愛犬や愛猫の呼吸が苦しそう!呼吸がゼエゼエしているので病院に連れて行ったけど、
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✔︎本記事の内容
獣医師解説!犬や猫の呼吸が苦しそう!ゼエゼエしている?〜原因、症状、治療方法〜
この記事の目次
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の用語の定義
呼吸が苦しく感じることをいいます。
空気飢餓感ともいわれ、換気要求の増加がその動物の換気応答能力を超えているときに生じます。
本来自覚所見なので、他覚所見として表現できないが、呼吸数、努力性呼吸、苦悶症状の有無を観察して推察します。
安静時呼吸では、吸気は能動的な横隔膜収縮、呼気は受動的な肺弾性収縮力によって行われています。
吸気時には補佐的にわずかに外肋間筋が働いています。
努力性呼吸は横隔膜や外肋間筋の運動が過剰となり、さらに呼吸補助筋が動員されます。
初期症状は、安静時頻呼吸を示し動かなくなり、症状が進行するに伴い、鼻翼の外転、開口呼吸、肘外転、頭頸部伸展、犬坐姿勢の動作を示すようになります。
代償不能になると起立不能となります。
呼吸不全とは肺でのガス交換機能低下を意味し、通常、動脈血酸素分圧(Pao2)60mmHg未満となった状態と客観的に定義されます。
さらに、動脈血炭酸ガス分圧(Paco2)の低下(過換気)を伴ったときをⅠ型呼吸不全、逆に上昇(低換気)を伴う場合をⅡ型呼吸不全と呼びます。
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の用分類と問題点
◎原因部位による分類
上気道疾患
外鼻孔から喉頭までの気道に閉塞が生じています。
StertorやStridorなどの異常呼吸音を伴い吸気努力を示します。
呼吸数は毎分30回未満であることが多いです。
短頭種気道症候群、咽頭内腫瘤状病変、喉頭麻痺、喉頭虚脱、喉頭腫瘍、喉頭狭窄などで生じます。
中枢気道疾患
気管から主気管支にかけて気道が閉塞しています。
吸気および呼気時間の延長がみられます。
音量の小さい高音調の喘鳴音が生じます。
ただし、気管虚脱の場合は音量の大きなガチョウの鳴き声様の異常呼吸音を示します。
通常、呼吸は速くならないです。
気管内異物、気管腫瘍、気管狭窄、甲状腺腫瘍や前縦隔腫瘍による気管の管外性圧迫、心肥大による気管分岐部の圧迫などで生じます。
末梢気道・肺実質疾患
浅速呼吸、努力性呼吸、呼気努力、多呼吸の四様式があります。
重度になるほど呼吸数は増加し、チアノーゼを示します。
動脈血ガス分析にてⅠ型およびⅡ型呼吸不全を識別します。
胸膜および胸膜腔疾患
胸水貯留疾患や重度の胸膜炎などにより肺の拡張が制限され、浅速呼吸となります。
◎呼吸様式による分類
浅速呼吸
毎分40回以上の浅く速い呼吸が持続します。
気管支肺炎、誤嚥性肺炎、間質性肺水腫、間質性疾患(全身性自己免疫性肺疾患、好酸球性肺炎、特発性肺線維症)、びまん性肺腫瘍、胸水貯留などで生じます。
多呼吸
パンティングのように、大きく開口し毎分200~400回の非常に浅く速い呼吸になります。
チアノーゼと伴う。
心原性肺水腫、肺血栓塞栓症などで生じます。
努力性呼吸
呼吸補助筋を導入し呼吸運動が誇張されます。
強い換気刺激を受けています。
間質性肺疾患、右左シャント、急性呼吸促拍症候群、気胸、無気胸などで生じます。
吸気努力
胸骨舌骨筋などの上気道拡張筋が緊張し、外肋間筋や斜角筋など肋骨に終止する吸気性筋が動員され肋骨全体が大きく頭側に動きます。
安静時呼吸では動かない第一および第二肋骨も大きく頭側に動きます。
吸気努力が著明な場合、吸気時に胸骨が内方に移動し漏斗胸状に変化します。
鼻腔内腫瘍、短頭種気道症候群のStridor悪化時、咽頭内腫瘤状病変、喉頭虚脱、喉頭麻痺、喉頭腫瘍などでみられます。
呼気努力
呼気時に腹直筋が緊張し側腹部が陥凹し、さらに内肋間筋が緊張し肋骨が過剰に尾側に動き呼気時間が延長します。
慢性気管支炎や肺水腫や末梢気道病変など高炭酸ガス血症を示す疾患でみられます。
Ⅱ型呼吸不全の典型的な呼吸所見です。
呼気努力がみられる場合、通常吸気時間も延長します。
奇異呼吸
正常な安静呼吸では胸腹呼吸を示し胸郭後部と上腹部は同調して動くが、呼吸ごとに胸郭後部と上腹部が相反して動く状態になった場合のことをいいます。
「シーソー呼吸」ともいいます。
慢性呼吸不全で呼吸筋疲労が生じた結果生じます。
慢性気管支炎の末期や重度の肺気腫でみられます。
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の病理発生
◎上気道および中枢気道閉塞
気道抵抗の増大に対して、吸気筋は呼吸ごとにより長く収縮し、結果として吸気時間が延長します。
この反応は、気管支や細気管支の気道平滑筋に存在すると考えられている肺伸展受容体を介したへーリング-ブロイエル反射に関連していると考えられています。
また、構造的な上気道および中枢気道閉塞に伴って体温調節機序のため呼吸数が増加するとこのタイプの呼吸困難が生じます。
◎Ⅰ型呼吸不全
気流制限を示す疾患を伴わず、シャント、拡散障害、換気血流比不均等などの機序により低酸素血症を示します。
末梢化学受容体を刺激し強い換気刺激を引き起こすため、中程度から重度の頻呼吸を示します。
多呼吸も起こし得ます。
◎Ⅱ型呼吸不全
気流制限を示す疾患を伴って、低酸素血症が生じる、呼気時間が延長するが、これはへーリング-ブロイエル反射を介すると考えられます。
臨床的には呼気努力がみられます。
そのためⅠ型呼吸不全のような重度な頻呼吸は生じにくいです。
末梢化学受容体優位の呼吸調整となり、Pao2で呼吸が管理されているため、高濃度酸素吸入で酸素分圧が急激に上昇すれば、同時に存在する高炭酸ガス血症が急激に悪化し、意識障害を引き起こします。
これがCO2ナルコーシスです。
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の対症療法
体温上昇を伴っている場合、気温の低い通気性のよい場所に移動し、保冷剤や冷タオルを体表面に当てたり、団扇で煽いだりして外部冷却を行います。
冷温管理可能なICUで観察するのもいいです。
チアノーゼを伴っている場合、酸素投与を行います。
100%酸素をマスクで投与するか、外鼻孔から2cm離してチューブから投与(近接投与)します。
犬の呼吸が荒い時!飼い主必須携帯酸素缶
犬に突然起こりやすい、急性腸炎、急性膵炎、誤嚥性肺炎、痛みなどで呼吸が荒くなることがあります。
犬の呼吸数は小型犬で1分間に20回前後、大型犬では15回くらいです。
30回を超えると異常のサイン、40回を超えた時は赤信号です。
すぐに病院の受診が必要ですが、この酸素缶を持っていると、自宅で落ち着かせることや、移動の間犬が楽になります。
これだけでも、是非、犬を飼っている飼い主に、一つは持っておいて欲しいものです。
酸素ケージなら酸素濃度30%から開始し治療反応をみて増減します。
ただし、呼気努力がみられた場合、Ⅱ型呼吸不全の可能性があり、高濃度酸素投与でCO2ナルコーシスを起こし意識障害を生じる可能性があります。
よって吸入気酸素濃度は25~30%未満から開始し慎重に経過観察します。
Ⅱ型呼吸不全は気流制限を伴う疾患なので、気管支拡張薬が初期治療として必要となります。
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の特徴
様々な種類の犬猫で呼吸困難が生じるが、パグ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ペキニーズ、狆などの短頭犬種や肥満犬は上気道閉塞症状が生じやすく、体温上昇とStridorなどの異常呼吸音を伴い呼気努力を示すことが多いです。
ヨークシャー・テリア、チワワ、ポメラニアンなどは気管虚脱好発犬種であり、夏期に中枢気道閉塞症状が増悪し急性呼吸困難を示すことが多いです。
このような上気道閉塞や中枢気道閉塞は長時間放置すると陰圧性肺水腫を継発し重篤化します。
体温を下げても頻呼吸が続くので、肺水腫に準じた対応が次に必要となります。
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)の高頻度の疾患
・上気道閉塞性疾患:短頭種気道症候群、喉頭麻痺、喉頭虚脱
・中枢気道閉塞性疾患:気管虚脱、甲状腺腫瘍や前縦隔腫瘍などによる気管の管外性圧迫、気管腫瘍
・Ⅰ型呼吸不全:心原性肺水腫、間質性肺疾患、びまん性肺腫瘍
・Ⅱ型呼吸不全:慢性気管支炎、肺気腫、末梢気道病変
・胸水貯留:乳び胸、膿胸、猫カリシウイルス感染症
・右左シャント:ファロー四徴症、動脈管開存症末期
・肺高血圧:肺性心
犬や猫の呼吸困難(強制呼吸)のまとめ
・呼吸困難時の呼吸様式をよく観察し、「呼吸様式による分類」のどれに該当するか識別し、「原因部位による分類」を参照して原因部位を特定する。
・初期対応は、体温を下げ、酸素を投与する。ただし、呼気努力を示す場合、吸入気酸素濃度は25~30%未満に低く抑える。
・呼吸症状の初期安定化後に各種検査を実施する。
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獣医師解説!犬や猫の呼吸が荒い、早い、フガフガして変!?〜原因、症状、治療法〜
犬や猫の呼吸異常は、努力性呼吸が持続する場合、緊急に対処が必要となります。異常呼吸音を聴取した場合、気道の閉塞部位と状態を考察します。よくある病気としては、短頭種気道症候群、気管虚脱、喉頭麻痺、喉頭虚脱、肥満、慢性気管支炎、肺気腫があります。この記事を読めば、愛犬や愛猫の呼吸が荒い、早い、フガフガの原因、症状、治療法がわかります。
獣医師解説!犬の呼吸が荒い、呼吸回数が多い?〜原因、症状、治療法〜
呼吸が荒い、早いの主訴は多いです。多くは生理的範囲内での呼吸回数ですが、危険な状態のサインでもあります。すぐに一過性と結論づけずに、経過観察を行い、数週間後や状況が悪化したら受診する必要があります。正常犬の安静時呼吸数は毎分20~34回、睡眠時は毎分18~25回、正常猫の呼吸数は毎分20~40回、睡眠時は毎分16~25回とされています。