獣医師解説!犬と猫の低Ca 血症(副甲状腺:上皮小体機能低下症)〜原因、症状、治療法〜

    低Ca 血症は小動物でしばしば認められ、そして見落としやすい異常です。

    低Ca 血症の原因は様々です。

    臨床症状(おもに神経・骨格筋症状)が現れるほどの低Ca血症を起こすのは、副甲状腺機能低下症、産褥テタニー、リンの投与、クエン酸の投与などに限られ、病歴や状況だけから診断できることも多いです。

    この記事を読めば、犬と猫の低Ca 血症(副甲状腺機能低下症)の症状、原因、治療法までがわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、犬と猫の低Ca 血症(副甲状腺機能低下症)ついてご存知でない飼い主、また犬や猫を飼い始めた飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    犬と猫の低Ca 血症(副甲状腺機能低下症)〜原因、症状、治療法〜

    犬と猫の低Ca 血症の鑑別診断

    犬と猫の低Ca 血症の鑑別診断

    • 副甲状腺機能低下症
    • 産褥テタニー
    • リンの投与
    • クエン酸を含む血液の急速輸血
    • 急性膵炎
    • 慢性腎不全
    • 急性腎不全
    • 低Mg 血症(PTH 抑制)
    • 低アルブミン血症(みかけの低Ca 血症)
    • エチレングリコール中毒
    • ビタミンD 欠乏症
    • 腫瘍溶解症候群
    • 腸の吸収不良症候群
    • 検査の失宜(クエン酸、EDTA 使用)

    犬と猫の副甲状腺機能低下症

    犬と猫の副甲状腺機能低下症

    原発性副甲状腺機能低下症は、副甲状腺(上皮小体)におけるパラソルモン(PTH)分泌不足を原因とし、低Ca 血症を主徴とする疾患です。

    腎のPTH不応による偽性副甲状腺機能低下症は犬や猫では報告がないです。

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の原因

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の原因

    自然発症の副甲状腺機能低下症は、副甲状腺の形成不全や特発性の副甲状腺萎縮を原因とし、若~中年齢で発生します。

    占拠性腫瘍や甲状腺摘出術により副甲状腺が破壊されて発症することもあります。

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の臨床症状

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の臨床症状

    血清Ca が7mg/dL 未満になると食欲不振、虚弱、振戦、運動失調、頭部の押しつけなどの症状が現れ始めます。

    血清Ca が6 mg/dL 未満になるとテタニー(けいれん)、意識消失などが現れ、血清Caが4 mg/dL 未満になると死亡します。

    副甲状腺機能低下症の犬や猫の半数以上では白内障がみられます。

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の臨床検査

    原発性副甲状腺機能低下症では、低Ca 血症(<7 mg/dL)が高P 血症(> 6 mg/dL)特徴です。

    併発疾患がないかぎり他の異常はみられません。

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の確定診断

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の確定診断

    低Ca 血症にもかかわらず血清PTH が低値~正常(<30 pg/ml)であれば副甲状腺機能低下症と診断します。

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の治療

    犬と猫の副甲状腺機能低下症の治療

    1) 低Ca 性テタニーにおける緊急治療

    低カルシウムテタニーと頭蓋内疾患による間代強直けいれんは、血清Ca 値を知らない限り区別できません。

    緊急治療としてジアゼパム(ホリゾン)やミダゾラム(ドルミカム)で止めることができますし、止めてよいです。

    遊泳運動はマイナートランキライザーでは止まらないので、むやみに増量しない。

    可能な限り心電図モニターを装着し、8.5%グルコン酸カルシウム(カルチコール、大日本)0.5~1.5 ml/kg を緩徐に静脈内投与します。

    徐脈、不整脈が発現する場合には投与を一時中断します。

    投与後に少量採血して血清カルシウムを測定し、8~10 mg/dL になるまで投与を継続します。

    この時点で神経症状は緩和されているはずです。

    グルコン酸カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム製剤を皮下投与してはなりません。

    これらの製剤は、十分に希釈したとしても、皮下投与によって広範な皮下壊死を起こすことがあります(塩化カルシウムでは皮下壊死が必発する)。

    この皮下壊死は治療不可能なほど重篤になることがあります。

    希釈したグルコン酸カルシウムを皮下投与した場合、脱水した動物、削痩した動物、低アルブミン血症の動物では皮下壊死のリスクがとくに高いようです。

    皮下から血行へのカルシウム移行が悪く、皮下に高濃度のカルシウムが残留しやすいためです。

    2) 維持治療

    治療の目標は、血清カルシウム値を維持し、テタニーなどの神経症状を予防し、生活の質を保つことです。

    治療には活性型ビタミンD3 製剤を用い、初期にはカルシウム製剤を併用します。

    血清カルシウム濃度が安定すれば、カルシウム製剤は漸減中止します。

    通常の食餌には充分量のカルシウムが含まれているからです。

    臨床症状が消失している限り、血清カルシウム濃度は低めに維持するのがよいです。

    血清カルシウム濃度の目標は8~9 mg/dL とします。

    活性型ビタミンD3 製剤を用いた治療では、高リン血症は是正されません。

    血清カルシウム濃度(mg/dL)× 血清無機リン濃度(mg/dL)が70 を超えると、軟部組織の石灰化や腎不全により予後が悪化します。

    a) 活性型ビタミンD3 製剤

    • アルファカルシドール(アルファロール、中外;ワンアルファ、帝人)
    • 0.03~0.06 μg/kg PO q24hr
    • カルシトリオール(ロカルトロール、ロシュ)
    • 0.03~0.06 μg/kg PO q24hr

    b) カルシウム製剤

    沈降炭酸カルシウム(各社)100~250 mg/kg PO q24hr

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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