獣医師解説!犬と猫のクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の血液検査:コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)

    体調が悪く、多飲多尿があって動物病院で副腎のホルモン検査をしましょうと言われた・・・

    動物病院で、クッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症と言われた・・・

    本記事では犬と猫で、頻繁に認められるクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の血液検査についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。 中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。 例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、コルチゾルとACTHクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の診断に必要なホルモンを測定する血液検査です。

    この記事は、愛犬や愛猫がクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症と病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫のクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の血液検査の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫のクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の血液検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

     獣医師解説!犬と猫のクッシング病:副腎皮質機能亢進症とアジソン病:副腎皮質機能低下症の血液検査:コルチゾール、副腎皮質刺激ホルモン (ACTH)

    犬や猫のコルチゾール (cortisol)

    この文章は消さないでください。
    クッシング病、アジソン病

    コルチゾールは下垂体からの ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)刺激により副腎より分泌されます。

    日内変動があり、興奮などの影響も受けます。

    • 犬では副腎皮質機能亢進症は頻度の高い疾患であり、ACTH 刺激試験によるコルチゾール測定はその診断のために用いられることが多いです。
    • また、アジソン病の診断にも用いられます。

    検査のときに気をつけること

    • 投与されているステロイド剤をコルチゾールとして検出する可能性があります。
    • デキサメタゾンはほとんど交差を示さないとされるが、プレドニゾロンとは交差する可能性があります。
    • トリロスタン、ミトタン、ケトコナゾールなどステロイド合成を阻害する薬剤の使用も結果に影響します。
    • 安静時の採血を実施します。
    • また、長期にわたってグルココルチコイド製剤が投与されていた症例では、内因性のコルチゾール産生が抑制されている可能性があります。

    検査によってわかること

    クッシング病の診断、医原性クッシング病における内因性コルチゾールの抑制、 クッシング病の治療効果の判定、副腎皮質機能低下症(アジソン病)の診断を目的に測定されます。

    クッシング病では、デキサメタゾン抑制試験により下垂体依存性副腎皮質機能亢進症と副腎腫瘍の鑑別が行われることがあります。

    クッシング病の診断

    これまでにいくつかの方法が報告されています。

    最も広く用いられているのが ACTH 刺激試験です。

    外因性の ACTH を投与し、刺激後の ACTH上昇を評価します。

    そのほかにデキサメタゾン抑制試験も行われます。

    デキサメタゾン抑制試験は副腎皮質機能亢進症の有無、および下垂体性と副腎腫瘍の鑑別のために行われます。

    最近では超音波検査やCTなど画像診断技術が進歩しており、下垂体依存性と副腎腫瘍の鑑別には画像診断が用いられることも多くなってきました。

    コルチゾールの参照値(無刺激)(単位:ug/dL) 

    ACTH 刺激試験

    合成 ACTH 製剤 0.25 mg/head を筋肉注射し、投与前および投与後のコルチゾール濃度を評価します。

    最近は、比較的低用量(5μg/kg)の試験も試みられています。

    刺激後のコルチゾール濃度を下記の基準により評価します。(スモールアニマルインターナルメディスン 3rd ed. 2005

    ACTH 刺激試験では、下垂体依存性副腎皮質機能亢進症と副腎腫瘍の鑑別を行うことはできません。

    猫では ACTH 投与後コルチゾール値が早期に再び低下するため、投与後 30 分および1時間後に採血しコルチゾール値を測定します。

    30分後または1時間後の高い方の値を、下記の基準により評価します。

    犬のクッシング病の評価基準 (ACTH 刺激後のコルチゾール濃度:ug/dL)

    猫のクッシング病の評価基準 (ACTH 刺激後のコルチゾール濃度:ug/dL)

    低用量デキサメタゾン抑制試験

    副腎皮質機能亢進症の犬では、下垂体は外因性のデキサメタゾンによるフィードバック調節に対して抵抗性を示します。

    下垂体が正常な犬では、デキサメタゾンにより内因性の ACTH 分泌が抑制され、投与後のコルチゾール濃度が低下します。

    • 0.01 mg/kg のデキサメタゾンを静脈投与し、4時間後および8時間後のコルチゾール濃度を測定します。
    • 4時間後または8時間後のコルチゾール値が投与前の50%以下に減少した場合、抑制と判断します。

    クッシング病では抑制がみられません。

    • 猫では 0.01 mg/kgを投与し、4時間後、8時間後に採血してコルチゾールを測定します。
    • 8時間後のコルチゾールが 1.4 μg/dL未満であれば正常で、1.4 μg/dLを超える場合には副腎皮質機能亢進症が示唆されます。
    • デキサメタゾン投与前のコルチゾール濃度に対し、その50%以下に抑制されず、1.4 μg/dL以上の場合は、副腎皮質機能 亢進症の可能性が高いです。
    高用量デキサメタゾン刺激試験

    副腎腫瘍の犬では、高用量でデキサメタゾンを投与した場合でもコルチゾール産生 は抑制されないです。

    一方、下垂体依存性の場合には、高用量のデキサメタゾンによりコ ルチゾールが抑制されることが多いです。

    • 0.1 mg/kgのデキサメタゾンを静脈投与し、4時間後および8時間後のコルチゾール濃度を測定します。
    • ACTH 刺激試験などでクッシング病が確定しており、4時間後または8時間後でコルチゾールが 50%以下、または 1.4 μg/dL以下に抑制されている場合は下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)とされます。

    しかし、PDH の症例の約 25%で抑制がみられないとされています。

    ポイント

    クッシング病の診断や治療は、画像診断機器の発達に伴い、症状を示さない無症候性の副腎腫瘍などが多く発見されるようになっています。

    クッシング病の内科的治療の適応を考えた場合、診断対象となるのはクッシング病の臨床症状を示す症例のみです。

    下垂体依存性と副腎腫瘍の鑑別についても超音波や CT 検査などが利用されることが多くなっています。

    治療について、トリロスタンが選ばれることが多くなったが、従来どおりミトタンを用いることもあります。

    最近では、下垂体に対する外科的なアプローチや放射線治療なども行われるようになっています。

    どの治療が第一選択なのか、現時点で明確な指針はありません。

    治療の評価:ミトタンやトリロスタンを用いたクッシング病の治療では、ACTH 刺激後のコルチゾール値を2~5ug/dL 以下にすることが目標となります。

    アジソン病の診断

    アジソン病では、副腎からのグルココルチコイドやミネラルコルチコイドの産生が不足します。

    診断には ACTH 刺激試験が用いられます。

    • 刺激前のコルチゾール濃度で 1 ug/dL未満、または刺激後で2ug/dL未満であれば確定的です。
    • 2~5ug/dL では診断できず、5μg/dL以上では除外されます。

    副腎皮質刺激ホルモン (ACTH : adorenocorticotropic hormone)

    クッシング病、アジソン病

    ACTHは、下垂体から分泌される39のアミノ酸からなるペプチドホルモンです。

    動物では下垂体依存性クッシング病と副腎腫瘍との鑑別、アジソン病の診断に用いられることがあります。

    検査によってわかること

    副腎腫瘍によるクッシング病では、ACTHは60%程度の症例で検出できないレベルです。

    下垂体性のクッシング病では85~90%の症例で28 pg/mL以上を示します。

    このレベルは健常犬の参照値とオーバーラップしますが、ACTH 刺激試験などで、すでにクッシング病の診断がついている場合には、下垂体依存性と副腎腫瘍との鑑別に有効です。

    アジソン病は、通常 ACTH 刺激に対するコルチゾールの低反応で診断されます。

    ACTH 刺激試験で診断が難しい場合には、ACTH 濃度測定が有用です。

    原発性アジソン病では、副腎からのコルチゾール産生の不足により ACTH のネガティブフィードバックがかからず、ほとんどの症例で ACTH が参照値より高値となります。

    実際の診療では、ACTH の刺激前後にコルチゾール測定を行うので、刺激前の検体を用いて内因性ACTHを測定します。

    ACTH の参照値(単位:pg/mL)

    17a-ヒドロキシプロジェステロン (17a-hydroxyprogesterone. 17a-OHP)

    この文章は消さないでください。
    クッシング病

    副腎皮質機能亢進症の診断において ACTH 刺激試験でコルチゾール値に上昇 がみられない症例の約10%で17a-OHP の上昇がみられたことが報告されています。

    症状からクッシング病が疑われる症例で、コルチゾールの上昇がみられない場合などに測定されます。

    検査によってわかること

    コルチゾール濃度によるクッシング病の診断が困難な場合に測定されますが、感度特異性ともに70%程度です。

    フェレットの副腎腫瘍では、コルチゾールが上昇していないことが多く、その場合、他のステロイドホルモンとともに 17a-OHP が測定されることがあります。

    17α-OHPの参照値(ACTH刺激後)(ng/ml)

    ポイント
    • 17a-OHPはクッシング病が疑われる症例でコルチゾールの上昇がみられない場合に測定されることがある。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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