
体調が悪く、動物病院で血液検査をしたら、蛋白が高い、低いと言われた・・・

健康診断をしたら、蛋白の値(TP)が高い・低いと言われ、原因不明と言われた・・・

蛋白の値が高い場合は脱水や感染症、蛋白が低い場合は蛋白漏出性腸症や蛋白漏出性腎症などが考えられます。本記事では血液検査の項目の一つである蛋白についてお話しします。
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 人に移るの?
- 治る病気なの?
- 危ない状態なのか?
- 治療してしっかり治る?
これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、蛋白が低い場合は蛋白が漏れ出る病気、高い場合は脱水と炎症・感染症が考えられます。
この記事は、愛犬や愛猫の蛋白(TP)の値が高い・低いと病院で言われた飼い主向けです。
この記事を読めば、愛犬や愛猫の蛋白(TP)の値が高い・低いの意味や検査結果の重要性がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の蛋白(TP)の値が高値、低値について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、 論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】や詳しい実績はこちら!
✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬や猫の血清蛋白と血清蛋白泳動
血清蛋白
血中の蛋白量を測定するものであり、さまざまな要因により増減するため診断の特異性は低いです。
しかし、総蛋白が異常値を示す場合には疾患の存在が示唆されるため、血清蛋白泳動を実施して原因を追及します。
検査のときに気をつけること
血中蛋白の真の増加・減少のほかに、脱水などによる血液濃縮の相対的な影響を受けます。
- 血清、血漿どちらでも測定可能ですが、血漿中にはフィブリノーゲンが存在するため血清よりも 0.5 g/dL 程度高くなります。
- また、溶血の程度によっても検査値に影響します。
屈折計を用いる方法と、ビューレット法により生化学的に測定する方法があります。
- 屈折計を用いる方法では、乳び血清で測定値が高くなります。
- ビューレット反応による測定は、アンピシリンなどの大量投与の影響を受けることがあります。
また、膠質浸透圧の維持のために投与されるデキストランもビューレット試薬に反応する可能性があります。
検査によってわかること
各測定機関・機器の参照値を下記に示しました。
血中総蛋白(TP)の参照値(g/dL)
血清蛋白はさまざまな要因によって変動します。
低蛋白血症および低アルブミン血症の原因となる病態を下記にまとめました。
低蛋白血症・低アルブミン血症の主な原因
軽度 | 栄養障害、手術・外傷、出血、肝機能障害
重度 | ネフローゼ症候群、蛋白漏出性腸症
- 一般に、若齢動物は生理的にやや低めです。
- 栄養状態が悪い動物や肝硬変などの肝機能障害がある場合には、蛋白産生が低下
- 全身性の浮腫、膠質浸透圧低下による腹水貯留などの臨床症状を発現するような重篤な低蛋白血症(例えば4g/dL 以下)は、蛋白漏出性腸症や腎症に由来することが多いです。
- 重篤な低蛋白血症がみられる場合には、消化器症状について、 内視鏡による消化管の生検を考慮します。
また、尿中への漏出も考慮して、尿蛋白/クレアチニン比などの検査を実施します。
一方、高蛋白血症となる病因を下記にまとめました。
高蛋白血症・高アルブミン血症の主な原因
- 高脂血症(みかけの上昇)
- 脱水(血液濃縮)
- 単クローン性高yグロブリン血症(骨髄腫など)
- 多クローン性高y グロブリン血症(慢性の感染症
- FIP
- 猫免疫不全ウイルス(FIV) 感染
- 自己免疫疾患
乳び血症によるみせかけの上昇を除けば、脱水やyグロブリンの上昇が原因のことが多いです。
高齢の犬や猫で予想外の高蛋白血症がみられた場合には、骨髄腫を鑑別診断リストとして考慮します。
高yグロブリン血症は重度皮膚病などの慢性の感染症でみられ、高蛋白血症の原因となることがしばしばあります。
高yグロブリン血症がみられる場合には、血清蛋白泳動を行い単クローン性の高γグロブリン血症かどうか判定します。
猫伝染性腹膜炎(FIP)では著しい高yグロブリン血症がみられることが多いです。
血清蛋白泳動
血中の蛋白の存在比を評価する方法です。
主に血清蛋白が高値である場合や、急性または慢性炎症の有無や程度を判定するために測定します。
分画比だけでなくチャート(分布図のグラフ)が添付されるので、その波形を主観的に評価することにより単クローン性のグロブリン血症やフィブリノーゲンの混入を比較的容易に明らかにすることができる。
検査によってわかること
血清蛋白泳動は、主に2つの目的で行われることが多いです。
急性炎症の判定と高蛋白血症の原因の評価です。
急性炎症では a 分画の増加がみられます。
特異的な検査ではないが、急性炎症の有無を評価するためには簡便な方法です。
しかし非特異的な炎症マーカーとしては、犬では CRP 検査、猫では血清アミロイドA(SAA)、酸性糖蛋白 (al- AGP) 検査を用いることもできます。
獣医師解説!炎症マーカーの値が高い!?犬のC反応性蛋白 (CRP)と猫の血清アミロイド A (SAA)とは?血液検査を徹底解説!〜炎症性蛋白編〜
犬や猫において、炎症を引き起こす病気は非常に多く、その原因や症状、対象方法、治療方法も様々です。血液検査だけで炎症の場所を特定することは困難ですが、炎症マーカーの検査により、炎症の有無がわかります。この記事を読めば、愛犬や愛猫の炎症マーカーであるCRPとSAAのを測定する必要性、重要性、疑われる病気がわかります。
β分画の上昇は主に鉄欠乏性貧血によるトランスフェリンの増加や急性肝炎などに起因することもあります。
γ分画の主体は免疫グロブリンです。
γ分画に鋭いピークがみられる場合にはミエローマを疑い、 尿中ベンス・ジョーンズ(BJ) 蛋白の検出や骨のパンチアウト像、骨髄生検などにより確定診断します。
幅の広いγ分画は慢性炎症、特に慢性の感染症の存在を示すものであり、原因としては、例えば慢性肝炎や毛包虫などに起因する二次的な膿皮症、慢性の口内炎などが挙げられます。
猫でも同様ですが、猫免疫不全ウイルス(FIV)感染症やFIPでは高頻度にy分画の増加がみられます。
アルブミン
アルブミンは分子量約66000 の蛋白で、肝臓で合成されます。
低蛋白症や高蛋白血症の際、血中蛋白の増減の内訳を知るために測定されます。
アルブミンの参照値(g/dL)
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