獣医師解説!犬や猫の排尿障害:おしっこが漏れる、出ない、尿漏れ、失禁〜原因、症状、治療方法〜

愛犬や愛猫のおしっこが漏れる、尿漏れ、失禁があるので病院に連れて行ったけど、

  • 様子、経過を見てくださいと言われたけど心配...
  • 検査してくれなかった...
  • 病院ではよくわからなかった...
  • 病院では質問しづらかった...
  • 混乱してうまく理解できなかった...
  • もっと詳しく知りたい!
  • 家ではどういったことに気をつけたらいいの?
  • 治療しているけど治らない
  • 予防できるの?
  • 麻酔をかけなくて治療できるの?
  • 高齢だから治療ができないと言われた

もしくは、病院に連れて行けなくてネットで調べていた

という事でこの記事に辿りついたのではないでしょうか?

ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。

中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。

ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、

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その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。

例えば...

  • 人に移るの?
  • 治る病気なの?
  • 危ない状態なのか?
  • 治療してしっかり治る?

これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?

結論から言うと、排尿障害は原因が機能性、神経性、外的要因など様々であるため、一概に特徴づけすることは不可能です。

尿路はほかの臓器に比べ、細菌やウイルスが上行性に外陰部から侵入し感染する可能性が高いです。

これらの感染性尿路疾患は一般に生殖活動が盛んな若齢の犬猫に発生することが多いが、腫瘍などは高齢に多いです。

そのため尿路疾患は年齢や性別を問わず常に発生する重要な疾患です。

この記事では、愛犬や愛猫の呼吸が尿漏れ、失禁の理由ついて、その理由をアカデミックな面からまとめました。

この記事を読めば、愛犬や愛猫の尿漏れ、失禁の原因、症状、治療法がわかります。

限りなく網羅的にまとめましたので、ご自宅の愛犬や愛猫の尿漏れ、失禁の理由を知りたい飼い主は、是非ご覧ください。

✔︎本記事の信憑性

この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。

今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。

臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!

記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m

» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】

✔︎本記事の内容

犬や猫のおしっこが漏れる、尿漏れ、失禁〜原因、症状、治療方法〜

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)とは?

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)

膀胱の機能には受動的に尿を貯める機能(貯尿)と尿を出す機能(排尿)の二つの機能があります。

この機能が障害されたとき、特に排尿が障害された場合を排尿障害または排尿困難といいます。

健常な犬猫では尿意を感じて排尿姿勢をとると直ちに排尿がはじまります。

排尿障害は排出状況の異常、尿線異常、排尿時の異尿漏れ、失禁常感覚(主に疼痛など)、排尿時間の延長、尿閉などに分類されます。

このような臨床徴候は小動物でしばしば遭遇し、これらは下部尿路系や生殖器などの疾患において引き起こされます。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の分類と問題点

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の分類と問題点

尿の排尿障害は様々な原因がありますが、いかなる場合においても体内の毒素が排泄されないことを意味します。

つまり、体内の臓器や組織内に貯留して障害を与える可能性が高い危険な状態であることを認識する必要があります。

毒素は尿の濃縮や成分を調整する腎機能を喪失する急性または慢性の腎不全を生じ、尿路結石は細い尿管や尿道で停滞し閉塞します。

閉塞した部位から上部の組織には圧力が生じ、膀胱破裂など臓器の障害が引き起こされます。

このような状態に陥ると様々な合併症が発症します。

尿路はほかの臓器に比べ、細菌やウイルスが上行性に外陰部から侵入し感染する可能性が高いです。

これらの感染性尿路疾患は一般に生殖活動が盛んな若齢の犬猫に発生することが多いが、腫瘍などは高齢に多いです。

そのため尿路疾患は年齢や性別を問わず常に発生する重要な疾患です。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の原因

尿漏れ(失禁)の原因は大きく2つに分かれます。

膀胱から尿が漏れないようにする尿道括約筋が2種類あるからです。

自律神経でコントロールされている内尿道括約筋と、体性神経でコントロールされている外尿道括約筋です。

膀胱の神経支配は脊椎の腰椎L1-L4からの下腹神経と仙骨S1-S3から出る骨盤神経および陰部神経によります。

膀胱に対する副交感神経支配は骨盤神経によるものであり、遠心性と求心性の副交感神経線維からなります。

遠心性神経線維は排尿筋を神経支配して正常排尿および膀胱内に尿を貯める排尿自制の運動機能を呈し、求心性神経線維は排尿、プロプリオセプション、疼痛の感覚を媒介します。

また、陰部神経には肛門括約筋、外陰部および包皮を含む会陰部の感覚と運動機能があります。

膀胱に対する交感神経支配は下腹神経によって行われ、排尿筋の弛緩による貯尿の促進や尿道括約筋の弛緩および収縮に関与しています。

これら神経による膀胱および尿道の感覚および膀胱頸部と膀胱三角部に対する筋牽引によって排尿が生じます。

これらの神経支配により完全に排尿された後の正常な膀胱内残尿量は犬猫ともに約0.2~0.4mL/kgです。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の対症療法

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の対症療法

生まれたときから排尿障害が認められる場合には先天性疾患が疑われ、排尿困難に加えて血尿や頻尿が認められる場合には機能的尿道閉塞や解剖学的尿流出経路の障害による炎症の存在が示唆されます。

炎症性の場合には原因により抗生物質や消炎薬および止血薬を選択し投与しますが、排尿障害そのものに対しては膀胱や尿道筋の痙攣を緩和して排尿を促進する薬剤を用いることが多いです。

神経性の場合は、自律神経と体性神経に分かれます。

自律神経は意思ではコントロールできません。

腰の背骨(脊椎)やその中を走る神経(脊髄)に異常があると、内尿道括約筋を閉める力が弱くなり、ひっきりなしに尿が漏れます。

そのような場合は自律神経を強める薬を使います。

αアドレナリン作動薬のフェニルプロパノールアミンはホルモン療法の代わり、または追加として投与することが可能です。

有害作用として異常興奮、浅速呼吸や食欲不振が認められるためこれらの症状が認められないか観察します。

去勢雄犬の尿失禁にもフェニルプロパノールアミンがよく反応します。

体性神経は意思の力でコントロールできます。

避妊手術や去勢手術をしたワンちゃんでは、女性ホルモンや男性ホルモンが少なくなるために、意思でコントロールできる外尿道括約筋が薄く弱くなります。

意思が及ばない睡眠中に尿が漏れます。

これを「ホルモン反応性尿失禁」と呼びます。

このような場合はホルモン剤を使い、尿道を閉める筋肉を回復させます。

超音波検査で尿道括約筋の厚みを測り、回復の度合いを調べます。

犬に女性ホルモンを与えると回復の難しい貧血になる場合があるため、避妊後の女の子に対しても(比較的安全な)男性ホルモンを与えます。

尿道括約筋の緊張性の低下による尿失禁の治療にはαアドレナリン作動薬のフェニルプロパノールアミンまたはホルモン療法により改善する。

例えば、エストロゲン反応性の尿失禁にはリン酸ジエチルスチルベストロール(DES)が治療に用いられます。

効果は女性ホルモンとほとんど変わりません。

ほとんどの場合は3週間ほどで効果が出ます。

その後は投薬を休み休み続けていきます。

排尿筋の収縮性の低下はベサネコールなどの副交感神経作動薬により改善しますが、必ず膀胱が収縮し尿が出ることを確認してから投与します。

ベサネコールの有害作用は流涎、嘔吐、下痢などがあり、通常は薬剤投与後1時間以内に現れるため、これら有害作用が認められたら減量する必要があります。

尿道の緊張性亢進(反射筋失調)にはフェノキシベンザミンなどのα交感神経遮断薬と横紋筋遮断薬のジアゼパムで治療します。

フェノキシベンザミンは作用発現が緩徐なため、投与開始後3.4日間は効果がなくても増量はしません。

フェノキシベンザミンの主な有害作用は低血圧であり、動物が嗜眠、虚弱、見当識障害を示すならば直ちに用量を減らします。

ジアゼパムの薬効時間は経口投与後1~2時間と非常に短いため、例えば散歩前など薬効を期待する事前に投与します。

その他、排尿筋に作用する薬剤は多種存在しますが、排尿筋の収縮性の増強は細菌性膀胱炎や尿石症などが原因で起こる炎症の治療により改善することが多いです。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の分類と問題点

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の分類と問題点

診断の進め方

どのような排尿障害においてもまず下記の7点が重要です。

  • 発症年齢
  • 性別
  • 避妊去勢の有無と時期
  • 外傷の有無
  • 服用していた薬剤名
  • 過去に泌尿器系疾患を起こしたことがあるかどうか
  • 臨床症状(食欲不振、嘔吐、沈うつなど)

次に腹部を触診し、膀胱内の尿の貯留の有無を確認します。

膀胱の膨満が認められる場合は尿道閉塞を強く疑い、カテーテル挿入または膀胱穿刺などにより閉塞を解除して尿検査および細菌培養などの検査を行います。

同時に血液学的検査および血液化学検査を実施し、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、電解質などにより尿毒症を確認します。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の特徴

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の特徴

排尿障害は原因が機能性、神経性、外的要因など様々であるため、一概に特徴づけすることは不可能です。

しかし、排尿障害における個々の病因が判明すれば好発品種、性差、年齢による特徴が認められることもあります。

例えば、犬のストラバイト尿石症は品種として

  • ミニチュア・シュナウザー
  • プードル
  • アメリカン・コッカー・スパニエル

が多発し、

  • 年齢は2~9歳

で起こることが統計学上明らかになっています。

また、神経性排尿障害の原因である異所性尿管は

  • ゴールデン・レトリーバー
  • シベリアン・ハスキー
  • プードル
  • ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ウェルシュ・コーギー

などに素因があるといわれています。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の高頻度の疾患

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)の高頻度の疾患

◎尿路結石症

犬および猫における尿路結石症において最も一般的な結石はストラバイト結石であり、ほかにシュウ酸カルシウム、アンモニア尿酸塩およびシスチン結晶が認められますが、猫では尿酸塩やシスチン結晶は極めて稀です。

結石に関して詳しくは下記の記事をご覧ください。

結石の種類は年齢、性差および品種により様々であり、原因には尿の濃縮、尿中の塩類およびpHが深く関与しています。

尿路感染症(UTI)では尿中のアンモニウムイオンおよびリンイオンの産生が増加し、細菌が結晶の核となることが明らかとなっており、ストラバイトの形成原因となることが明らかになっています。

尿路結石の大部分は膀胱に存在するが、雄においては尿道結石における尿道の流出障害が膀胱破裂や急性腎不全の危険を伴う後腎性高窒素血症を起こします。

尿路結石症の診断は臨床症状、触診、尿検査、結石分析検査および画像診断において確定します。

結石の組成を明確にしたうえで治療方針を決定することが重要です。

◎猫の下部尿路疾患

猫の下部尿路疾患(FLUTD)は泌尿器疾患における尿道閉塞の最も一般的な原因とされており、腎性高窒素血症により急速に重篤化します。

一つは膀胱炎です。 これは残尿感が出るため何回もトイレに行きます。

1回量は少ないですが、1日の合計量で考えるとしっかり出ており、緊急疾患ではないです。

そのため緊急性はなく、病院で、尿検査、膀胱の超音波検査をしていただければ大丈夫です。

もう一つは膀胱結石、尿道結石です。

もし尿道結石で、膀胱がパンパンにもかかわらず通路が詰まっていることで、腎数値が上がり嘔吐、ぐったりし食欲がなくなります。

排尿できない場合は膀胱破裂や腎不全になり半日でも命に関わります。

この場合も、見た目は何回もトイレに行きますが、おしっこは全く出ないか、わずかに出る程度です。

尿道閉塞を起こした雄猫は排尿を何度も試みてそのたびに鳴いたり陰茎部分を舐めたりしますが、閉塞後24~36時間には沈うつ状態となり、嘔吐や昏睡を示して48時間後には死亡します。

尿道閉塞は雄猫に起こるが雌猫においても稀に認められ、閉塞を伴わない場合でも下部尿路の炎症症状を示します。

尿道を閉塞する塞栓物は蛋白様物質とミネラルの沈殿物が混合したものが多いが、すべての栓塞物において結石や細菌が関与しているとは限らず、無菌性や非結石性も認められます。

尿道閉塞の場合は直ちにカテーテル挿入などにより尿閉の解除を行い、採取された尿によりFLUTDであるか否かを鑑別しますが、尿閉の解除がカテーテルで不可能な場合は外科的に会陰尿道瘻術を行う場合もあります。

FLUTDの原因は様々であり不明な点も多いですが、罹患猫の生活を分析し、食物療法や神経学的および炎症緩和などの治療を行い、さらに再発防止を行います。

◎前立腺疾患

犬の前立腺は尿道の尾部から膀胱までを覆う二葉の器官であり、腹腔の背側に位置します。

加齢に伴って精巣のアンドロゲンとエストロゲンの影響により前立腺は肥大し、腹腔内で前方に移動します。

前立腺過形成は老化に伴う自然現象ですが、ほかにも前立腺炎や前立腺嚢胞、前立腺膿瘍および前立腺腫瘍が発生します。

急性ではない限り、いずれの初期症状も明らかな臨床徴候を示さず、排尿・排便困難、尿失禁、血尿を起こし食欲不振や嘔吐が発現してから飼い主が異常に気づくことが多いです。

正確な診断を行うにはこれまでの病歴、身体検査および適切な画像診断ならびに尿検査、前立腺液検査を実施します。

細菌感染を伴う前立腺炎や前立腺膿瘍の場合は抗生物質を投与しますが、注意点として前立腺液のpHが約6.4であることから弱酸性で脂質に可溶性の抗生物質のみが有効であることを考慮します。

前立腺に到達可能である代表的な薬剤としてはフルオロキノロン、ST合剤およびテトラサイクリン系であり抗生物質投与は通常の尿路感染症よりも長期間、最低6週間は投与するのがよいとされています。

◎腫瘍疾患

高齢で多いのは腫瘍です。

性差はなく、よく認められるのは、ポリープ、移行上皮癌、尿道の移行上皮癌、前立腺癌などです。

超音波検査では下記のような、しこりが膀胱内に認められます。

また血尿が見られるのも特徴です。

ほかに細菌性尿路感染症も高頻度の疾患であるため、下記の記事もご覧ください。

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)のまとめ

犬や猫の排尿障害(おしっこが漏れる、尿漏れ、失禁)のまとめ

排尿障害が認められる場合は尿道閉塞の有無を必ず確認します。

尿路感染症にはβラクタム系、セフェム(第二世代以上)系およびニューキノロン系抗生物質を用いることが多いですが、前立腺の感染では弱酸性で脂質に可溶性のニューキノロンやST合剤を長期間投与します。

タリビッドジェネリック100mg(Oflox-100 DT)

有効成分のオフロキサシンを含有した犬・猫用の抗生物質です。
細菌の核酸であるDNAが増えるのを抑えることにより細菌を殺して、犬の細菌性尿路感染症や細菌性皮膚感染症、猫の細菌性尿路感染症を治療します。

有効菌種
本剤に感受性の次の菌種:ブドウ球菌属、大腸菌

適応症
犬:細菌性尿路感染症、細菌性皮膚感染症
猫:細菌性尿路感染症

尿失禁の治療に用いるホルモン製剤は、骨髄抑制などの重篤な有害作用も認められるため慎重に投与します。

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no life no dogs & catsをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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