動物病院で、自分の犬がマラセチア性皮膚炎と診断された...
愛犬が皮膚炎で、痒み、悪臭、皮膚病がひどい...
マラセチア性皮膚炎と診断されたけど、
- 病院ではよくわからなかった...
- 病院では質問しづらかった...
- 混乱してうまく理解できなかった...
- もっと詳しく知りたい!
という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
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結論から言うと、皮膚体表に常在する好脂性の酵母様真菌であるマラセチアが、何らかの条件で異常増殖し、外耳炎や皮膚炎が誘発されます。
耳介内側、外耳道、口唇部、頚部、腋窩部、鼠径部、趾間部などに好発します。
菌は体表や角化細胞に付着し,落屑とともに環境に散じます。
まれに毛包に侵入し、毛包炎がみられる事があります。
発症機序としては、菌体によるケラチノサイトからのサイト力インの誘導や、アレルギ一反応の誘発が報告されています。
治療には、イトラコナゾールや塩酸テルビナフィンが使用されます。
抗真菌薬含有の薬剤を用いたシャンプーや薬浴、または薬剤を含ませた綿花などで拭くのも有益です。
本菌は人でも新生児や免疫不全患者での感染が問題になります。
この記事では、マラセチア性皮膚炎についてその原因、症状、診断方法、治療法までをまとめました。
限りなく網羅的にまとめましたので、マラセチア性皮膚炎と診断された飼い主、愛犬が皮膚病にかかっているけど治らない、犬を飼い始めた飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
犬のマラセチア性皮膚炎〜原因、症状、治療法〜
この記事の目次
犬のマラセチア性皮膚炎の病原体
マラセチア属 Mαlαsseziαとは酵母様真菌の1属で、現在18菌種が知られています
これら菌種は好脂性です。
Mαlαssezia pachydermαtisのみ脂肪がなくても発育可能ですが、脂肪があればさらに旺盛に発育します。
現在、本属の菌については遺伝子解析が行われています。
マラセチアによって病変が惹起されるが、犬では主にM.ραchydermatisが原因となります。
マラセチアは以前、ピチロスポルム(Pityrostorum)と呼称されていました。
犬のマラセチア性皮膚炎の疫学
1950年代から70年代にかけてマラセチアと外耳炎の関係が認められております。
特にブドウ球菌感染の外耳炎を抗菌薬で治療した後に菌交代現象に伴ってマラセチアが増数するなどで外耳炎の症例数が増加しました。
1990年代になると飼育環境の変化のためか、皮膚病変を主体とする症例が増加の傾向を示し、かつ重症例や再発例がみられるようになって今日に至っています。
犬のマラセチア性皮膚炎の宿主
M.ραchydermatisは最初JWeidman.F.Dがサイから分離した菌でPityrostorum ρachydermatisとして報告されました。
犬以外にも、人を初めクマ、ウシ、猫、ブタ、フェレット,アザラシ、アシカから分離されています。
調べればほかにも多くの種類の動物から分離されるものと思われます。
なお、犬からM.furfur、M.globosaやM.symtodialisが分離されているが、将来ほかの菌種が確認される可能性があります。
なぜなら、犬ではM.ραchydermatisが常在しているため、脂質要求性の菌植の分離が困難な状況にあるからです。
人においても、M.ρachydermatisの感染が報告されています。
新生児室で蔓延した事例があり、看護師が本人の飼育動物の菌を持ち込んだものとされています。
そのほかの院内感染例として、カンジダCandidaと同じく栄養カテーテルを介した感染が特に免疫不全患者に発生しています。
Fan YM. Granulomatous skin infection caused by Mallassezia ρachydermatis in a dog owner. Archives Dermatology 142.2006.1181-118
したがって、看護師や介護士の手指の消毒が喚起されています。
犬の飼い主における皮膚肉芽腫の症例などの報告もあります。
Morris DO. Malassezia pachydermatis carriage in dog owners. Emerging Infections Diseases journal 11.2005.83-88
犬のマラセチア性皮膚炎の感染経路
M.ραchydermatisは犬の皮膚、時に粘膜に常在しているが、母犬から生後間もなく直接伝達され、その後常在化するものと考えられています。
そして、動物間での本菌の伝達が直接、間接的にあるものと推測され、また人の手指を介するなどによる本菌の移動も予想されます。
一方で、本菌が接触などによって新たに移動し、付着したからといって、直ちに疾病の発症につながったとする報告はありません。
しかし、前述のようにM.ραchydermatisが飼育していた犬から人の手に付着して運ばれて、新生児や免疫不全患者に感染を引き起こす危険があることに注意が必要です。
犬のマラセチア性皮膚炎の感染の特徴
犬の皮膚の常在真菌であるM.ραchydermatisが病変に関与しますが、感染の定義から考えると内因性ないしは自発性感染の範疇に分類されると思われます。
しかし、犬の皮膚における疾病はM.ραchydermatisの表層での異常増殖に関連しているとされ、皮膚の溝に認められています。
ただし組織中に侵入している所見はほとんど存在していません。
したがって、M.pachydermatisが表層で異常増殖する状況や、その他の条件が問題です。
この皮膚における微小環境が改善されない場合は、たとえ治療によって軽快しても再燃、再発の可能性が高いです。
犬のマラセチア性皮膚炎の発症機序
体表に、常在する菌が微小環境の変化によって異常増殖し、その結果、サイトカインの産生が誘発され、あるいはアレルギ一反応が惹起されて炎症病変が形成されるものと考えられています。
また、生理活性物質との関連なども検討されています。
1. 体表における菌の異常増殖
体表に常在するマラセチア菌が微小環境の変化、すなわち温度、湿度、脂漏、外傷(特に舐める)が影響して問題となります。
基礎疾患として、特にアレルギー(犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー)、細菌感染、 内分泌疾患(甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症)、 膵炎や糖尿病などの脂質代謝に関連する疾患では要注意です。
2. サイトカインの誘導
ケラチノサイトとマラセチア菌を共培養すると、ケラチノサイトからサイトカイン(インターロイキン、IL)が産生されることが確認されています。
特に好中球の遊走を誘引するIL-8が分泌されます。
しかしサイトカイン産生・分泌を誘発する機序の詳細や起因物質は不明です。
3. アレルギ一反応
マラセチア菌の菌体を破砕して得た抽出物で犬を感作すると、アレルギ一反応が誘発されることが認められています。
菌体成分の抗原となる分画については検討がなされているが、詳細は不明です。
犬のマラセチア性皮膚炎の臨床症状
好発犬穂として
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- コッカー・スパニエル、バセット・ハウンド
- イングリッシュ・セター
- プードル
- ジャック・ラッセル・テリア
- シー・ズー
- スプリンガー・スパニエル
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
が挙げられています。
季節との関連性があるとされています。
一般に、病変は耳翼・外耳道、口唇周囲、頸部、腋窩部、鼠径部、肛門周囲、肢端、趾間、爪などに見られ、特に摩擦部位が問題になります。
皮膚炎と外耳炎の併発も少なくないです。
外耳炎ではしばしば黒褐色の耳垢が認められます。
掻痒の程度には幅があるが、主に中程度ないし重度です。
悪臭を呈することが多いです。
皮診は主に紅斑、落屑、脂漏性です。
慢性化すると、苔癬化し黒色を呈します。
爪周囲炎により爪に変色がみられることがあります。
犬のマラセチア性皮膚炎の検査
塗抹標本の検査
臨床症状を把握し、その結果から疑診して、病変部由来の検体から塗抹標本を作製します。
塗抹標本をDiff-Quikなどで染色して鏡検し、多数のマラセチア菌の存在を確認します。
すなわち、ボーリングのピン状ないしピーナッツ状を呈する菌体を多数確認することができます。
一般に、顕微鏡検査で特別の異常がなくとも、1視野(1.000倍)に2個以上の菌体が確認されれば十分診断的価値があります。
培養検査
M. pachydermatisの培養検査の場合には、サブローデキストロース寒天培地やクロモアガーマラセチアを用いて25℃で培養します。
発育したコロニーから釣菌して顕微鏡で観察すると、ボーリングのピン状ないしピーナッツ状を呈します。
独特の単極性分芽の菌体が認められます。
大きさは約3~6x6~12μmです。
その他の検査
生検では角質表面(落屑・皺溝)に菌体が確認されますが、その他、表層性の血管周囲および間質にリンパ組織球性皮膚炎がみられることがあります。
また、薬剤に対する感受性試験、マラセチアに対するアレルギー検査も行われることがあります。
犬のマラセチア性皮膚炎の診断
前述のように臨床症状から疑診して検査を進め、その結果を考察してマラセチア皮膚炎を診断します。
犬のマラセチア性皮膚炎の治療
誘発要因を除去することが重要です。
治療によって完治したとしても、感染した部位の微小環境が改善されていなければ容易に再発します。
また、基礎疾患が存在していると、治療によってマラセチアによる病状が落ち着いても、基礎疾患による病変が顕性化することになります。
1. 局所治療
ミコナゾール、クロルヘキシジン、硫化セレニウムなどを含有するシャンプ一剤を用いて洗浄や薬浴するのが効果的です。
これら薬剤を含ませた綿花などを用いて病変部を拭くことも有効です。
これら有効薬物含有クリームやローションも有別であり、エニルコナゾール加リンスも用いられます。
マラセブシャンプー
マラセブシャンプーは、犬や猫の皮膚に常在しているマラセチアと呼ばれる真菌を駆除する、犬猫兼用の皮膚疾患治療用のシャンプーです。
マラセブシャンプーは、ミコナゾール硝酸塩やクロルヘキシジングルコン酸塩を配合しています。これらの成分の働きにより、マラセチア菌とスタフィロコッカス菌を殺菌、余分な皮脂や汚れを洗い流し、大切なペットの皮膚を清潔かつ健康に保つことができます。
犬や猫の抵抗力が落ちると、マラセチア真菌が異常繁殖し、強い痒みや皮膚の赤化、皮膚の黒ずみ、コケ状のものが生じるなどの症状が出てきます。
▼投与方法
犬や猫の被毛を、水またはお湯でしっかりと濡らしてください。痒みが強い場合は、我慢できる程度で、低い温度がおすすめです。被毛が密であったり、毛の長い犬や猫には、特にしっかりと時間をかけて濡らしてください。
マラセブシャンプーを手にとり、症状の重い部分から順にやさしく泡立てながら馴染ませます。
(※全身の洗浄が難しい場合は、マラセチアが繁殖しやすいわきの下や内股、指の間、おなか、下あご、肛門の周りなどの患部を部分的に洗うだけでも効果的です。)
その後、シャンプーの泡を皮膚に残したまま10分間待ちます。
この間、犬や猫が泡を舐めたり吸い込まないように注意してください。
10分経過したら、水またはお湯で泡がなくなるまで丁寧に洗い流し(約5~10分間)、タオルで優しくしっかりと水分を拭き取り、乾燥させてください。
投与回数
週に2回、投与してください。
1回使用した後は、3日以上の間隔をあけてください。
yahooストアで購入する場合はこちら 250ml 2,400円
ペルシーミコナケアシャンプー
ミコナケア(MICONACARE)は、動物用医薬品マラセブシャンプーと同一の有効成分を配合している犬猫用シャンプーです。週2回の投与で、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療します。また独自の特徴として、蚊よけや保湿作用といった“プラスα”成分を配合。レモングラスの爽やかな香りもまた特徴の一つです。
ミコナケアは、有効成分ミコナゾール硝酸塩の働きによって、マラセチア皮膚炎の原因となるマラセチア真菌の細胞膜に障害を起こし、その増殖を抑制することで治療するシャンプーです。また、同じく有効成分のクロルヘキシジングルコン酸塩が、マラセチア皮膚炎を悪化させる要因の1つであるスタフィロコッカス(ブドウ球菌)を殺菌します。
このほか、ミコナケアには、オリジナルの設計として、様々な成分が多彩に配合されており、“プラスα”した作用が期待できます。
ミコナケア7つの特徴
▼マラセチア皮膚炎を治療
有効成分のミコナゾール硝酸塩の働きによって、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療します。
▼スタフィロコッカスを殺菌
有効成分のクロルヘキシジングルコン酸塩の働きによって、マラセチア皮膚炎を悪化させるスタフィロコッカス(ブドウ球菌)を殺菌します。
▼蚊よけ作用
蚊よけ成分のレモングラス精油を配合。蚊によって媒介されるフィラリア症(糸状虫症)が気になる方に嬉しい成分です。
▼爽やかなフレーバー
同じくレモングラス精油が爽やかな香りを演出。既存の動物用医薬品シャンプーにありがちな不快な臭いがありません
▼皮膚サポート作用
初乳(コロストラム)を配合。免疫機能を整えて、マラセチア菌に負けない皮膚をサポートします。
▼保湿作用
配合のローヤルゼリーエキスによる保湿作用によって、洗いあがりの皮膚に潤いを与えます。
▼毛並み保護作用
たんぱく質の構成成分である15のアミノ酸を配合。洗い上がりの繊細な毛並みを、やさしく保護します。
~15種のアミノ酸~
リシン、ヒスチジン、アルギニン、アスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、チロシン、フェニルアラニン
ミコナケアは、犬・猫のマラセチア皮膚炎を治療するとともに、多彩な配合成分の働きによって、様々な皮膚および被毛のサポート作用が期待できるシャンプーです。蚊よけの作用や爽やかな香りも特徴です。
▼投与方法
1. 被毛を、お湯または水で十分に湿らせてください。
2. 全身に擦り込むように本剤を投与し、泡立ててください。
3. 10分間放置した後、薬液を残さないよう全身をお湯または水で十分にすすいでください。
(ワンちゃん・ネコちゃんにとって、10分間大人しくしてもらうのは難しいことですが、適切な効果を発揮させるため、きっちりと時間を守りましょう。症状がひどい箇所から洗うことをおすすめいたします。)
▼投与回数
週に2回、投与してください。
1回使用した後は、3日以上の間隔をあけてください。
被毛の長さなどを考慮し、十分な泡立ちが得られ、薬液が流れ落ちない量を投与してください。
1本765ml
価格:2,480円
ミコナケア | マラセブ | |
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成分 | ・ミコナゾール硝酸塩 2% ・クロルヘキシジングルコン酸塩 | ・ミコナゾール硝酸塩 2% ・クロルヘキシジングルコン酸塩 2% |
特徴 | ・マラセチア真菌症などの皮膚疾患治療 ・蚊よけ作用 ・保湿作用 | ・マラセチア真菌症などの皮膚疾患治療 |
1本あたり ※複数購入なら更にお得 | 1本(765ml) 2,480円 | 1本(250ml) 2,534円 1本(500ml) 3,447円 1本(1000ml) 5,121円 |
100mlあたり | 約320円 | 約920円(250ml) 約630円(500ml) 約500円(1000ml) |
アダキシオシャンプー(犬用)
有効成分のミコナゾール硝酸塩とクロルヘキシジングルコン酸塩を含有した犬用のシャンプーです。
マラセチア皮膚炎を治療します。
1本200ml
価格:2,049円
ミコベットメディケートシャンプー
有効成分のミコナゾール硝酸塩とクロルヘキシジングルコン酸塩を含有した動物(犬・猫・馬)用のシャンプーです。マラセチア皮膚炎を治療します。
1本250ml
価格:2,189円
クロルヘキシジンシャンプー
酢酸クロルヘキシジンを主成分とする犬猫用殺菌シャンプーです。
本剤は殺菌力と洗浄力を併せ持ち、洗い上がりもよく静電気防止効果も期待できます。
●グラム陽性菌を中心とした広い抗菌スペクトルを持つ酢酸クロルヘキシジンを0.5%配合
●汚れの洗浄、ふけの除去、一般細菌、2次感染菌の除菌、細菌性皮膚炎、膿皮症、乾性脂漏症の予備洗浄等
あらかじめ犬・猫の被毛を十分に水又はぬるま湯でぬらし本剤の適量 (標準量は猫・軽量犬 (10 kg 未満) で 10 ~ 20 g、中型犬 (10 kg 以上 20 kg 以下)で 20 ~ 40 g、大型犬 (20 kg 以上) で 40 ~ 80 g) を用い 3 分間良く泡立てながら洗浄する。
約 5 分間そのまま放置して水又はぬるま湯で洗い流す。使用量は犬猫の毛の多少、汚れの程度により加減して使用し必要な場合には 2 度洗いする。
1本200ml 1,500円程度
マラセキュア 250ml
マラセキュアは、ミコナゾール硝酸塩(抗真菌成分)とクロルヘキシジングルコン酸塩(殺菌消毒成分 )をそれぞれ2%ずつ配合した、犬のマラセチア皮膚炎を治療(キュア)する国産外用剤です。
品質を重視されている日本国内の飼い主様にご満足いただけるよう、ボトルからの薬液の出しやすさから泡立ち、脱脂力、すすぎやすさ、香り、洗い上がりにまですべてにこだわって開発されました。
■クロルヘキシジングルコン酸塩2%配合
■ミコナゾール硝酸塩2%配合
■効能効果:犬:マラセチア皮膚炎
■使用方法:犬の被毛を温湯又は水で十分に湿らせ、本剤を全身に擦り込むように泡立てる。10分間放置した後、薬液を残さないように全身を温湯又は水で十分に濯ぎ洗う。
投与回数は1日1回、3日以上間隔をあけて週2回投与する。
1回当たりの基準使用量は体表面積に対して50mL/m2とする。体重と体表面積の関係から、体重別の投与量は下表のとおりとし、該当する範囲内で被毛長等を考慮して十分な泡立ちが得られ、流れ落ちない投与量を選択する。
体重/1回当たりの投与量
1.5〜3kg未満/5〜10mL
3〜5kg未満/10〜15mL
5〜10kg未満/15〜25mL
10〜15kg未満/25〜30mL
15〜20kg未満/30〜40mL
20〜30kg未満/40〜50mL
30〜40kg未満/50〜60mL
40〜50kg未満/60〜70mL
2. 全身療法
イトラコナゾール(5~10 mg/kg、経口投与、1日1回、7日間)や塩酸テルビナフィン(30mg/kg、経口投与、1日1回、2~4週間)で治療します。
スポラル100mg
1箱4カプセル 3,193円
有効菌種
マラセチア・パチデルマチス
適応症
犬:真菌感染症(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症)、外耳炎
スポラルは、有効成分のイトラコナゾールを含有する抗真菌薬です。
スポラルに含有されている有効成分のイトラコナゾールは、体の中のカビ(真菌)が増えるのを抑え、感染を治療する薬です。真菌の細胞膜の主要構成脂質であるエルゴステロールの生合成を阻害することで、真菌の増殖を抑え、犬におけるマラセチア皮膚炎を治療します。
トリアゾール系抗真菌成分のトリアゾールは、幅広い真菌に対して有効な抗真菌スペクトルの広い薬剤です。
犬に体重1kg当たりイトラコナゾールとして5mgを基準量とし、1日1回、食直後に14~21日間経口投与する。
場合によっては薬剤に対する感受性試験も必要です。
なお、薬剤使用に際しては、それが日本で動物用医薬品として、承認されているか否かについて注意する必要があります。
ニナゾル(Ninazol)200mg
1箱100錠 2,771円
効果:犬:真菌性感染症
Ninazol(ニナゾル)は、抗真菌薬です。有効成分としてケトコナゾールを含有しています。皮膚糸状菌やマラセチアなど、真菌(カビ)の感染症治療薬として使用されます。
Ninazol(ニナゾル)の有効成分であるケトコナゾールは、主に真菌(カビ)の細胞膜合成を阻害することで、増殖を抑えます。
菌を完全に死滅させるためには、一定期間の投与が必要となります。
ニゾラルクリーム(NizoralCream)2%
ニゾラルクリームは、有効成分のケトコナゾールを含有する外用抗真菌剤です。犬・猫におけるマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)や皮膚糸状菌症(水虫)などの真菌感染症に用います。
ニゾラルクリームに含有されている有効成分のケトコナゾールは、皮膚に寄生した真菌(カビ)の細胞膜をこわして殺菌的に働くことで、真菌感染症を治療します。
ケトコナゾールは、アゾール系の抗真菌剤です。
真菌感染症(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症)、外耳炎
1本30g 1,994円
ファンギノックスソリューション(FunginoxSolution)2%
1本25ml 2,242円
3本 4,268円
適応症
犬:真菌感染症(マラセチア性皮膚炎、皮膚糸状菌症)、外耳炎
ケトコナゾールソルーション(FunginoxSolution)は、有効成分ケトコナゾールを配合した外用抗真菌剤です。犬・猫におけるマラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)や皮膚糸状菌症(水虫)などの真菌感染症に用います。
ケトコナゾールソルーション(FunginoxSolution)は、ケトコナゾールを主成分としたイミダゾール系抗真菌剤です。
スプレータイプで手軽に塗布できる上、液体なので被毛の生え際(患部)への塗布も可能です。
また、クリームのようにべたつかず、すぐに乾燥することも特徴の1つです。
有効成分のケトコナゾールは、皮膚に寄生した真菌(カビ)の細胞膜をこわして殺菌的に働くことで、真菌感染症を治療します。
ケトコナゾールは、イミダゾール系薬剤に分類される抗真菌薬です。
Dermiheal-Plus(ダーミヒールプラス)
1本30ml 1,410円
Dermiheal-Plus(ダーミヒールプラス)は、細菌性または真菌性の湿疹性皮膚炎に用いる外用薬です。
クロベタゾールプロピオン酸エステル
副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。炎症を抑えて、かゆみを緩和します。
シプロフロキサシン
ニューキノロン系の抗生物質です。細菌の核酸(DNA)が増えるのを抑えることにより細菌を殺します。
ミコナゾール硝酸塩
抗真菌薬です。真菌の細胞膜の生合成を阻害して、真菌の増殖を抑えます。
犬のマラセチア性皮膚炎の予防
基礎疾忠があれば治療し、誘発要因が存在すれば排除するように努めます。
常在菌の増加を極力制御します。
シャンプーを行うなど、皮膚を衛生的に保持することがが重要です。
「猫におけるマラセチア皮膚炎の発生頻度」
・猫においても皮膚炎および外耳炎が報告されているが、その発生頻度についてはほとんど報告がないです。
臨床の現場においては、犬の症例にくらべ猫の症例は少ないが、消耗状態の場合に発現するように思われます。
猫のマラセチアでも問題になるのはMalassezia pachydermatisです。
「マラセチア皮膚炎で独特の臭いがする理由」
・聞診(聴覚や嘆覚による情報で診断する)は重要な診断法である。
真菌では菌種によって培養したときに独特の臭いを放散します。
マラセチアは脂質要求性の酵母様真菌です。
犬に常在するM.ρachydermatisは脂質を含まない培地でも発育は可能ですが、脂質を含有する培地では発育が著しく促進されます。
したがって、マラセチアが旺盛に増殖するには、脂質が重要な要素であり。発育時に脂質が分解されることになります。
そのときに脂肪酸などの種々の成分が産生され、それに伴い臭気が発生するものと考えられています。
脂漏症でも同様の臭気が感じられますが、これにもマラセチアが関与している場合が多いです。
「症例によってステロイドの使用が異なる理由」
・ステロイドは主に抗炎症を目的に使用されますが、真菌症では真菌の増殖を助長することが確認されています。
したがって、ステロイドは禁忌となりますが、炎症を抑える必要があれば、ステロイドの使用が必要となります。
まず症例における病巣を検討して、マラセチア皮膚炎であることを診断し、マラセチア菌を制御すれば治癒に導けるのか否かを判断します。
必要なら抗真菌薬の使用となります。
一方、炎症反応が重度の病変にはステロイド使用が考慮されますが、病巣が増悪する可能性に留意する必要があります。