獣医師解説!犬と猫の糖尿病の検査を徹底解説!〜血糖値、ケトン体、グリコアルブミン、フルクトサミン、糖化アルブミン〜

    体調が悪く、動物病院で血液検査をすると血糖値が高くて、糖尿病と言われた・・・

    健康診断をしたら、血糖値が高くて糖尿病かもしれないと言われた・・・

    本記事では頻繁に行われる検査であり、糖尿病の際によく行われる血液検査についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていたという事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、 情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、 その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、電解質は体重などとともに体液の水分量の増減評価に必須の検査項目です。

    通常、Na、K、CIは同時に測定されます。 この記事は、愛犬や愛猫の電解質のバランスが崩れていると病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の電解質検査の意味や検査結果の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の電解質検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!

    ✔︎本記事の内容

    獣医師解説!犬と猫の糖尿病の検査を徹底解説!〜血糖値、ケトン体、グリコアルブミン、フルクトサミン、糖化アルブミン〜

    グルコース (glucose)

    糖尿病、インスリノーマ、低血糖、 高血糖

    低血糖症や糖尿病などが疑われるときに測定されます。

    犬の血糖の参照値はヒトとほぼ同じです。

    猫でも同じですが、精神的なストレスなどで血糖値が著しく上昇することが知られています。

    検査のときに気をつけること

    グルコースの参照値を下記に示しました。

    採血後、血球によりグルコースが消費されます。

    最近、家庭での血糖値測定のためにヒト用の簡易測定装置が用いられるようになっており、インスリンの投与量の決定などに用いられます。

    簡便で有用ですが、特に高血糖領域で標準的な測定法と解離しやすいです(機器により特性が大きく異なる)。

    また、ヘマトクリット値が低い猫でも家庭用の血糖測定器では解離が大きくなることがあります。

    グルコースの参照値 (mg/dL)

    検査によってわかること

    臨床症状から低血糖症や糖尿病が疑われる場合に検査されます。

    低血糖

    インスリン投与中など医原性の原因を除いて、高齢動物で低血糖が認められる場合にはインスリノーマや平滑筋腫などの腫瘍、重度肝疾患などを疑います。

    低血糖の原因
    • インスリンや血糖降下剤の投与
    • インスリノーマ
    • 平滑筋腫などの腫瘍
    • 長期間の絶食
    • 若齢動物
    • 猟犬など高度な運動を行う使役犬
    • 敗血症
    • 肝不全
    高血糖

    犬の糖尿病はインスリン依存性のことが多いです。

    猫は、精神的なストレスにより一時的な高血糖になることがあるため、糖尿病の診断がやや難しいです。

    ストレス性の高血糖でもときに 300 mg/dLを超えることもあります。

    そのような場合には、血糖値の長期的な指標であるフルクトサミン、グリコアルブミン、グリコヘモグロビンの測定が有用です。

    高血糖の原因
    • 糖尿病 ・精神的なストレス
    • 薬剤(グルココルチコイド、プロリゲステロン、 酢酸メゲステロール、輸液:糖を含む)
    • 発情
    • 副腎皮質機能亢進症(クッシング病)
    • 膵炎

    ケトン体(ketone)、 アセト酢酸、B-ヒドロキシ酪酸

    この文章は消さないでください。
    キーワード 糖尿病、ケトーシス

    臨床で測定されるケトン体とは、アセトン、アセト酢酸、B-ヒドロキシ酪酸 (3-ヒドロキシ酪酸)を総称したものです。

    ケトン体上昇の原因は、主に脂肪組織からの脂肪の遊離と肝臓におけるケトン体への代謝増加です。

    ケトーシス、特に糖尿病性のケトアシドーシスではケトン体は著しく増加します。

    そのほかには、絶食や飢餓、運動などにより増加するとされます。

    血中ケトンの参照値(単位:umol/L)

    検査によってわかること

    測定を行うのは主に糖尿病患者であり、未治療の場合やインスリン不足の場合にケトーシス、ケトアシドーシスになっているかどうか判断します。

    犬では糖尿病性のケトアシドーシスでケトン体が上昇することが報告されており、1000 umol 以上に増加することもあります。

    ただし、ケトンは運動や飢餓などによっても上昇することがあるので、解釈には注意が必要です。

    実際には、血液ガス測定でpHの低下や HCO3の低下、アニオンギャップの増加がみられるよう な場合に合わせてケトンを測定してケトーシス、ケトアシドーシスの病状を把握することになります。

    ポイント
    • ケトーシスの診断にはケトン体測定が有用である。ヒトでは家庭で測定できる装置も販売されている。
    • ケトン体は糖尿病の犬で上昇することがある。
    • 糖尿病性ケトーシスのときのケトン濃度は 1000 umol/Lを超えることもある。

    グリコアルブミン (glycoalbumin)

    この文章は消さないでください。
    糖尿病

    グリコアルブミンはアルブミンの糖結合物を測定しています。

    臨床的な意義はフルクトサミンとほぼ同じで、2週間程度の血糖値の推移を示します。

    フルクトサミンが血清中のすべての蛋白の糖結合物を測定するのに対し、グリコアルブミンはアルブミンの糖結合物のみを測定します。

    検査のときに気をつけること

    動物での参照値を下記に示しました。

    犬や猫での報告もいくつかあり、フルクトサミンと同様に利用できます。

    結果が%で表記されるため、脱水などに起因する蛋白濃度変化の影響を受けにくい利点があります。

    グリコアルブミンの参照値(単位:%)

    三菱化学メディエンス5.8~9.7 6.9~11.7犬|

    検査によってわかること

    糖尿病の診断や血糖値コントロールをモニターする場合に使用します。

    • フルクトサミンと同様に過去2週間程度の血糖値の平均値を表します。
    • ストレスや一時的な高血糖の影響をほとんど受けないため、特に猫の糖尿病の診断に有効です。
    • また、インスリン治療症例では血糖値コントロールの指標として用いられます。
    • 血糖値コントロールの指標として用いられる場合の目標値は、動物でも糖尿病の昏睡を避けるためには 30%以下が目標です。
    ポイント
    • グリコアルブミンは今後、血糖の中期的なモニタリングのための重要な検査になるだろう。

    フルクトサミン (fructosamine)

    この文章は消さないでください。
    糖尿病

    フルクトサミンは血漿中の糖化した蛋白です。

    蛋白のリジン残基にグルコー スが結合したフルクトースリジンを測定します。

    フルクトサミン測定では、血清中 のさまざまな蛋白質の糖結合物を測定しています。

    検査のときに気をつけること

    動物での参照値を下記に示しました。

    • 甲状腺機能低下症の犬では蛋白の代謝が遅いため高値になり、若齢動物や甲状腺機能亢進症の猫では低値になります。
    • 低蛋白血症の犬・猫では、おそらく蛋白の代謝が早くなるためおよそ 2/3の症例で低値となります。
    • 高脂血症の犬の 38%程度、また高窒素血症の犬の 47%が正常範囲以下になるとされます。

    フルクトサミンの参照値(umol/L)

    検査によってわかること

    糖尿病の診断や血糖値コントロールをモニターする場合に使用します。

    血糖値とは異なり過去2週間程度の血糖値の平均値を示すとされます。

    ストレスや一時的な高血糖の影響をほとんど受けないため、特に猫の糖尿病の診断に有効です。

    また、インスリンの投与後の時間に関係のない情報が得られるため、グルコースよりも血糖値コントロールの指標として用いやすいです。

    インスリノーマなどの低血糖症では低値となることが報告されており、これらの診断やインスリンの過剰投与のモニターにも利用できる可能性があります。

    糖尿病コントロールの指標(umol/L)

    ポイント
      • フルクトサミンは糖尿病の診断や血糖値のモニターに有効である。

    糖化ヘモグロビン (グリコヘモグロビン:glycohemoglobin)

    この文章は消さないでください。
    糖尿病

    長期的な血糖値のコントロールの指標として用いられます。

    ヘモグロビンは血中のグルコースと非酵素的に結合し、その結合は血糖値と赤血球ターンオーバーの影響を受けるが、赤血球ターンオーバーの影響のない状態では、糖化ヘモグロビンは長期的な血糖値の指標となります。

    糖化へモグロビンの参照値(%)

    検査によってわかること

    ストレスなどに起因する一過性の高血糖の影響を受けないため、糖尿病の診断やインスリン投与による長期の血糖値コントロールを評価することができます。

    反映する血糖値は1~3ヵ月程度であり、グリコアルブミン(1~2週間)よりも長いです。

    測定結果は%で表記されます。

    ポイント
    • 糖化ヘモグロビンは、過去1~3ヵ月の血糖値の指標である。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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