獣医師解説!犬と猫の脳脊髄液を徹底解説〜分類・検査結果〜

    体調が悪く、動物病院で脳脊髄液の検査をしましょうと言われた・・・

    MRI検査をしたら、脳圧が高く、脳脊髄液の検査で異常があると言われた・・・

    本記事では頻繁に行われる検査ではないですが、頭の中に病気を疑う場合に行う脳脊髄液検査についてお話しします。

    • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
    • 検査してくれなかった...
    • 病院ではよくわからなかった...
    • 病院では質問しづらかった...
    • 混乱してうまく理解できなかった...
    • もっと詳しく知りたい!
    • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
    • 治療しているけど治らない
    • 予防できるの?
    • 麻酔をかけなくて治療できるの?
    • 高齢だから治療ができないと言われた

    もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた

    という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

    ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

    中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

    ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

    情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

    その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

    例えば...

    • 人に移るの?
    • 治る病気なの?
    • 危ない状態なのか?
    • 治療してしっかり治る?

    これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

    結論から言うと、脳脊髄液(CSF) の検査は中枢神経系の疾患が疑われるときに実施されます。

    脳脊髄疾患の診断には、CT、MRIなどの画像診断が広く用いられるようになっています。

    この記事は、愛犬や愛猫の脳脊髄液検査が必要と病院で言われた飼い主向けです。

    この記事を読めば、愛犬や愛猫の脳脊髄液検査の意味や検査結果の重要性がわかります。

    限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の脳脊髄液検査について詳しく知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

    病気について直接聞きたい!自分の家の子について相談したい方は下記よりご相談ください!

    通話:現役獣医による犬・猫の病気・治療相談のります 日本獣医麻酔外科学会で受賞した獣医による相談受付:画像に証拠

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    ✔︎本記事の信憑性

    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

    臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    獣医師解説!犬と猫の脳脊髄液検査を徹底解説!

    犬と猫の脳脊髄液 (CSF : cerebrospinal fluid)

    この文章は消さないでください。
    脳炎、髄膜炎、ジステンパー、 FIP、トキソプラズマ

    脳脊髄液(CSF) の検査は中枢神経系の疾患が疑われるときに実施されます。

    脳脊髄疾患の診断には、CT、MRIなどの画像診断が広く用いられるようになっています。

    これらの検査には麻酔が必要なことが多く、画像撮影と同時に CSFを採取する機会も多いです。

    採取した場合にルーチンで行われる検査として、液体の性状 (外観)、蛋白濃度、グルコース濃度、培養、細胞数と細胞分画が挙げられます。

    細胞数

    正常な CSF は赤血球を含まないです。

    白血球数は犬で0~5、猫で0~8細胞 /uLとされるが、通常2細胞 / μLがカットオフ値として用いられます。

    ジステンパーではリンパ球優位の細胞増加、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)、壊死性髄膜脳炎(NME)で も単核球主体の細胞数増加がみられることが多いです。

    化膿性髄膜炎では好中球主体になります。

    細胞診でクリプトコッカスなどの病原体がみられることもあります。

    蛋白

    犬や猫での髄液の蛋白濃度は血漿と比較して著しく低く、正常では 10 ~ 40 mg/ dLです。

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    カットオフ値として 25 mg/dL を用いている論文が多いです。

    ウイルス性疾患、腫瘍、虚血性疾患などさまざまな疾患で上昇します。

    蛋白濃度は炎症性の疾患と非炎症性の疾患(例えば水頭症)の鑑別に有用ですが、疾患の特異的な鑑別に用いることはできません。

    グルコース

    脳脊髄液のグルコース値は血糖値の 60~80%程度の濃度とされます。

    ヒトでは化膿性髄膜炎で低下するとされます。

    LDH およびその他の酵素

    LDH のほか、AST(GOT)、CK などが測定されます。

    犬では感染症や炎症性疾患で上昇することが多いです。

    この文章は消さないでください。
    犬の参照値は LDH2 + 1.2 U/L、AST 16.8 + 4.5 U/L、CK 3.8 ± 3.3 U/L です。

    猫ではあまり感度のよい指標ではありません。

    この文章は消さないでください。
    猫での参照値は LDH 0~24U/L、AST O ~ 34 U/L、CK 2 ~ 236 U/L です。

    IgG index

    (髄液IgG/血清IgG)/(髄液アルブミン / 血清アルブミン)で算出され、ヒトでは1以上で中枢神経系での IgG 產生が示唆されます。

    犬でもさまざまな炎症性疾患で増加することが報告されています。

    しかし、特異的な検査ではなく、ジステンパー感染症のごく初期などでは上昇しないことも多いです。

    特異的な診断

    ジステンパー

    この文章は消さないでください。
    急性期では眼結膜や血液、糞便などからウイルス抗原または遺伝子が検出できます。

    現在、抗原検出キット(アドテック)や RT-PCR(アドテック)が商業的に利用できます。

    神経症状のみを呈する例で CSF からPCR でウイルスゲノムが検出できることがありますが、尿からの検出率の方が高いとする報告があります。

    CSF の採取はジステンパーの診断にはあまり有用ではないです。

    FIP

    CSF の抗体価は血清濃度と相関します。

    そのため、血清以上に有効な情報が得られることはないと思われます。

    γ-アミノ酪酸(GABA)

    てんかんの犬で、治療前 GABA 濃度が低いとフェノバールに対する反応が悪いとされます。

    ミエリン塩基性蛋白:myelin basic protein (MBP)

    ヒトの測定系を利用している報告があります。

    ジステンパーや変性性疾患で増加します。

    抗グリア線維性酸性蛋白抗体 (glial fibrillary acidic protein:抗GFAP 抗体)

    パグなどの犬種でみられる壊死性髄膜脳炎(NME)では CSF 中に高率にこの蛋白に対する抗体が検出されます。

    この文章は消さないでください。
    感度91%、特異度73%

    肉芽腫性髄膜脳炎や脳腫瘍などでも抗体が検出されることがあるとされます。

    脳脊髄圧

    頭蓋内の占拠性病変、脳浮腫、脳髄膜炎などで上昇することがあります。

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    正常値は、麻酔下の犬では170 mmH2O未満、猫では100mmH2O未満とされています。

    脳から流出する静脈が鬱血すると脳脊髄圧は容易に上昇します。

    呼吸により10mmH2O程度の変動は見られます。

    また、姿勢によっても大きく変化します。

    コラム

    MRIなどの画像診断の進歩により、中枢神経系の疾患の診断精度が上がっており、 画像診断である程度鑑別診断リストを絞り込めるようになっています。

    そのため、非特異的なCSF検査の臨床的な価値は以前ほど高くはないです。

    今後CSFを利用した感染症や炎症性脳髄膜炎に関する疾患特異的な検査法の開発・普及が期待されます。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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