愛犬や愛猫の犬や猫の便秘、ウンチが出ないので病院に連れて行ったけど、
- 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
- 検査してくれなかった...
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
- 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
- 治療しているけど治らない
- 予防できるの?
- 麻酔をかけなくて治療できるの?
- 高齢だから治療ができないと言われた
もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 人に移るの?
- 治る病気なの?
- 危ない状態なのか?
- 治療してしっかり治る?
これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、物理的な障害によるものと、神経学的な筋力の低下によるものに大別されます。
この記事を読めば、犬や猫の便秘、ウンチが出ない場合の原因、症状、治療法がわかります。
限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の犬や猫の便秘、ウンチが出ない理由を知りたい飼い主は、是非ご覧ください。
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通話:現役獣医による犬・猫の病気・治療相談のります 日本獣医麻酔外科学会で受賞した獣医による相談受付:画像に証拠
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✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬や猫の便秘、便失禁、ウンチが出ない?〜原因、症状、治療方法〜
この記事の目次
犬や猫の便秘、ウンチが出ない排便障害とは
便秘と便失禁に大きく分けられます。
便秘は排便直後にも結腸直腸内に糞便が残っている状態。
便失禁は本来括約筋の随意運動で排便が制御されているが、その制御ができず、不随意的に排便してしまう状態です。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の問題点
便秘に伴い、硬い糞塊が結腸粘膜を機械的に刺激して、水分や粘液の分泌を引き起こします。
これは停滞している糞塊と腸壁の間隙をすり抜けて、排便を伴わないしぶり動作で「下痢状便」として排泄されます。
これを奇異性下痢と呼ぶが、下痢と混同されることがあるので注意が必要です。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の病理発生
◎便秘
以下に示す様々な原因により、異常に硬い便が結腸/直腸に停滞し排便不能になった状態です。
・食物性(被毛など異物の摂取)、水分摂取不足による脱水
・環境の変化(転居、入院)や心理的要因(不潔なトイレ)による排便忌避
・排便時の疼痛による排便忌避(肛門嚢炎、肛門直腸の狭窄、前立腺膿瘍、腫瘍、肛門周囲瘻、骨盤骨折)
直腸肛門の狭窄
- 管腔外からの圧迫(前立腺肥大、骨盤腔狭窄〈骨盤骨折の不整癒合、二次性上皮小体機能亢進症による骨盤の変形〉、肛門周囲の腫瘍など)
- 管腔内病変による狭窄(腫瘍、異物)
- 管腔変位/管壁の異常による通過障害(会陰ヘルニア、直腸憩室)
神経/筋肉の機能障害
- 腰仙椎における脊髄神経の障害(第二から第四仙髄神経の支配を受ける横行結腸や下行結腸、S状直腸、直腸、肛門括約筋の運動低下)、両側骨盤神経の障害
- 腸の蠕動運動低下(甲状腺機能低下症)
- 特発性の巨大結腸:猫で多くみられ、結腸平滑筋の先天的な運動性低下による。神経支配は正常で、組織学的にも異常は認められないが、結腸の運動に関連するアセチルコリン(Ach)、サブスタンスP、コレシストキニン(CCK)など神経伝達物質に対する反応性の低下が明らかにされています。
・水/電解質異常:脱水による硬固な糞便、低カリウム血症や高カルシウム血症による結腸の運動機能低下
・薬物性:抗コリン薬、アヘンやオピオイド、硫酸バリウムなど
◎便失禁
以下に示す原因により、便を保持する肛門括約筋の機能が損なわれるため、不随意的に便の排泄が起こる状態です。
・中枢神経の障害や脊髄神経(馬尾症候群)のために発現する肛門括約筋不全。
・肛門の手術または外傷による括約筋の断裂、あるいは括約筋に至る末梢神経(骨盤神経、陰部神経)の損傷。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の対症療法
元気消失、食欲低下、嘔吐、脱水など全身症状を伴わない軽度の便秘の症例では食物療法を行うとともに下剤を投与し、通院で治療可能です。
以下に示す下剤はいずれも48時間以内に効果が発現します。
重篤な便秘では、まず脱水や電解質の異常を補正した後、停留した宿便を浣腸または麻酔下で用手により排泄させます。
便失禁に対する対症療法は特にありません。
◎便の排出処置
麻酔下にて糞便を軟化させるために温めた生理食塩水(5~10ml/kg)を結腸に注入した後、指による除去ができる位置まで腹壁を介して結腸を優しくしごき、糞塊を遠位の直腸へと移動させます。
糞便を骨盤腔内に押し込むような気持ちで行います。
◎下剤の投与
膨張性下剤
難消化性で非吸収性の多糖類、セルロースは膨張剤として用いられ、糞便を軟化させ結腸の運動を正常化させる(オオバコの種子、未精製の穀類、ふすま、高繊維製の処方食)。
粘滑性下剤
ワセリンやパラフィンなど鉱物油は水分の吸収を抑制することにより糞便を軟化させ、表面を滑らかにして排泄を容易にする(白色ワセリンなど)。
浸透圧下剤
腸管から吸収されにくい多糖類やマグネシウム塩類は管腔内で浸透圧効果を示し、腸管内の水分を浸透圧によって保持することで糞便は軟化する(ラクツロース、水酸化マグネシウム)。
ラクサペットジェル(Laxapetgel)
ラクサペットジェルは、有効成分の流動パラフィンを含有するジェルタイプの下剤です。
腸内の毛玉の除去及び形成防止に用います。
吐き気・便秘などの原因となるお腹に溜まった毛玉を、ふん便と一緒にやさしく取り除きます。
苦しがり、懸命に吐き出すような動作、草を探して草に似た形状のもの(例えば毛糸)を食べようとする行動を改善したり、嘔吐による脱水症状や食欲の低下を抑えたりします。
ラクサペットジェルは、食べやすいキャラメル風味の薬です。
刺激性下剤
小腸や大腸における分泌亢進と蠕動運動促進作用により、便の軟化と排泄を促す(ビサコディル、センナ、ヒマシ油)。
蠕動運動促進剤
結腸の運動を促進させ排便を促す薬剤。現在国内で使用可能なセロトニン作動薬は、モサプリドで、セロトニン受容体5-HT4を選択的に刺激してAchを遊離させ、これが消化管のムスカリンのM3受容体と結合し、運動を亢進させる。
ガスモチン(Gasmotin)は、有効成分のモサプリドクエン酸塩を含有した犬の消化管運動機能改善薬です。
ガスモチン(Gasmotin)の有効成分であるモサプリドクエン酸塩は、犬の中枢神経系および内分泌系副作用の原因となるドパミンD2受容体を遮断することなく、選択的に特定部位(セロトニン5-HT4受容体)を刺激することで、消化管運動を促進して、食欲や嘔吐の改善に優れた効果を発揮します。
モサプリドクエン酸塩は、ヒトで1998年以来延べ約1700万人に処方されている歴史のある薬剤です。
効果:上部消化管(胃及び十二指腸)運動機能低下に伴う食欲不振及び嘔吐の改善
体重1kg当たりモサプリドクエン酸塩として、1回量0.25~1mgを1日2回、2~4日間経口投与する。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の診断の進め方
便秘が存在するか否かは病歴などの問診から疑診され、腹部の触診や直腸の指診など身体検査によって診断されます。
次いで便秘の原因を明らかにするための追加検査を行います。
◎臨床検査
腹部X線検査
・X線不透過性の高い糞便が結腸に停滞(便秘の確認)
・巨大結腸を示唆する結腸の著しい拡張
・食物中の異物が原因であることを示唆する宿便内の異物(骨片、砂粒など)
・骨盤の変形や脊髄の損傷を示唆する椎骨の変形
・前立腺の肥大
◎その他の追加検査
甲状腺機能検査
甲状腺機能低下症では腸の蠕動運動が低下し、一般に便秘がみられるが、便秘と下痢を交互に呈する例もある。
獣医師解説!犬の甲状腺機能低下症〜症状、原因、治療法、治療費用〜
甲状腺機能が低下すると甲状腺ホルモンの分泌が減り、全身の代謝低下、皮膚の乾燥、脱毛、むくみ、疲労感などの不調が生じてきます。誤診も多い病気なので、注意が必要です。診断が正しく、適切なホルモン補充療法が実施されていれば予後は良いです。本記事では、犬の甲状腺機能低下症の症状、原因、治療法から治療費用に至るまで解説します。
バリウム注腸検査
結腸の閉塞病変が疑われる場合、スクリーニングとして行う。
大腸の内視鏡検査
バリウム注腸造影検査で異常が認められた場合、腸粘膜の目視および生検を目的として行われる。
腹部超音波検査
便秘の原因として骨盤腔内の臓器の腫大(前立腺、腸仙骨リンパ節)が疑われる場合
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の特徴
本徴候の発生に関して性差は認められません。
猫では成長期に栄養性骨疾患による骨盤腔狭窄を起こす例が比較的多く、こうした例では若齢期から慢性的な便秘が認められます。
マンクス(英国マン島原産)には先天的な仙骨/尾骨の形成不全を起こしている個体があり、成長とともに便秘をきたします。
猫の特発性巨大結腸症には中年齢以上の雄猫での発生が多いです。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の高頻度の疾患
犬、猫ともに直腸管腔外からの圧迫により便秘を起こす例が圧倒的に多いです。
- 犬では会陰ヘルニア、雄犬の前立腺肥大、
- 猫では骨盤の変形(骨折の不整癒合、幼齢期における二次性上皮小体機能亢進症)
による便秘の発生頻度が最も高いです。
いずれも身体検査、手指による直腸の検査、X線検査で鑑別可能なことが多いです。
治療はそれぞれの原因疾患に対する外科的処置が必要であるが、軽症例では食物、下痢で処置が可能な場合もあります。
猫で骨盤腔狭窄による通過障害がなく、重度で不可逆的な結腸の拡張が認められ、腰仙椎における脊髄神経、両側骨盤神経の障害が除外できれば、特発性巨大結腸症と診断されます。
特発性巨大結腸症の猫の多くは、内科治療に反応せず、結腸の大部分を切除する結腸部分切除術が行われます。
犬や猫の便秘、ウンチが出ない時の要点
便秘にはしばしばみられる奇異性下痢をしぶりを伴う下痢と取り間違えないためには、問診、腹部の触診、直腸検査、画像診断を行うことが重要です。