獣医師解説!腎臓の値が悪い?犬や猫の血液検査を徹底解説!〜腎臓の値編〜(BUN、Cre、SDMA)

    調子が悪いので、動物病院で血液検査をしたら腎臓の値が高い、腎臓が悪いと言われた・・・

    健康診断をしたら、腎臓の値が高く腎臓が悪いので、点滴や腎臓用の食事、薬を勧められた・・・

    腎臓の値が高いと言われると心配ですよね。血液検査では、腎臓の機能の低下までしか教えてくれません!腎臓が悪い原因としては、年齢による腎不全、結石、腫瘍、腎盂腎炎などの炎症と様々なので、レントゲン検査や、超音波検査で鑑別する必要があります。

    腎臓の数値の上昇は、実際の臨床現場でも非常に多い症状です。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた

    という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

    情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

    その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    病院で血液検査だけを行って、炎症の値が高いからといって、安易にステロイド(プレドニン)や抗生剤を出された場合は注意が必要です!

    結論から言うと、腎臓の値が高値の場合は、BUNとCreは腎機能の75%が失われないと上昇しないのに対して、SDMAは25%の機能損失で上昇します。

    体調が悪くなった時に、血液検査をしてBUN,Creを測定して上昇していた時には、病気がかなり進行してしまっているため、定期的なSDMAの検査が早期発見には必要です。

    この記事は、愛犬や愛猫の腎臓の値(BUN,Cre,SDMA)が悪いと病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の腎臓の値(BUN,Cre,SDMA)が悪いことが何を意味するかがわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の腎臓の値(BUN,Cre,SDMA)について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    獣医師解説!犬や猫の尿素窒素 (血中尿素窒素:BUN:Blood Urea Nitrogen)

    この記事の目次

    腎臓の検査について

    腎臓は様々な役割を担っています。

    最も重要な機能は老廃物の排泄です。

    老廃物の排泄は、糸球体から血液を濾過することで行っています。

    どれくらいの老廃物が糸球体から排泄されているかを示した指標が糸球体濾過量(GFR)です。

    腎臓病では、GFRこそが最も重要な「腎機能の指標」です。

    最近、BUNやCreとは異なる新しいGFRマーカーが利用可能になっています。

    なぜなら、BUNやCreといった従来の指標は、腎機能以外の影響を受けるという問題も抱えているために、その信頼性を低下させています。

    特にBUNは脱水、摂食、食事中の蛋白含有量といった要因に影響を受けやすく、腎機能検査の指標としてはあまり優れていいません。

    Creは筋肉量に依存し、筋肉量は性別、品種、年齢、疾患状態で変化します。

    特に体重差が大きい犬種間で同一の参考範囲でCreを評価することは難しいです。

    新しいマーカーとして利用されているのは、シスタチンCと対称性ジメチルアルギニン(SDMA)です。

    本記事では、腎臓の機能=GFRを表す、BUN、Cre、CysC、SDMAといったマーカーをまとめてみました。

    尿素窒素(BUN:Blood Urea Nitrogen

    この文章は消さないでください。
    腎不全、高窒素血症、脱水

    体内で不要になったアンモニアは大部分が肝臓で尿素に代謝され、尿素は再利用されることなく腎臓から尿中に排泄されます。

    血中尿素窒素(BUN) の上昇は、 糸球体濾過率 (GFR)が正常の25%程度までに低下した場合に顕著になります。

    糸球体濾過率は腎臓の機能を表します。

    そのため、 腎機能評価の鋭敏な指標とはならないです。

    しかし測定が容易であるため、腎機能の指標として広く用いられています。

    一方で、食事、窒素代謝、肝機能、消化管出血など腎臓以外の因子の影響によってもBUNの値は変化するので、結果の解釈には注意が必要です。

    検査のときに気をつけること

    獣医領域で汎用されている検査機関・機器での参照値を下記に示しました。

    高蛋白の食事の摂取により BUN は高値となり、蛋白量を制限した食事では BUN は低くなります。

    BUN の参照値(単位:mg/dL)

    異常値がみられたときに疑う疾患

    BUN が低値となる疾患

    BUN の低下自体は直接的な障害を及ぼさないです。

    しかし、肝不全などの疾患を示唆することもあり、より確定的な検査の必要性を示唆する指標となります。

    門脈体循環シャントで低値となることがあり、BUN が低値の場合はアンモニア測定などを実施します。

    重度肝障害以外で BUN が低値となるのは低蛋白食を給餌されている場合が多いので、予想外の低値の場合には食事を確認します。

    腎機能が正常で多尿の場合にも BUN は低下するので、飲水量、尿量を確認します。

    尿石溶解用の特別療法食には飲水量が増加するように工夫されているものがあります。

    特別療法食開始後のBUNの低下は、特別療法食のコンプライアンスの確認に使用できます。

    BUN が高値となる疾患
    ポイント
    • BUN の値が 50 mg/dL 程度までの上昇は、高蛋白食の摂取や手術・腫瘍・重度感 染症などに起因する異化亢進によっても生じます。
    • また、テトラサイクリン系の薬剤により異化亢進を起こすことがあります。
    • 消化管出血では腸管内で血液が分解されて NH3 が発生し吸収されるため、BUN の上昇をみることがあります。
    • そのような症例で脱水傾向がある場合には、一層 BUN が上昇しやすいです。
    • しかし、腎機能が正常な場合には出血によるBUN の上昇は必ずしも明らかではないので、BUN の上昇を消化管出血の指標として用いることは難しいです。

    現実的には、中程度以上の BUN の上昇は腎血流量の減少または腎障害に起因することが多いです。

    腎血流量の減少の原因としては、 重度心不全、ショック、重度脱水などがよくみられます。

    腎障害では、糸球体濾過率が 25%以下に低下するまでは BUN はあまり上昇しないです。

    軽度の腎機能低下を評価したい場合には、クレアチニンクリアランス試験などが必要になります。

    BUN が異常となる疾患・病態

    低値
    • 肝不全
    • 門脈体循環シャント
    • 低蛋白食
    • 飢餓
    • 多飲多尿
    高値
    • 腎不全
    • 脱水
    • 循環不全
    • 薬物(抗生剤、非ステロイド性抗炎症薬など)
    • 異化亢進(発熱、腫瘍など)
    ポイント
    • 血中尿素窒素(BUN) の上昇は、 糸球体濾過率が正常の25%程度までに低下した場合に顕著になります。
    • 血中尿素窒素(BUN) の上昇は、腎性、腎前性、腎後性に分類されて原因を追求します。
    • 腎機能評価の鋭敏な指標ではないですが、測定が容易であるため、腎機能の指標として広く用いられています。

    クレアチニン (creatinine)

    この文章は消さないでください。
    腎不全

    クレアチニンは筋肉内においてクレアチンから作られます。

    クレアチニンの産生量はクレアチンと比例するため筋肉量と関係します。

    血中に放出されたクレアチニンは腎臓で尿中へ濾過され、尿細管で再吸収を受けません。

    そのため、クレアチニンは糸球体濾過率をよく反映します。

    しかしながら、血清クレアチニンは糸球体濾過率が正常の60%程度にまで低下しないと上昇しないとされています。

    検査のときに気をつけること

    獣医領域で汎用されている検査機関・機器での参照値を下記に示しました。

    溶血したサンプルでは高値となります。

    クレアチニンの参照値(mg/dL)

    異常値がみられたときに疑う疾患

    血清クレアチニンは主に腎機能の評価に用いられます。

    クレアチニンが低値となる場合、診断的な意味はあまりないが、筋疾患などで筋肉量が減少している場合や多尿傾向にある場合にはクレアチニンは低下します。

    一方、クレアチニンが高値となるのは、 腎不全、脱水など糸球体濾過率が低下する場合や尿路系に異常がある場合です。

    筋肉量の少ない動物では、腎不全があってもクレアチニンが上昇しにくいです。

    血中クレアチニンが異常となる疾患・原因

    尿中クレアチニン

    尿中には血中のクレアチニンが排出されます。

    尿中のクレアチニン濃度は尿の濃縮の程度に関係しています。

    尿中の他の物質の濃度を測定したい場合(例えば尿蛋白の定量)、その物質濃度は尿濃縮の度合いに強く影響を受けます。

    そこで、尿中クレアチニン濃度を標準物質として用いることで半定量的な評価が可能になります。

    尿中クレアチニンを標準物質として用いる主な検査を下記に示しました。

    尿中クレアチニンを標準化に用いる主な検査

    ポイント
    • クレアチニンは筋肉内において作られるため、筋肉量と関係します。
    • 糸球体濾過率 (GFR)が正常の60%程度にまで低下しないと上昇しない。
    • BUNの検査と同じく、鋭敏な検査ではないため、早期の腎臓病発見の血液検査が求められます。

    SDMA

    SDMAは、アルギニンがメチル化されることで作られる代謝産物の一つです。

    SDMAの90%以上は腎臓での糸球体濾過によって排泄されます。

    SDMA の上昇は、糸球体濾過率(GFR)の高感度の指標で損傷を意味し、腎機能の低下を示しています。

    ヒトでは、SDMAは心血管性疾患の発生と関連することが報告され、その血清濃度の変化はGFRと独立して心血管性疾患の状態と関連する可能性があります (Am Heart J. 2016. 182:54-61.)。

    イヌおよびネコでも血清SDMA濃度はGFRと良好に相関します。

    ネコでは2つの研究が血清SDMA濃度と血漿クリアランス法により測定したGFR値との相関性を報告し(J Vet Intern Med. 2014. 28(6):1676、および28(6):1699)、イヌでも同様の報告がなされています(J Vet Intern Med. 2015. 29(4):1036、および2016. 30(3):794)。

    加えて、イヌおよびネコでは、長期的に評価した患者の多くで、血清Cre濃度が参考範囲を超える前から血清SDMA濃度はカットオフ値(イヌおよびネコの両者共に、14µg/dL)を超えていたことを明らかにしました。

    この血清SDMA濃度の上昇は、イヌで血清Creの上昇の平均9.5ヶ月、ネコで平均17ヶ月前から認められていました。

    さらに、SDMAはCreと異なり筋肉量に影響されないことも報告されています(Vet J. 2014. 202(3):588、 J Vet Intern Med. 2015. 29(3):808)。

    しかし、いずれの研究をみても、血清SDMA濃度はGFRとの相関性に関しては血清Cre濃度のGFRとの相関性と差を示していません(図2)。

    つまり、外来患者でのその時点のGFRを評価しようとした場合、SDMAとCreの信頼性は同じということになります。

    CKDの早期から上昇してくるという点は、GFRに依存せず、他の要因(ヒトでいえば、血管傷害のような)によって上昇している可能性があります。

    しかし、SDMAがCreよりも優る点は、体重および筋肉量に影響されないということです。

    筋肉量の影響はCreの最大の弱点であり、特に高齢の動物では筋肉量の減少がCreのGFRマーカーとしての有用性を低下させています。

    そのため、高齢で筋肉量が低下している患者では、あるいは削瘻した患者では、CreよりもSDMAの測定はGFRをより正確に表しているということになります。

    クレアチニンよりも高感度

    クレアチニンは、腎機能が最高75%喪失するまで上昇しないのに対し、SDMAは腎機能がわずか25%喪失した時点で上昇します。

    クレアチニンやBUN値とは異なり、SDMAは、GFRを過大評価する可能性のある要因には影響を受けません。(食事、筋肉量、消化管内出血、脱水など)

    SDMAは腎機能に特異的であり、体の状態、高齢、病状などの腎外性因子による影響は受けにくいです。

    高値を示す場合は、治療介入しなければ、長期的な腎障害のリスクにさらされます。

    クレアチニンよりもより信頼できるSDMAは、筋力低下を伴う高齢猫において、クレアチニンよりも信頼できます。

    CKD(慢性腎臓病)を患う犬・猫の場合、SDMA値はクレアチニン値よりも早く上昇します。

    慢性腎臓病(CKD)を患う猫21匹を対象にした回顧的縦断研究の結果では、SDMAは血清クレアチニンよりも平均で17か月早く(1.5~48か月の期間)上昇したとされています。

    慢性腎臓病(CKD)を患う犬19匹を対象にした回顧的縦断研究の結果では、SDMA値は血清クレアチニンよりも平均で9.8か月早く(2.2~27か月の期間)上昇したとされています。

    異常値がみられたときに疑う疾患

    SDMA濃度の上昇は、糸球体濾過率(GFR)の障害を反映しています。

    原発性の腎臓病と合併症などの続発性の腎臓損傷の双方が、SDMA濃度の上昇の原因となっている可能性があります。

    このアルゴリズムに従い、SDMA濃度の上昇を調べ、急性、進行中、または慢性の腎臓損傷が起きているかどうかを判断します。

    またこのアルゴリズムは、SDMAの上昇のさらなる調査、管理、プロトコルによる監視にも使用できます。

    15 µg / dL以下

    • SDMAの値は正常。

    15–19 µg/dL

    • SDMAが高い(15 µg/dL 以上)場合は処置を行います。
    • アルゴリズムに従い、腎臓病を発症している可能性があるかどうかを判断します。

    ≥20 µg/dL

    • SDMAの値が20 µg/dL以上の場合は、尿検査一式を行います。
    • 腎臓病を発症している可能性があります。

    SDMAが上昇した場合に行う検査と管理

    調べる

    基礎疾患、治療可能な状態、合併症、慢性腎疾患(CKD)の発症の有無

    基礎疾患
    • 尿路感染症(UTI)/腎盂腎炎
    • 毒性(例: NSAIDs、エチレングリコール、ユリ)
    • 急性腎障害
    • 全身性高血圧症
    • 慢性腎臓病(CKD)
    検討する検査
    • 尿培養検査と最小発育阻止濃度(MIC)感受性
    • 感染症の検査
    • 腹部臓器の画像診断
    • 尿タンパク:クレアチン(UPC)比(タンパク尿)
    • 血圧
    評価する合併症
    • 水分補給状態
    • 甲状腺の状態(猫)

    管理する

    基礎疾患の治療、評価した腎障害の管理、治療プロトコルの調整

    適切な治療
    • 基礎疾患(腎盂腎炎、感染症など)
    • 脱水
    • 腎毒性薬(NSAID [薬剤性腎障害] など)の服用の中止
    • 高血圧
    • タンパク尿
    追加のサポート
    • 十分な、きれいな水
    • 必要であれば腎臓にやさしい食事療法
    麻酔プロトコルの調整
    • 輸液(静脈内または皮下)
    • 処置前、処置中、処置後の酸素療法
    • 痛み管理の調整

    監視

    結果の管理と監視

    腎臓のバイオマーカーの監視

    以下の傾向検査:

    • SDMA、BUN(尿素窒素)、クレアチニン、リン
    • 尿検査
    • 血圧

    結果

    SDMAは引き続き上昇しているものの、安定

    GFR障害、安定

    • GFRは引き続き障害があるが、安定
    • CKD(慢性腎臓病)の可能性を検討し、IRISのCKD病期分類と治療ガイドラインを確認
    • 適切な治療を行い、経過観察する

    SDMAが引き続き上昇

    GFR障害、進行性

    • 進行中の腎障害
    • 再来院時に再検査:再度または追加で診断を行う
    • 支援治療の継続
    SDMAは正常値に戻る

    GFRの回復

    • 軽傷からの回復
    • 適切な治療への反応
    • 代償メカニズム
    • 6か月~1年以内に再確認

    SDMAが異常となる疾患・病態

    腎臓病を早期に発見
    • 慢性腎臓病 (CKD)
    • 急性腎障害 (AKI)
    • 腎盂腎炎
    • 上部尿路閉塞
    • 腎結石
    • 糸球体腎炎
    • 先天性腎疾患
    腎臓病以外でも腎臓への影響を反映
    • 甲状腺機能亢進症
    • ベクター媒介性疾患
    • 全身性高血圧
    • 心腎連関下部尿路閉塞
    • 敗血症
    • がん
    • 腎毒性物質
    ポイント
    • SDMAの上昇は、GFRの損傷を示すため、腎臓の疾患の検出と腎臓に影響を及ぼす他の疾患プロセスの指針となります。
    • SDMAを標準的な通常の検査パネルの一部として組み込むことで、
    • 腎臓の健康を特定、治療し、効果的に管理し、患者の生活を改善(延命できる可能性もあり)することができます。

    新しいマーカー、シスタチンC

    シスタチンC(CysC)は、全ての有核細胞で産生される低分子蛋白で腎臓からのみ排泄されます。

    ヒトでは、CysCはCreよりも優れたGFRマーカーであることが示されていますが、イヌおよびネコではCysCのGFRマーカーとしての有用性に関する報告は少ないです。

    ヒトでは体重、性別に影響を受けないために、GFRをよりよく反映するとされていますが、残念ながらイヌでは体重の影響を受けてしまいます。

    Creほどではありませんが、大型犬ではより高い値を示しています。

    GFRとの相関性はCreと大きな差はありませんが、小型犬ではGFRがある一定以上低下してもCreは参考範囲を超えにくいため、小型犬に限ってCysCはCreよりもGFRの低下をより早期の段階で検出できます。

    CysCはネコでは正確なGFRマーカーではなく、Creに劣ります。

    腎臓マーカーの限界

    新しいマーカーが利用できるようになり、GFRの正確な評価がより容易に行える環境が整ってきていますが、問題はGFRマーカーが腎臓以外の要因に影響されるということよりも、GFRそのものが多数の腎外性要因に影響されるということです。

    GFRそのものが、摂食、食事内容(摂取タンパク量、ナトリウム量)、飲水量、水和状態、日内変動(夜間はGFRが低下する)、薬剤(ステロイド剤、利尿薬、ACE阻害薬、甲状腺疾患治療薬など)といった多くの腎外性要因によって変動するのです。

    そのため、BUN、Cre、CysC、SDMAといったいずれのマーカーを用いたとしても、GFRに影響する腎外性要因を考慮しなければなりません。

    少なくとも、GFRを評価する際には、絶食下(絶水は不可)で、同じ時間帯、脱水していない状態、GFRに影響する薬剤は服用していないといった一定の条件下で実施する必要があります。

    これらが守られなければ、如何なる方法を用いようとも正確にGFRを評価することは不可能です。

    慢性腎臓病はどういう病気?

    慢性に経過し不可逆的に進行する腎臓機能障害です。

    慢性腎臓病は、高齢猫の最大35%、猫全体では最大10%が罹患していると言われています。

    壊れたところは治りません。

    腎臓内には、「糸球体」といわれる、血液を原尿にろ過する場所があります。

    「ネフロン」とは尿排泄系の最小単位でボーマン嚢(内部に毛細血管のループからなる糸球体を含む)と尿細管からなります。

    ネフロンの50%が損傷を受け、そこでのろ過率(糸球体ろ過率:GFR)が低下すると、傷ついた部分は新しく形成されないため残ったネフロンが200%の仕事を補うことになります。

    (ろ過率の亢進→糸球体硬化)

    慢性腎臓病の診断

    腎臓のステージ分類

     

    IRISの分類 ステージⅠ

    残りのネフロンの割合~33%(100%中)

    • 尿検査、エコー検査…うすい尿(多尿・多飲・脱水・便秘)・異常像が見つかることがあります。
    • 血液検査…異常なし

    尿中には微量のタンパクが出ることもある。

    IRISの分類 ステージⅡ

    残りのネフロンの割合33~25%

    • 臨床症状はない、またはごくわずか(尿が増えた…と思うくらい)
    • 血液検査…クレアチニン1.4~2.0(犬)、1.6~2.8(猫)

    IRISの分類 ステージⅢ

    残りのネフロンの割合25~10%

    • 様々な臨床症状(貧血・代謝性アシドーシスなど)
    • 血液検査…クレアチニン2.1~5.0(犬)、2.9~5.0(猫)

    IRISの分類 ステージⅣ

    残りのネフロンの割合25~10%(10%以下)

    • 尿毒症
    • 血液検査…クレアチニン>5.0(犬猫)

    (血液検査)

    小型犬の場合クレアチニンが基準値以内(1.0位)でも糸球体ろ過量が低下している場合があるため注意が必要。

    浸透圧 (osmolality)

    この文章は消さないでください。
    腎不全、腹膜透析、尿崩症

    血漿の浸透圧は腹膜透析の透析液などを選択する際必要になります。

    液体の浸透圧を決定するのは溶けている溶質の濃度(数)です。

    細胞外液では陽イオンとしてNaイオンが多くを占め、K、Ca、Mg イオンも少量含まれます。

    BUNやグルコースなども浸透圧に関与する程度の量存在しています。

    陰イオンは陽イオンと同数(同じ電荷になるように)存在します。

    これらのことから血漿中の浸透圧は以 下の式で近似されます。

    血漿浸透圧 %=2 × (Na + K) + 血糖値 / 18 + BUN/2.8

    犬・猫の文献的な浸透圧の参照値(単位:mOsm/kg) 
    280~310
     

    腹膜透析

    実際の臨床現場で浸透圧のデータが必要な状況は多くないですが、腎不全の腹膜透析を行う際の透析液の決定に利用されます。

    例えば Na 144 mEq/L、K6mEq/L、血糖値 120 mg/dL、BUN 140 mg/dL の腎不全症例では、上の式から浸透圧はおよそ357 mOsm/kgとなります。

    この症例で腹膜透析を考慮する場合、浸透圧が 357 mOsm/kg 以上の腹膜透析液を入れることになります。

    計算したとおりに水分が除去できないような場合には浸透圧を実測することもあります。

    腎臓病の治療

    腎臓病の治療

    病気は徐々に進行し、病気そのものが改善することはないです。

    ○保存療法(病気の進行を遅らせる)

    食事療法・内科療法・輸液療法など

    ○対象療法(症状を軽減する)

    輸液療法・食事療法・内科療法など

    食事療法の目的

    1. 残存ネフロンの保存(残り33~25%)→進行を遅らせる
    2. 尿毒症症状の軽減(残り25~0%)→症状を抑える

    食事管理のポイント(充分なカロリー摂取も重要)

    腎臓がかなり悪くなってから食事療法食に変更しようとしてもすでに食欲が落ちている…

    食事療法はステージの2から勧められている。

    慢性腎臓病が進んでからの食事療法は難しい。

    ◎病気の進行を遅らせる
    • リンの制限+リン吸着剤(リンの制限が生存期間をのばす一つの方法)
    • タンパク質の制限
    • EPA・DHA(血管拡張作用があり、糸球体ろ過が上昇)
    • 抗酸化物質
    ◎症状を抑える
    • タンパク質の制限
    • 代謝性アシドーシスの補正
    • サイリウム

    !食事中のリンの制限

    リンはタンパク質に多く含まれているためタンパク資源を厳選し、量を調節。

    腸管リン吸着剤…炭酸カルシウムなどを用いて排出させる。

    !食事性タンパク質の制限

    腎性のタンパク尿を認める場合

    →タンパク尿は腎障害の進行の要因の一つ・腎臓病が進行すると食欲不振となり食事の変更が困難。

    腎性のタンパク尿が診断されたら初期からタンパク質を制限。

    また、抗酸化物質(ビタミンE・ビタミンC・ルテイン・タウリン・ポリフェノール)は慢性腎臓病の進行を遅らせる。

    ◎代謝性アシドーシスの補正

    腎機能が低下するとNH₄⁺の排泄減少→H⁺の排泄減少

    HCO₃⁻の再吸収低下→代謝性アシドーシス

    アルカリ化する成分としてクエン酸カルシウム 炭酸カルシウムが有効

    ◎サイリウム(インドオオバコ種子外皮由来の植物性繊維)

    →自然由来の粘滑剤、水分を吸収してゲルを形成し元の量の10倍まで膨張する。

    慢性腎臓病では複合的な原因から便秘が生じるのでこのような食物繊維が含まれている食事が適している。

    ◎充分なカロリー摂取

    慢性腎臓病では正常よりも要求カロリーが増加。

    エネルギー摂取不足で蛋白質の利用効率が低下→エネルギー要求量を満たしていればこの変化はない

    低BCSスコアの慢性腎臓病の犬では生存期間が短い

    →高カロリーの食事、食べることがなにより大事

    給与時の注意

    1.毎日食事を3~4回に分けて与える→消化吸収率を最大にする

    2.38~39℃に温めて与えるとより嗜好性が高まる→香り、風味アップ

    腎臓の食事療法

    腎臓用の食事について知りたい方はこちらの記事もどうぞ

    腎臓の内科療法

    輸液療法

    慢性腎不全では、多尿、食欲低下、嘔吐などの症状により体液量が減少し、脱水症状を起こします。

    脱水は腎臓の血流を悪くし、腎臓にさらなるダメージを与え、迅速に脱水の改善を行わなければ重篤な腎機能障害を引き起こします。

    いったん水分の喪失が補正されても腎不全は完治することはないため、その後も絶えず体液は喪失し続けます。

    そのため慢性腎不全の治療には、脱水の補正と、尿毒素を薄めるために継続的な輸液療法が必要となります。

    点滴には皮下点滴と静脈点滴(血管点滴)があります。

    人は皮膚の下に余裕がないため、血管点滴が主ですが、犬や猫の場合は、皮膚の下にゆとりがあることが多いので、皮下点滴をすることも多いです。

    皮下点滴
    • 通院可能で、短い時間で終わる
    • 点滴のセットさえ貰えば、自宅でも可能
    • 一度に大量の補液が可能(120~200ml:40ml/kg)
    • ステージが重い、状態が悪い場合は効果が薄いことも
    • 左右に偏ると一時的に前足が、むくんで腫れることも(治療の必要はなく一時的)
    静脈点滴
    • 効果が出るのが早い
    • ステージが重い犬や猫には必須
    • 少しづつ補液するため、入院が必要
    • 入院費も合わせると費用がやや高額

    輸液は、主に乳酸リンゲル液が用いられることが多いですが、血液検査で血清カリウム濃度やカルシウム値が高値の場合は、生理食塩水を用いることもあります。

    IRISによるネコの腎臓病のステージングが発表され、ネコの腎臓病の治療はかなり進んできています。

    それほど症状が強くでないような早期の腎臓病(ステージ1~2)の治療指針がはっきりし、長期コントロールも可能になってきました。

    以前は脱水改善のための点滴や、高窒素血症予防のための食餌治療が治療のメインでありましたが、タンパク尿や高血圧がある場合には、早期から薬によりそれらの治療をすることで腎臓のダメージの進行を防ぐことが可能になってきています。

    リン吸着剤

    ろ過率(糸球体ろ過率:GFR)が低下すると尿中へのリン排泄量が減少し、血中のリン濃度が増加します。

    血中のリン濃度の上昇は、溶血や多飲多尿、血中カルシウム濃度の上昇など、様々な機序で身体に悪影響を及ぼします。

    血中のリン濃度を下げるための治療には、上記の輸液療法(リンの排泄促進)、食事療法(リン制限食)、リン吸着剤の投与(リンの吸収抑制)などがあります。

    リン吸着剤には、効果がある順に、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、塩酸セベラマー、炭酸ランタン、キトサンなどがあります。

    しかし、水酸化アルミニウム製剤は、犬で長期投与により小赤血球性の貧血を引き起こす可能性があり、現在は一般的ではありません。

    また、炭酸ランタンは獣医領域での明確なエビデンスがありません。

    そのため、実際の臨床現場で使われることの多い炭酸カルシウム製剤、キトサン、塩酸セベラマー製剤などのリン吸着剤をご紹介します。

    ①炭酸カルシウム製剤

    商品名:カリナール®1(バイエル、サプリメント、パウダータイプ)

    作用機序は、リンの吸着と、血中のカルシウム濃度を上げることによりリンを下げます。

    「カリナール1」は消化管内で食物由来のリンを吸着し、消化管内で食物由来のリンをしっかり吸着し、主成分である炭酸カルシウムは胃酸の影響を受けて胃内で遊離し、食物由来のリン酸イオンと結合、難溶性のリン酸カルシウムを形成して糞便中に排泄されます。

    炭酸カルシウムは90%以上の髙いリン除去率を持っています。

    (体内ではリンとカルシウムの値の積が一定になるように調節されています。)

    リン吸着剤としての効果は水酸化アルミニウム製剤より弱いですが、水酸化アルミニウムのような毒性はありません

    炭酸カルシウムによる高カルシウム血症の誘発が懸念されるともいわれていますが、食事に混ぜ、かつ適切に投与すればその可能性はかなり低いといわれています。

    しかし、腎不全によって、あるいは他の疾患によって高カルシウム血症をすでに起こしている場合は、念のため塩酸セベラマー製剤の方を使用します。

    血中カルシウム値の上昇は、腎臓の石灰化などにより腎不全悪化のリスクもあります。

    反対に、腎不全により高リン血症を起こしている場合、低カルシウム血症を併発していることもあります(体内のリンとカルシウムの値の積は一定に調節されているため)。

    この場合、炭酸カルシウムを使用することで、低カルシウム血症を是正することができる利点もあります。

    給与方法以下の量を目安に食事に混ぜて与えます。

    給与量は一日の食事の回数に合わせて、2~3回にわけ給与できます。

    ドライフードの場合は、パウダーを少量の水で湿らせフードに混ぜて与えます。

    • 体重2.5kg以下/スプーン1杯
    • 体重2.5kg~5kg/スプーン2杯
    • 体重5kg~7.5kg/スプーン3杯
    • 体重7.5kg~10kg/スプーン4杯
    • 10kg以上は2.5kgごとにスプーン1杯を給与
    しっかり吸着!消化管内で食物由来のリンを吸着します!「カリナール1」は消化管内で食物由来のリンを吸着し、「カリナール2」は消化管内の毒素を低減します。 一緒に給与することで、腎臓の健康維持をさらにサポートします。 水になじみやすい無味無臭のパウダーなので、給与しやすくフードの味を阻害しません。処方食との併用で、さらにサポートします。
    ②炭酸カルシウム製剤+キトサン

    商品名:イパキチン™(日本全薬工業、サプリメント、パウダータイプ)

    キトサンと炭酸カルシウムの配合剤で、食物に含まれるリンと老廃物の両方を消化管内で吸着します。

    キトサンは血中の尿素を腸内に移動させて糞便に排泄させる効果をもちます。

    炭酸カルシウムについては、上記の通りです。

    利点は無味無臭のパウダータイプなので、与えやすくフードの味を損ないません。サラサラでふりかけやすく、水にも混ぜやすくなっています。

    欠点は少し量が多いことになります。

    腎不全の猫ちゃんにイパキチン35日給与後、血清リン濃度35%減少、BUN値29%減少のデータがあります。

    イパキチン (Ipakitine) 

    イパキチンは、犬・猫の慢性腎不全をサポートするためのサプリメント。

    体内のリンや毒素の蓄積に働きかけ、腎不全の悪化が引き起こす尿毒症の予防が期待できます。

    イパキチンは、体内のリンや老廃物の蓄積に働きかけることで、腎機能の健康をサポートするためのサプリメントです。無味無臭のパウダータイプですので、与えやすさも特徴の一つです。日本でも同商品名、同成分で取り扱われている商品です。

    イパチキンには、リン除去作用がある炭酸カルシウムや、リンやアンモニアなどを吸収するキトサンが配合されており、慢性腎不全などによる尿毒症を引き起こす物質に働きかけるとされています。

    イパキチンは、腎臓の健康をサポートする働きが期待できるサプリメントです。

    体重5kgに対して1gの量を1日2回、朝・夕方、食事に混ぜて与えてください。

    イパチキン、IPAKITINE、動物用、サプリメント
    ③塩酸セベラマー製剤

    商品名:レナジェル®錠(人体用薬、錠剤、1日2回)

    炭酸カルシウム製剤よりもカルシウム負荷のないリン吸着剤であり、カルシウム×リンの積値も抑制し、石灰化抑制効果が期待されます。

    血中カルシウム値の高い場合は、こちらのリン吸着剤を使用します。

    ④塩化第二鉄

    商品名:レンジアレン®(エランコジャパン、サプリメント、パウダータイプ、1日1包を食事の回数に分けて給与)

    バレイショデンプン、ショ糖、酸化第二鉄、炭酸ナトリウムなどを原料とする、無味無臭の粉剤です。

    食事中や消化管内のリンを吸着し便から排出する働きがあります。

    食事中のリンを吸着するので、1包を食事の回数に分けて食事と一緒に与えます。

    療法食が続けられない(食べない食べムラがある)もっと食事中のリンを減らしたいとき

    1. リンをしっかり吸着します。レンジアレンは食餌中の遊離リンと腸管内で生じた遊離リンをすばやく吸着します。

    2. 給与が容易で、利便性に優れています。

    高い嗜好性 : 84%の症例で嗜好性が「素晴らしい」または「高い」と判定されました。

    <特徴>

    1. リンを吸着します。
    2. 血中カルシウム値が高く、錠剤が苦手な場合にもおすすめです。
    3. 1包0.25gと量が少ないため、給与しやすいのも特徴です。
    4. 給与が容易で、利便性に優れています。
    5. 嗜好性が高く、療法食を続けられない場合や食餌変更ができない場合にもオススメ。

    <留意>

    • ネフガードとの併用は吸着作用を減弱するおそれがあります。
    • 尿毒素吸着剤(コバルジン・クレメジン等)との併用は可能です。
    • ニューキノロン薬との併用はお控えいただくか、使用後2時間以上間隔を空けてご使用下さい。
    • 原材料の鉄分の影響により、便が黒色になることがありますが、健康には問題ありません。
    • また、まれですが下痢を起こすこともあります。

    <給与方法>

    フードに混ぜる、または食後に水に混ぜて与えるか、直接お与え下さい。

    <給与量>

    猫:1日1包

    犬:体重5kgあたり1日1包(体調に合せて4倍量まで増量可能)

    ネフガードとの併用は吸着作用を減弱するおそれがあります。
    ⑤活性炭

    腎臓病などで腎機能が低下すると、老廃物を血液中から尿へと十分にろ過できなくなり、老廃物が血液中に蓄積してしまいます。

    蓄積した老廃物は、血液の循環で腸管に戻ります。

    活性炭は、戻ってきた老廃物を腸管内で吸着し、便と一緒に排出させることで、腎機能をサポートします。

    経口吸着炭は、特殊な活性炭を薬にし、腸の中でいろいろな物質を吸着します。

    腎不全が進行して現れる症状を尿毒症といいますが、腎不全の場合は、腎臓に負担となるような尿毒症毒素が蓄積します。

    活性炭は尿毒症毒素を吸着し、腎機能の低下を抑える働きがあります。

    腎不全における体内の毒素を吸着し、便と一緒に排泄することで尿毒症を改善する薬です。

    腎不全では老廃物などを排泄する腎臓の機能が低下し、体内に毒素が残りやすい状態ですので、活性炭は体内で毒素などを吸着し、吸着した毒素を便と一緒に体外へ排泄する作用をもちます。

    本剤は活性炭の製剤であり、体内に毒素が蓄積する尿毒症の改善作用をあらわします。

    本剤は通常、食後2時間後や食間(食事から食事までの中間時間)などに服用します。

    詳しい薬理作用

    腎不全では老廃物などを排泄する腎臓の機能が低下していて、体内に毒素が残りやすい状態になっています。

    活性炭は毒素を含む化学物質を吸着する作用をもちます。

    活性炭を体内へ摂取すると、毒素が体内へ吸収される前に活性炭が毒素をあらかじめ吸着し、便と一緒に体外へ排泄します。

    これにより体内に毒素が蓄積する尿毒症を改善することができます。

    本剤は活性炭製剤であり、腎不全により排出できない体内の毒素を吸着し、体外へ便と一緒に排泄する作用により尿毒症を改善します。

    尚、本剤の吸着作用により、他の治療薬などを同時に服用するとそれらの治療薬の吸収や効果の減弱の可能性があるため、本剤の服用は他の治療薬と間隔をあけて行います。(本剤は通常、食後2時間後や食間〔食事から食事までの中間時間〕などに服用する)

    コバルジン(動物用医薬品、パウダータイプ)

    クレメジンという石油系の活性炭を使用しており、無味無臭で、尿毒素や老廃物を選択的に吸着しますが、副作用として便秘や下痢を起こすことがあります。

    猫の慢性腎不全における尿毒症症状の発現の抑制に使用されます。

    副作用が出ない子もいますが、もし便秘になってしまった子に使い続けると、嘔吐や食欲不振など、かえって体調を崩してしまうこともあります。

    猫:慢性腎不全における尿毒症症状の発現の抑制 1包中に球形吸着炭(クレメジン原体)400mgを含有する黒色球形の粒子。 経口投与により、猫の慢性腎不全における尿毒症症状の発現を抑制。

    ネフガード(サプリメント、粒(錠剤)と顆粒の2種類)

    主成分であるヘルスカーボンは植物を主原料とした自然派の活性炭です。

    多孔性(微小な穴が多数あいている)構造体で、強い吸着作用をもっています。

    粒タイプは崩れやすく、溶けやすいので、すばやく与える必要があります。

    顆粒タイプは少しジャリジャリ感がありますが、粒タイプとどちらが与えやすいかは好みによります。

    無味無臭で、コバルジンよりも便秘の副作用が起きにくいです。

    犬猫の体重別に1日に下記の量を目安に食べさせてください。

    • 〜5kg:1スティック
    • 6〜10kg:2スティック
    • 11〜20kg:3スティック
    • 21〜30kg:4スティック
    • 31kg〜:5スティック

     

    • 〜5kg:2〜3粒
    • 6〜10kg:4〜6粒
    • 11〜20kg:7〜9粒
    • 21〜30kg:10〜12粒
    • 31kg〜:13〜15粒

    犬猫の体調に合わせて2倍量まで増量することが出来ます。

    ネフガードの主成分であるヘルスカーボンは植物を原料として作られた、自然派の活性炭です。多孔性構造体で、吸着力が強く、分子量100〜90,000位までの物質を吸着します。
    ネフガードの主成分であるヘルスカーボンは植物を原料として作られた、自然派の活性炭です。多孔性構造体で、吸着力が強く、分子量100〜90,000位までの物質を吸着します
    活性炭配合フード:腎ケア PPレーベル、腎ケア BPレーベル

    「ベッツセレクション 腎ケア」は、臨床獣医師との共同開発により誕生した動物病院専用の高付加価値機能食です。

    腎臓の健康維持に配慮し、活性炭(ヘルスカーボン(R))配合。(200mg/100g)

    体力が衰えた猫に配慮し、総合栄養食となっています。

    活性炭は腸内で溜まっている尿毒素を吸収し、そのまま便として体の外に出す役割をしてくれます。

    穀類たん白は「国産米」のみ使用。とうもろこし、小麦粉、大豆不使用の低アレルゲン仕様。

    食欲不振時の栄養補給に配慮し、優れ、尿石に配慮されています。

    猫用腎ケアのカギとなる活性炭配合の療法食で、日本製の国産です。

    ポーク味(PPレーベル)だけだった腎ケアに、新しくビーフ味(BPレーベル)ができました。

    「PP」はポークプロテイン、「BP」はビーフプロテインの略称です。

    主原料となる「動物性タンパク質源」に、味を変化させた2種を用意することにより、飽きて食べなくなるリスクに配慮しました。

    臨床獣医師との共同開発により誕生した「動物病院専用」の高付加価値機能食
    臨床獣医師との共同開発により誕生した「動物病院専用」の高付加価値機能食、ビーフプロテインを使用!

    整腸剤

    腸内細菌の善玉菌を増やす「腸活」により慢性腎臓病の進行を抑える治療です。

    腸内細菌は腸内に常に生息している細菌であり、悪玉菌は尿毒素といわれる、慢性腎臓病によってたまる体に有害な老廃物をつくり、これが慢性腎臓病をさらに悪化させます。

    そうすると、さらに悪玉菌が増え、尿毒素が増えるという悪循環に陥ります。

    比較的新しい腎不全の治療として、サプリメント等により腸内に善玉菌を取り入れる腸活により、善玉菌が窒素老廃物を栄養源として利用・代謝してくれることで、代謝された窒素老廃物が吸収されることなく排泄され、慢性腎臓病の進行を抑えてくれることが期待されます。

    商品名:アゾディル™(全薬工業、サプリメント、カプセル錠、長径1.3cm、1日2回)

    犬猫の腎臓の健康をサポートしQOL(クオリティオブライフ)の維持に貢献します。
    全米シェアNo.1心腎サポート犬猫用健康補助食品でアメリカシェアNO.1※ ※Animalytix LLC 調べ

    1. 1窒素老廃物を栄養源として利用できる選び抜かれた3種の善玉菌(Kibow Biotech, Inc.特許取得)
      ①ストレプトコッカス・サーモフィルス(KB19)
      ②ラクトバチルス・アシドフィルス(KB27)
      ③ビフィドバクテリウム・ロンガム(KB31)
    2. ひとつのカプセルに150億個以上の生菌数
      それぞれの菌株が50億個以上、計150億個以上/カプセル
      ●冷蔵庫に保管してください
    3. 腸まで届くカプセル
      胃で溶けず大腸で溶ける腸溶性カプセル採用

    給与方法1日当たり下記の量を目安に、単独もしくは少量の食物と一緒に与えてください。
    体重                   朝         夕
    2kg 未満      | 1カプセル |   ―
    2kg ~ 5kg未満   | 1カプセル | 1カプセル
    5kg 以上      | 2カプセル | 1カプセル

    窒素老廃物を栄養源にして3種の善玉菌が腸内環境を整えてくれます。

    一つのカプセルに150億個以上の生きた菌が存在します。

    腸陽性カプセルとなっており、カプセルのまま与えることにより胃酸の影響を受けずに大腸まで生きた菌が届きます。

    欠点として約1.3cmとやや大きいサイズなので、どうしてもカプセルのまま飲ませられない場合はカプセルを開けて、ウェットフードなどにかけて与えても有効な報告があります。

    その場合、脂質を含むものに混ぜて与えることで、より胃酸の影響を受けにくく、腸まで届く生菌数を増やせます。

    他のデメリットとしては、抗生物質との相性が悪いことです。

    何らかの理由で抗生物質を経口投与しなければならない場合、抗生物質が、一緒に投与されたアゾディルの善玉菌まで消化管内で死滅させてしまう可能性があるため、十分な効果が得られないかもしれません。

    それでも抗生物質を服用しなければならない場合は、4~5時間以上間隔を空けて与えます。

    また、コンベニアという2週間効果の持続する動物用の抗生物質の注射を使用すると、腸が血液から吸収した抗生物質が多少効いてしまうかもしれませんが、投与ルートが別であることと、コンベニアの有効菌種とアゾディルに含まれる3菌種は完全には合致しないため、アゾディルの3種菌が完全に死滅する可能性は低いと思われます。

    犬猫の腎臓の健康をサポートしQOL(クオリティオブライフ)の維持に貢献します
    商品名:カリナール®2(バイエル、サプリメント、パウダータイプ)

    基本的にはアゾディルと同様のコンセプトのもとにつくられた、アゾディルよりも前に発売された腸活サプリメントで、こちらは乳酸菌が主な善玉菌として含まれています。

    カリナール2の成分は、乳酸菌などの善玉菌の栄養となります。

    善玉菌は増殖する時に窒素物を利用するため、消化管内の窒素物が低減します。

    カリナール2により善玉菌を腸に補うことで悪玉菌の増殖を抑え、消化管内の窒素物を低減します。

    「カリナール1」は消化管内で食物由来のリンを吸着し、「カリナール2」は消化管内の毒素を低減します。

    一緒に給与することで、腎臓の健康維持をさらにサポートします。

    カリナール1とカリナール2を一緒に給与することで、リン吸着および窒素老廃物の吸収抑制とのコンビネーションによる相乗作用が期待されますが、現在は下記のカリナールコンボという、カリナール1とカリナール2の合剤も出ています。

    無味無臭となっていますが、乳酸菌が入っているため舐めるとほんのりと酸味があり、猫ちゃんによっては嫌がる可能性もあります。

    処方食との併用が可能で、さらにサポートします。

    「カリナール1」は消化管内で食物由来のリンを吸着し、「カリナール2」は消化管内の毒素を低減します。 一緒に給与することで、腎臓の健康維持をさらにサポートします。 水になじみやすい無味無臭のパウダーなので、給与しやすくフードの味を阻害しません。処方食との併用で、さらにサポートします。
    商品名:カリナール®コンボ(バイエル、サプリメント、パウダータイプ)

    カリナール1のリン吸着作用と、カリナール2の腸内善玉菌による作用の両方を合わせもつサプリメントです。

    カリナール1とカリナール2をあわせて飲むよりは、こちらのカリナールコンボの方が作用が一石二鳥で量も少なくて済みます。

    「リン吸着」「プレバイオティクス」「プロバイオティクス」のトリプルアクションで、7歳齢からの犬・猫の腎臓の健康をきっちり管理できます。

    カリナールが進化したオールインワンタイプの健康補助食品です。

    リン吸着と消化管内窒素物のケアを同時に行うことができ、中高齢期のワンちゃんネコちゃんの腎臓の健康を維持します。

    オールインワンタイプだから与えやすくて便利で、無味無臭のパウダーだから、いつものフードの味を阻害しません。

    療養食との併用をおすすめします。

    トリプルアクションで、腎臓の健康をきっちり管理します!

    腎不全の進行抑制が期待される新しい薬

    商品名:ラプロス®(動物用医薬品、共立製薬、錠剤、1日2回)

    動物用医薬品で初めて「腎機能低下の抑制」が効能・効果で認められた猫用の治療薬です。

    長期間の投薬を考慮した直径6mmの飲ませやすい小さな錠剤となっています。

    このお薬は、慢性腎臓病による腎臓組織の悪化にブレーキをかけ、より長く腎臓が働くようにすることを目的としたものです。

    毎日投与することで、腎機能の低下を抑制します。

    <薬理作用>

    1. 血管内細胞保護作用 :腎臓間質の血管を保護して、血液の流れを維持します。
    2. 血管拡張作用 :腎臓間質の血流量をアップさせ、腎臓の線維化を防止します。
    3. 炎症性サイトカイン産生抑制作用 :腎臓のさらなる線維化を防止します
    4. 抗血小板作用 :血液の流れをスムーズに 「ラプロス」の投与により、腎臓の血流がよくなるだけではなく,消化管・肝臓などの血流もよくなるので、食欲増加、活動性の向上なども期待できます。

    慢性腎臓病は、腎臓の中の尿細管間質というところが線維化(簡単にいうと弾力がなくなり硬くなる)を起こし、そこから炎症が起こることで血流が悪化し、細胞が低酸素状態となり、するとさらに線維化を起こし、という

    線維化 ⇔ 炎症 ⇔ 低酸素状態

    の悪循環により進行していきます。

    ラプロスは上に挙げた①~④の薬理作用により、腎臓の尿細管間質内の血管を強くし、拡張し、微小血栓の形成を抑制することにより、腎臓の血流を増加させ、まずは「低酸素状態を改善」させます。

    さらに、炎症性サイトカイン産生抑制作用により「炎症を抑制」します。

    ラプロスは、このように様々な薬理作用によって腎機能低下の悪循環に歯止めをかけ、腎不全の進行をゆっくりにするお薬です。

    研究結果からは、投薬開始から2カ月ほどしてから、飲ませていない群との明らかな差(食欲や体重の維持など)が表れてくるようです。

    現在のところ、ベラプロストナトリウムはネコの腎臓病(ステージ2~3)に対する認可を得ており、その有効性が確認されています。

    従来の薬は、タンパク尿や高血圧を改善することで腎臓のダメージを抑えることがメインの目的でしたが、

    ベラプロストナトリウムは炎症性サイトカイン産生抑制作用や抗血小板作用など炎症を抑えることで腎臓の保護作用をするという側面があり、その新たな効果に期待の高い薬です。

    尿中への蛋白漏出を抑制する薬剤

    慢性腎不全では蛋白尿(アルブミン尿)を見ることが多いです。

    蛋白尿の検出は腎障害の目安であると同時に、蛋白尿自体が腎臓尿細管間質障害の原因あるいは増悪因子となり、蛋白尿を減少させることが腎不全の進行を抑制するものと考えられています。

    蛋白尿成分が腎臓内の近位尿細管に取り込まれると炎症細胞の浸潤、活性化が促進され、腎不全が進行すると考えられています。

    獣医領域で慢性腎臓病用として認可された初めての薬剤はACE阻害薬であるベナゼプリルでした。

    最近では、テルミサルタン:ミカルディスも腎臓病用として認可されています。

    腎臓病用ですが、全ての慢性腎臓病に有効ではなく、蛋白尿の抑制にのみ有効とされています。

    慢性腎臓病のすべてが蛋白尿を生じるわけではありません。

    腎臓病用であるということから、すべての慢性腎臓病の患者に投与している例が多いように思えます。

    しかし、この薬剤はあらゆる慢性腎臓病に対して有効であると証明されたわけではなく、蛋白尿の抑制にのみ有効とされています。

    慢性腎臓病のすべてが蛋白尿を生じるわけではありません。

    盲目的に同じ治療をすることがよいわけではなく、その病態、進行速度も異なっています。

    腎臓病だからこの薬剤を投与するといった短絡的な治療選択は、有害反応やコストといったことから患者、飼い主を苦しめる可能性もあります。

    セミントラ(動物用医薬品、有効成分:テルミサルタン、経口液剤、1日1回)

    セミントラ

    無味無臭の液体です。

    0.5kg刻みの体重目盛りが表記されたシリンジが付属されていて、体重量のセミントラをシリンジに吸い、飲ませます。

    セミントラ猫用(Semintra)4mg 

    セミントラは、有効成分のテルミサルタンを含有する猫の慢性腎臓病治療薬です。

    セミントラの有効成分であるテルミサルタンは、血管を収縮させる物質であるアンジオテンシンⅡが、血管の特定部位に結びつくのを防ぐことで、血管収縮を抑えます。

    腎臓の輸出細動脈を拡張することで、糸球体内圧を低下させて、たんぱく尿の漏出を緩和します。

    テルミサルタンは、99%以上が胆汁を介して便中に排泄され、排泄が腎機能に依存しないことから、腎臓へ負担をかけない薬剤です。

    購入はこちらから!

    効果
    猫:慢性腎臓病(慢性腎不全)における尿蛋白の漏出抑制

    使用方法
    本剤を1日1回、体重1kg当たりテルミサルタンとして1.0mgを、添付の計量シリンジを用いて直接経口投与します。
    必要な場合には少量(小さじ程度)の食餌に混ぜて投与します。

    4kgの猫ちゃんで約1カ月で1本使い切ります。

    フォルテコール(動物用医薬品、錠剤、バニラフレーバー、1日1回)

    フォルテコール

    腎不全における蛋白尿発現のメカニズムは血液を原尿にろ過する糸球体の内圧上昇によるものと考えられており、フォルテコールは糸球体内の降圧作用の結果、蛋白尿を改善します。

    糸球体内圧は低下しますが、腎血流量を増加させることにより糸球体での原尿へのろ過率が維持されます。

    猫が好きなバニラフレーバーとなっており、比較的投薬しやすいです。

    フォルテコール(Fortekor)5mg[犬猫兼用]

    フォルテコールは、犬・猫用の心不全・腎臓病の薬です。有効成分のベナゼプリル塩酸塩を含有しています。

    レニン・アンジオテンシン系は、腎臓にとって生理学的に非常に重要なシステムですが、そのシステムが腎臓病の進展と密接に関与しています。

    慢性腎臓病では、その原因にかかわらず、最終的にはネフロンの数が減少し、進行していきます。

    ネフロン数がある一定以上少なくなっていくと、腎臓による体内の恒常性を維持できなくなります(老廃物の蓄積、体液調節の異常)。

    そのため、1つ1つのネフロンの機能を向上させることによって、代償しようとします。

    その代償作用は、糸球体の濾過面積を増大させる糸球体肥大と糸球体濾過を駆動する糸球体内静水圧を上昇させる糸球体高血圧によって達成されます。

    この代償作用にアンジオテンシンIIが関わっており、代償作用が長期的になることによって糸球体を破壊することにつながります。

    そのため、慢性腎臓病ではレニン・アンジオテンシン系の関与が重要であると認識されるようになりました。

    蛋白尿を生じさせる糸球体疾患では、レニン・アンジオテンシン系の抑制薬の投与が標準的に行われます。

    糸球体高血圧が蛋白尿の悪化と関連するために、糸球体高血圧の抑制が蛋白尿の軽減に繋がります。

    ヒトでは、ACE阻害薬およびアンジオテンシンII受容体薬(ARB)の多くが蛋白尿の軽減効果を持つことが報告されています。

    レニン・アンジオテンシン系の抑制は、糸球体疾患での蛋白尿の抑制効果に伴う慢性腎臓病の進行抑制として意義があります。

    糸球体疾患の1つであるX連鎖部遺伝性腎症のサモエド犬で行われた研究では、エナラプリルの投与は、蛋白尿の軽減および生存期間の改善を示しています (J Comp Pathol. 1997;117(3):209-25.)。

    フォルテコールの有効成分であるベナゼプリル塩酸塩は、血管を収縮させている物質(アンジオテンシンⅡ)を生成する酵素(アンジオテンシン変換酵素)の働きを抑えて、アンジオテンシンⅡの産生を抑えることで、末梢の血管を拡げます。

    心臓の働きを助けたり、尿中にタンパクが漏れ出すのを防ぎ腎臓を保護したりします。

    特殊なコーティング技術を応用しているフォルテコールは、口の中で溶けずに胃の中で溶けるため、苦味を感じないのが特徴です。

    購入はこちらから!

    効果
    犬:僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全の症状の改善
    猫:慢性腎不全における尿蛋白の漏出抑制

    使用方法
    犬:
    体重1kg当たりベナゼプリル塩酸塩として0.25mg~1.0mgを1日1回経口投与する。
    体重別には、通常次の投与量による。

    • 2.5kg以上10.0kg未満  0.5錠
    • 10.0kg以上20.0kg未満  1錠
    • 20.0kg以上30.0kg未満  1.5錠
    • 30.0kg以上40.0kg未満  2錠

    猫:
    体重1kg当たりベナゼプリル塩酸塩として0.5mg~1.0mgを1日1回経口投与する。
    体重別には、通常次の投与量による。

    • 2.5kg以上5.0kg未満      0.5錠
    • 5.0kg以上10.0kg未満      1錠

    糸球体肥大や糸球体高血圧といった慢性腎臓病の悪化要因を考慮すれば、あらゆるタイプの慢性腎臓病に対して、ACE阻害薬は有効と考えられています。

    一方で蛋白尿が重度でない(糸球体疾患ではない)ヒトの患者では、ACE阻害薬やARBの有用性は制限されています。

    イヌおよびネコでのベナゼプリルを用いた臨床試験では、いずれも予後の改善は認められていません(J Vet Intern Med. 2006;20(5):1054, 2017;31(4):1113) 。

    少なくとも蛋白尿がある(糸球体疾患でなかったとしても)慢性腎臓病の患者に対してのみ、レニン・アンジオテンシン系の抑制薬を投与する正当性があることを示しています。

    脱水や腎血流量が低下する状況下では、ACE阻害薬やARBの投与はさらなる腎血流量の低下を招く可能性があることから、、すべての患者で盲目的に投与することは問題です。

    腎性貧血に対する治療

    慢性腎臓病の猫の30~65%が、腎不全の悪化に伴って貧血を生じるといわれています。

    その主な原因は、赤血球の骨髄産生を調節する腎性ホルモンであるエリスロポエチンの産生が減少することと、進行した腎不全による尿毒症が赤血球の寿命を縮めることによるといわれています。

    赤血球造血刺激因子(ESA)製剤による治療

    エリスロポエチン産生の減少による赤血球の産生低下を補うために、遺伝子組み換え型エリスロポエチン製剤(ESA)による治療が腎性貧血を起こしている多くの犬と猫に有効です。

    犬では、貧血の程度を表すヘマトクリット値(PCV)が25%よりも低下した場合、ESA療法が適応となります。

    猫では、PCVが20%よりも低下した場合、適応となります。

    商品名:エスポ―(有効成分:エポエチン、週3回、皮下注射)

    ヘマトクリット値が目標範囲の下限(犬:25%、猫:20%程度が目安)に到達するまで週3回(1日おき)の注射(皮下投与)を行います。

    効果は通常3~4週間以内に認められます。

    商品名:ネスプ(有効成分:ダルべポエチン、週一回、皮下注射)

    遺伝子組み換え型人エリスロポエチン類似物質で、獣医療でも多く使用されています。

    ダルべポエチンの半減期(血中の薬剤濃度が半分になる期間)はエポエチンと比較すると犬では約3倍長いといわれ、そのため週3回ではなく、週1回のみの注射(皮下投与)で可能です。

    ヘマトクリット値が目標範囲の下限(25%程度が目安)に到達するまで週1回の皮下投与を行います。

    目標値に到達したらその後は投与量を20~25%減量するか、投与回数を2~3週間ごとに減らします。

    効果は2~3週間以内に現れることが多く、反応が現れた場合は3~4週間以内には目標のヘマトクリット値に到達することがほとんどです。

    猫での有効率は約60~65%といわれています。

    最終的に約1カ月ごとに、減量した投与量で継続的に注射することでヘマトクリット値をある程度維持できますが、完全にやめてしまうと数カ月後に貧血が再発することが少なくありません。

    また、ESA療法により高血圧や注射後の体調不良を起こすことがあるため、注意が必要となります。

    プロラクト鉄(共立製薬、サプリメント、錠剤、直径7mm、1日1回)

    上記のようなESA療法がうまくいかない一つの原因として、赤血球生成に利用可能な鉄の欠乏が指摘されています。

    鉄はヘモグロビンの生成および赤血球の働きに必要なもので、慢性腎臓病に陥っている猫の多くは、相対的な鉄欠乏の状態にあります。

    鉄剤はESAを投与されているすべての猫に投与すべきともいわれています。

    プロラクト鉄タブは猫ちゃんが飲みやすいように魚味のフレーバーになっています。

    投与により便が黒くなることがあります。

    鉄とその吸収を促すためのビタミンB群および葉酸をバランスよく配合しています。嗜好性に配慮して、鉄特有の味を美味しい魚味でマスキングし、さらにラクトフェリンを配合することで、「おなかにやさしく、美味しく続けられる鉄製品」となっています。

    1日当たり、以下の量を目安に1〜2回に分け、そのまま、または食事に混ぜて与えてください。

    • 5kg 未満:1粒
    • 5〜15kg 未満:2粒
    • 15kg 以上:3粒
    • 猫:1粒

    腎不全の進行に伴う食欲低下に対しての食欲増進剤

    ミルタザピン(商品名:レメロン、1日おき、錠剤)

    人医療ではうつ病の治療に用いられていますが、近年は食欲刺激剤として人医学でも幅広く使用されており、獣医療でも同様に使用されています。

    入院中の犬と猫について行われたある研究では、ミルタザピンの投与により80%以上の猫において食欲の刺激効果が認められたそうです。

    腎不全は積極的に治療していても徐々に進行するとしだいに食欲が低下することがよくあります。

    そのような場合にも、ミルタザピンによる食欲増進効果は期待できます。

    ただし、抗うつ剤ということもあり、薬理作用にノルアドレナリンというホルモンの分泌を促進する作用も含まれており、投与後に若干ソワソワしたり興奮したりという行動や性格の変化を伴うこともよくあります。

    お薬の効果が切れれば元に戻ります。

    しかし、何とか食べて体重を維持するのは非常に重要で、腎不全治療中であっても食欲低下によりいったん体重が減ってしまうと、体重をまた盛り返すのは困難です。

    また、予後としてもよく食べる子=やや太り気味の子の方が体力があるので、いいと言われております。

    食欲が落ちて体重が減り気味の場合は積極的に投与を検討します。

    レメロン(Remeron)30mg 

    レメロンは、有効成分のミルタザピンを含む抗うつ薬です。

    人では抗うつ剤として使用されていますが、犬や猫においては慢性腎臓病などが原因となる食欲減退時に制吐作用や食欲刺激作用を期待して使用されます。

    飼い始めや引っ越し時などにみられる精神的な食欲減退に対しても食欲刺激作用を期待して使用することができます。

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    効果
    犬・猫
    制吐作用、食欲刺激作用

    ※本来はヒト用の医薬品ですが、動物用の医薬品としても使用可能です。

    使用方法

    体重1kgあたり1.1~1.3mgを1日1回経口投与します。
    投与量は1日1頭あたり30mgを超えないこと。


    1頭あたり1.88mgを2日に1回経口投与します。

    嘔吐に対して、制吐剤

    マロピタント(商品名:セレニア、販売元:ゾエティス、皮下注射・経口投与、1日1回)

    腎不全が進行すると嘔吐の症状もみられるようになります。

    マロピタントは嘔吐の症状を中枢から抑え、いくつかある制吐剤の中でも最も強力な制吐作用をもつ即効性・持続性のあるお薬になります。

    しかし、副作用はほとんどありません。

    強いて言えば、皮下注射をする際の注射部位の疼痛です。

          

    嘔吐すると、ぐったりしたり、逆流性食道炎、電解質喪失、脱水、誤嚥性肺炎を起こす可能性があります。

    セレニア(Cerenia)は、犬用の制吐剤ですが、猫にも使用可能です。

    嘔吐は、具体的に胃の内容物が食道を逆流し口から排出される症状ですが、この原因はある刺激が嘔吐中枢に伝達する事から起こります。

    有効成分・マロピタント(Maropitant)は、嘔吐の原因となるニューロキニン1(NK1)受容体とサブスタンスPの結合を阻止する働きがあります。

    その結果、嘔吐中枢に直接働きかけるため、嘔吐を抑制および予防をすることができます。

    また、セレニア(Cerenia)は、投与後はおよそ1時間で効果が現れます。

    購入はこちらから!

    ●体重別に下記参照

    1.0kg以上~1.1kg未満  8mg     7.6kg以上~10.1kg未満   80mg
    
    1.1kg以上~1.6kg未満  12mg    10.1kg以上~15.1kg未満  120mg
    
    1.6kg以上~2.1kg未満  16mg    15.1kg以上~20.1kg未満  160mg
    
    2.1kg以上~3.1kg未満  24mg    20.1kg以上~30.1kg未満  240mg
    
    3.1kg以上~4.1kg未満  32mg    30.1kg以上~40.1kg未満  320mg
    
    4.1kg以上~6.1kg未満  48mg    40.1kg以上~60.1kg未満  480mg
    
    6.1kg以上~7.6kg未満  60mg    60.1kg以上~80.1kg未満  640mg

    腎性高血圧症に対しての降圧剤

    高血圧は慢性腎不全の猫において一般的であり、腎性高血圧の原因となる正確な機序はまだ解明されていませんが、多くの要因が複雑に関わっていると考えられています。

    腎性高血圧は、眼、脳、心臓、腎臓などの臓器にさらなる障害を起こしたり、典型的な高血圧による症状としては、網膜剥離や眼底出血を起こし失明を起こすことがあります。

    アムロジピン(錠剤、1日1~2回)

    カルシウム拮抗薬であるアムロジピンは、強い血管拡張作用をもち、高血圧の合併症としての眼底出血や網膜剥離、あるいは神経障害に対し降圧剤として使用されます。

    腎性高血圧の猫において、アムロジピンは血圧を20%以上低下させます。

    ノルバスクジェネリック10mg(Amlodipine)

    アムロジピン(Amlodipine)は有効成分アムロジピンを含有する持続性Ca(カルシウム)拮抗薬です。

    強力な末梢血管拡張作用により高血圧の治療薬に用いられます。

    有効成分であるアムロジピンは細胞内へのCa(カルシウム)イオンの流入を減少させ、末梢血管や冠血管の平滑筋を弛緩させることにより血圧を降下させます。

    犬・猫では心臓病や腎臓病による血圧上昇のコントロールと心負荷の軽減を目的に使用されます。

    特に猫においては効果・安全性の観点から高血圧治療の第一選択薬となっています。

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    体重1kgあたりアムロジピンとして、0.1~0.5mgを1日1回経口投与する。
    用量下限から開始すること。


    体重1kgあたりアムロジピンとして、0.125~0.25mgを1日1回経口投与する。
    治療開始から14日後に臨床症状が改善されない場合は用量を倍にするか体重1kgあたり0.5mgまで増量することができる。

    透析療法

    不全に陥った腎機能の一部を代替する方法として透析療法があり、小動物領域においても有効性が報告されています。

    透析療法は、拡散と限外ろ過および浸透圧の原理を用いて、血中の尿毒症物質を除去する血液浄化療法であり、大きく分けて血液透析(Hemodialysis,HD)と腹膜透析(Peritoneal dialysis,PD)があります。

    適応

    • 急性腎障害
    • 慢性腎障害の急性憎悪
    • 中毒物質の除去

    慢性腎臓病の進行による腎機能不全は適応になりません。

    血液透析

    この文章は消さないでください。
    血液透析は半透膜からなる透析装置に直接血液を循環させて透析を行います。

    血液透析は血液を一度体外に出し、その血液からダイアライザーと透析液を使って体内の老廃物を取り除き、体内に戻すというものです。

    血液透析は一日3時間程度行い、腎臓機能が正常に回復するまで、それを毎日繰り返します。

    透析効率は高いですが、血液透析装置および透析膜が高価であるため、獣医療においてはまだ一般的ではありません。

    腹膜透析

    この文章は消さないでください。
    腹膜透析は、腹膜の半透膜としての性質を利用して、腹腔内に貯留させた透析液を交換することにより尿毒症物質を除去する方法です。

    お腹の中に透析液を入れ、腹膜を介して血液中の老廃物を透析液のなかに引き込み、その透析液を体外に排出することで老廃物を除去する透析です。

    安価で自宅においても実施できますが、透析カテーテルの閉塞および腹膜炎が問題となることも多くいです。

    腹腔内に貯留できる透析液量が限られているため、尿毒症物質の除去効率や除水効果は血液透析と比較して十分ではないことが多いです。

    腎移植(猫)

    腎臓は左右1つずつあり、主に尿生成、身体の老廃物や有害物質の排泄、身体の水分調整の役割を担っています。

    さらに、血圧調整、赤血球の産生を促すホルモン分泌やビタミンDの活性化などの機能を有しています。

    そのような重要な機能が徐々に低下し、機能不全になった病態を慢性腎不全といいます。

    腎臓は一度壊れると元に戻りません。病状が末期に進行すると、治療法としては輸液療法や透析療法により延命を図るしかないのが現状です。

    猫の場合、体が小さく、ヒトの場合と同様に腹膜透析や血液透析を用いて長期間維持することは大変困難です。

    また透析治療ではホルモン分泌やビタミンDの活性化などの機能を補うことはできません。

    そこで、機能しなくなった本来の腎臓の機能を代替する治療法として腎移植術が位置付けられています。

    猫の腎移植は、米国では末期慢性腎不全に対する根治的治療法として確立されています。

    腎移植は末期慢性腎不全に対する唯一の根治的治療法と考えられています。

    海外における腎移植実施施設に関する詳しい情報は下記のサイトをご参照ください。
    Feline CRF Information Centerのネコの腎移植に関する情報ページ(英語)

    基礎疾患が無ければ年齢は特に大きな問題にはなりませんが、

    10歳以上ではそれ以下の場合と比較して術後生存率は若干悪くなる傾向が報告されています。

    腎低形成や多発性嚢胞腎などを含む末期慢性腎不全(慢性腎臓病ステージ4:血清Cre値>5.0mg/dl)
    に加えて、内科治療にもかかわらず臨床症状の改善が認められないケース
    (体重減少、食欲低下、貧血、 Ca/P アンバランスなど)。

     

    移植手術後は、拒絶反応を抑えるために一生涯免疫抑制剤(シクロスポリンとステロイド剤)を内服しなければなりません。

    手術後に血栓栓塞症などの術後合併症を引き起こし、移植腎が機能しなくなることがあります。

    猫における腎移植は、米国では1980年代に末期腎不全に対する治療法として臨床導入されてから20年が経過しようとしています。

    米国では約6大学施設で実施されています。

    その治療成績は、2008年の統計(腎移植猫60頭)によると、6ヶ月生存が65%、3年生存が40%と報告されています。

    今現在、日本において猫の腎移植をアクティブに実施している施設はわずか数施設です。

     

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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