
体調が悪く、動物病院でMCV、MCH、MCHCが異常で貧血と言われた・・・

健康診断をしたら、MCV、MCH、MCHCに異常があると言われた・・・

本記事では頻繁に行われる検査である血球の検査の一部の、MCV、MCH、MCHCについてお話しします。
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 人に移るの?
- 治る病気なの?
- 危ない状態なのか?
- 治療してしっかり治る?
これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、MCV、MCH、MCHCは貧血が認められた時に、その分類を行うために必要な検査です。
この記事は、愛犬や愛猫のMCV、MCH、MCHCが異常と病院で言われた飼い主向けです。
この記事を読めば、愛犬や愛猫のMCV、MCH、MCHCのの検査の重要性がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫のMCV、MCH、MCHCについて詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
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通話:現役獣医による犬・猫の病気・治療相談のります 日本獣医麻酔外科学会で受賞した獣医による相談受付:画像に証拠
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✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
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✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬と猫の貧血?多血?MCV、MCH、MCHCの使い方とは!?〜血液検査から見た原因と分類〜
この記事の目次
多血(赤血球増加症)
絶対的多血症
- 一次性(真性):骨髄幹細胞の異常による、エリスロポエチンは低値
- 二次性 エリスロポエチン分泌過剰による:低酸素症、エリスロポエチン産生腫瘍
相対的多血症
- 血液濃縮(脱水など)
- ストレス性多血症
貧血
網状赤血球により、再生性と非再生性に分類されます。
再生性(大球性低色素性貧血):網状赤血球 >60,000/μl
骨髄の赤芽球系の成熟には問題がなく、末期における様々な原因による(破壊、寿命短縮、失血、溶血)
再生度 犬 猫
再生なし <60,000 <15,000
軽度の再生性 150,000 50,000
中等度の再生性 300,000 100,000
高度の再生性 >500,000 >200,000
非再生性(大球性低色素性貧血、正球性正色素性貧血):網状赤血球 <60,000/μl
骨髄の赤芽球系の低形成、無形成による急性出血、溶血、骨髄内の異常、骨髄外の異常
赤血球指数
血管内で循環している赤血球の量はRBC(赤血球数)で知ることができます。
しかし、赤血球の大きさや1個あたりのヘモグロビン含有量などの「赤血球の質」については、赤血球恒数(指数)を使って判断する必要があります。
赤血球恒数にはMCV(平均赤血球体積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)があり、Hgb(ヘモグロビン濃度)、Hct(ヘマトクリット)、RBCより計算されます。
獣医師解説!犬や猫の血液血球検査と血液塗抹〜赤血球、ヘマトクリット(Hct,PCV)、血小板〜
体調が悪く、動物病院で血液検査をしましょうと言われた・・・健康診断をしたら、白血球や赤血球異常がある・貧血と言われた・・・本記事では頻繁に行われる血液検査である、血球(白血...
赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリットの検査データから、赤血球の平均的な大きさ(MCV)、赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量(MCH)、赤血球中の平均ヘモグロビン濃度(MCHC)を算出します。
その数値から、どんな種類の貧血が疑われるかを判断します。
MCV(平均赤血球容積)
ヘマトクリットを赤血球数で割ったものをMCV(単位:fL(femto liter))といいます。
MCVは平均赤血球容積で、赤血球1個の平均の大きさを表します。
正球性、小球性、大球性に分類されます。
MCVの増加
- 再生性貧血
- FeLV関連性の日再生性貧血、骨髄増殖性疾患
- ビタミンB12および葉酸欠乏、プードルの家族性大赤血球症
MCVの減少
- 慢性出血による鉄欠乏性貧血:
- 犬の先天性門脈体循環シャント
- 秋田犬の貧血を伴わない家族性小赤血球症
MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)
ヘモグロビンを赤血球数で割り算したものをMCH(1個あたりの赤血球が含むヘモグロビン量を示す)といいます。
MCHは平均赤血球血色素量で、赤血球1個に含まれるヘモグロビン量を表します。
赤血球1個に含まれるヘモグロビン量で、単位はpg(pico gram)になります。
赤血球の大きさ、平均ヘモグロビン濃度の両方の影響を受けます。
MCVが減少する前にMCHは減少します。
MCHの減少は、今後起こる鉄欠乏性の手がかりとなります。
MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)
赤血球1個に含まれるヘモグロビン濃度を%で表したものです。
31~35にあれば正色素性(hypochromic)、30以下ならば低色素性(normochromic)と呼びます。
MCHCの増加
- 溶血のアーチファクト
- 多量の球状赤血球がある場合(免疫介在性溶血性貧血)
MCHCの減少
- 再生性貧血
- 鉄欠乏性貧血
貧血の際の診断手順
貧血をきたす疾患には、その病態によって特徴的な赤血球恒数の異常を示すものがあるので、赤血球恒数によって小球性低色素性貧血、正球性正色素性貧血、大球性高~正色素性貧血の3つの型に分類して鑑別診断を進めます。
この分類をもとにして原因を探っていくのできわめて重要な項目なのです。
赤血球恒数 | 疑われる貧血 | ||
---|---|---|---|
MCV | MCH | MCHC | |
小さい(小球性) | 低い | 低い | 鉄欠乏性貧血、慢性的な出血による貧血など |
基準値の範囲 | 基準値の範囲 | 基準値の範囲 | 再生不良性貧血、溶血性貧血など |
大きい(大球性) | 高い | 基準値の範囲 | 溶血性貧血、巨赤芽球性貧血など |
貧血の診断では、まずMCVによって小球性あるいは大球性貧血でないかをチェックします。
小球性低色素性貧血
代表疾患は鉄欠乏性貧血で、血清鉄やTIBC、フェリチンを測定します。
MCVが小さく、MCHが低い場合は、鉄欠乏性貧血(胃腸からの慢性的出血、痔出血、子宮筋腫などに伴う月経過多、胃切除に伴う鉄吸収障害、食事量減少に伴う鉄摂取低下などが原因として考えられる)を考えます。
鉄がヘモグロビンという色素の原料になるからです。
Hb合成の減少→体積の減少→MCVの低下
赤血球は産生されても、Hbが十分に産生されないため、体積が減少します。
大球性低色素性貧血
まず巨赤芽球性貧血を考え、ビタミンB12と葉酸の欠乏の有無を調べます。
MCVとMCHも大きくなることがあります。
MCHCの低値を認めます。
このときはビタミンB12または葉酸欠乏による貧血、肝障害がある場合などが原因として考えられます。
出血、溶血などが原因であり、骨髄の赤血球産生能力は正常です。
大型赤血球の出現により、赤血球の大小不同をみとめ、多染性(青みを帯びる、未熟な骨髄から宝湯つされた直後の赤血球)の場合は低色素の数値になります。
正球性正色素性貧血
種々の血液疾患による造血障害、腎性貧血、症候性貧血などがあり、網状赤血球の増加の有無を調べます。
また、基礎疾患などを含めて検索しますが、診断には骨髄穿刺を要することもあります。
MCVもMCHも正常値の場合は、腎性貧血(腎不全に伴う貧血)、急性出血(胃潰瘍からの出血など。慢性的に続けば鉄欠乏性貧血になる)、薬剤による貧血などが考えられます。
軽度から中等度の正球性正色素性貧血は、炎症性疾患、慢性腎不全、甲状腺低下症に関連してみられることがあります。
骨髄の異常では重症化し、好中球、血小板減少も伴います。
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