調子が悪いので、動物病院で血液検査をしたら炎症の値が高いと言われた・・・
健康診断をしたら、炎症の値が高いので、点滴やステロイドを勧められた・・・
炎症の値が高いと言われると心配ですよね。
血液検査では、体のどこかに炎症が起きているということまでしか教えてくれません!
炎症があることがわかったら、レントゲン検査や、超音波検査で炎症が起こっている場所を特定する必要があります。
炎症の数値の上昇は、実際の臨床現場でも非常に多い症状であり、感染による炎症や、非感染性の炎症、腫瘍により上がりますので、鑑別が非常に重要です。
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 人に移るの?
- 治る病気なの?
- 危ない状態なのか?
- 治療してしっかり治る?
これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
病院で血液検査だけを行って、炎症の値が高いからといって、安易にステロイド(プレドニン)や抗生剤を出された場合は注意が必要です!
結論から言うと、炎症の値が高値の場合は、体内のどこかに炎症が起きていることが示唆されます。
しかし、非特異的な検査であり、疾患を特定することは難しいです。
スクリーニング検査として有用で、予想外の高値が得られた場合には、他の検査で炎症部位や原因を検索します。
感染症のほか、特発性多発性関節炎や炎症性腸疾患などの炎症性疾患や腫瘍などでも高値を示すことがありますので、安易なステロイド内服は感染症を助長させますので、危険です。
この記事では、愛犬や愛猫の炎症の値が高い(犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA))ことの理由ついて、その理由をアカデミックな面からまとめました。
この記事を読めば、愛犬や愛猫の炎症の値が高い(犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA))ことの原因、症状、治療法がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の炎症の値が高い(犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA))ことの理由を知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!
✔︎本記事の内容
獣医師解説!炎症の値が高い!?犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA)とは?血液検査を徹底解説!〜炎症性蛋白編〜
この記事の目次
C反応性蛋白 (CRP : C-reactive protein)
CRPは急性炎症で血中に増加する急性相蛋白の一つです。
急性相蛋白では 最も広く臨床応用されているものです。
a酸性糖蛋白(ai-AGP)よりも早く反応します。
非特異的な検査であり、感染症や自己免疫疾患などの全身性の炎症性疾患の有無や病勢、治療効果の判定に利用されています。
検査のときに気をつけること
犬では性差はなく、年齢の影響を受けません。
測定値は、 個体内での日内変動は小さいが個体差があります。
妊娠後期には7~8mg/dL程度の上昇がみられることがあり、解釈には注意が必要です。
猫では、CRPは炎症の指標として鋭敏ではなく利用されていません。
CRPの参照値(単位:mg/dL)
異常値がみられたときに疑う疾患
感染症を含めさまざまな炎症疾患で上昇します。
バベシア症、エールリヒア症、子宮蓄膿症などの感染症のほか、特発性多発性関節炎や炎症性腸疾患などの炎症性疾患や腫瘍などでも高値を示すことがあります。
一方で、退行性の関節炎や子宮内膜過形成など炎症を伴わない疾患では上昇しないことが多いです。
雌犬では妊娠の後期で上昇することが知られています。
また、リンパ腫などの腫瘍の病勢判定に用いられることもあります。
腹水の原因を探るために腹水中のCRPを測定することがあり、滲出液では高値に、漏出液では低値になります。
異常値を示す疾患・原因
- 重度感染症
- 自己免疫性溶血性貧血
- 腫瘍
- 妊娠後期
- 多発性関節炎
- 各種感染症
- 炎症性胃腸炎
- 臨床的な意義はない
異常値がみられたときどうするか
高値の場合は、体内のどこかに炎症が起きていることが示唆されます。
しかし、非特異的な検査であり、疾患を特定することは難しいです。
スクリーニング検査として有用で、予想外の高値が得られた場合には、他の検査で炎症部位や原因を検索します。
- CRP は犬の非特異的な炎症マーカーとして利用される。
血清アミロイド A (SAA: serum amyloid A)
SAAは急性炎症で増加する急性相蛋白で炎症部位からのサイトカイン分泌に反応して肝臓で合成されます。
犬でも猫でも鋭敏に上昇するため、炎症マーカーとして有用です。
非特異的なマーカーであり、疾患部位や原因を特定することはできません。
スクリーニング検査として利用されます。
犬ではすでにCRPが普及しているためSAAを測定する機会は少ないですが、猫ではCRP測定が有用ではないため、有用な急性炎症マーカーです。
SAAの参照値(ug/mL)
検査によってわかること
SAA は急性炎症性蛋白です。
猫では、同じく急性炎症性蛋白であるa1糖蛋白 (a1-AGP)とよく相関します。
栄研の測定試薬を用いた報告の正常値は 0.4 μg/mL 程度であり、異常時には 10 ug/mL を超えて著しく高値になることも多いです。
数値の変化は鋭敏であり、例えば避妊手術であれば3時間後から上昇が始まり、手術後1日程度 でピークとなります。
手術後経時的に変化を追った報告では3~4日目には減少することが多いです。
これまでにSAA が増加すると考えられている疾患を下記にまとめました。
急性膵炎などの炎症性疾患、FIP などの感染症で増加が認められるほか、中皮腫、リンパ腫などの腫瘍や、糖尿病、腎不全、甲状腺機能亢進症など、非炎症性と考えられている疾患でも上昇することが報告されています。
SAA が増加する疾患
- 急性膵炎
- FIP
- 中皮腫
- 外傷
- 手術
- リンパ腫
- 糖尿病
- 甲状腺機能亢進症
- 腎不全
- 猫の炎症マーカーとしては SAAやα1-AGP が測定されます。