子犬、犬の赤ちゃんの健康診断:神経系
出生後にさらなる発達が生じ、神経系が成熟します。
脳と末梢神経のマクロ構造は出生時にはある程度でき上がっていますが、ミクロ構造は出生後に生じる構築過程で形成されます。
このため、髄鞘形成、シナプス形成およびそのネットワーク化は、生後数週間の間に進行します。
この緩慢な成熟過程は、
- 運動器官の特定の部位における運動性の増大
- 感覚器
- 排尿や排便などの随意制御過程領域
において臨床的に認識可能です。
出生直後には犬の新生子は頭の振り子運動と這い這い運動を示します。
子犬を持ち上げるとすぐに後肢は屈曲します。
この屈筋優位は、生後4日目まで続き、その後伸筋優位に転じます。
早くも生後4~6日で、片方の前肢に体重をかけさせ、反対側の前肢を伸張状態に保持することができるようになります。
後肢の支持反射はさらに数日遅れて現れます。
第2適応期の終わりには、子犬は座れるように(あるいは直立姿勢を保持できるように)ならねばなりません。
このことから、一般に子犬は生後4週目の終わりには完全な運動能力を身につけます。
すなわち、神経系の中枢と末梢が機能するようになると考えられます。
この時点で警戒行働も現れます。
子犬たちは新しい未知のものに注意深く対応する能力を持つようになります。
運動能力の発達における相違から、神経の髄鞘化が頭側から尾側へ進行することがわかります。
すなわち、頭部成は尾部域よりも先に運動能力を備えるようになります。
第3適応期の間に視覚系と聴覚系も発達します。
目は生後10~14日の間に開きます。
内圧の増大と瞼の閉じ目の変性によって、瞼が開きます。
この関連で興味深いのは、すでに出生時に瞳孔反射の能力が備わっていることです。
最初はまだ角膜が濁っていますが、すぐ透明になります。
- 生後3~4週で焦点が合うようになります。
- 出生時に閉じていた外耳通は生後10~16日で開きます。