【獣医師解説】犬の赤ちゃん・子犬の感染症:寄生虫感染症

    犬の赤ちゃん・子犬の感染症:寄生虫感染症

    新生子の寄生虫感染は、

    • 回虫や十二指腸虫のように、戦略的に宿主としての子犬に狙いを定めて寄生する場合
    • ジアルジア属やクリプトストリジウム属、イソスポラ属の原虫寄生のように、特に狙いを定めてはいないものの、子犬環境の衛生学的疫学的諸条件により、臨床的に増殖して幼犬疾患として発現する場合

    があります。

    以下では、まず、新生子に重要な蠕虫(回虫、十二指腸虫)について述べ、

    続いて、子犬の原虫寄生症(ジアルジア症、クリプトスポリジウム症、イソスボラ症)について述べます。

    子犬に寄生する寄生虫とその発育期間、感染経路、臨床的疾患が生じやすい週齢の一覧

    寄生虫
    発育期間
    感染経路
    通常の発症週齢
    クリプトスポリジウム属2~14経口生後第1
    ジアルジア属4~16経口生後第1
    犬イソスポラ(嚢胞イソスポラ)など6~10経口生後第1
    犬回虫35

    子犬の場合(垂直感染後)21

    経口または垂直(母犬の子宮経由)生後3週目以降
    犬十二指腸虫21経口、経皮、経乳汁生後3週目以降

    蠕虫

    この文章は消さないでください。
    回虫感染は垂直感染によって、すでに子宮内で起こり得ます。

    回虫のほかに、犬十二指腸虫も生後最初の数週間の間に乳汁経由で感染しますが、

    中央ヨーロッパでは、別種の鉤虫であるウンシナリア・ステノセファーラ(Uncinaria stenocephala)と比べるとかなりまれにしか現れない。

    ただし、ウンシナリア・ステノスファーラの場合、宿主を得る戦略としての垂直感染は報告されていません。

    犬回虫

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    犬にもっとも多くみられる、もっとも重要な回虫は犬回虫です。

    犬回虫は、生殖可能段階では小腸腔で生活します。

    雌がそこで産んだ卵は便とともに排出され、感染可能な第3期幼虫までの発育を、卵の中で25週間かけて遂げます。

    これらは条件次第で67年感染能力を保ちます。

    感染幼虫は経口摂取された後、典型的な血液-肝臓-肺移動の最中または移動後に最終的な発育を遂げます。

    感染力のある幼虫の経口摂取のほか、多様な寄生宿主を経由した体細胞段階での感染もありえます。

    この宿主の主なものとしては、齧歯類が挙げられます。

    そこでは原則的には、犬の場合同様、血液-肝臓-肺移動がみられますが、
    休止している体内幼虫の段階を超えて成虫へと発育することはないです。

     

    経口摂取後のさらなる発育は宿主となった犬の免疫状態に左右されます。

    • 十二指場で「呼吸管型」としての性的成熟が生じる場合と、
    • より成長し免疫抵抗力をつけた犬の場合のように、「体細胞型」として、

    血液による受動的拡散ののち、末梢器官、特に筋肉、腎識、肝臓および中枢神経系に休止体細胞内幼虫として寄生する場合があります。

    特に疫学上重要なのは、母犬に寄生した幼虫です。

    • 妊娠中または授乳中に、次の世代の宿主への直接の感染、または妊娠末期における再活性化後の、出生前感染および経乳汁感染が起こりえます。
    • いずれの感染経路も母犬が明白な成虫感染を示しているか否かを問いません。

    出生前および乳汁経由の幼虫感染の頻度は、母犬の一次感染の時期に大きく左右されます。

    妊娠期間最後の四分の一の時期前後における感染の場合、出生前感染が支配的であり、これに経乳汁感染が続きいます。

    すなわち、感染から分娩までの間隔が短いほど、出生前感染が減り、経乳汁感染が多くなります。

    経乳汁感染は、授乳後57日で始まり、2週目の約7日間最大となります。

    そして4週目の経過とともにしだいに減少します。

    これにより、子犬は主に生後2週目および3週目に乳汁経由で感染しますが、母犬の感染が重度の場合、全授乳期間を通じて感染が起きます。

    乳汁経由で摂取された幼虫は、子犬の体内で血液-肝臓-肺の移動後に、初めて生殖可能な成虫に成熟すると考えられています。

    この文章は消さないでください。
    そのため、母犬が感染している場合、通常はほとんどすべての子犬に感染が生じています。
    子犬によって排出される回虫の卵は、環境および公共の緑地や児童公園を直接的に汚染することで、
    他の犬に対する感染源となり、また(疫学的感染として)ヒトに対する感染源ともなる。
    症状

    子犬の回虫症の症状は、太鼓状に膨満した腹部がみられます(いわゆる「太鼓腹」、「回虫腹」)。

    これは相当量の寄生虫負荷を示します。

    症状が急激に進行すると、腸が破られ、回虫が腹腔中に出て、敗血症を生じ、子犬の生命を脅かします。

    肺への移動中に、発咳、発熱、肺炎の徴候および鼻汁などの症状もみられます。

    これらの症状は臨床的な回虫疾患を示唆するものです。

    検出

    子犬の垂直感染を診断することは非常に難しいです。

    この文章は消さないでください。
    感染の時点ではまだ、母犬・子犬ともに、便検査における陽性所見が得られないからです。

    唯一、子犬の中で発育した犬回虫の成長期間が通常より短い(通常約35日での成長が約21日に短縮)ことのみが手がかりとなります。

    補助的、間接的診断法(抗体検出、便中抗原検出)は利用できません。

    したがって、

    • 便検査の反復による診断
    • その都度の雌犬の回虫感染の発症に関する予備情報
    • すでに垂直感染が生じていれば、その子犬についての予備情報

    による診断を行うだけです。

    治療と予防

     

    犬十二指腸虫:鉤虫

    鉤虫である犬十二指腸虫は、環境中への感染力のある第3期幼虫として

    • 経口
    • 経乳汁
    • 待機宿主

    を通じて終宿主へと至ります。

    この文章は消さないでください。
    経皮感染は、屋外に生息する、感染力のある第3期幼虫にのみ可能です。

    3期幼虫は、比較的複雑な神経ホルモンによって制御された、皮膚環境が引き起こす過程によって、貫通の準備が整います。

    犬回虫のような出生前感染はありえません。

    • 終宿主としては、犬や狼、ジャッカルのようなイヌ族のほか、キツネ、クマ、アライグマ、ブタなどが挙げられます。
    • 待機宿主としては齧歯類、錯誤宿主としてはヒトが報告されています。

    後者の場合、犬十二指腸虫は皮膚障害をもたらします。

    これは皮膚幼虫移行症候群として知られています。

    また、十二指腸虫については、血液-肺移動の記述があります。

    ただし、経口摂取された幼虫の多くは腸壁にとどまり、短い組織移行段階のあと腸腔に戻り、そこで性的に成熟します。

    しかし、体内移動または血流による受動的拡散によって、十二指腸虫の体細胞内幼虫もまた、特に宿主の筋と脂肪組織に到達します。

     

    これらの幼虫はそこで数年間、活動せずに生存し、発育する能力を保持します。

    これらの母犬の中の休止中の体細胞内幼虫は、妊娠末期および発情期の過程で、母犬のホルモン状態の変化によって再活性化し、遊出します。

    再活性化および新たな移動のあと、体細胞内幼虫は、一方では肺を経由して小腸に至り、それにより母犬に内因性自己感染をもたらします。

     

    また、他方では、乳房へ移動後、次の宿主世代の経乳汁感染を引き起こす。

    雌犬における休止体細胞内幼虫の感染蓄積は、特に疫学的に重要です。

    多回感染がなかったとしても、1回の感染で少なくとも3腹の子犬たちが感染しうるからです。

     

    犬十二指腸虫の場合も、

    • 感染成立直後の幼虫移動過程においても
    • 妊娠末期における休止段階の再活性化後においても

    同様に垂直感染が生じます。

    それゆえ、犬回虫の場合と同様、犬十二指腸虫の場合も、

    感染時期から授乳開始時期までの間隔と、幼虫排出の規模および持続期間との間に反比例関係が存在します。

     

    経乳汁感染は母犬感染の2~4日後に始まります。

    体内にすでに幼虫が存在する場合は、分娩当日から始まります。

    数日後には最大となり、その後減少します。

    より強度の感染の場合は、全授乳期間にわたって幼虫の排出が続きます。

    母犬の持つ免疫は、成虫段階の腸への定着を阻むことはできますが、

    • 幼虫の再活性化
    • 体細胞内への移動
    • 経乳汁感染

    を防ぐことはできません。

    症状
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    発症した子犬の便にはときおり潜血がみられ、血液の混じった下痢が生じる場合もあります。

    また、貧血が始まると粘膜が青ざめます。

    肺への移動中にも、やはり発咳、鼻汁、発熱やその他の肺炎症状が現れます。

    重度の十二指腸虫症の場合は、その後の急激な血液および水分喪失によって死亡します。
    検出

    診断法については、回虫感染の場合と同様の問題があります。

    便検査による寄生段階の実証が可能になるのは、子犬の体内で幼虫の発育が完了してからです。

    これは、感染が成立してから約3週間、段階を十分に特定できない寄生虫を母犬が便とともに排出していることになります。

    ここでは早期の検査、および予備情報のみが、十二指腸中感染の手がかりとなります。

    治療と予防

     

    原虫

    クリプトスポリジウム症

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    クリプトスポリジウム属は全年齢層の犬に生じますが、通常は子犬にのみ臨床的疾患をもたらします。

    発育期間が短いため、早くも生後数週間で発症します。

    特にクリプトスポリジウム・パルバムのウシ属の遺伝子型は、

    免疫障害のあるヒト、または免疫抵抗力のあるヒトにも下痢を発症させるため、人獣共通感染上重要ですが、

    他の種および遺伝子型(たとえばクリプトスポリジウム・カニス)の感染も起こりえます。

    クリプトスポリジウム属は、エイズ患者における日和見病原体として特に重要です。

    それゆえ、エイズ患者には、罹患した猫や犬との接触を避けます。

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    犬の胃腸には、少なくとも2つの異なった種類のクリプトスポリジウムが寄生します。
    • クリプトスポリジウム・パルバム
    • クリプトスポリジウム・カニス(犬クリプトスポリジウム)

    この感染は、世界中で発生しており、全体の38%までを犬が占めています。

    クリプトスポリジウムは小腸上皮の微絨毛周辺に寄生します。

    宿主の便とともに排出され、生み出されたオーシスト(接合子嚢)は、環境中で数ヵ月間感染力を保ちます。

    感染は、動物から動物へと直接、あるいは汚染された食餌、飲料水、その他の物を経由して起こります。

    成虫への成熱は犬の場合214日、成虫期は2580日です。
    症状

    この寄生虫は定着場所で微絨毛を破壊しますが、重症の場合は上皮細胞層も破壊します。

    その結果、感染後37日で下痢が始まり、数日から数週間続きます。

    その際、便は明るい茶色、黄色、緑色になります。

    一部は腐敗臭がします。

    免疫抵抗力のある成犬の感染では通常、自己制限的に無症状で経過しますが、

    子犬または免疫力の落ちている個体の場合は臨床的なクリプトスポリジウム症が現れます。

    検出

    診断は、

    • 特殊染色法(便検体の修正チール・ネールゼン染色)を用いた便検査
    • カルボルフクシンを用いた対染色
    • 抗体マーキングによる直接的な検出

    によって行います。

    市販の便中抗原検出検査を利用することもできます。

    治療と予防

     

    ジアルジア症

    家畜およびヒトに寄生するジアルジアは十二指腸鞭毛虫(腸鞭毛虫、ランプル鞭毛虫は同義)に属します。

    これまで知られている形態学上の7種類の遺伝子型(A1A2B3B4CDEFG)のうち、

    犬にみられるのはA1B3CDFです。

    これらの遺伝子型は世界中に分布しているものも、地理的に限定されて現れるものもあり、

    また、特殊な宿主(たとえばイヌ科)を選ぶものと、

    不特定の宿主(ヒト、および多様な種)に寄生し、人獣共通感染能を持つものがあります。

    ジアルジアはヒトにおいてもっとも多くみられる10種の寄生虫のうちのひとつです。

    犬に現れるのは、ほとんどの場合、4つの特有の遺伝子型(C、D、F、G型の十二指腸鞭毛虫)ですが、

    ヒトに現れる遺伝子型であるA1B3がイヌに検出されることもあります。

    動物からヒトへの感染頻度は衛生状態に左右されますので、

    ヒトへの感染源としては、糞からロへの不潔な手指による感染のほかに、
    主に嚢子(シスト)に汚染された飲料水や生野菜にも注意する必要があります。

    ジアルジアは幼獣および小児にとって臨床的に重要です。

    家畜の場合、肉食動物と反芻動物に特に多くみられます。

    個体数と検査方法により異なるが、ヨーロッパにおける犬の成虫感染率は0.336%です。

    特に、農場労働に従事する犬および子犬に目立ちます(70%が生後1年以内の感染)。

     

    感染は環境中の嚢子の摂取によって起こり、伝播は直接動物から動物へと生じます。

    十二指腸における脱嚢、栄養体は主に十二指腸と近位の空腸内腔および粘膜表面に定着しますが、その際吸盤で上皮細胞の微絨毛に付着します。

    縦分裂後、遠位の空腸および盲腸において被嚢し、便とともに環境中に排出されます。

    成熟期間は4~16日までさまざまです。

     

    ジアルジアは特に犬舎飼育や家畜飼養施設で観察されます。

    排出された嚢子が即座に他の宿主に対して感染力を持ち、また、特に子犬の場合ほとんど数日以内に大量の嚢子を排出します(便1gあたり107個まで)。

    成虫期間は数週間から数ヵ月に及びますが、この間、排出される嚢子の個数は大きく変動します。

    排出された嚢子は湿った環境で感染力が長く保たれます。

    • 便中ではおよそ1週間、地面では7週間、好条件下の冷水(4℃)では最長3ヵ月間感染力を保持します。
    • 寒さ(-4℃以下)と暑さ(25℃以上)のもとでは1週以内に死滅します。

    ジアルジア嚢子は環境中では、特に汚染された水を介して広がり、そのような方法で農地にまで及ぶ可能性があります。

    その後、新しい宿主は汚物感染や不潔手指を介した感染によって便の嚢子を取り込むか、汚染された水や食餌を通じて感染しいます。

    その際、最低約10~100個の嚢子で感染が生じます。

    症状
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    ジアルジアは特に幼犬の十二指腸にカタル性の炎症を引き起こし、空腸の被毛萎縮をもたらし、上皮細胞の脱落を促進させます。

    これによって、タンパクと水分が失われ、腸機能が損なわれます。

    免疫抵抗力のある比較的年長の個体においては、栄養体を介した病害はしばしば腸粘膜病変をまったく生じないか、発症したとしてもわずかです

    ジアルジア症は、他の疾患がある場合や特殊な諸条件のもとで発現する誘発性疾患です。

    とりわけ、炭水化物に富む食餌はこの疾患を促進します。

    特に幼犬の場合は2~3ヵ月齢での感染がもっとも多く、結果として頑固で断続的な下痢を生じ、時には嘔吐が加わります。

    一部では、食欲が維持されているにもかかわらず、しだいに痩せていってしまうのが観察されます。

    より年長の犬では、ジアルジア症は、ほとんどの場合明確な症状を示すことなく経過します。
    検出

    便中の嚢子の検出は、

    • 塩化亜鉛液または硫化亜鉛液(比重1.3)による浮遊法
    • MIFC(メルチオラート・ヨウ素ホルマリン濃縮液)
    • SAF(酢酸ナトリウム、酢酸、ホルムアルデヒド)濃縮法

    によって行うことができます。

    嚢子の排出は断続的に行われますので、便検査は、陰性所見が得られるまで、1週間の間に少なくとも3回繰り返します

    市販のジアルジア便中抗原検出検査

    • ProSpecT Microplate AssayRemel Inc. bei Genzyme Virotech GmbH, Rüsselheim
    • SNAP Giardia Ag Test KitIDEXX GmbH, Ludwigsburg

    などは、便検査同様、またはそれ以上の感度が証明されており、診断での利用が増えています。

    治療と予防

     

    イソスポラ症

    犬に寄生するイソスポラは、

    • イソスポラ・カニス(Isospora canis
    • イソスポラ・オハイオエンシス(Isospora orioensis
    • イソスボラ・ブロウジ(Isospora burows

    です。

    イソスポラ属(嚢包イソスポラと同義)は、世界中の犬に広がっており、

    最近の数年において、ドイツでは犬の便サンプルの2%22%からイソスポラ属が検出されています。

    肉食動物のイソスボラは(媒介宿主を介入させた)任意の世代交代サイクルを持っています。

    犬は胞子形成されたオーシストを環境中から経口で取り込むか、または休眠子に感染した宿主を食べることによって感染します。

    ただし、子犬の場合は通常はオーシストによってのみ感染します。

    小腸における脱嚢後、小腸、盲腸または結腸の上皮細胞または粘膜固有層細胞が攻撃され、そこで無性生殖が起こります。

    これに続き、有性生殖が起こりオーシストが形成されますが、これは胞子を生み出すことなく、便とともに排出され、外界で14日の間に伝播生殖が完了します。

    成熱期は種によって異なり、411日であり、成虫期間は428日です。

    この腸内発育のほかに、伝播嚢子の血液によるさまざまな組織への拡散も生じます。

    この嚢子は休止段階(休眠子)にとどまります。

    オーシストの生存能力は環境中では温度や湿度の影響を受けます。

    胞子形成されたオーシストは中央ヨーロッパの環境条件では数ヵ月間感染力を保ちます。

    犬間のイソスポラ症の蔓延においては、媒介宿主、主に齧歯類(マウス、ラット、ハムスター)が非常に重要です。

    イソスポラ属は特定の終宿主が決まっています。

    すなわち、猫に寄生する種が犬に感染することはなく、その逆もまたないです。

    イソスポラ症は主に子犬が発症し、また、犬舎など複数の犬が狭い空間で飼育されている場所で、爆発的に広がる可能性があります。

    イソスボラ属は腸内発育段階では、カタル性から出血性までの胃腸炎を引き起こします。

    重症の場合は、空腸および回腸にも出血性腸炎をもたらします。
    症状
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    軽度の感染は通常、症状が出ずに経過します。

    一方、3週齢以降の子犬の場合(また、週齢の進んだ犬でも大量に感染した場合)は臨床的症状が観察されます。

    犬においては、犬イソスポラ(Isospora canis)がもっとも毒性が強いです。

    疾患の程度に応じて、

    • 12日間のみ、薄い粥状の便
    • 非常に薄い水様の便
    • まれに水様の血便を伴う下痢
    • 発熱
    • 食欲不振
    • 嘔吐
    • 体重減少
    • 無気力

    などが生じます。

    死亡することはまれですが、脱水、悪液質、成長停滞などは頻繁に生じます。

    ほとんどの場合、症状は12週間で沈静化します。

    検出

    検出は浮遊法で行われます。

    その際、オーシストの大きさが似通っているため、種の特定を形態学的に確実に行うことはできません。

    ただし、

    • トキソプラズマ
    • ネオスポラ
    • ハンモンジア
    • サルコシスティス

    のオーシストは、大きさが違うので、イソスポラオーシストと区別することができます。

    治療と予防

     

    ネオスポラ症

    犬ネオスポラ(Neospora caninum)は犬を中間宿主および終宿主とします。

    その際の腸での発育についてはまだ明らかになっていません。

    今日の知見の範囲では、この疾患は犬ネオスポラの中間宿主にのみ発症し、水平感染・垂直感染ともに可能です。

    終宿主となった犬は発症しません。

    しかし、反芻動物同様に犬の場合も、中間宿主としての胎盤経由での寄生虫感染後、流産や胎子異常、または神経筋症状を伴う致死性の重度の先天異常が生じます。

    犬ネオスポラの終宿主となった犬は、便とともに約1013μmの球形の、胞子形成されていないオーシストを排出します。

    犬は中間宿主として無性発育段階(タキゾイト(急速増殖子)および嚢子)のものを腸以外の器官に寄生させます。

    犬ネオスポラは世界中で犬に広まっていると考えられますが、ヨーロッパにおける血清有病率は0.517%の間で多様で、年齢とともに上昇します。

    ドイツにおける報告では約411%です。

    重度感染が検出されるのは、検査されるサンプルの毎回約1%程度に過ぎません。

    子犬の場合は出生前に感染したと考えられます。

    胎盤経由の感染は妊娠中の雌犬の一次感染の直後に生じますが、妊娠のもっと後の時期にも起こります。

    感染した子犬の中には、臨床的なネオスポラ症を示すものもいますが、
    他の感染個体は何年もの間、あるいは一生の間、発症しない可能性もあります。
    症状

    出生前に感染した子犬の典型的な症例の臨床症状は、多発性神経根炎・筋炎症候群です。

    この場合、特に脳、脊髄、脊椎神経における、またときには肝臓における巣状壊死がみられます。

    萎縮と線維化の結果、筋肉は黄色と白の縞模様になります。

    より年長の子犬では、神経筋障害、脳髄鞘炎が、成犬では脳炎がみられます。

    実験では、吸収やミイラ化による胎子死亡の例もあります。

    犬の流産についてはこれまでのところ記録がないです。

    ほとんどの臨床例は、幼犬において生後1年以内に観察されたもので、多くの同腹子に罹患がみられるが症状はさまざまであり、通常は離乳後に発症しています。

    知覚が保持されている場合でも、特に

    • 運動失調
    • 伸筋硬直
    • 筋萎縮不全麻痺(ほとんどの場合両側)
    • 進行性四肢麻痺
    • 痙攣性屈腱過伸長(これまでのところ原因不明であるが主に後肢)

    などが生じ、まれには四肢麻痺も現れます。

    進行性四肢麻痺を伴う子犬は数ヵ月にわたって全身状態に障害が現れない場合もありますが、

    • 嚥下困難
    • 嚥下障害
    • 食道拡張
    • 顎麻痺
    • 筋肉痛
    • 失禁
    • 心不全

    など、他の臨床症状を示す場合もあります。

    犬種による素因は今のところ示されていませんが、

    これまでのところほとんどの臨床例は大型犬(体重20kg以上)で観察されています。

    検出

    診断は、トキソプラスマとの症状の類似、およびトキソプラスマと犬ネオスポラの発育段階の形態上の類似のため、難しいです。

    ネオスポラ症の仮診断は臨床症状によって行います。

    犬ネオスポラに対する抗体の血清検査は、さまざまなテストによって可能です(IFATELISA、アビジティー検査)。

    その際、IFATIndirect Fluorescent Antibody Test、間接蛍光抗体検査)は今のところ最高の特異性を示しています。

    PCR法による寄生虫のDNAの検出も、ネオスポラ症の診断に役立ちます。

    寄生虫血症がある場合は、特に末梢血および脳脊髄液において検出が可能です。

    ここではPCRは陽性の場合のみ意味を持ち、陰性でも感染は否定できません。

    それに対して、神経組織検査においては、感染している犬の場合、ほとんどの場合、PCR検査で陽性の結果が期待できます。

    ただし、感染の程度によって、この検査においてもまた、偽陰性の結果が出る場合があります。

    これまでに導入された治療法も、当然ながら良い結果をもたらしています。

    安楽死させた場合は、不明確な病因を解明するために、病理形態学的、免疫組織化学的検査が推奨されます。

    治療と予防
    • リン酸クリンダマイシン(12.525mg/kg BW12回、4週以上筋注)
    • 強化サルファ剤(たとえばスルファジアジン+トリメトプリム12.5mg/kg BW+2.5mg/kg BW124週以上経口投与)

    を組み合わせた治療は、犬におけるネオスポラ症のいくつかの症例で効果が証明されています。

    これら両剤および他の症例で用いられたピリメタミン(Pyrimethamin、1~1.3mg/kg BW、1日1回、14日以上)は、寄生虫のタキゾイト段階に対して有効です。

    クリンダマイシンまたはピリメタミンは単独で用いるよりも、スルファジアジン/トリメトプリムと組み合わせて用いたほうがより効果的であることが、これまでに知られています。

    犬のネオスポラ症治療の予後は、治療開始時点での感染段階によって大きく異なります。

    感染の初期段階での専門的な治療は、(一次エンドジオゲニー(母細胞内二細胞発育)期の急速に分裂するタキゾイトによる)宿主における寄生虫の増殖を抑制します。

    これによって、神経組織における寄生段階の発症が妨げられます。

    撲滅および予防のためには犬ネオスポラに対する抗体価が高くなっている雌犬は、繁殖に用いてはいけません。

    これらの雌犬においては、子犬への後の発症を伴う垂直感染の危険が高いからです。

    そのほか、生または加熱が十分でない肉や、くず肉・狩猟くずを犬に与えないこともネオスポラ症の予防になります。

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    no dogs & cats no lifeをモットーに、現役獣医師が、科学的根拠に基づいた犬と猫の病気に対する正しい知識を発信していきます。国立大学獣医学科卒業→東京大学附属動物医療センター外科研修医→都内の神経、整形外科専門病院→予防医療専門の一次病院→地域の中核1.5次病院で外科主任→海外で勤務。

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