獣医師解説!犬や猫の脱水症状とは!?〜その原因、症状、治療法まで〜

愛犬や愛猫の脱水症状が疑われるので病院に連れて行ったけど、

  • 原因がわからないと言われた...
  • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
  • 検査してくれなかった...
  • 病院ではよくわからなかった...
  • 病院では質問しづらかった...
  • 混乱してうまく理解できなかった...
  • もっと詳しく知りたい!
  • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
  • 治療しているけど治らない

もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた

という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、

その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

例えば...

  • 人に移るの?
  • 治る病気なの?
  • 危ない状態なのか?
  • 治療してしっかり治る?

これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

結論から言うと、脱水は、体液である水分や電解質が体内で不足している病態をいい、

水分や電解質の摂取不足や過剰な喪失によって起こります。

脱水は体内からの水分と電解質の喪失の割合により3型に分類され、

  • 主に水分が体外へ失われる高張性脱水
  • 主に電解質が失われる低張性脱水
  • 水分と電解質が同等に失われる等張張脱水(混合性脱水)

脱水の程度や状態を把握するために一般身体検査、血球検査、血清総蛋白量、血清電解質の測定を行います。

この記事では、愛犬や愛猫の脱水症状が疑われる場合について、その理由をアカデミックな面からまとめました。

この記事を読めば、愛犬や愛猫の脱水症状が疑われる際の症状、原因、治療法までがわかります。

限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の脱水症状が疑われるところを見つけた飼い主は、是非ご覧ください。

✔︎本記事の信憑性

この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

✔︎本記事の内容

犬や猫の脱水症状とは!?〜その原因、症状、治療法まで〜

犬や猫の脱水症状の定義、見分け方

犬や猫の脱水症状の定義、見分け方

体液である水分や電解質が体内で不足している病態をいい、水分や電解質の摂取不足や過剰な喪失によって起こります。

犬や猫の脱水の症状

犬や猫の脱水の症状

犬や猫の行動

脱水症状を起こしている犬や猫は、まだ元気があれば飲み水を探し求めます。

脱水症状になると落ち着きなく歩き回るなど、水を探しているようないつもとは違う行動をします。

十分な水分を摂れないときは、唇を繰り返し舐めたり、不安げな表情をするときもあります。

脱水症状のあるときに、飲み水用のボウルに鼻をつけて伏せる犬や猫もいます。

犬や猫の皮膚の状態

肩の辺りの皮膚をチェックします。

脱水症になると皮膚の弾力がなくなるので、一般的に動物病院では、犬の肩の辺りの皮膚をつまみ上げて脱水症状があるかどうかを判断します。

このテストは次の手順で行います。

  • 肩の上や首の後ろのたるんだ皮膚を探します。
  • 皮膚を軽くつまんで、肩から5~8 cm程優しく持ち上げます。
  • 皮膚を放して様子を見ます。
  • 正常な皮膚はすぐに元にもどりますが、脱水症状がある場合は皮膚のはりがないので、元にもどるまでに時間がかかります。
  • 持ち上げる前の状態にもどるまで2秒以上かかる場合は、脱水症を起こしています。

犬や猫の口腔粘膜

犬の歯茎を調べます。

初期の脱水症状は歯茎を見るとわかります。

健康な歯茎は人間の歯茎のように濡れて輝いています。

脱水症状を起こしている動物の歯茎は、唾液の分泌が少ないため乾いていたり、粘着性があります。

不安や恐怖を感じているときに歯茎が乾くこともあるので、混同しないように犬がリラックスした状態のときに歯茎を調べます。

犬や猫の排尿

尿を調べます。

十分な水分を摂っていないと、体は自然に水分を蓄えようとします。

その場合、膀胱は空になるので尿が出なくなるか、または濃度が高い尿が出ます。

高濃度の尿は濃い黄色をしています。

尿の色が濃いのは犬の腎臓が体内の水分を再利用して、それを貯蔵しようと働くためです。

いつもより尿が出る回数が少ない場合や、尿の色がいつもと違う場合は注意してください。

犬や猫の脱水症状の分類と問題点

犬や猫の脱水症状の分類と問題点

脱水は体内からの水分と電解質の喪失の割合により3型に分類され、

  • 主に水分が体外へ失われる高張性脱水
  • 主に電解質が失われる低張性脱水
  • 水分と電解質が同等に失われる等張張脱水(混合性脱水)

に分けられます。

高張性脱水では循環は維持されるため、ショック状態は末期まで認められないですが、著しい口渇を示します。

低張性脱水は循環が維持されないため、ショック状態は顕著に現れるが著しい口渇は認められないです。

犬や猫の脱水症状の病理発生

犬や猫の脱水症状の病理発生

高張性脱水

主に水分が喪失して脱水状態となります。

電解質(主にナトリウム)の喪失はほとんどないため血漿浸透圧が上昇します。

水分は細胞外液から失われるため、水分が細胞内から細胞外へ移動することで細胞内液も欠乏します。

低張性脱水

電解質(主にナトリウム)が喪失し、水分の喪失はほとんどないため血漿浸透圧が低下します。

電解質は細胞外液から失われるため、水分は細胞外から細胞内へ移動します。

すると浸透圧調節のため水分排泄が起こり、細胞外液が著しく欠乏して起こります。

等張性脱水

混合性脱水ともいい、水分と電解質が同程度に喪失し細胞外液が減少して脱水となります。

細胞外液に伴い細胞内液の電解質も変化しNa濃度が上昇しK濃度が低下します。

犬や猫の脱水症状の対症療法・対処・点滴処置

犬や猫の脱水症状の対症療法

・脱水の程度や状態を把握するために一般身体検査、血球検査、血清総蛋白量、血清電解質の測定を行います。

皮膚つまみ検査は削痩動物では過大に、肥満動物では過少に評価しやすいので注意が必要です。

また、皮膚つまみ検査は腰部など頸部以外で行います。

・臨床検査より脱水の程度を推定して以下のように脱水量を算出し、そこに維持量を加えて輸液にて補充します。

水分が持続して喪失される場合は、その分も補充が必要となる。

輸液量=脱水量(体重〈kg〉×脱水の程度〈%〉÷100)+維持量

電解質の異常:電解質異常が認められた場合は補正を行う。

カリウムの異常:低カリウム血症が認められる場合は、以下の表2に従い輸液剤にカリウムを添加して輸液して是正する。

ナトリウムの異常:ナトリウムは細胞外液の多くを占めるため水分喪失により相対的に増減してみえることがある。

犬や猫の脱水症状の診断の進め方・対処

犬や猫の脱水症状の診断の進め方

問診(摂食、飲水、嘔吐、下痢などの状況や持続期間)、

臨床症状(動物の皮膚の弾力性、毛細血管再充満時間〈CRT〉、眼球の陥没状況など)の確認、

臨床検査(一般血液検査、血清総蛋白量、血清電解質など)を行い、

脱水の程度を明らかにし、脱水を分類鑑別します。

高張性脱水と診断した場合

水分の摂取異常または喪失を考え検査を行います。

▶水分の摂取異常:触診、視診、X線検査、内視鏡検査などにより喉頭の麻痺や食道障害がないか詳しく検査します。

▶水分の喪失:腎臓からの過剰排泄を起こし得る疾患を考慮し、血液検査、尿検査、X線検査、超音波検査などで腎臓の評価を行います。

また内分泌疾患(尿崩症や糖尿病)についても検査します。

低張性脱水と診断した場合

電解質の喪失経路となる消化管や腎臓を詳しく検査します。

▶腎臓:腎不全の有無や程度を評価し検査します。

▶またアジソン病を疑う場合には内分泌検査も必要となります。

皮膚も電解質を失う経路となり得ます(熱傷、膿皮症など)。

犬や猫の脱水症状の特徴

犬や猫の脱水症状の特徴

脱水はいかなる品種、年齢でも起こり得る症状の一種です。

犬や猫の脱水症状の高頻度の疾患・原因

犬や猫の脱水症状の高頻度の疾患

高張性脱水

摂食・飲水障害(飢餓や嚥下困難など)、不感蒸発の増加(過呼吸)、尿崩症、熱中症、食塩中毒、浸透圧性利尿(糖尿病)

低張性脱水

アジソン病、著しい持続性下痢や嘔吐、熱傷

等張性脱水

下痢、嘔吐、熱傷、浸透圧性利尿(糖尿病)

犬や猫の脱水症状の要点

犬や猫の脱水症状の要点

実際の臨床では極端な水分だけ、または電解質だけの喪失は稀であり、等張性脱水を基準に、

水分喪失が主体(高張性脱水)か、または電解質喪失が主体(低張性脱水)かを考えます。

救急の時は...

愛犬を抱えて救急外来に駆け込まなければいけない状況は、突然やってきます。動物病院の診療時間外に愛犬が体調を崩して、このままようすを見てもいいのか悩んだことのある人も多いのでは?愛犬の変調は突然やってきます。そのときに慌てなくていいように、動物の救急外来、夜間病院について知っておきましょう。

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no life no dogs & catsをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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