獣医師解説!犬と猫の甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症のホルモン検査:T3,T4,fT4,TSH

    体調が悪く、動物病院で甲状腺のホルモンの検査をしましょう、甲状腺のホルモンの値が高値、低値ですと言われた・・・

    健康診断をしたら、甲状腺に異常があると言われた・・・

    本記事では頻繁に認められる甲状腺の病気を診断する、T4,fT4を主に甲状腺のホルモン検査についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、小動物分野では、犬の甲状腺機能低下症および猫の甲状腺機能亢進症が症例数も多く重要な疾患となっています。

    しかし、犬の甲状腺機能低下症は下記の理由で、T4,fT4が様々な原因で低下するため誤審が多いのも事実です。

    この記事は、愛犬や愛猫が甲状腺機能低下症および甲状腺機能亢進症と病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症の診断に必要なホルモン検査の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症の検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

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    通話:現役獣医による犬・猫の病気・治療相談のります 日本獣医麻酔外科学会で受賞した獣医による相談受付:画像に証拠

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    犬と猫の甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症のホルモン検査:T3,T4,fT4,TSH

    甲状腺ホルモン (T3、rT3、T4、fT4) (thyroid hormone)、甲状腺刺激ホルモン (TSH : thyroid-stimulating hormone)

    この文章は消さないでください。
    甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症

    甲状腺ホルモンは甲状腺から分泌されるアミノ酸誘導体のホルモンであり、細胞一般に作用して代謝率を上昇させます。

    甲状腺からは主にT4が分泌され、血漿中ではその99%以上が蛋白と結合しています。

    蛋白に結合していないTは遊離 T4(fT4)とよばれ、生理活性をもちます。

    T4は細胞内でT3とrT3に代謝され、T3 が受容体と結合することにより生理作用が発揮されます。

    小動物分野では、犬の甲状腺機能低下症および猫の甲状腺機能亢進症が症例数も多く重要な疾患となっています。

    検査のときに気をつけること

    T4は年齢や体重の影響をわずかに受け、性差や日内変動に一定の傾向はないです。

    甲状腺ホルモンは甲状腺以外の重篤な疾患でも生体反応として低下することが知られています。

    また、グルココルチコイドやフェノバルビタールなどの汎用されている薬剤でも低下するので、測定時には投薬歴に注意です。

    犬ではT4またはfT4の高値は、まれな例を除き甲状腺機能低下症を否定する根拠となるが、T4の低値は正常犬や非甲状腺疾患でもみられるため、T4が低値なだけでは甲状腺機能低下症を診断することはできません。

    fT4測定は、T4よりも甲状腺機能低下症以外で低値となることが少ないです。

    検査によってわかること

    犬では甲状腺機能低下症、猫では甲状腺機能亢進症が疑われる場合に検査を行うことが多いです。

    どちらの疾患も発生頻度が高く、臨床上重要です。

    以下にそれぞれの疾患に対する臨床的な診断アプローチをまとめました。

    犬の甲状腺機能低下症

    元気消沈、無気力、脱毛などが典型的な症状です。

    約75%の症例で高脂血症を伴うとされています。

    現在、甲状腺機能低下症のスクリーニング検査として推奨されるのは T4 および(または) fT4の測定です。

    甲状腺機能低下症以外の疾患でも血清中のT4やfT4の低下(euthyroid)がみられることがあるので、
    甲状腺機能低下症に一致した臨床症状があり、かつT4またはfT4の測定値が低い場合に甲状腺機能低下症を診断します。

     

    T4

    甲状腺機能低下症の検査において、T4はfT4と並んで最も頻繁に測定される検査項目です。

    通常、T4が高値であることは甲状腺機能低下症を除外することになります。

    例外として、抗サイログロブリン抗体などによりT4測定がうまくいかない場合があり、臨床症状が甲状腺機能低下症に一致しているがT4値が高値である場合には抗体などに影響されないfT4測定を考慮します。

    一方で、T4が低値の場合にはその解釈に注意が必要です。

     
    甲状腺機能低下症以外のさまざまな疾患によってもT4は低下するので、そのことを考慮に入れて試験的にホルモン置換療法を開始するか、またはfT4の測定、TSH 刺激試験などを考慮します。

    T4測定はホルモン置換療法後のスクリーニング検査としても利用され、甲状腺ホルモン製剤投与4~6時間後で 2.5~ 4.5 ug/dL が治療の目安とされます。

    犬のT4、fT4の参照値

    fT4

    犬の甲状腺機能低下症の診断方法として汎用されています。

    平衡透析法によるfT4測定は、T4に比べて非甲状腺疾患での低下が少ないかもしれないが、感度は劣ります。

    T4の測定と同様に、犬では甲状腺機能低下症以外の疾患や薬剤によっても低値となる場合がある。

    犬のfT4の参照値

    T3、rT3

    甲状腺機低下症の診断指標としてはT4やfT4と比較して劣るため、検査されることはあまりありません。

    T3の参照値(単位:ng/dL)

    内因性TSH

    甲状腺機能低下症の犬では、T4の低下によりフィードバックが働かず TSHが高値となることが予想されます。

    しかし、実際には正常域にとどまる場合も多く、甲状腺機能低下症の診断に用いられることは多くないです。

    高値の場合には、甲状腺機能低下症が疑われるが、正常範囲だからといって除外できません。

    TSH の参照値(単位:ng/mL)

    抗T3抗体、抗T4抗体、抗サイログロブリン抗体、TSH 刺激試験、その他

    動物では、これらの抗体検査が甲状腺機能低下症の診断に用いられることは少ないです。

    甲状腺機能低下症に一致する症状がみられるにもかかわらず甲状腺ホルモンが正常値(また は高値)である場合には、これらの項目の測定を考慮するが、国内で検査を受けつけている機関はありません。

    fT4の測定は抗体に影響されないとされるので、実際にはそちらを利用すべきです。

    猫の甲状腺機能亢進症

    猫の甲状腺機能亢進症は老齢に多いです。

    診断は通常、血清T4やfT4濃度の測定により行われます。

    甲状腺機能亢進症に合致した臨床症状がみられ、T4やfT4が高値の場合には甲状腺機能亢進症を診断をします。

    T4は、非甲状腺疾患で低下することがあり、甲状腺機能亢進症の感度が低下する恐れがあります。

     

    一方で、fT4は甲状腺以外の疾患でも上昇する可能性があります。

     
    メチマゾールなど抗甲状腺薬を用いた治療では、T4値が1~2μg/dLくらいになるように用量を調節します。

    猫のT4、fT4の参照値

    ポイント
    • 甲状腺疾患の診断には T4やfT4測定を利用する。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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