近年では犬のフィラリア予防が浸透してきましたが、以前は予防薬がそもそもなく犬の寿命も5歳前後であったと言われております。
今は、我々獣医師もフィラリアに感染している犬を見ることも少なくなってきましたが、
決してフィラリアがいなくなったわけでも、予防をしなくても良くなったわけはありません。
地域や予防していない犬では、感染して症状を出しているフィラリア感染症患者を見ることはあります。
当記事では、フィラリアに感染した時の治療法をまとめました。
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限りなく網羅的にまとめましたので、フィラリア予防に疑問を抱いている飼い主、フィラリアに感染した犬を飼育している飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
犬のフィラリアは治る?治療法とは
犬のフィラリアとは?
フィラリアは、蚊が媒介する寄生虫です。
犬の体内に入ったフィラリアの幼虫は、脱皮を繰り返しながら発育して皮下から心臓へ移行し、心臓で成虫になります。
犬の体内に入り込んだフィラリアが、最終寄生場所である心臓や肺動脈に寄生し、様々な重篤な症状を引き起こします。
感染すると、血栓塞栓症、心不全を引き起こします。
心臓内で成虫になると、薬で殺すことはできず、寿命を待つことになります。
フィラリアは犬に感染して約6ヶ月で成虫になります。
成虫の寿命は5~6年です。
フィラリアが生み出したミクロフィラリアの寿命は1~2年です。
寿命を終えた成虫は心臓内で、分解されることはなく心不全の原因となりますので、取り除くには手術しかありません。
フィラリア症予防薬はフィラリアの幼虫が心臓に到達する前に駆除するお薬です。
手術の費用は、フィラリア予防薬の20年分とも言われています!
フィラリア症は発症したら治すことが難しい病気ですが、動物病院で処方された薬を必要な期間、確実に投薬することで、ほぼ100%防げる病気です。
犬のフィラリアの治療法の実際
犬糸状虫症は成虫寄生に伴う、循環障害(肺高血圧)が最も重要です。
根本療法は犬糸状虫成虫を駆除することです。
外科治療
以前は開胸手術により肺動脈の犬糸状虫を摘出していたが、手術侵襲が大きく、虫体摘出率も安定しないため現在は行われていません。
それに対して、頸静脈からから鉗子を挿入し、肺動脈から摘出する方法は侵襲が少なく、高い成虫摘出率が得られます。
犬糸状虫成虫を除去すると、肺動脈寄生例では一般に肺動脈圧は低下し、動脈内膜の増殖性病変が軽減して肺循環が改善され症状が改善します。
大静脈症候群では、犬糸状虫摘出が第一選択となります。
典型的な例では犬糸状虫を摘出すると症状が回復する例が多いです。
犬糸状虫の摘出が遅れると、臓器損傷が重度となり、回復しない場合が多くなるので、早期に三尖弁口部の犬糸状虫を摘出します。
肺動脈寄生症、大静脈症候群が重度で、犬糸状虫寄生数が少ない例、犬糸状虫の三尖弁腱索断裂の症例では、摘出しても予後が不良です。
肺動脈塞栓病変に対して、グルココルチコイド、抗血小板機能薬などが用いられますが、現在の所決定的な治療法は開発されていません
内科的治療
薬剤による成虫殺滅では犬糸状虫死亡に伴う肺動脈塞栓は避けられません。
近年はイベルメクチンの予防用量を1年以上投与する事により、成虫寄生数が減少することが報告されています。
ミクロフィラリア駆除
ヨウ化ジチアザニンがミロフィラリア駆除の目的で認可されている薬剤であるが、嘔吐や下痢などの副作用を認めることが多いです。
マクロライド系化合物(イベルメクチン)やミルベマイシンオキシムの投与により血中のミクロフィラリアが消失します。
まれにショックなどの有害反応が認められることもありますが、他の薬剤よりも安全性が高く、投与が容易であるため、現在はマクロライド系化合物によるミクロフィラリア駆除が主流です。
対処療法
成虫駆除のできない症例や成虫摘出後に症状が回復しない症例に用います。
循環を改善する目的で利尿剤、血管拡張剤、発咳に対しては抗菌薬とステロイドが用いられます。
犬のフィラリア症を治療しなくてもいい「予防」
手術や内服による治療にかかる費用は、通常の予防費用の20年分に相当すると言われています。
定期的な検査、予防は 犬糸状虫の心臓への寄生予防に重要です。
毎月の予防を1年間行った後は、犬糸状虫のみ感染状態を確認するために抗原検査を行います。
予防薬が予定通りに投与されているなら、再検査の間隔は1年以上空けてもいいです。
また、投与再開前に年に1度のミクロフィラリア検査を行うことが重要です。
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犬のフィラリア予防
フィラリアの予防は、投薬後フィラリアの幼虫が入ってこないようにしたり、蚊に吸血されないようにする薬ではありません。
実際は駆虫薬であり体内に入ったフィラリアの幼虫を薬で駆除するものです。
蚊が見られなくなってもそれまでに吸血され、体内に入ったフィラリアの幼虫が残っている可能性があるので、蚊が見られなくなって1カ月後の最後まで投薬をしましょう。
フィラリア症の予防薬は、実はフィラリアの幼虫を駆除する薬です。
蚊が運んできたフィラリアの幼虫が体内に入ったとしても、すぐに投薬しなくても問題はありません。
体内移行幼虫を駆除する事でフィラリアの心臓寄生を予防する薬です。
駆除効果が持続するのではなく、投薬前1ヵ月間に感染したフィラリアの幼虫を駆除するものです。効果が1ヵ月持続するわけではありません。
蚊が活動を開始して1カ月後に投与する薬で、それまでに感染した幼虫を駆除することができます。
室内でも蚊に刺される可能性がありますので、確率が低くても予防が必要です。
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