します。
  • 猫の脈拍の正常範囲は広く、脈拍数から病状をチェックするのは難しいので、日頃から触って、大体の数値を確かめておくとよいでしょう。
  • 愛猫がリラックスしているときに、左胸か脚の付け根に手を当てて、15秒に何回脈打っているかを数える。
  • それを4倍すれば、1分あたりの心拍数を出せる
  • 脈拍・心拍数の測り方
    後ろ足の付け根の内側上部3分の1程の所にある動脈に軽く中指をあてて測る。
    心臓の拍動は肘の後ろの胸部に手を当てて測る。(太った猫は分かりづらい)
    首に手を当てて測る。(猫が動きやすく脈を失いがち)
    胸に耳を当てて心拍を直接聞く。
    聴診器を使って測る。安いものなら1000円以内で買えます。

体温

  • 健常な猫の体温は、37.5〜39.2℃。猫用の体温計も販売されています。

舌や歯茎の色

  • 舌や歯茎が白い、青い、黄色いといった変化がない

既往歴

  • 今までの既往症、現病歴
  • いつから悪いのか:急性か慢性
  • 症状の現れる順番
  • 症状の回数・量・内容
    例えば、嘔吐や下痢が続くと脱水になり、二次的に循環不全が起こる。
  • 吐いたものやウンチの色や内容
  • 現在の内服
    重複投与にならないように、具体的な薬の名前
愛猫を病院に運ぶときは、愛猫が楽な状態で、早く連れてくることが最優先です。

万が一呼吸や心臓が止まっている時は、胸部圧迫、心臓マッサージをしていただくことがベストです。

人も自動車学校や講習会で、AEDの使い方や心臓マッサージの方法を説明しています。

ペットの場合は、救えるのは飼い主しかおらず、愛犬、愛猫を救えるように心臓マッサージの方法を習得していることが理想です。

救急病院、夜間病院の問題点

救急病院、夜間病院の問題点

治療費

初診料が8,000円〜10000円

最低限必要な血液検査、レントゲン、超音波に治療費を加えると、大凡4~5万円にはなります。

ここからさらに治療費がかかります。

病院が遠方、存在しない

お住まいの地域、日本では首都圏や大都市以外では殆ど夜間の病院は存在しません。

夜間病院のほどんどは朝5時までで診察が終了しており、通常の動物病院の開院時間までは空白の時間となります。

また、夜間に病院まで移動する手段が確保できるかという問題もあります。

初めての病院に行くストレスや、移動のストレスも考慮しないといけません。

緊急時に病院を探していては遅い

緊急時に病院を探していては遅い

何かあってから探すのでは、パニックになってしまいます。

元気な時に、いざというときはどこに行けばいいのか、調べておくことが大切です。

救急病院にこだわらなくても、かかりつけの獣医師の先生が夜間でも対応してくれるなら、それでOKです。

近所の遅くまで診療している病院や夜間救急がどこにあるのか、何時までやっているかなど、夜間に何かあった場合にどう動けばいいかは、把握しておきましょう。

夜間救急病院は、全都道府県にはないですが、全国の主要都市には必ずあります。

また、ご自宅でいざという時の、常備薬を準備しておく事も重要です。

もしもの時のために必要な常備薬

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no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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