動物病院で、自分の犬がバベシア症と診断された...
バベシア症と診断されたけど、病院での説明不足や、混乱してうまく理解できなくてこの記事に辿りついたのではないでしょうか?
ネット上にも様々な情報が溢れていますが、そのほとんどが科学的根拠やエビデンス、論文の裏付けが乏しかったり、情報が古かったりします。
中には無駄に不安を煽るような内容も多く含まれます。
ネット記事の内容を鵜呑みにするのではなく、
情報のソースや科学的根拠はあるか?記事を書いている人は信用できるか?など、
その情報が正しいかどうか、信用するに値するかどうか判断することが大切です。
例えば...
- 人に移るの?
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これを読んでいるあなたもこんな悩みを持っているのでは?
結論から言うと、通常、犬バベシア症Ccaninebabesiosis)は、マダ二によって媒介されるバベシア原虫が宿主の赤血球に感染・増殖することで引き起こされます。
原因となる原虫種は、犬を宿主とするBabesia gibsoniとBabesia canisです。
日本では、B. gibsoni が九州~東北地方に、またB. canis vogeliが沖縄に分布しています。
病因は赤血球破壊による溶血性貧血で、粘膜の蒼白と発熱が主症状となります。
治療薬としてジミナゼン-アセチュレートが使われます。
本症はマダ二を駆除することで予防できます。
この記事では、犬のバベシア感染症についてその原因、症状、診断方法、治療法までをまとめました。
限りなく網羅的にまとめましたので、バベシア症と診断された飼い主、仔犬を飼い始めた飼い主は是非ご覧ください。
✔︎本記事の信憑性
この記事を書いている私は、大学病院、専門病院、一般病院での勤務経験があり、
論文発表や学会での表彰経験もあります。
今は海外で獣医の勉強をしながら、ボーダーコリー2頭と生活をしています。
臨床獣医師、研究者、犬の飼い主という3つの観点から科学的根拠に基づく正しい情報を発信中!
記事の信頼性担保につながりますので、じっくりご覧いただけますと幸いですm(_ _)m
» 参考:管理人の獣医師のプロフィール【出身大学〜現在、受賞歴など】
✔︎本記事の内容
犬のバベシア症〜原因、症状、治療法〜
この記事の目次
犬バベシア症の病原体
犬パベシア症は、マダニによって媒介されるバベシア原虫が宿主の赤血球に感染・増殖することで引き起こされます。
原因となる原虫種は、バベシア科の犬を宿主とするBαbesiα gibsoniとBαbesiα cαnisです。
B.canisは3亜種(canis. rossi. vogeli)に細分類され、日本(沖縄)でみられるものは最も病原性が低いとされるB.canis vogeliです。
犬バベシア症の疫学
B. gibsoniはアジア、エジプト北米に分布する。
B.canis canis はヨーロッパ、アジア
B. canis rossi はアフリカ
B. canis vogeliは世界中に分布
日本では、B. gibsoniが九州~東北地方に、またB.canis vogeliが沖縄に分布しています。
犬バベシア症の宿主と生活環
犬およびイヌ科の野生肉食獣を宿主とします。
各年齢ならびに各品種の犬に感染します。
感染マダニの吸血の際に、唾液とともに原虫が侵入し赤血球内に寄生し、増殖します。
この増殖が進行すると、感染動物は、血管内溶血により発熱、貧血、黄疸、血色素尿を主徴とするバベシア症を引き起こします。
雌マダニに取り込まれた発育し、卵巣を経て虫卵内へ侵入する虫卵を介した伝播様式を経卵伝播といいます。
一方のB.canisでは、経卵伝播に加えて、経発育期伝播も成立し、すべての発育期が感染源になると考えられています。
経発育期伝播:幼ダニ、若ダニが吸血後それぞれ若ダニ、成ダニへと脱皮し新たな宿主に寄生した際に原虫を媒介する伝播様式
バベシアは, 赤血球では無性生殖で、マダニ体内では有性生殖と無性生殖で増殖します。
すなわち、犬バベシアの終宿主はマダニで、犬は中間宿主となります。
犬バベシア症の感染経路
主な媒介マダニは、それぞれ3宿主性のフタトゲチマダニとクリイロコイタマダニが知られています。
一般的には.、原虫を保有するマダニの吸血を介して宿主動物に感染します。
一方で、輸血や闘犬でみられる咬傷など、血液を介した直接接触による伝播も報告されています。
実験的に、母犬から直接胎子に伝播する胎盤感染も証明されています。
犬バベシア症の感染の特徴
バベシアは耐過してもなお,長期にわたり持続感染することが多く、耐過犬はマダニを介した他個体への感染源(キャリア)となります。
犬バベシア症の臨床症状
病因は赤血球破壊による溶血性貧血で、粘膜の蒼白と発熱が主症状となります。
症状の重症度は、感染した犬バベシアの病原性や宿主の免疫力の強弱に依存します。
潜伏期は2~4週間とされています。
急性期の症状
- 元気消失、食欲低下、体重減少
- 貧血と発熱
- 黄疸
- 血色素尿
- 脾腫
- 血小板減少症
- 腎不全
- 代謝性アシドーシス
- 低血圧性ショック
削痩衰弱した幼犬や老犬での死亡率は高いです。
B.gibsoni感染の場合、血色素尿はまれで、ビリルビン尿がよくみられます。
日本国内ではB. gibsoniの方がB.canisより病原性は強いとされています。
犬バベシア症の診断
血液塗抹染色標本の観察
マダニの付着歴と再生性貧血を確認します。
顕微鏡下で血液塗抹染色標本を観察し、赤血球に寄生した犬バベシアのピロプラズムを検出します。
ただし原虫数が少なく困難な場合も多いです。
遺伝子検査
高感度で正確な種同定にはPCR法が有効です。
その他
そのほか血清学的診断法として、間接蛍光抗体法やELISA法が知られています。
犬バベシア症の治療
抗原虫薬
世界的にジミナゼン・アセチュレート(3.5~5 mg/kg、1~3回: 各投薬期間は2~3週間あける、筋肉内投与)とイミドカルブ(5 ~ 7 mg/kg、1回、筋肉内投与)が広く使われています。
メトロニダゾール、クリンダマイシン、アトパコン、アジスロマイシンによる抗原虫作用の報告もあります。
ジミナゼン・アセチュレートは副作用(疼痛、腫脹、下痢、嘔吐、神経症状など)が知られており、その使用はリスクを伴います。
抗コリンエステラーゼ薬と同時に使用できません。
対症療法
貧血と脱水に対する輸血や輸液などの対症療法や、アシドーシスの治療も重要になります。
免疫抑制処置には注意
感染犬へのステロイドや免疫抑制薬の使用、脾臓の摘出には注意が必要です。
原虫寄生率を増加させ、病状を悪化させることがあります。
また、耐過犬の場合は再発を招く。
「抗原虫薬で原虫を完全に駆除できるか」
治療薬は動物の体内から原虫を完全には除去できない場合があります。
「犬への感染リスクが高い場所はどこか」
山地、牧野林野、草地原野の隣接地、それらを開発した宅地や公園など、イヌ科動物とマタ二の問で犬パベシアの生活環が成立していると思われる場所で犬を運動させた場合、本バベシアに感染することが多いです。
犬バベシア症の予防
マダニの駆除で予防します。
流行地では、薬浴やスポット剤の投与、ならびに犬舎、周囲敷地への殺虫剤の定期的散布が望ましいです。
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