新型コロナウイルスが流行している中、どのような消毒が効果があるのか?
普段の消毒は水や石鹸でいいの?
イソジン、アルコールの方がいいの?
当記事では、手術や傷に獣医師がよく使う消毒液の、種類と薬効成分、効果についてまとめました。
限りなく網羅的にまとめましたので、新型コロナウイルスに対する消毒液についてご不安な飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
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✔︎本記事の内容
イソジンが新型コロナウイルスに効果がある?
様々な消毒液について
消毒と滅菌
消毒は完全な微生物の死滅・除去ではなく、微生物の数を極力減少させることを目的としています。
滅菌は完全に微生物を殺滅または除去することを目的としているため、消毒と滅菌は区別して考える必要があります。
これら消毒と滅菌の定義は、日本薬局方第十六改正に記載されていますが、
消毒薬の中には消毒の定義に必ずしも適合しないものがあります。
すなわち、高水準に属する消毒薬は、滅菌に近い効果を発揮することから化学的滅菌消毒薬と呼ばれています。
- 化学的消毒ー化学薬品を用いる方法(消毒薬)
熱を加えられない医療器具や生体 - 物理的消毒ー熱水消毒法、紫外線法、煮沸法
生体に対して適応されず、医療器具など
加熱による消毒法
圧力を加えたり、蒸気を利用した微生物の殺滅は、滅菌の範疇であり非現実的です。
加熱による消毒を煮沸および熱水を利用した消毒法として記載します。
芽胞を除く多くの微生物は、煮沸または熱水によってほとんど死滅させることが可能です。 芽胞を有するバチルス属、クロストリジウム属などの細菌は、100℃では死滅させることは不可能です。 滅菌処理または化学的滅菌消毒薬を使用した長時間の処理を行わなければならない。
熱水による消毒法は、国内外の多くの医療機関で使用されているが、国によってその温度、処理時間が多少異なっています。
日本では80℃、10 分がリネン類、食器、医療器具の消毒条件となっています。
消毒薬による消毒法
消毒薬は殺菌スペクトルの範囲、殺微生物時間、生体に対する影響、被消毒物に対する影響、消毒薬抵抗性微生物の頻度などによって高・中・低水準に分類されます。
高水準消毒薬
多数の芽胞が存在する場合を除いて、多くの微生物に効果を示し、殆ど滅菌に近い状態にまで微生物数を減少することができます。
これに属する消毒薬は、グルタラール製剤、フタラール製剤、過酢酸製剤がありいます。
これらの消毒薬は、医療器具 などの消毒に限定して使用されます。
中水準消毒薬
一般細菌、結核菌、真菌、多くのウイルスに効果を示すが、 芽胞に対しては効果が期待できません。
次亜塩素酸ナトリウム製剤などは、血液や 体液などが付着した器具の消毒に使用されます。
ポビドンヨード製剤は手術時の皮膚、 粘膜の消毒、創部の消毒に使用されます。
アルコール類としては、消毒用エタノール、イソプロパノール等で同等の消毒効果を示します。
採血時の皮膚消毒、頻回に手指が触れる環境の消毒などにも使用されます。
また、クロルヘキシジン、ベンザルコニウム塩化物、ポビドンヨードにエタノールを添加した製剤は、速乾性擦式消毒薬として繁用されています。
低水準消毒薬
殺菌スペクトルが狭く、一般細菌に対しては効果を示すが、 エンベローブのないウイルスなどに対しては効果が期待できません。
クロルヘキシジン製剤は、非イオン性の界面活性剤が添加されている製剤(赤色)と
添加されていない製剤(無色)があり、前者は外陰・外性器の皮膚や結膜、粘膜へ不適応です。
また、MRSA や緑膿菌の一部に本剤に対して抵抗性を有する株が多いとの報告がなされています。
ベンザルコニウム塩化物などの第四級アンモニウム塩は、陽イオンを荷電しているため、逆性石けんとも呼ばれており、刺激が少ないために粘膜への適応を持っている。
両性界面活性剤は、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩が主成分で、陽イオンの殺菌効果と陰イオンの洗浄効果を兼ね備えた消毒薬です。
本剤は低水準消毒薬の中で、唯一結核菌に効果を示すが、長時間の接触が必要です。
化学的消毒法(消毒薬を用いる方法)
Spaulding による分類
高水準
- 芽胞が多数存在する場合を除き、全ての微生物を死滅させる
- グルタラール製剤、フタラール製剤、過酢酸製剤
中水準
- 結核菌、栄養型細菌、殆どの真菌、殆どのウイルスを殺滅するが芽胞を殺滅するとは限らない
- 次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード製剤、アルコール類
低水準
- ほとんどの栄養型細菌、ある種の真菌、ある種のウイルスを殺滅する
- クロルヘキシジン製剤、第四級アンモニウム塩、両性界面活性剤
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