【飼い主必見】フィラリアの予防薬をあげ忘れた、飲み忘れた時にやるべき事!【わかりやすく獣医が徹底解説】

    犬のフィラリア予防は、ほとんどの飼い主が毎月末に飲ませていると思います。

    そんな時に、一つあげ忘れていたり、先月の分飲み忘れてたり、余ったりした経験はないでしょうか?

    また4、5月病院にもらいに行く時に、昨年の分が余っている経験はないですか?

    当記事では、そんな飲み忘れ、あげ忘れが生じてしまった時に飼い主がやるべきことをまとめました。

    限りなく網羅的にまとめましたので、先月分を投与し忘れた、昨年の予防薬が余ってた飼い主は是非ご覧ください。

    ✔︎本記事の信憑性
    この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
    論文発表や学会での表彰経験もあります。

    記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

    » 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

    ✔︎本記事の内容

    フィラリアの予防薬をあげ忘れた、飲み忘れた時にやるべき事!

    フィラリアの予防薬をあげ忘れた、飲み忘れた時にやるべき事!

    予防薬を飲み忘れた場合ですが、そのまま投薬を継続してください。

    飲み忘れている間に感染しているかはすぐには分かりません。

    感染しているか分かるのは飲み忘れてから半年以上経過してからであり、すぐ病院に来て検査してもわからないのです。

    感染していても半年以上は子虫が生まれることない為、検査に引っかかってこないのです。

    もし飲み忘れてもすぐに子虫が生まれる訳ではないので、予防薬の継続は決して危険ではありません。

    逆にもし感染していても、その後感染を続けないよう予防することは大切です。

    飲み忘れが危険な理由がわかる!フィラリアの予防薬の効果とは?

    飲み忘れが危険な理由がわかる!フィラリアの予防薬の効果とは?

    フィラリアの予防は、投薬後フィラリアの幼虫が入ってこないようにしたり、蚊に吸血されないようにする薬ではありません。

    フィラリア症の予防薬は、実はフィラリアの幼虫を駆除する駆虫薬であり、前回の投薬日から1ヶ月間に感染し、体内に入ったフィラリアの幼虫を薬で駆除するものです。

    体内移行幼虫を駆除する事でフィラリアの心臓寄生を予防する薬です。

    駆除効果が持続するのではなく、投薬前1ヵ月間に感染したフィラリアの幼虫を駆除するものです。

    効果が1ヵ月持続するわけではありません。

    蚊が運んできたフィラリアの幼虫が体内に入ったとしても、すぐに投薬しなくても問題はありません。

    蚊が活動を開始して1カ月後に投与する薬で、それまでに感染した幼虫を駆除することができます。

    そのため、蚊が見られなくなってもそれまでに吸血され、体内に入ったフィラリアの幼虫が残っている可能性があるので、蚊が見られなくなって1カ月後の最後まで投薬をしましょう。

    フィラリアの薬を飲み忘れてもし感染していた場合、心臓に移動した成虫にはフィラリアの薬は効きません。

    よってきちんと1ヶ月おきに予防薬を飲ませる必要があります。

    また蚊が出始めた最初はまだフィラリアを有する蚊が少ないため感染するリスクは少ないですが、最後の予防月が最も危険であり、飲み忘れると次の予防は春になるのでその間に子虫は心臓内に移動してしまいます。

    最後の予防月は必ず忘れることのないように投薬してください。

    ある報告では、飲み薬で投与している犬の40%が適切に投与されていないとのデータもあります。

    フィラリアの予防薬の飲み忘れが危険な理由

    飲み忘れが危険な理由がわかる!フィラリアの予防薬の効果とは?

    犬の体内に入り込んだフィラリアは、最終寄生場所である心臓や肺動脈に寄生し、様々な重篤な症状を引き起こします。

    感染すると、血栓塞栓症、心不全を引き起こします。

    心臓内で成虫になると、薬で殺すことはできず、寿命を待つことになります。

    フィラリアは犬に感染して約6ヶ月で成虫になります。

    成虫の寿命は5~6年です。

    フィラリアが生み出したミクロフィラリアの寿命は1~2年です。

    寿命を終えた成虫は心臓内で、分解されることはなく心不全の原因となりますので、取り除くには手術しかありません。

    手術の費用は、フィラリア予防薬の20年分とも言われています!

    フィラリア症予防薬はフィラリアの幼虫が心臓に到達する前に駆除するお薬です。

    フィラリア症は発症したら治すことが難しい病気ですが、動物病院で処方された薬を必要な期間、確実に投薬することで、ほぼ100%防げる病気です。

    犬のフィラリア予防薬を飲み忘れた時にする検査は?!

    飲み忘れが危険な理由がわかる!フィラリアの予防薬の効果とは?

    感染しているか分かるのは飲み忘れてから半年以上経過してからである為、次年度のフィラリア予防を始める前には、感染してないかどうかの検査が重要です。

    先ほどの理由で、一回飲み忘れると、その月に身体に入った寄生虫が駆除できていません。

    全く予防していないのと同じ状態になってしまいます。

    検査には少量の血液(0.5ml程度)をもらい、ミクロフィラリア検査とキットを使った抗原検査を行います。検査時間は15分程度です。

    オスとメスが体内に感染した時のみ子供が生まれる為、ミクロフィラリアの検査で見つかります。

    しかし、片方だけの場合(オカルト感染)はキットでしか検知できません。

    また感染している状態での投薬が危険な場合が1つあり、それは感染していて血液中にフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)が存在する場合です。

    この時に予防薬を与えると子虫が一気に大量に死ぬためアナフィラキシーショックで死ぬ可能性もあります。

    毎月飲み忘れずに犬のフィラリア予防薬を飲ませる理由!

    毎月飲み忘れずに犬のフィラリア予防薬を飲ませる理由!

    フィラリアの幼虫は、脱皮を繰り返しながら発育して成虫になります。そのすべての発育段階で100%駆除できるわけではありません。

    体内に入るときはL3、その後L4、L5と成長して成虫になりますが、L4という発育段階以外では十分に駆除することができません。

    つまり、予防薬を毎月投薬しても、実は一部の幼虫はL3のままでいるために、完全には駆除できないのです。

    これが毎月フィラリアの薬を飲む理由です。

    犬のフィラリア予防期間!

    犬のフィラリア予防期間!

    予防期間は、蚊が出始める時期から始め、蚊が出終わってから1ヶ月後まで行います。

    この地域では、5月の終わりから11月末までが予防期間となります。

    しかし、その年の気温(暖冬)や周りの環境(蚊が多い)などの条件によって予防期間は変わります。

    近年は1年に1回で済む注射もありますので、シーズンを気にせず予防していただくことも可能です。

    予防効果に差はありません。

    月1回必ず飲ませないとならない薬は、飲み忘れが心配な方には年1回で済む注射の方がいいです。

    チュアブルタイプをおやつ代わりに月一回楽しみにしているというワンちゃんには薬が適しているかと思います。

    犬のフィラリア予防薬種類別一覧!

    • スポットタイプ
      メリット:飲ませたつもりが実は吐き出していたりという失敗がない事です。
      デメリット:4-5日はシャンプーできない事、つけた部位の毛が固まって動物が嫌がる事がある点です。
    • チュアブル、錠剤タイプ
      メリット:いつでもシャンプーができる事、嫌がってスポットをする事が出来ない子にも食事に混ぜればいいだけなので簡単に飲ませられるという点です。
      デメリット:飲ませたつもりが実は吐き出していたという点です。
    • 注射タイプ
      メリット:飲み忘れの心配がなく、確実に体の中に駆虫効果を持続可能
      デメリット:まれにアレルギーが出る場合がります。

    獣医お勧めのフィラリア予防薬!

    レボリューション

    ストロングホールド

    アドボケート

    コンフォティスプラス

    ネクスガードスペクトラ

    犬のフィラリア予防の重要性!

    この薬ができる前、予防が広がる前は、フィラリアに感染して心臓で寄生してしまい、

    手術か諦めるわんちゃんがたくさんいました。

    費用としても手術をすると、予防費用の20年分程度かかります。

    その為、予防薬ができる前の犬の平均寿命は、5歳前後だったと言われております。

    今は、予防が広まってきた為、見る事も少なくなりましたが、まれに感染しているワンちゃんを見るたびに残念に思います。

    予防でほぼ100%防げる病気ですので、シーズン中はしっかりと予防して、ワンちゃんとの生活を楽しんでください。

    犬のフィラリア予防についてはこちらの記事もどうぞ。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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